概要
かつて旧日本海軍が擁していた陽炎型駆逐艦の部隊。
ほぼ『艦隊これくしょん』用語として用いられているので、リンク先は各キャラクター(艦娘)となっている。
初風、天津風、時津風、そして奇跡の駆逐艦にして陽炎型唯一の生き残りである雪風を擁する。
ちなみに当初は雪風と時津風で第一小隊、初風と天津風で第二小隊を組んでいた。
開戦当初は第二艦隊第二水雷戦隊に所属し、開戦時にはフィリピン・レガスピー攻略戦、蘭印攻略戦、ニューギニア攻略戦、スラバヤ沖海戦に参加した。
ミッドウェー海戦での敗北後に再建された第三艦隊では、空母護衛の第十戦隊に配属。
第二次ソロモン海戦では囮となった龍驤の護衛に天津風と時津風が、一航戦の翔鶴と瑞鶴を護衛するために初風と雪風が残り、それぞれとんぼ釣りを行った。
第三次ソロモン海戦以降、雪風と初風・天津風はほとんど別行動を取った。
しかしダンピールの悲劇において白雪、朝潮、荒潮らと共に時津風も犠牲になって轟沈。
ブーゲンビル島沖海戦で初風は妙高と激突して轟沈。
そして天津風も船団護衛中に敵潜水艦の雷撃を受け、轟沈はしなかったものの修理しなければ動けない状況になった(その後1945年に仮修理が完了、船団の護衛艦の一員として日本本土への帰還を目指すが、敵機の攻撃で大破、最後は海賊に襲われて、艦を破棄している)。
ただ一隻残された雪風は、1944年春第十七駆逐隊へと流れ着く。
『雪風が第十六駆逐隊の僚艦の運を吸い取って食い殺している』という噂が流れているとされているが・・・、完全な事実無根(初風なんかはむしろ雪風と共にいた頃の方が幸運だった)。
と言うより、「雪風が第十六駆逐隊の僚艦の運を吸い取って食い殺している…という噂が流れている」と言う話自体が2000年以降に唐突に現れた捏造である。
本来は雪風の編入によって第十七駆逐隊(浦風・磯風・浜風・谷風)が駆逐艦隊の定数である四隻を超える五隻編制になってしまうため、あまり歓迎されなかったという話だが、この記事の様に、五隻編制に関する記述を丸々削り、「運を吸い取って」とか「殺している」とか「噂が流れている」とか、元の出典にはない尾ヒレを付け足して、雪風が嫌われていた証言に仕立て上げる輩が後を絶たないだけである。
上述の通り、第十六駆逐隊は第三次ソロモン海戦以降、バラバラに行動する事が多かった。
第十六駆逐隊が解隊になるまでの間、雪風と第十七駆逐隊の浜風、谷風は、それぞれの原隊から選抜され、同じ部隊で一緒に戦っている。
昭和18年6月末から7月にニュージョージア諸島への輸送任務を行った南東方面艦隊外南洋部隊のことで、雪風、浜風、谷風が護衛中の給油艦鳴戸から撮影した三隻の写真が現存している。
これは雪風が第十七駆逐隊に編入されるより一年も前の話である。
第十七駆逐隊の兵士が「雪風は僚艦の運を吸い取る死神だけど、前に一緒に行動してたあいだ無事だったのは原隊が別だったからだ!」とか「短い間なら全部吸われずに助かる!」と考えていたと言いたいのだろうか?
戦史を脚色するのは表現の自由の範疇だが、命がけで戦争した兵士を馬鹿にするにも程がある。
戦後は・・・
天津風と雪風が、海上自衛隊の護衛艦の名前として継承された(ともに退役)。
まず初の国産護衛艦『はるかぜ型』の2番艦としてDD-102「ゆきかぜ」(雪風)が1956年(昭和31年)に就役し、1965年(昭和40年)に日本初のミサイル護衛艦のDDG-163「あまつかぜ」(天津風)が就役した。
艦隊これくしょんにおいて
サービス開始当初は雪風のみ実装。その後、初風が第四駆逐隊の舞風と共に突発的に投入される。
そのせいで『雪風死神ネタ』で初風を絡める二次創作もそれなりにあった(この死神ネタは2000年以降に何処かで創作された悪意あるデマである事は判明している。その為この話題を出そうものなら失笑では済まないレベルの顰蹙を買う事を覚悟する必要がある)
だが天津風と時津風は長い間、実装されなかった。
サービス開始から1周年目の索敵機イベントで天津風が目玉駆逐艦の一隻として登場。
これで3隻が揃った事となる。
そして8月のMI/AL作戦で遂に時津風が(E-4報酬として)実装。ようやく第十六駆逐隊が揃う事となった。
なおこの4名は艦これ指折りのレア艦もしくはイベント報酬艦であるため、編成には艦隊の実力と運が要求される。この中で現在入手が最も楽なのが雪風(建造/通常海域のボスドロップで入手可)の時点でコンプリート難易度は推して知るべし(もっとも雪風とて四名の中で相対的に低いだけで、傍から見れば決して簡単ではない。そして陽炎型は大半が雪風並かそれ以上の難易度である)。
具体的には
初風:通称ツチノコ。通常海域ではボス到達およびA以上の勝利が極めて難しいエリアのボスドロップのみ。最も「艦これ2期」以降での海域リニューアルに伴い周回難易度の低下、ボス艦隊も容易に撃破可能な程に艦隊も強化され、更に「旧5-4に代わる戦果稼ぎの海域」として周回する提督も現れ、実装初期の様な高い難易度といった印象は薄れている。
天津風:イベント海域終了後、通常海域でのドロップは「3-5.北方AL海域」のボスマス一か所しかなく、その確率も大変低い(司令部Lv90以上でパターン3編成(最終形態)のみのドロップ)。ただし2期現在高性能な改二艦が多数実装され、特に姉である陽炎改二・不知火改二・黒潮改二は3-5周回に向いている性能を有しており周回難易度は初期よりも緩和されている。2021年3月1日から私服姿の【お出掛けmode】実装に伴う期間限定ドロップが2022年10月現在も継続しており場所も「2-3.東部オリョール海」ボスマスと周回も用意で運が良ければ連続ドロップも見込める等所持数の制限もない。一部の海域やイベント海域で「高速+ルート」の発見でボスマス迄短縮可能な海域も登場しいる事もあり天津風改で持参する「新型高温高圧缶」の需要も高まっている。一部の提督からは「このまま恒常入手にしてもいいのでは?」との意見も出ている。
時津風:イベント海域終了後暫くはその後のイベント海域限定ドロップのみで、通常海域実装後も現状「6-4.中部北海域ピーコック島沖」のボスドロップのみと、2021年11月現在では第十六駆逐隊の中で最も入手難易度は高い。こちらも長門改二・陸奥改二実装に合わせ、この両艦と秋津洲改が編成にいる場合でも左スタートとなり更に対地装備類の充実と水上戦闘機の実装もあって初期よりも難易度は大きく緩和されている。
漫画『いつか静かな海で』では、神通主役回の前編の9話にて3隻で登場しゲームに先駆けて時津風の存在を匂わせ、翌10話では晴れて全員揃って描かれた。
4人揃って第十八駆逐隊の面々と共に「鬼の二水戦」である神通にシゴかれている模様。
そのせいか雪風も神通の前では気を緩めないのだが……。
もう1つの『第十六駆逐隊』
艦これ実装済みの陽炎型で編成されていた『第十六駆逐隊』はもう1つ存在した。
それは太平洋戦争開戦以前、まだ天津風、時津風が竣工を終えていない時期の事である。この時所属していたのが黒潮、初風、雪風の3隻である。この3隻は帝国海軍最後の観艦式である紀元二千六百年特別観艦式に『第十六駆逐隊』として参加した。
黒潮が所属していたのは、第十五駆逐隊の僚艦となる親潮、早潮、夏潮の完成が遅れていたため練成を兼ねる為でもあった。
因みに雪風が竣工してから1週間後に黒潮が竣工し、初風が竣工するまでの間はこの2隻で第十六駆逐隊を編成していた。つまり艦これが稼動開始した時点で黒潮も雪風も1人ぼっちの駆逐隊ではなかったとも言える。その後史実に沿うように初風が実装され、天津風・時津風を加えて太平洋戦争開戦時の編成が完了し、それを受けて黒潮は第十五駆逐隊の僚艦を待つ形となった。
運営側からも二次創作でも取り上げられる事が殆ど無い組み合わせで、4コマ漫画第58話の時津風登場回での部屋決めで『駆逐隊繋がりで・・・』と黒潮の名前が上がる程度である(なのに解説がない為史実を知らないと話が繋がらない)。ただし時津風の竣工をもって黒潮は第十五駆逐隊へ転出となった為、黒潮と時津風が一緒に第十六駆逐隊に所属していたことはない(天津風と黒潮は組んだ経験はある)。
4コマ第142話及び単行本10巻での解説で改めてこの当たりの経緯の説明がなされたが、黒潮が第十六駆逐隊に在籍していたのは第十五駆逐隊の僚艦の完成が遅れていた為の一時的な処置で在籍期間も10ヶ月にも満たない短い期間であったにも係わらず、第十五駆逐隊よりも第十六駆逐隊との付き合いが長いような扱いは史実を知れば知るほど首を傾げたくなる。
黒潮改二実装と同時に編成/出撃時の台詞は変更され「十五駆、黒潮、行くで~」と明確に所属駆逐隊を明言するようになった為、戦前の所属は兎も角「艦隊これくしょん」のゲーム中では黒潮は第十五駆逐隊が正しく、四コマの解釈は破綻(※)をきたした
※「破綻」について
黒潮に改二が実装された際、彼女が「十五駆」所属を名乗るようになったのは周知の事実であるが、それをもって「破綻」と断言するのは完全にお門違いである。
冬月を除き、近年実装の日本海軍出身艦娘は改装段階で史実準拠の所属部隊名の名乗りに変更されており、何も黒潮に限った話ではない。(例:朝霜(31駆)→朝霜改二(21駆)、天霧(20駆)→天霧改・天霧改二・天霧改二丁(11駆)、薄雲(9駆)→薄雲改(18駆)、白雲(12駆)→白雲改(9駆)、夏雲(41駆)→夏雲改(9駆))
黒潮が15駆で開戦を迎える前に16駆に配属されて錬成に励んでいたのは紛れもない史実であり、公式4コマ作者もこの史実を踏まえて作品を公開しているのであり、なにを指して「破綻した」と論じているのが理解に苦しむ。
ましてや、その15駆にしても、編入艦陽炎本人はセリフでも18駆にしか言及しないし、ゲーム中の15駆関連任務にも黒潮改二任務以外全く関係しないが、同じゲーム中の巻波に15駆の一員として認識されそのセリフもある。あまり軽率に「破綻した」等の表現を用いるのは控えたほうが良いのではないか。
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