概要
本項では、作中における貴族について説明する。
ゼムリア大陸に存在する国家は様々な体制を敷き、カルバード共和国とクロスベル自治州を初めとした民主主義国家、七耀教会の総本山アルテリア法国の宗教国家と様々。その中でエレボニア帝国とレミフェリア公国、かつてのノーザンブリア大公国は貴族制を敷いており、リベール王国もかつては貴族制を敷いていた。
現実の通りに多種多様だが、下記では各国の貴族を参照する。
エレボニア帝国
皇帝家の元で四大名門と呼ばれる大貴族を筆頭に大小様々な貴族が存在する。権力や財力も様々で、固有の領地を持つ貴族達が独自に統治を行い、地元の領民達の信頼の差もまばら。が、貴族には極端な選民思想に傾倒した者も多く存在し、平民や爵位の低い貴族相手に横暴にふるまうこともある。
そういった事情もあり、地方の貴族権力が強い地域に赴いた際には領邦軍(貴族の私兵)に横柄な態度を取られる事も少なくない。
一方で貴族の影響の薄い首都などの都会部においては、貴族が貴族であるというだけで一方的に平民から嫌われる描写もあり、閃開始時においては平民と貴族間での対立が日に日に強まっていることが語られている。
また、四大名門の内アルバレア公爵とカイエン公爵は、鉄血宰相ギリアス・オズボーンを筆頭とした革新派による政策に対して自らの権益を奪うものとして革新派を敵視し、対抗するために領地に増税を課している。更にそれに対する領民の抗議が発生した際には領地の治安維持を務める領邦軍によって弾圧まで行っている。
閃の軌跡1及び2にあたる七耀暦1204年には帝都のオズボーン狙撃を正規軍の仕業と偽装して帝都を占領、貴族支配を盤石とするための内戦を起こした。
しかし、内戦自体もアルバレア公爵とカイエン公爵の暴走に近く、同じ四大名門でもハイアームズ侯爵家は内戦の被害を受けた市民達の保護に努め、ログナー侯爵家も当主とその弟で意見が分かれており、当主息女の意志を受けて内戦から手を引き、最終的にはカイエン家、アルバレア家共に当主自身の暴挙が原因で自滅し、領民はもちろんのこと貴族連合に参加した諸侯らの支持さえも失って当主の座を追われる始末となる。
以後、革新派の主導で急激な軍備拡張が行われる一方、税制の統一による既得権益の損失以外にも地域伝統の喪失、更には領地運営の破綻によって貴族が領地を手放さざるを得なくなり、領民達が路頭に迷うという事態も多く発生した。内戦後も影響力を失わなかった諸侯と四大名門の跡取り達を中心に再編された貴族派は帝国の行きすぎた軍拡やその煽りを受けた領民達の被害を防ぐべく奔走することとなる。
七耀暦1207年の時点ではオズボーンが死亡したことで革新派が力を失い、貴族派が影響力を広めかけるが、四大名門がそれらを諫めて各貴族達は、今後の変わっていく帝国で貴族がどうあるべきかを模索する局面に立つ。
尚、カイエン公爵家は250年前に勃発した獅子戦役を引き起こした偽帝オルトロスの母を輩出しており、現在はアルノール皇族家の分家に相当するが、この事実は獅子戦役終結時に隠蔽されている。
カルバード共和国
約100年前までは王政であったカルバードだが、クロスベルの領有権を巡った帝国との戦争や貧困に起因する財政破綻により疲弊したため、当時女学生であった革命家シーナ・ディルクが民主化革命を起こす。これによって王政は崩壊し、カルバードは民主国家へと移行する。
これにより表向き貴族制度は失われるが、オラシオンなど一部地方都市においてはその後も旧貴族という扱いで権力を維持し続ける形となる。
更にその一部旧貴族の間では自分達の栄光が失われたことを認めず、反移民運動などを通して過去の栄光を取り戻す活動を始めることとなる。
その影響が強いオラシオンにおいては、オペラなど伝統的な文化を持ち上げ新文化である映画を卑下するなど偏見的な態度が未だに色濃く残る街となってしまっている。
一方で当然のことながら旧貴族の全てがそうというわけではなく、そのような偏見を持たず移民差別など止めて欲しいと願うなど、妄執に囚われた旧貴族を嫌うまともな旧貴族も作中においては登場している。
リベール王国
王政を敷いているが、貴族制は既に撤廃されている。貴族制の廃止当時は貴族の叛乱が王都で頻発したが、鎮圧された後の貴族の末裔達は元々の王国の気風などもあってか共和国や帝国のような横暴な貴族はおらず(作中初期においてはデュナン公爵など一部横暴な者も居たが作品を通して改心し、立派になっている)、各州を統治する市長として公務に勤しむ。ある意味で、最も健全な状態と言える。
尚、貴族制の廃止はカルバードが共和制に移行した時期に近い模様で、当時の平民派と貴族派の謀略と王家の政治模様をモデルにした『白き花のマドリガル』はリベール国内では有名な芝居となっている。
ノーザンブリア自治州
大公国時代のノーザンブリアには貴族制が敷かれていたが、《塩の杭》の異変で大公が真っ先に国外へ脱出した後に自治州へ移行。明確ではないが当時の貴族は極貧状態のノーザンブリアである程度裕福な生活ができる。
が、大公の親戚筋は大公の暴挙が原因で住民達からは疎んじられている。
王族・貴族出身或いはその縁者の主要キャラ
オリビエ・レンハイム、クローゼ・リンツ、シェリド・アスヴァール――――それぞれ帝国、リベール、エルザイム公国の王家出身。クローゼとオリビエは一般庶民の生活経験が長く、感覚も一般庶民そのもの。シェリド公太子は時折一般市民に紛れ込んで、彼らの暮らしや文化を学ぼうとしている。
エリィ・マクダエル――――母方の遠縁が帝国の貴族。
リィン・シュバルツァー、ラウラ・S・アルゼイド、ユーシス・アルバレア、クルト・ヴァンダール、ミュゼ・イーグレット――――帝国の貴族。ただし、リィンは諸事情で男爵家に引き取られた平民出身の養子。ラウラとクルトは子爵家、ユーシスは四大名門アルバレア公爵家の妾腹の子、ミュゼは伯爵家の孫だが直系としては四大名門のカイエン公爵家。
エレイン・オークレール――――王政時代のカルバードでは侯爵家であった大企業の令嬢。本人はある事情で100年前の栄光にしがみつく父との間にわだかまりを抱えている。
関連タグ
???――帝国において貴族達が起こした暴挙。その実態は最重要国家機密に指定されるほどで、皇帝家と帝国政府、更にはその謀略のもう一方の被害者であるリベール王家ですら沈黙せざるを得なかった。
???――共和国の一部の旧貴族達が加担した大惨事。より正確には旧貴族達がスポンサーをしていたマフィアが実行犯となって引き起こした悲劇。結果的にはこの事件をきっかけに妄執に囚われていた一部の旧貴族達は一気に地に落ちることになる。