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概要

Fate/stay night』のヒロイン、セイバーの愛称。

常に腹を空かせている騎士王と言うイメージから、「腹ペコ王」と呼ばれるのに時間はかからなかった。

魔術師として未熟な衛宮士郎の魔力供給を食事によって補うというのが大義名分。

なおギャグ作品でよく見られる「士郎、お腹が空きました」の台詞だが、『stay night』本編では一度も言っていない

『stay night』本編では「食事抜きを提案したらタイガー道場に送られかける」と言うギャグイベントがあり、その影響からか普段のセイバーとのギャップネタとして二次創作では大食いキャラとして扱われることが多かった。

その後、公式でも続編『Fate/hollow ataraxia』やその後の作品により、完全な腹ペコ高燃費キャラが定着してしまう。『フェイト/タイガーころしあむ』に至ってはもはや二言目には「ごはん」の有様。マスターから十分な魔力を提供されていた『Fate/Zero』ではそのような描写……というより食事シーン自体が皆無なことから、やはり士郎の魔力供給が不足していた様子。マスターの魔力供給不足が影響した例としては、他にライダーの例がある。

また、生前を振り返っての「雑でした」と言う台詞や、5世紀ブリテンの雑な料理も黙々と食べていたと言うガウェインの証言を鑑みるに、彼女の食への情熱は生前の反動と言う面もある。セイバーにとって、趣向を凝らした士郎の料理は一種のカルチャーショックであり、それを切っ掛けにして食事を好むようになったと思われる。

※)なお、「イギリスの料理が雑」と言うと、世界一マズいと言われるイギリス料理のネタかと思う人もいるだろうが、現在言われる「まずいイギリス料理」が成立したのは産業革命以後であり、時代が合わない。お国柄と言うよりは「騎士団の男が作る戦場料理」と言うジャンルの問題だと思われる。

※注意事項

なお勘違いされがちだが、セイバーはあくまで「食いしん坊」であって「意地汚く」はないし、極度の大食いでもない。

衛宮家の女性陣で食べる順に並べると、大河>桜>セイバーと原作内で語られているように衛宮家の中では寧ろ下位に位置する。

Fateルートではお洒落なカフェでの食事に「こういう場所には慣れてない。シロウの作った料理のほうが好ましい」と言い、hollowでは「セイバーひとりだけなら高級料理を食べさせる事ができる」と言う士郎に「私ひとりですか……」としょんぼりしている。彼女のとっての好ましい食事とは、素朴かつ丁寧で、みんなで囲む食卓なのである。

hollowを参考にしたと思われる公式スピンオフ『衛宮さんちの今日のごはん』では、高級食材でもてなすと言うギルガメッシュの誘いを断る際、「私はシロウの……あの家で取る食事が良いのです」と、はっきりと言葉にしている。

また、同じくhollowにおいては、士郎がハンバーガーを「セイバーがもっとも嫌う“雑”な料理のトップ3」と称しており、この事からも、セイバーがなんでも食べる大食漢ではない、と言う事が分かる。

よって、良く二次創作で見られる「マナーを無視して食事を貪る」「種類を問わずなんでも食べる」「並外れた異常な量を喰らう」「他人の料理まで食べてしまう」と言った描写は、全て、本編の彼女とはかけ離れた行為である。

……のだが、どうにもインパクトが有る特徴であるためか、この件に関する誤解は非常に根深い。ライトなファンが勘違いする事は仕方ないにしても、何故かFate全作品をちゃんとプレイしたような熱狂的なTYPE-MOONファンの間にすら、広く誤解が根付いている

二次創作であまりに多くのキャラ崩壊事例が見られたため、それが公式設定のように誤解されてしまった、と言うのが理由だろう。

挙げ句の果てに『Fate/EXTELLA』においては、彼女の嫌うジャンクフードである焼きそばパンがアルトリアの出現条件に絡むと言う、公式すらこの勘違いを行ったような事例まで発生してしまった(EXTELLAの食べ物系アイテムが焼きそばパンと桜弁当ぐらいしかないと言う事情もあるには有るのだが)。

Pixivにおいても、この「腹ペコ王」タグで検索すると、セイバーの嫌うこのような行為を描いているイラストが多く存在する。

無論、二次創作である以上、ギャグとしてキャラ設定を崩すのは全く問題ない。ただ、分かっていて崩すのと勘違いしてしまうのではやはり意味合いが違ってくるし、こうした行為でセイバーが他人に迷惑をかけるような描写は、一種の性格改変系キャラヘイトと取られる事すらある。扱いには十分気をつけよう。

その他

一方で反転しているときには、逆にジャンクフードを多量に摂取したがる。hollowでアホ毛を握られてオルタ化した時は、士郎が作った料理を「まずい」と切って捨て、ハンバーガーを作らせ貪り食った(「衛宮さんちの今日のごはん」でも、番外編の夢オチで同様のエピソードが登場している)。

また、サンタになったときには「それにしてもターキーが食べたい。」とプロフィールに書き込み、絆Lv3でターキーについてアツく語り出す。なお、このときの食の好みが雑なのは以前召喚された折に狂化で捻じ曲げられた反動である。

ただ、この場合にした所で、あくまで雑な料理を好むだけであって、なんでも食べる訳ではない。上述した通り、士郎の料理をまずいと切って捨てるなど、食の好みは確実に存在する。

平行世界の性反転した方も大食い描写があるが、こちらほど露骨ではない。

原作者の奈須きのこ氏によると『stay night』時点では腹ペコキャラの意図は全くなかった事を明かしており、『Fate/Zero material』に収録されている対談の中には、『/Zero』の執筆者・虚淵氏の「あれだけ食いしん坊キャラにしたくせに!」という言葉に対して、「俺のせいじゃねーよ!(笑)」と返している一幕が存在する。

実際、前述の通りセイバーが腹ペコキャラとして定着したのは二次創作(当然公式とは無関係)→『hollow ataraxia』(日常シナリオはサブライター執筆)→『タイガーころしあむ』(奈須氏は不参加)と言う流れなので、奈須氏の責任はないのだった。

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