概要
神楽鈴(かぐら すず)は、神楽舞で用いる鈴のリズム楽器である。
古来日本で用いられる金属製の鈴は古墳時代に大陸より伝来したといわれるが、呪術的意味を持つ装身具としても用いられる。この鈴を、棒の先に複数取り付けた楽器があり、神道では古代以来現代までこの形式の楽器を巫女舞を始めとする神楽舞で使っている。
なお、辞書類に載っていないが、巫女が使うことをもって「巫女鈴(みこ すず)」と呼ぶ例も散見される。
神道で使われる一方、同形のもの が呪師(じゅし、ずし、しゅし、すし|まじないの術を職業とする人やそれを行う僧)の芸能にも用いられ、能楽の演目『翁(おきな)』の「三番叟(さんばそう)」や、歌舞伎舞踊、民俗芸能に使われてきた。
よく見られる縦三段構造になっているものは、先述のとおり能「三番叟」の舞踊に使われることから「三番叟の鈴(さんばそうのすず)」もしくは「三番叟鈴(さんばそうすず)」と呼ばれている。
その鈴は下から順に7個・5個・3個と付けてあり、その付き方にちなんで、「七五三鈴(しちごさん すず)」とも呼ばれている。
なお、ここまでの解説で判るように、神道の「神楽鈴」と伝統芸能の「三番叟の鈴」などは、本来は別ものである。しかしながら、辞書類を含めて多くの場合、両者は同じものとして説明されている。
奏でる音のオノマトペ(擬音語)は「シャン」、「シャーン」、「シャリン」、などがある。