概要
アニメ『牙 -KIBA-』は、2006年4月2日から2007年3月25日までテレビ東京系列日曜8時30分枠で放送された。全52話。同じ脚本担当の仮面ライダーキバとの混合を防ぐ為か「アニメの方の牙」という分け方をされる。
アメリカ合衆国のトレーディングカードゲーム会社アッパーデック社とのタイアップで、カードゲーム『牙』のテレビアニメ版としてマッドハウスにより制作された。が、タイアップアニメにもかかわらず、本作にカードなどは一切登場しない。所謂TCGの世界観を描いた当時として先進的なアニメであり、登場人物達はゲーム内に出てくるモンスターやアイテムを使って ガチで殺し合う。参加している声優もアフレコのたびに『今日は誰が死ぬんだろう』と話す程であった。
監督の神志那弘志は、
「子供向けの枠だからといって、子供に媚びる展開には絶対しない(子供が楽しめない展開にすると言う意味では無い)」と言い切っており、シリーズ構成を務める井上敏樹の作風とも相まって、いがみ合い、裏切り、殺し合い、愛憎劇、メインキャラだろうが誰だろうが容赦なく死ぬなど、子供向けアニメとは思えない非常に重く、ハードな物語も展開された。今作に限らず前番組のゾイドジェネシスや後番組の天元突破グレンラガンなどシリアスでハードな展開のものが多く当時のテレ東の8時半アニメの作風を表す代表作。
シリアスで鬱ストーリーであるイメージとTCGをしないTCGアニメという評判が先走っているが、視聴率もこの時間帯としては好調でカードの売り上げも大ヒットまでは行かずとも悪くなく、シリーズ延長の打診も来るなど失敗しやすいTCG背景ストーリーアニメ化としては成功した部類であるが、スタッフは「1年で全てやりきった」ことを理由に断ったという。
ストーリー
無機質で閉鎖的な世界カームに住む少年ゼッドは、「扉や門を壊せば違う世界に行ける気がする」という思いにとらわれて街を破壊して回り、学校や警察から追われていた。
親友のノアは彼を心配するが、彼の事情を知っているだけに何も言えなかった。
そんなある日、ゼッドを追いかけていた教師が突如狂人となって襲い掛かってきたのであった。
その時。精神を病んでいたはずのゼッドの母サラが現れ謎の力で教師と戦いに。何が起きているのか分からず混乱するゼッドの前に突如、空間から光の渦が発生する。
無我夢中で光の渦に飛び込んだゼッドが辿り着いたのは、「シャード」の力を使う能力者「シャードキャスター」が戦う、戦乱の異世界だった……。
登場人物
テンプラー
ゼッドが最初にやってきた領域。「博愛と調和」の精神の下に共和制を取る、緑豊かな平和の国。軍事力は非常に脆弱。
シュクラムクス・デュマス(CV:家中宏)
ジーモット
絶対主義国家。「力こそが全て」が国全体を貫くモットーで、いかなる悪辣な手を使おうとも強者が国を手に入れることが認められる国。
タスク
軍事国家にして、他の領域からは「悪の枢軸」と称される。世界を創造したといわれる伝説の神タスカーの復活を願い、全てのキースピリットを集めようとしている。
ネオトピア
ノアが最初にやってきた領域。テンプラーの同盟国。「絶対規律」を標榜する、厳しい戒律に縛られた封建国家。
ハイラム・マキシマム(CV:麻生智久)
ウルバークス
ネオトピアを追われた技術者達の科学大国。
シーカーズ
光学迷彩機能がある浮遊要塞で移動する伝説の集団。タスカー復活阻止のためキー・スピリットを一カ所に集めない事が目的。
キー・スピリット
スピリット・シャードの中でも特に強力な物を指す。 全て集めると大きな災厄がもたらされる。
ゼッドが持つ「アミル・ガウル」は特に強力だが、ゼッド以外の者が使うと拒絶反応を起こし、全身に激痛が走り、体内から排出するまで体を蝕み、時には死をも与える。
主題歌
オープニングテーマ
「Sanctuary」(第1話 - 第26話)
作詞 - mavie、ats- / 作曲・編曲 - ats- / 歌 - 玉置成実
「儚く強く」(第27話 - 第51話)
作詞 - 和田勉 / 作曲・編曲 - 江口亮 / 歌 - ユンナ
エンディングテーマ
「Very Very」(第1話 - 第13話)
作詞 - ゲンゲン / 作曲 - アッキー / 編曲 - アフロマニア、塚崎陽平 / 歌 - アフロマニア
「solar wind」(第14話 - 第26話)
作詞・作曲 - 西村晋弥 / 編曲 - シュノーケル、tasuku / 歌 - シュノーケル
「STAY GOLD」(第27話 - 第39話)
作詞・作曲・編曲・歌 - ライムライト
「世界の果てまで」(第40話 - 第51話)
作詞・作曲・歌 - 高田梢枝 / 編曲 - Tomi Yo
関連イラスト
余談
・現時点で唯一水樹奈々が出演しているホビー、TCG関係のアニメである。
・脚本を担当した井上敏樹氏の関係や放送時間がライダーシリーズの後のため当時は特撮掲示板などでもよく話題に出る作品であり、その関係上アニメファンより特撮ファンの方が圧倒的に知名度が高い。
・井上敏樹氏の娘である、井上亜樹子氏が本作品から12年後の同局同放送時間曜日のTCGアニメの「デュエル・マスターズ!」の脚本を担当した為、親子揃ってTCGアニメの脚本を担当する偉業を達成した。