「壊れちゃいなよ、こんな幻想郷。」
ゆくゆくは私が要石を差し込んで、
正しく支配してあげる。
だから……
……醜く慈悲の下に、この天下から往ね。」
概要
紅霧異変が長期化した世界の比那名居天子。紅魔塔ストーリーでは『異界の天子』表記となっている。
紅霧異変が長期化する世界群において最も頻繁に起こる『展開』の中で現れるらしい存在で、天界を侵してきた紅い霧を消し、紅い霧をここまで蔓延させた"黒幕"を倒すために地上に降りてきた。紅霧異変の長期化と影響範囲の拡大によって地上に降りてきた時期は本来よりも早くなったらしい。
その際に緋想の剣を持ち出すことができなかったようで、代わりに最強の宝貝の一つである「霧露乾坤網(むろけんこんもう)」なる腕輪状の道具を持ち出していて、それを武器としている。
霧露乾坤網を使えば、霊道を通して(ちょっとだけなら)異界を渡ることができるらしい。
ロストワードにいる天子の中では、現状唯一の「東方緋想天」ベースである「〜よ。」「〜だわ。」といった女口調となっている。
汎異記号は「A6」。
【霧露乾坤網】
とある天人から(無断で)借りた宝貝(パオペイ)。本来の所有者はかなり高名で人気が高いと、天子は歌好きの天人と剣好きの天人から聞いていた様子。
水行の気を総合的かつ強力に操作できるのだが、宝貝自体が使用者を選ぶような性質であるため、天子の実力と関係性に応じた性能に抑えられている。一応、霧露乾坤網は「碌に使われずに宝の持ち腐れになるより未熟者に使われた方がマシ」と判断している。
意志はあるのだが、腕輪状の形態では言葉を発することができないらしい。
プレイアブル化
実装形態 | フェス限定 |
---|---|
式 | 攻撃式 |
気質 | レッドスプライト |
拡散 | 紅気蒐集 |
集中 | 空中渦潮 |
スペカ1 | 湧符『大地のリクェファクション』 |
スペカ2 | 増粘『ダイラタンシー砲』 |
ラスワ | 『緋想 霧露乾坤網の極光浄天』 |
テーマ曲
紅霧異変が長期化する世界の天子のテーマ曲は、モリモリあつし(非可逆リズム)の「有頂事変」。原曲は「有頂天変 ~ Wonderful Heaven」。
台詞の元ネタ
紅魔塔360階のストーリーでの紫との会話は「東方緋想天」での紫VS天子での台詞がオマージュされているが、原作とは立場が逆転していたり、対比をとっているようにも見えるシーンがある。
例えば、
- 紫を「土くさい妖怪」呼び→天子「ふふふ、地面を這い蹲っている土くさい妖怪が愉しい事言ってくれるじゃないの。」
- 「貧しくても恨む無きは難し。こんなちゃちな霧で、天界にも手が届くと思ったのかしら?」→天子「貧しくても恨む無きは難し。地上に居るからって僻まない事ね!」、紫「富みて奢る無きは易し 鼻に付くわ、その天人特有の上から目線」
- 「壊れちゃいなよ、こんな幻想郷。」→紫「こんな神社壊れちゃいなよ。」
(原作の『天子が建てた新しい神社』とA6世界の『紫たちが創った新生の地(幻想郷)』という対比?)
- 「……醜く慈悲の下に、この天下から往ね。」→紫「美しく残酷にこの大地から住ね!」
など。
余談
気質は『レッドスプライト』。中間圏で発生する超高層雷放電の一種のこと。
立ち絵の絵柄はZUN氏のものではなく、緋想天及び非想天則で立ち絵を担当したalphes氏のものに寄せられていて、スカートの色は恐らく緋想天の2Pカラー(通称:赤天子)が元ネタになっている。
(このような絵柄の寄せ方は、後に東方星蓮船初回販売特典のテレホンカードに描かれた学生服の早苗のオマージュとして、秘封ロストワードに登場する最終区の学生服早苗にも使われている。)
この配色は恐らく幻想郷を覆い尽くす紅い霧と本来あるべき空の色を表していて、さらに髪の毛の先端が紫がかった色なのも、緋想天の立ち絵の再現と紅と青のグラデーションを両立させていると思われる。
また原作における天子は「緋想天」において「異変解決ごっこがしたい」とも発言していて、原作が解決される黒幕側だったのに対し、この天子は解決する英雄側のような立場で行動しているようにも見える。
余談だが、東方緋想天の異変は「緋色の雲」が異変の要となっている。
ちなみに霧露乾坤網とは、「封神演義」に登場する竜吉公主が使用した武器のこと。純水で編まれた網で、広げるとクモの巣のような形になる。
五行思想における水剋火(すいこくか)の相性に則り、どんな火でも消し止めることが出来る。さらに網の中では夕立のような雨を降らせることも可能。
小ネタ
BGM
テーマ曲となった「有頂事変」は2011年に公開されたモリモリあつしによる「有頂天変 ~ Wonderful Heaven」のアレンジ楽曲。
後に2016年に頒布された「非可逆リズムこれくしょん vol.1 -東方Project編-」の9曲目として収録された。また、同アルバムには[紅]フランドールのテーマ曲「Unfound」などが収録されている。
本人がニコニコ動画でこの楽曲を投稿していたが、現在は非公開となっている。
「有頂」は有頂天の略で、「事変」は事件よりも規模の大きい非常事態や騒乱のこと。主に天災や騒乱、外国との紛争など、その地域や国全体が大騒ぎになるような出来事をいう。また同じような意味を持つ言葉に「有事」がある。
暇つぶしのために天変地異の異変を起こし、紫に怒りを露わにされた、原作における天子のことを表していると思われる。
スキル
- スキル1「ホワイトアウト」・・・
- スキル2「過冷却水流」・・・
- スキル3「スルースゲート」・・・
ショット・スペルカード
拡散ショット「紅気蒐集」は東方非想天則のスキルカード「因果の剣」、集中ショット「空中渦潮」は東方憑依華での必殺技「要石独楽」のアレンジ。テキストによると前者は緋想の剣を持っていなかったため、後者は要石をそんなにたくさん持ち出せなかったため、技の形が本来とは異なるとされている。
- 「緋想の剣を豪快に投げる射撃技で剣はブーメランの如く手元に帰り剣を使う技を出すと瞬時に戻る 普通に戻りをキャッチすると隙になる為、戻りの動きに注意」
(東方非想天則「因果の剣」カードコメントより)
スペルカードは湧符『大地のリクェファクション』が東方憑依華の地符「一撃震乾坤」、増粘『ダイラタンシー砲』がバレットフィリア達の闇市場の要石「拡散乾坤鳴動砲」のアレンジ。アレンジ元のスペルカードにはいずれも「乾坤」という単語が入っていたが、液状化現象に因んでいるのか液状化に関連した単語となっている。
一撃震乾坤は地面から岩が突き出る演出から、液状化現象を起こすような演出に変化している。
※15:48から。
「リクェファクション(liquefaction)」は英語で液状化を意味する単語。「液状化現象」をストレートに表現していると思われる。
憑依華初出のスペルカードだからなのか、テキストでは大ナマズとの関連性を示唆するような一文がある。
拡散乾坤鳴動砲はアレンジ元と比べると、10way方向の要石弾幕が9way方向の透明な水滴弾幕、赤い弾幕が赤い水滴弾幕に変わっている。テキストによると「非ニュートン流体」を撃ち出しているらしい。
※6:15から。
「ダイラタンシー(せん断増粘性)」は、ゆっくり力を加えると液状になるが、素早くたたくと固体のように固くなるという現象のこと。この現象を発見したイギリスの物理学者オズボーン・レイノルズの名前から「レイノルズ現象」とも呼ばれることがある。
身近な例ならば、片栗粉と水を混ぜたものが液状になったり固体のように硬くなる現象が挙げられ、このようなダイラタンシー現象を起こす物体はダイラタンシー流体(ダイラタント流体)と呼ばれる。
符名になった「増粘」は文字通り「粘度を増す」という意味であり、ダイラタンシー現象が別名「せん断増粘性」とも言われることから来ていると思われる。
元々のスペルカードである要石「拡散乾坤鳴動砲」は、「乾坤」が天地を示していることから、「天地が大きな音を立てて動く(鳴動)」「天地鳴動=世の中全体が大きな音を立てて揺れ動く」を意味していると思われる。
また、発動前の口上で「土と水の気質が合わされば剛柔併せ持つ最強の武器となる」と発言しているが、これは天子の能力と合わせて考えると、ダイラタンシー現象が「液状化現象」の原因と考えられていることに由来していると考えられる。
ラストワード『緋想 霧露乾坤網の極光浄天』は東方緋想天のラストスペルとして初登場した「全人類の緋想天」のアレンジ(弾幕はダブルスポイラーの方の再現)。
CV
ボイス1は白砂沙帆氏、ボイス2は峯田茉優氏、ボイス3は門脇舞以氏が担当している。
その為、ファンからは『よその姉妹の姉をペロペロしているのではないか』とあらぬ疑いをかけられる事に…。