小さき幼虫が辿り着いた究極かつ完全なる姿。
羽根から繰り出される猛毒の嵐は地上全ての敵を粉砕する。
概要
究極完全態・グレート・モス(きゅうきょくかんぜんたい グレートモス)は、『遊戯王』に登場する地属性・昆虫族の効果モンスターである。
カードテキスト
特殊召喚・効果モンスター
星8/地属性/昆虫族/攻3500/守3000
このカードは通常召喚できない。
「進化の繭」を装備した状態で、自分ターンで数えて6ターン以上が経過した
自分フィールドの「プチモス」1体をリリースした場合に特殊召喚できる。
解説
弱小モンスターのプチモスを10ターン以上もフィールドに維持することで特殊召喚できるロマン溢れるモンスター。「自分のターンで数えて」なので相手のターンを経由して自分のターンを迎えることで初めて1ターンと計算する。
しかもデッキからの特殊召喚には対応しておらず、規程ターンをしのいだ上で手札にこのカードがなければならないのが使いにくさに拍車をかけている。
召喚条件の厳しさはもちろん、苦労して出てくるのが攻守が高いだけのモンスターというのが厳しい。
実質、(自分を有利にする)効果を持たない効果モンスターの1つ。似たようなカードとしてゲート・ガーディアンがある。
高い攻撃力を得るだけならプチモスを装備カードなどで強化したほうがまだ実用的。
何故か2011年に発売されたBEGINNER'S EDITION 2までテキストに「通常召喚できない」の文がなかった。
もちろん古いカードでもプチモスを維持して特殊召喚しなければならない。
この手間のかかる召喚方法から、遊戯王OCGを題材にしたゲーム作品ではこのモンスターの召喚に成功することがチャレンジ項目になっていたり、召喚成功によるボーナスポイントが得られたりする。
と、言う風にかつてはコレクター用のカードの域を超えるものではなく、実用とはほど遠かった。
しかし、このカードを召喚条件を無視して呼び出せる『超進化の繭』と『寄生虫パラノイド』の登場で評価は一転。一気に実用レベルに跳ね上がった。
低コストで呼び出せる攻撃力3500は十分に強力。これだけで勝負を決められるほどではないが、除去でないとどかすことは難しいため相手に消耗を強いることはできるだろう。
相性がいいのは装備カードを多用する【甲虫装機】など。高打点を得にくいデッキのためピン刺しすると結構いい働きをしてくれる。
後に「ターンを経過することで成長する」「自身の効果でレベルアップすれば相手の攻撃力(最終形態は守備力も)を下げる」という効果をもっと実用的にしたアルティメット・インセクトが登場しており、グレート・モス系列のリメイクカードとも言える。
原作・アニメにおいて
王国編の闇遊戯vsインセクター羽蛾戦でインセクター羽蛾が召喚を試みるが、6ターン経過する前に進化の繭を破壊されてしまったため一段階前の状態であるグレート・モスの姿で召喚された。
アニメ『遊戯王デュエルモンスターズ』ではバトルシティ編の城之内克也vsインセクター羽蛾戦でインセクター羽蛾が使用。
寄生虫パラサイドと虫除けバリアーのコンボにより城之内のモンスターからの攻撃を完全に封じた状態で特殊召喚に成功。
そのまま攻撃表示の寄生虫パラサイドを攻撃して勝利…かと思われたが悪魔のサイコロと天使のサイコロのサポートを受けた寄生虫パラサイドにあっさり返り討ちにされる悲惨な役だった。
デュエル経過が省略されていたのでどのようにしたのかは不明だがなんとヘルカイザー亮相手に特殊召喚に成功している。
しかし、やはり彼相手にこのカードの召喚を成功させるのは相当厳しかったのか他に場や手札にカードは無い上にライフポイントも風前の灯火という状況となっており、返しのターンであっさりサイバー・エンド・ドラゴンに破壊されて敗北した。
遊戯王ARC-Vではオベリスク・フォースと対戦したLDSユースクラスのデュエリストの一人が使用。
こちらでもやはり扱いが芳しくなく、古代の機械双頭猟犬の効果で破壊された。
アニメGXの時と同様途中経過が省略されていたのでどのように特殊召喚されたのかは不明。なお、両方とも自身の場や手札に他のカードは無い状況だったため、正規の方法で特殊召喚された可能性もある。
「完全究極態」について
「完全究極態・グレート・モス」と言う名で間違えられると思いがちだが、漫画「遊戯王」では持ち主のインセクター羽蛾がこちらの名前でこのカードを呼んでいたためである。OCG以外でのゲーム作品でもこちらの表記が使われる事がしばらく見られる。
「究極完全態・グレート・モス」は闇遊戯の発言した台詞で、OCGでも採用されたためか現在はこちらで統一されている。
ゲーム作品において
以上のようにOCGでは召喚条件が厳しく、仮に出せたとしてもあまり報われないモンスターであるが、OCG準拠ではないゲームでは猛威を振るっていた。
基本的に「究極完全態・グレート・モス」名義だが、一部は「完全究極態・グレート・モス」名義となっている。
真デュエルモンスターズⅡ 継承されし記憶
芋虫系のモンスターに進化の繭を装備させることで、「モスの幼生」に変化させることができる。
それを表側守備表示で5ターン維持すると「モスのさなぎ」に変化し、さらに1ターン経過することで「究極完全態・グレート・モス」になる…という進化方法。
(モスの幼生の時に戦闘破壊されるとラーバモスに、モスのさなぎの時に戦闘破壊されるとグレートモスになる)
召喚条件は変わらないのだが、自動進化のため手札には芋虫系モンスターと進化の繭さえあればよい。さらにOCGとルールが異なり、カードを進軍させて攻撃していくボードゲーム的なものであるため、相手から離れた場所に召喚すれば比較的簡単に条件を満たすことができる。
もし攻撃される恐れがあっても他のカードで守りやすく、生半可な攻撃では守備力2000(森のフィールド補正を受けている場合は守備力2500)は突破できない。
進化の繭を再利用すれば5体並べることもでき、攻撃力3500の大行進が可能。
さらに、表側守備表示でいる場合は相手の攻撃力・守備力を毎ターン100下げる効果を持つ。
複数体で同時に使用すれば上乗せされるのに加え、対象となるカードには効果の演出が加わるため、相手がカードを裏向きに伏せていてもモンスターかどうか判別できるというメリットがある。
仮に破壊されても蘇生カードを使えば問題なく蘇生できる。
そういった性質を持つこのカードを使ってくるのが、初戦の相手であるインセクター(羽蛾をモチーフにしたキャラクター)であるため、初心者キラーでもある。フィールドの隅に配置し、安全に進化させた後はこちらのモンスターの攻撃力をじわじわと下げてくるため、森の地形補正や元々のステータスなどもあって相当手こずらされるだろう。
しかし、このゲームでは「勝利後にその時点で相手の墓地にあったカードがスロットのリールに並び、真ん中のラインに止まったカードを獲得する」というシステムだったため、上手くすれば序盤からこのカードを使えるようになる。敵に回すと厄介だが、その分カード獲得後はデッキを問わず頼れる切り札として活躍してくれるだろう。
ダンジョンダイスモンスターズ
攻・守ともに40、飛行能力持ち、特殊能力無しの獣族モンスターとして登場。飛行能力持ちのため唯一ダメージを与えられる攻撃力を持つ青眼の究極竜をはじめとした地上型モンスターの攻撃は届かず、戦闘を仕掛けられる飛行モンスターや「飛行攻撃」効果持ちのモンスターではダメージを与えられないため、GBA版では実質最強とも言える立ち位置となっている。
一応、アイテムによるパワーアップや、特定のモンスターの特殊効果などを用いれば撃破できなくはないが…それを用意していなければ、相手のダンジョンマスター(プレイヤーの分身、これが3回攻撃されると負け)の周囲を塞がれた日には、もはや降参するしかなくなるだろう。
一方、最高レベル(星4)なので召喚しにくい、飛行モンスター故に進行クレスト(移動時に支払うコスト)が2倍となるため足が遅いという弱点もあるにはある。
完全究極態・グレート・モス
GBシリーズ
フィールド上に出ていると、プレイヤー側のターン開始時に「プチモス」→「ラーバモス」→「進化の繭」→「グレート・モス」→「完全究極態・グレート・モス」と進化していく。また、中間形態や完全究極態を直接召喚することも可能。
OCGと異なり面倒な手順を踏む必要がなく、進化のペースも早いため、総じてかなり使い勝手が改善されている。
初代〜2では上級モンスターの召喚に生け贄が必要ないため、単純にトップクラスの攻撃力を持つ「完全究極態」が非常に強力。特に初代では全モンスター中最高の攻撃力を持ち、当時は召喚魔族の概念も存在しなかったため、最強のモンスターカードと言っても過言ではなかった。
……が、初代での「完全究極態」の入手手段は他ロムとのトレードを介した「通信融合」以外に存在しない上、
- 通信融合の素材となる「プチモス」は1ロムにつき1枚しか手に入らない。しかも入手条件はCPUの羽蛾に100勝すること
- 「完全究極態」を作るには「プチモス」が3枚必要。初代はセーブデータを消せない仕様になっているので、ロムそのものが最低3つは必要
- ついでに通信融合共通の素材として入手が面倒な「チェンジ・スライム」を8枚も用意しなければならない
と、入手までのハードルが絶望的なほどに高い。
幸いGBシリーズでは過去作へ遡っての通信・トレードが可能であるため、現在では2以降の作品からトレードすれば容易に入手が可能。
3では生け贄召喚のルールが採用され「完全究極態」を直接召喚するのはやや手間になってしまったが、代わりに「進化の繭」が1ターンで攻撃力2600の「グレート・モス」に、2ターンで攻撃力3500の「完全究極態」に化けるにもかかわらず生け贄無しで召喚できるという恐ろしい性能に。
「プチモス」や「ラーバモス」も「光の護封剣」や「万能地雷グレイモヤ」等をうまく使えば戦闘破壊を避けて「進化の繭」まで持っていくのはそこまで難しくないため、割と実用的。
3においては最強の一角とも呼べるカードになったが、OCGより遥かにマシとはいえ進化に1〜2ターンのタイムラグが存在することから除去やコントロール奪取等に弱い点は同じ。
その上3の環境は、
- 永続コントロール奪取効果を持ち、おまけにデッキに3枚投入可能な「サクリファイス」
- ↑に加えて奪ったモンスターの攻守を1000上昇させることができる「サウザンド・アイズ・サクリファイス」
- 生け贄なしで召喚可能な下級モンスターとしては最高の2200打点を誇り、OCGと違ってデメリットも持たない「地雷蜘蛛」
- グレート・モスの段階ではギリギリ突破できない守備力2600を誇る下級最強の壁役「ビッグ・シールド・ガードナー」
- 「敵フィールド上の攻1500以上のモンスターを全て破壊」という凶悪な除去効果を持ちながら無制限・低コストの「ウイルスカード」
といったお互い負けず劣らずのパワーカード達が乱れ飛び、おまけにコンストラクションで攻守2000までの好きな種族・召喚魔族の下級モンスターが量産し放題という魔境であったため、「進化の繭」でさえ単体で好き放題に暴れることはできなかった。
召喚魔族の弱点を突かれるとステータスとは無関係に戦闘破壊されてしまうDM2以降のルールにおいて、ほぼトップメタ扱いだった「地雷蜘蛛」共々森魔族だったせいで、まとめて炎魔族のモンスターで対策可能だったという点も逆風。
とはいえ除去やコントロール奪取を使われるとどうしようもないという点は他のカードもそう変わらず、
- 「地雷蜘蛛」と合わせて森フィールドで強化可能
- 弱点を突くか何らかの強化を併用しない限り(コンストラクションモンスター含め)「地雷蜘蛛」以外の下級モンスターでは突破できない守備力2000という数値。森フィールドで強化されていれば「闇魔界の覇王」(2600打点)でも突破不可能
- 「進化の繭」の時点なら「ウイルスカード」での除去をすり抜けられる
- 「ビッグ・シールド・ガードナー」対策に採用されやすかった風魔族のモンスターに対しては弱点を突ける
等、環境上有利な点も少なからずあったため、欠点を差し引いてもかなり強力な部類のカードだったことは間違いない。
4ではモンスターのレベルが攻守のステータスを基準に再設定されたため、「進化の繭」の召喚に生け贄が1体必要になった。
そのため3ほどの無法なパワーカードではなくなったものの、守備力2000という値は生け贄1体で召喚可能なラインでの最高値であるためこれでもそこそこ強力。
GBAソフト7・8では3と同様の性能で登場。さらに手札の昆虫族を特殊召喚する「代打バッター」もあるため、複数体並べることも夢ではない。
この2作では何故か「進化の繭」のコストが他の同ステータスのモンスターに比べて若干低く設定されているため使いやすい。
……と言いたいところだが、8に関しては根本的にデッキキャパシティとデュエリストレベルが上がりにくすぎるせいで、本編クリア前の段階でデッキに投入するのはかなり厳しい。
フォルスバウンドキングダム
「さまようモンスター」…つまり言うなれば「野生のモンスター」として「ラーバモス」が登場。インセクト女王・紅葉の女王と共に遭遇したチームに襲いかかってくるが、倒せば仲間になってくれる。
そのままでは原作通り心もとないステータスである(一応、一定のレベルに達すれば通常攻撃に毒の追加効果が付く)ものの、ゲーム中で買うことが出来るアイテム「しんかのまゆ」を使うことで一気に完全態まで進化させることが出来る。但し進化した後は戻せないので、どうしても幼虫のままでいさせたいというプレイヤーは注意(まずいないだろうが)。進化後は「毒りん粉」という、名前通り敵全員を毒状態にする技が使えるようになる。
海馬編のステージ13のブルタスの関西に出現するのだが、攻略本にはラーバモス達の出現率場所が記載されていない。