火の鳥(火の鳥のキャラクター)
ひのとり
※この記事ではキャラクターとしての火の鳥について記載します。
「虫たちは自然が決めた一生のあいだ ちゃんと育ち たべ 恋をし卵を産んで満足して死んでいくのよ 人間は虫よりも魚よりも犬や猫や猿よりも長生きだわ その一生のあいだに……生きている喜びを見つけられればそれが幸福じゃないの?」
本作のシンボルであり、ひいては『鉄腕アトム』のアトムと並ぶ手塚プロダクションの代表的なキャラクターとして知られる。
金色の体に赤い鶏冠、黒い頭部の羽毛、朱雀や鳳凰を想起させる荘厳で長い尾羽が特徴。
人智を超越した存在であり、完全なる不老不死。
作中でも「火の鳥」の他、「フェニックス」「鳳凰」「火焔鳥」などいくつかの別名で呼ばれる。
その血には「不老不死をもたらす」力があるとされ、数多の人間たちがその力を欲して火の鳥を求めていく。
先述の通り不老不死。
何を食べて生きているかさえ判っておらず、そもそも不老不死のため食事が必要ない可能性も考えられる。
100年に1度その身を火に焼くことで肉体を再生して雛鳥に戻り、永遠に若い姿を維持し続ける。たとえ首を切られて死んだとしても、炎さえあればそれを文字通り火種として復活する。
この火には「生命の波動」が宿っており、火が発する七色の光を受けた者にその生命力を分け与えることも可能。
そして自らの血を飲んだ者を不老不死にする力がある。それだけを聞くと夢のような権能だが、実態は「呪い」に等しいほど強力なもので、火の鳥の意思で与えることも奪うことも可能。実際、劇中で火の鳥から不老不死を得た者たちの多くが地獄のような仕打ちを受けている。
その本質は「宇宙生命(コスモゾーン)」と呼ばれる宇宙の力が具現化した超存在。
月面や宇宙空間でも活動が可能であり、必要とあらば全く別の生命体として転生して活動することもできる。
作中でも人間やそれに等しい生物に転生し、人間との間に子供を成したこともある。
高度な知性を有し、会話が必要な時にはテレパシーで相手と意思疎通する。
なお女性的なキャラクターをしているが、作中で明確な性別については言及されていない。
生命全てを愛する自然主義者であり、生きとし生けるものが懸命に己の使命を全うしようとする姿勢を何より大切にする。
基本的には慈悲深く平和主義ではあるものの、欲望に囚われて自分に牙を剥く相手には容赦しない。
女性的で丁寧な言葉を用いる。
宇宙的存在のため、人智を超えた視点や感覚を有する。
いわゆる「神の視点」の持ち主であり、各エピソードの登場人物たちに助言を送る際も、詳しい過程をすっ飛ばして目的だけを伝えることが多い。
同時に慈悲深くこそあれど、「神の視点」から言葉を発するが故に配慮に欠けた言動に及んでいたり、それが最終的に良い結果を招くことを自己完結で理解しているため、説明不足や横柄で高慢な態度に出ることも少なくない。
人間も“地球上の生き物の一員として”愛しており、人類が滅亡の危機に瀕するとあらゆる手段と助言を惜しまず、再びの繁栄と平和を得られるよう、間接的であるが手助けしている。
一方でトリックスターとしての側面も非常に強く、火の鳥自身は善かれと思って不老不死の力を与えるも、かえって力を得た人間をひたすら苦しめてしまうことも多い。
ときに私怨や当て擦りにしか見えないような仕返しもしており、決してお人好しと言い難い悪女の様な一面も見せる。
また自らの「不老不死の力」を交渉材料に使い、度の過ぎた悪戯で相手の人生を狂わせたり、小物じみた命乞いをしたりと、神に近しい存在ながら非常に人間くさい言動を起こす。
特に連載後期になるにつれ、こうした悪女ムーブを見せることが多くなった。
黒幕疑惑
作中の役割としてはいわゆる「機械仕掛けの神」に近い、舞台装置としての機能を果たしている。
それ故に基本こそ慈善精神で動いているが、前述した通り不老不死の力を交渉材料に物語を引っ掻き回す場面が度々登場する。その超然とした態度も相まって、読者の一部から「劇中の悲劇って実はだいたいコイツが元凶じゃね?」と怪訝な顔をされる。
そんなこともあって、一部から――
- 「コズミック害鳥」
- 「スーパーファッキンバード」
- 「クソリプ鳥」
- 「人類に対する粘着荒らし」
……等々、ネタ半分とはいえ数々の罵詈雑言を並べられている。
またファンからの二次創作でも、火の鳥が登場人物を誘惑するような場面が出てくると「弓彦さんこっちです」と、「黎明編」で火の鳥からの不老不死の誘惑を無視して首を落とした天弓彦を呼んでくるのもお約束になっている。