我々は何者も拒まない だから我々から何も奪うな
概要
この世の何を捨てても許される場所。独裁者の人種隔離政策に始まり、1500年以上前から廃棄物の処分場となっている地域である。
公式では政治的空白地域で無人とされているが、実際は多数の住人が生活している。人口は推定で800万人。政治的干渉を全く受けない地域だが、決して無法地帯という訳では無く、長老達による議会制度によって統治されている。
東京都と埼玉県を合わせた程度の面積だが、詳しい場所については作中でも明記されておらず不明である(おそらくヨルビアン大陸のどこか)。
ちなみに幻影旅団の構成員の大半がこの街の出身者である。
住人
捨て子・犯罪者・住処を失った民族などが集まる事で多人種のるつぼとなっており、流星街の住人は廃棄物を再利用する事で生活しており、住民同士の結束は非常に強い。
ただし、その結束力は自分達流星街の住民が「社会から捨てられた側」、流星街の人間以外全てを「自分達を捨てた社会そのもの」という認識に基づいた極端なまでの被害者意識による結び付きとなっており、流星街以外の人間達に対する排他的思想が非常に強い。
流星街を脅かす存在には徹底とした報復を行う主義を掲げているのだが、そのやり方は過激を通り越して暴虐に等しく、報復に関係の無い人間をも巻き込んだテロ紛いな手段でさえ平然と行使し、同じ流星街の住民の犠牲さえも厭わない等、常軌を逸している。
例で挙げるなら、かつて流星街の外の世界で住民が逮捕されて数年後に冤罪が発覚した後は、冤罪に関わった警察や法律関係者の31人に対し、住民の31人を犠牲(殆ど生贄に等しい)にした自爆テロで報復しており、これによって31人の当事者達や関係の無い人間達までもが犠牲になってしまう事になっている。
また、外的対策は徹底している反面、例え流星街側の方に非があった場合であったとしても流星街出身者に危害を加えた以上は報復を行う、キメラアント化する形でザザンに加担して同胞を殺した裏切り者に対しては同じ流星街の住民であるのを理由に無罪を検討しようとする等、街の理念や住民同士の結束力が高じるあまり、あくまでも自分達流星街の住民を中心とした思考…悪く言ってしまえば自分達に都合の良い曲解に基づく形で道理を無視した判断(分かりやすく言えば、流星街出身で無い者は問答無用で「有罪」とし、流星街出身者の場合はなるべく「無罪」を検討する)した結果、現実味の無い問題を抱えて迷走してしまう事も多い。(上記の例では「そもそもザザンを生み出したのはキメラアントの女王なのだから女王やその子孫(メルエム含む)にも監督責任として同罪とすべきではないか?」などと議論しており、フィンクスに「出来もしねぇくだらねぇことでグチグチやってる」と侮蔑されていた。)
流星街の住民が掲げている極端な思想・主義が原因により発生している最大の弊害は、世界各地で窃盗・殺戮を繰り返している幻影旅団であると言える。
団員の大半が流星街の出身である事から、流星街側は幻影旅団の暴挙を黙認するばかりか、裏で支援を行っている可能性が高い。「流星街出身」という立場が大きな後ろ盾になっている事で、旅団がどれだけ犯罪を繰り返しても、被害を受けているマフィアや法的機関等はおろか熟練ハンター等ですら、流星街からの報復を恐れて下手に手出しが出来ずにおり、ハンターサイドでの賞金首としての登録も実質的に無意味となっている。
これらから、流星街の住民の中には、幻影旅団を「自分達を捨てた外の世界へ復讐してくれる街の英雄」として賛美している者が少なからずいる。
それくらい危険な場所でありながら、ここの住人に人権がない事をいい事に良からぬ目的で手を出してくる輩は後を絶たないらしく、特に子供は誘拐や殺人などの犯罪の標的になりやすいのも事実である。
過去編の幻影旅団を結成する前のクロロ達が幼少期の頃には今ほど攻撃的な街ではなく、単純に孤児や浮浪者が集う街だったが、今のように外部に対して明確な抵抗手段やマフィアとの繋がりを持っていなかったことから、上述のように誘拐や殺人などの仕打ちを受けても泣き寝入りするしかない現状が続いていた。
だが、仲間であるサラサが凄惨な犯行で殺害されたことで、クロロを筆頭とした幻影旅団や長老達と共に現在の流星街のシステムを考案したことが示唆され、これらの経緯が道理を無視したと思われるほどの身内の過保護さと外部への過剰過ぎる報復に繋がっていると思われる。
そして、様々な蛮行を繰り返す幻影旅団や住民達の行動の根底には「人生を捧げる覚悟」を元に多くの人間の命を奪い、世界中から恐れられる存在となる事で流星街を守るという強い意思を持つ。
ただし、その狂的とも言える防衛政策も、幻影旅団そのものへ生涯を賭けて皆殺しにしようとしているクラピカや強敵の襲撃を恐れない所か狂喜するヒソカ=モロウには通用しないという欠点もあり、仮に「流星街からの報復を恐れない者」が襲撃しに現れる事になれば、被害を免れられない事になる。実際、最終的に撃退されているとは言え、自分達の勢力拡大(繁殖)にしか興味の無いキメラアント達には、流星街の政策も無意味となり、危うく壊滅しかける危機となっていた。
また、いくら徹底とした報復主義を掲げても、「肝心の『加害者』の正体が全く分からない状況だと報復のしようが無い」という欠点もあり、それっぽい人物を手当たり次第に殺害しても非効率な上に、下手をすれば流星街そのものへ世界政府等からの凄惨な報復が降りかかる可能性もある。前述のサラサを無残に殺害した犯人も未だに全く特定が出来ていない状態で、幻影旅団は不確実な方法で犯人をあぶり出そうとする事しか出来ずにいる。
更に、例え報復の対象がある程度特定出来たとしても、「その対象が流星街側でも手出しが出来ない上に不確実な情報しか得られない状況の場にいる」という場合だと、流星街側でもお手上げの状態となる。
現在、幻影旅団は「旅団狩り」を開始したヒソカに報復すべく、彼が潜入しているブラック・ホエール号で暗躍しているものの、暗黒大陸へと向かうこの船内は流星街側でも干渉が殆ど不可能な為、並外れた実力を持った猛者揃いとは言え、「流星街の支援・報復」という恩恵は得られないという、以前よりも危険な状況に陥っている。
存在しない街
HUNTER×HUNTERの世界では国民総背番号制度が浸透しており、データベースに照会すればどんな人物でも個人情報が特定できるシステムになっている。
しかし流星街で誕生した者は社会的な情報を一切持っていない為、存在しない人々とされている。
どんな情報でも足がつかない為、流星街の住人はマフィアン・コミュニティにとって貴重な人材である。コミュニティはゴミの投棄という名目で武器・資金を提供しており、マフィアと流星街は蜜月関係にある。
しかし、マフィアとの力関係に関しては対等とは言えず、幻影旅団の一件や徹底的な報復主義もあってか流星街側の方が実質的に上となっていると言える。
実際、ヨークシンシティにて、幻影旅団によりマフィア側が多大な被害を受けた際は、当然マフィア側によって彼等を破格な値段を掛けて賞金首としているのだが、団員の半数以上が流星街出身であった事実を知ってからは、流星街から得られる利益を失う事や報復を受ける事を恐れた結果、手を引かざるを得ず、泣き寝入りするしかない羽目になるという泣きっ面に蜂な顛末となっている。
関連タグ
グレイ・ターミナル:週刊少年ジャンプ連載の別作品に登場するスラム街。投棄されたゴミ山の中に存在する、作中主要人物及び関係者が出入りしていたなどの共通点もある。ただしこちらは文字通りの掃き溜めで、いざとなったら焼却されなかった事になる場所でしかない
流魂街:同じジャンプ作品に登場した架空の町で、名前がかなり似ており、普通の街のような場所もあれば野良犬に食われる赤子がいるスラム未満の場所もある