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センシティブな作品

草芹

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そうせり

映画『すずめの戸締まり』のキャラクター、宗像草太×芹澤朋也の腐向けカップリング。

概要

映画『すずめの戸締まり』に登場する、宗像草太×芹澤朋也の腐向けカップリング。

二人は同じ都内の大学の教育学部に通っており、ともに教師を志している。草太は学校教員であった父親への憧れから(『新海誠本2』6ページ)、芹澤は三人の弟妹に勉強等を教え慣れていたことから(『芹澤のものがたり』5ページ・15ページ)という動機の違いこそあれど、彼らは同じ夢に向かって努力を重ねているようだ。

※現在これにおける棲み分けタグは作成されていないが、腐向けタグの併用など、最大限の配慮が望ましい。

本記事には、映画『すずめの戸締まり』・小説『すずめの戸締まり』・小説『芹澤のものがたり』等に関するネタバレが多く含まれます。避けたい方はブラウザバックをお願い致します。

以下本編内容ネタバレ↓

関係性

映画『すずめの戸締まり』・小説『すずめの戸締まり』における二人

映画序盤

草太に呪いをかけたまま逃亡したダイジンを追って、東京へ赴いた草太と鈴芽。草太の暮らすアパートに戻り後ろ戸の場所を探していた二人のもとに、突如来訪者がやってくる。

「おーい草太、いるのか? いるんだろ? 窓が開いてるぞ

開けるぞ? 開けるからな?

これが草太(椅子の状態)と芹澤の出会いであり、本編における芹澤の初登場であった。「窓が開いている」という変化のみで草太の在宅を悟ったこと、また遠慮なくドアを何度も叩き大声で名を呼ぶ点から、二人が気の置けない間柄であることが窺える。ちなみに草太は芹澤を「知り合いなんだ」「悪い奴じゃないよ」と鈴芽に紹介した。

その後部屋に押し入った芹澤は鈴芽に驚き、咄嗟に草太の従姉妹だと名乗った彼女にも怪訝な目線を向ける。しかし鈴芽が「草太さんからお名前聞いています」と告げたことで、その冷えた態度は途端に和らいだ。(小説『すずめの戸締まり』185ページ)

あいつが来ねえのが気になって、俺まで試験の調子が狂っちまった

あいつは自分の扱いが雑なんだよ……腹が立つ……何があったにせよ連絡くらい出来ねえのかよ

昨日が教員採用試験の二次試験日だったというのに、会場に現れなかった草太に文句を言いに来た芹澤。「ムカつくから二度と顔見せるなって言っといて」と鈴芽に伝言するなどかなり苛立っているような描写が多く見られたが、わざわざ直接問い詰めに来るあたりそれ以上の心配と困惑が垣間見える。

また、この場面での「(草太に)二万円貸してるな」「そっちは早く返せって言っといて」など彼が度々金銭の話を持ち出すことについて、彼の声優を務める神木隆之介は「彼なりの照れ隠しであり、草太よりも器用そうに見えるけれども本当は不器用な人間なのではないか」という見立てを行っている。(『すずめの戸締まり』公式ビジュアルガイド58ページ)

なお、草太は子供椅子のふりをしたまま黙ってこれらの言葉を聞いていた。

また、後述の『芹澤のものがたり』では、芹澤の心中台詞にて彼視点における草太の部屋についての詳細な描写がなされている。(『芹澤のものがたり』13ページ)

「この小さな部屋で、俺たちはあいつの作った料理を食べ、二人で酒を飲んで、ささやかな夢を何度も語り合った

一緒に教育実習の準備をし、実習明けはこの部屋で乾杯し、教育採用試験に向けた勉強も重ねてきた

また、地震で荒れた彼の部屋を一人で片付けている際(時系列としては草太が要石となった直後)、草太の家業に関係する書籍を見つけた芹澤は「この片付けは俺ではなく彼女(鈴芽)の役目なのではないか」と自分が草太の事情に立ち入ることに対する不安とも取れるような複雑な感情を抱いていた。これを彼は「正体不明の寂しさ」と表現している。

中盤

あんたどこ行くんだよ? 草太のところか?

要石となり常世に閉じ込められてしまった草太を連れ戻そうと必死になっていた鈴芽のもとに、芹澤が愛車の赤いスポーツカーとともに現れる。

車から身を乗り出して鈴芽の腕を掴んだ彼は、「乗れよ」「草太のとこに行くんだろ? どこにせよ俺が連れてってやる」と半ば強引に持ちかけた。突然のことに驚き声を荒らげた鈴芽に、彼は「友達の心配しちゃ悪いのかよ」と真剣な声色で返している。

その直後、実際に鈴芽から提示された行き先は東京からかなり遠い場所であったが(曰く片道で七時間以上)芹澤は「こりゃあ今日中には帰れねえな」と漏らしただけで黙ってそれに従った。

これらの描写から、ただの友情にしては大きすぎるとも言える草太への献身が読み取れる。鈴芽も彼の行動を前にして、「大事な試験に友達が現れなかったら私も心配するけれど、余程の親友でなければ――」と困惑を浮かべていた。(小説『すずめの戸締まり』252ページ)

なお、車中で環に「(かなり道のりが遠いことについて)本当に良かったのか」と問われた彼は、「いや別に。草太探してるのは、娘さんだけじゃないんで」と返している。また「今のうちに九州に戻ってくれたら鈴芽も諦めるかも」という提案に対しても、「いや俺、草太に貸してる二万円を回収しないと」と一蹴した。

終盤

ダイジンが要石に戻ったことにより、無事現世に帰ってきた草太と鈴芽。扉の前で二人を待って眠り込む芹澤を見た彼は、「驚きと迷惑と親しみの混じり合った複雑な表情」を浮かべていたらしい。(小説『すずめの戸締まり』361ページ)なお目的地より20キロほど手前の場所で芹澤の愛車が壊れてしまったことにより、彼はわざわざロードサービスを呼んで車を引き上げてもらった上で目的地へ向かったようだ。(ちなみに環と鈴芽は芹澤を置き去りにして自転車で先へ行ってしまった)

またこの場面で、芹澤が草太を探す理由として挙げていた「貸した二万円」は、実際は逆に草太が芹澤に貸したものであったことが発覚する。(同ページ)映画では「あいつ忘れてるみたいだから黙っててくれません?」と環に口止めする様子も見受けられた。

つまり芹澤は金銭という明確な理由もなく、ただ友達の心配という名目だけで草太を探していたということになる。彼曰く「闇の深い」二人を乗せたまま八時間ほど運転し続け、気まずい空気を彼なりの気遣いで和ませようと努力し、最後には愛車を失い二人にも置き去りにされてしまうという哀れな結果に終わったにもかかわらず、彼には後悔しているような様子は見られなかった。それどころか彼は達成感に満ちたような表情をしており、芹澤にとって草太の存在が余程大きなものであることを窺い知ることができる。

また『芹澤のものがたり』においては、「一方的に俺に心配ばかりかけ続ける草太を、今度こそ怒鳴りつけてやらなくては気が済まない」などの描写が見受けられる。

『つかのまの水面~芹澤のものがたり~』における二人

概要

『芹澤のものがたり』とは、2023年1月28日より入場者プレゼントとして配布された、その名の通り芹澤についての物語である。

この小説が世に出されるまで芹澤についてはあまり情報が明かされておらず、二次創作者はそれぞれの妄想で二人の関係を補う他なかった。しかし映画公開後、芹澤が(一部で)大変な人気となったことから、新海誠監督自らこの掌編を執筆することが決定した。(25ページ「あとがき」より)

ちなみに表紙のカットは、草太の走馬灯に映し出された(=草太目線の)芹澤の姿である。

出会い

二人の付き合いは、偶然芹澤の隣の席に座っていた草太に彼が声をかけたことから始まる。このとき彼は第一印象として、心中で草太を「ものすごい色男」だと称していた。

芹澤の何気ない冗談を真に受けた草太に彼は「生真面目なヤツ」という印象を抱きながらも、差し出された手を握り自己紹介をする。(芹澤曰く「大きな手」)

実は彼らが出会いを果たした当時、某新型感染症パンデミックによる影響で対面授業が行われていなかったため、芹澤にとって草太は「ようやく出来た大学での初めての友達」であった。(オンライン授業明け初日の出来事であるため、恐らく草太にとってもそうなのだろうと推測される)

関係性

出会った初日から、二人は順調に仲を深めていく。週に一度のゼミで交わす草太との気の置けない会話は、芹澤にとって「密かで健全なる楽しみ」であった。(9ページ)

しかし三週間ほど草太がゼミに顔を見せなくなり、やっと現れた草太に「今までどうしてたんだよ、お前?」と彼は声を荒らげた。それに草太は家業の手伝いだと返し、「なんだお前、心配してくれてたのか?」と彼に問う。「そんなんじゃねえよ」と不機嫌そうに返した芹澤は、草太の家業について踏み込めないことにもどかしさを感じていた。

その後、三週間分の講義を纏めたPDFファイルの礼に、何でも好きなものを奢ってやるという草太。

「つっても、しょせん学食じゃねえか」

金がないのはお互い様だろ。今度俺の部屋に来いよ、もうちょっとマシなもの作って喰わせてやるから

これに対し芹澤は、「まじか!」と素直に嬉しそうな様子を見せた。また「同じような経済状況の草太がいてくれることは救い」であると心中で語っており、盗み見た草太の横顔を「色褪せた生地もこいつが身に着けていると肖像画のように美しく見える」などと内心で絶賛している。

(これは余談だが、草太の口調が映画本編で鈴芽といたときよりも少々砕けたものであるように感じられる)

そして、話題はバイトについてのそれへ移り変わった。

「お前、分かってて言ってるのか?」

お前は自分の扱いが雑すぎる

歌舞伎町の先輩から聞いた「割の良いバイト」について語った芹澤に対し、「それは詐欺だ」と一蹴する草太。映画本編で芹澤が彼に向けて放った言葉が、以前にそのまま草太から発されていたことが発覚する。

その後、草太は食べかけていたカツ丼を半分以上残したまま芹澤に背を向けて去ってしまった。本編で芹澤が自分のことを顧みず連絡もしない草太に苛立っていたように、草太も芹澤にそのような思いを抱いていたのだろうと思われる。

草太と気まずく別れた翌日から二週間ほど、芹澤はバイトや講義を欠席して自堕落な生活を送っていた。他でもない草太の言葉に、彼なりに思うところがあったのだろうと思われる。そうして暇つぶしにインストールしたマッチングアプリで芹澤はとある女性と出会い、食事の約束を取り付けて会話を交わした。

しばらく話し込んだのち、酒に酔った流れで彼は女性に寂しさへの対処法を問い、彼女は「寂しいときなんてない」と笑って返す。それを聞いた芹澤は、ふと自分自身のことを振り返った。

草太はあれからずっと連絡をくれていない。送ったLINEにも既読はつかない」

「もしかして俺がおかしいのか。俺だけが無駄に寂しがっているのか

感傷に浸ったまま眠り込んでしまった芹澤が目覚めると、既にその場に女性はおらず、芹澤は二日酔いのせいで優れない体調のまま店を出る。(ちなみにその女性にはブロックされてしまっていた)しかし翌日になっても体調は戻らず、芹澤は自分の症状が例の某感染症によるものだと気付いた。下がらない高熱に精神的にも弱っていた芹澤のもとに、突如ノックの音が鳴り響く。

「芹澤、いるんだろ? 俺だ、宗像だ」

「なんだ芹澤、風邪か? (中略)お前ちょっとやつれたな。寝てろ。美味いもの作ってやる

現れた草太は有無を言わせず部屋に上がり込み、芹澤のために換気を始めた。「感染る」と言って出て行かせようとした芹澤にも、彼の額に手を被せ「お前のはただの夏風邪だよ」と「馬鹿みたいに優しい顔」で笑って黙らせる。なにも言えなくなった芹澤をベッドに追いやった草太はわざわざスーパーへ買い物に行き、芹澤宅の台所で料理を作り始めた。

「草太、お前どうして……」

お前に連絡したけど、返事がなかったからな

自分は芹澤からの連絡を返さない割に、逆に芹澤の方に連絡がつかなければわざわざ自宅にまで向かうのは何故なのだろうか。ちなみにこのときの草太の格好は「大きなリュック」に「泥のついたワークブーツ」であり、恐らく戸締まりを済ませた帰りに自宅に帰るよりも先に芹澤の家に直行したのだと思われる。またLINEに返信が出来なかった理由として、彼は「家業の手伝いがあって」と芹澤に詳細を語ることはしていない。「心配かけて悪かったな」と謝る草太に、芹澤は「別に……」と声を詰まらせた。

それからしばらくして、草太の作ったつみれ揃って汗だくになりながら食した二人。食べ終わったのち草太は「シャワー借りるぞ」と言って浴室に向かい、「これちょっと貸してくれ」と勝手に芹澤の赤いTシャツを着用し、「俺のシャツも一緒に洗濯させてもらっていいか?」と(芹澤は「やめてくれ」と言ったにもかかわらず)洗濯機まで勝手に回した。その頃には芹澤の熱も随分と下がっており、彼は心中で草太に対し「こいつは魔法でも使えるのか」と驚いている。

(ちなみに一部のファンの間では、芹澤が映画本編で着用していたワインレッドのTシャツが、このとき草太が借りたものなのではないかという考察がなされていた。明言されていないので現時点ではあくまで非公式である)

別れ際、芹澤のTシャツを着たまま「明日また見に来る」と告げて部屋を去ろうとする草太に、芹澤は思い切って問いかけた。

お前の抱えているものって、何なんだ?

その家業ってやつのこと、話せないのか?

草太は少しだけ眩しそうな顔で彼を見たのち、泣き出しそうにも聞こえる切ない声でそれに答える。

……いつか聞いてくれるか?

この文章はあくまでも芹澤目線であり、草太の感情についての詳細な描写は明かされていない。しかし二人がこの場面において、互いに一歩踏み出したことは確かである。

また本編付近の時系列で、芹澤はこの時のことについて「つかのまに揺れる水面のように、あいつの瞳に寂しさがよぎったことを俺は今もくっきりと覚えている」と振り返った。そしてこの小説のサブタイトルは「つかのまの水面」であり、この表現に近い言葉が用いられているのはここでの草太に関する描写のみである。

更にこの草太の発言を受けて、「待ってろよ、草太」などの強気な、そして心から草太を思いやっているであろう台詞が見受けられた。

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