概要
石川賢の代表作である『虚無戦記』の中核とも言える作品で江戸時代初期の日本を舞台に忍びの一族『九龍』の長の息子である夢幻弥勒と仲間たちが謎の存在「竜」を飛ばして宇宙制覇を目論む真田幸村率いる真田十勇士と繰り広げる忍術を駆使したSFバトルアクション漫画・・・・・であったが中盤で霧隠才蔵が謀反を起こした辺りからインフレが進行し、後に宇宙をも揺るがす規模のストーリーとなる。
ストーリー
1615年。
『大坂夏の陣』で豊臣家を滅ぼした徳川家康だったが、その真の目的は真田幸村の首であった。幸村の首は服部半蔵率いる忍び部隊に回収、奪還しようとする真田十勇士の妨害で犠牲を払いながらもなんとか江戸城に帰還する。
江戸城での首実検で首が幸村であることを確認し、安心する家康。
ところがそんな束の間、死んだと思われた幸村の目が見開き、首だけになっても生きていたことが判明。更にその場に駆け付けた十勇士の登場で追い込まれてしまう。
ところ変わって九龍一族の長・夢幻大権は、息子である夢幻弥勒にこれから降りかかる使命と敵を教えるため、意識体を江戸城に飛ばす。
何故、家康は幸村にこだわったのか?
幸村が首だけで生きていたのは一体?
大権の語る「竜」とは?
その謎は日本列島の正体と遥か彼方で繰り広げられている宇宙戦争に関わる壮大なものだった・・・・・
登場人物
※CVはOVA基準
九龍一族
弥勒の父である無幻大権を長とする忍びの一族でかつて竜の艦馬頭竜でラ=グース神の軍団と戦った竜の民の子孫。それぞれが人間とは思えぬ特殊な力を有している。日本の地に眠る馬頭竜を守ることを使命としている。因みに家康はこの一族の下忍。
夢幻弥勒CV:矢尾一樹
本作の主人公で年齢は18歳。ボロ城「九竜城」の城主である大権の一人息子にして、忍者集団「九竜忍群」の一員。石川キャラにしては珍しく狂気を感じられない割と平和な性格の正統派主人公だが、その反面熱くなりやすい性格のため、家臣を困らせている。
空間を斬って飛ばす剣法九龍覇剣虚空斬破の使い手で斬り取った空間に飛び込み、別の空間から出るという技も使う。
カラクリを発明することが好きという意外な一面を持ち、初登場の際にはジェット推進機のようなカラクリを披露している(失敗に終わったが)。
その正体はかつて菩薩宇宙でラ=グースと激闘を繰り広げていた弥勒王の生まれ変わり。力が目覚めた後半は最早忍術と言うレベルではない戦闘能力を披露する。
夜叉姫CV:川村万梨阿
弥勒の許嫁で九龍忍法羅王冷波の使い手。さわったものを全て氷漬けにしてしまう(但し、その分体力も消耗する様で多用出来ない)。弥勒の前では男勝りな態度を取ることが多いが倒れているときは、傍で介抱するなど女性らしい一面がある。
原作ではドグラ触れたことで巣窟にされそうになったり、OVAでは敵に同化された末に自身も氷漬けにして砕け散ってしまったりと忙しいヒロイン(但し、両作揃って弥勒と共に主要メンバーの中で最後まで生き残った)。
石川作品にはよくあることだが初期と終盤のイラストが大分変化している。
泣きのクズ蟲CV:安西正弘
鼻水をたらした一見愚鈍に見える大男でその影は阿空間になっており、人を隠すことができる。
走るのは苦手と言っているがそこは忍びと言うこともあり、常人と比べたら明らかに速い。
個人の能力として体の固さを自由に変えることができ、粘土のように柔らかくして動きを封じる他に岩のように硬くして攻撃を行うこともできる。
真田十勇士の三好清海入道と一騎打ちで戦ったが、勝ち目がないとわかり、相打ちを狙って清海もろとも深い谷底に飛び込んで最期を迎える(OVAでは道連れだったが原作では清海入道が生還している)。
黒死丸CV:小林通孝
火と話ができる男で炎を道具なしで起こせる他、自在に操って敵を燃やし尽くすことができる。原作終盤では、里に襲来した得体の知れない敵から女子供を守ろうと動いていたが返り討ちに遭って死亡する。OVAでは、敵に操られた夜叉姫を庇って戦死する。
輪法半月斎 CV:塩沢兼人
九龍忍法閃風斬糸の使い手。髪の毛を自由に伸縮させて操り敵を惨殺する。また髪の毛を毒針として飛ばすこともできる他に瞬間移動能力まで持っている。
復活の治療を受けていた真田幸村と遭遇し惨殺されるが、死に際に閃風斬糸によって傷を負わせ一矢を報いた。
闇目源三郎
九龍忍法混獣乱舞の使い手。虫や動物を自在に操ることのできる男。ドグラを封じる方法を求め、無幻美勒と共に霧隠六獣衆と戦った。長髪と長髭の風貌で髪で目が隠れており、一部のファンから次元大介と間違われそうになる。
才蔵との決戦では佐助と共にその行く末を見届けていたが終盤はどうなったかは不明。
OVAでは出番がもらえなかった。
十方飛丸
特殊な連発銃・火竜砲を武器とする男。更に体中に無数の銃や投擲砲を仕込んでおり、『歩く火薬庫』を自称する。ドグラを封じる方法を求め、美勒と共に霧隠六獣衆と戦ったが戦死する。
こちらもOVAでの出番はなし。
自雷矢 CV:堀 秀行
九龍忍法羅王雷の使い手。電撃を発して敵を倒す。美勒とともにドグラを封じる方法を求め旅立つが、霧隠六獣衆ジンガイに敗れて死亡した。
OVAでは前述の二人と違って登場したがこれと言った活躍もなく死亡する。
夢幻大権CV:永井一郎
一族の長にして美勒の父親。50年間寝たきりであったが、真田幸村が魔人として復活したことを機に起きあがり、言葉を発し始めた。元一族の下忍だった家康からも『大殿様』と敬意を称されている。美勒に九龍一族の秘密を明かし、真田幸村と戦うことを命じた。
原作では終盤までの間に活発に動いていたがOVAでは寝込んだまま暗殺されてしまう。
真田幸村一味
魔人として復活した幸村と十勇士で構成された組織で「竜」の復活を目論む。
史実通り、大坂の陣で討ち死にしたと思われていたが首だけの状態でも生きており、魔人として復活。九龍一族が守る馬頭竜を解き放ち、これを操って大宇宙の覇権を握ることを目論む。真田妖法を使う魔人集団真田十勇士を配下としている。美勒同様御神器を使って宇宙戦艦九頭竜を操縦する資格を有する。
実は、かつて菩薩宇宙で美勒王と共に戦った阿邪羅王の生まれ変わり。
原作では、才蔵の反乱に対し、十勇士のメンバーを弥勒たちの元に送り共闘。力に目覚めて家康に命を狙われるようになった弥勒に「共に馬頭龍を飛ばし、宇宙制覇をしよう」と持ちかけるなど彼に目を付けていたが終盤は、残りの十勇士と共に現れた敵との死闘で死亡する(しかし、その意識は消えることはなく、また輪廻転生を繰り返して再び復活すると宣言している)。
OVAでは、終始ラスボスとして君臨。最終決戦の際は、才蔵を吸収して弥勒の攻撃を完全に無力化して戦いを優位に進めるが龍の干渉により敗北する。
真田十勇士の一人で真田幸村の片腕的存在。空中に巨大な竜や怪物を出現させる術を持つ。幸村に代わって御神器を手中にしようとして片腕を消滅させたことがある。中盤は、反旗を翻した才蔵を止めるべく、幸村の指示で弥勒たちを援護する。
OVAでは、自分よりも実力が劣ると考えていた弥勒が夢幻器(原作の御神器)に選ばれたことに対抗心を燃やして幸村に懇願して九龍城攻略に参加。弥勒との対決の末に敗北する。
十勇士の一人。体が霧でできており、あらゆる攻撃を受け付けない。生物兵器ドグラの研究を真田幸村から命じられるが、ドグラの力に魅せられ、これと同化することで宇宙の帝王になろうとニューリーダー病を発症してしまった。自身の体から作り出された魔人忍者群霧隠六獣衆を配下に持つ。
OVAでは連載中の制作と言うこともあってドグラは登場せず、幸村を裏切ることもなかったが別の意味で呆気ない最期を迎える。
三好清海入道CV:佐藤正治
十勇士の一人で真田妖法魔神体の使い手。不死身の肉体を持ち、どんな傷もすぐに回復してしまう巨漢の魔人。自分の体の大きさを自由自在に変えることもできる。伊佐入道は彼の許嫁で原作では、そのことを弥勒の前で語っている(OVAではクズ蟲と共に戦死している)。
筧十蔵CV:小林通孝
十勇士の一人で真田妖法重力地獄の使い手。重力を自由に操ることができる。伊佐入道と二人で九龍城に乗り込んだが、無幻美勒と戦って深傷を負い、反重力で伊佐入道を飛ばして逃がした後、死亡した。口から鋭い牙が露出し、鼻の脇からカマのような触手が生えた怪異な容貌の持ち主。
三好伊佐入道CV:吉田理保子
真田十勇士の一人で入道頭の巨漢女性。真田妖法魔陣腐糸の使い手。口から出す液に触れた者を自分に同化することができる。弥勒との初戦闘の際に片目と右腕・足を失い、後に才蔵の手によってサイボーグのような容姿に変化する。
三好清海の許嫁。
海野六郎CV.二又一成
真田妖法羅魔邪絵巻の使い手。描いた絵を実体化させる能力を持つ。真田幸村の体を復活させるため、宿場に現れて人々の血を吸い尽くそうとした。山伏の格好をしている。
根津甚八CV.小杉十郎太
真田幸村の命に逆らってドグラを復活させた霧隠才蔵を倒すため、宿敵の美勒を才蔵のところまで案内した。実際に戦っていないため、どのような力を持っているのかは不明。OVAでは自分の細胞を爆薬に作り変え、爆弾として飛ばす能力を持っている。
霧隠六獣衆
才蔵の配下にいる6人。OVAでは未登場。
サミダレ
カワハギ
バラキ
ジンガイ
コゴレイ
セムイ
その他
史実では天下を取った狸爺だが本作では元九龍一族の下忍で早くから一族を離れ、戦国大名として立ち、天下を取った。真田幸村を危険視して葬り去ろうとしたが失敗。幸村が馬頭竜を飛ばすことを阻止するよう九龍谷に懇願にやってきた。さほど強力ではないが、未来予知の力を有している。
服部忍群首領。家康の指示で動いていたが敵も主人公勢も次元を超えた能力のため蚊帳の外。
OVAではマジで苦労人な上、最後は呆気ない(原作ではラストバトル中行方が分からなくなった)。
空海坊爆烈(爆烈王)
同時期に連載された『邪鬼王爆烈』の主人公で最期に少しだけ登場。
弥勒同様に体から竜が出現することから彼の子孫だと考えられる。
当然だがOVAには登場しない。
OVA版
連載1年後に全6巻で発売された作品。
連載中のこともあり、序盤を除いてストーリーは改変されており、ラ=グースの名前こそが出るが結末や描写が異なっており、原作中盤までの『九龍vs真田十勇士』の構図で進めている。(因みに原作と変更は少ないのは3話まで)。
主題歌の『STOP THAT!』は中々名曲なのだが現在収録されている曲集が絶版のため、フルで聞ける機会がほとんどない。
OP『STOP THAT!』
関連タグ
邪鬼王爆烈:同年に連載された作品。