概要
総監督の『井内秀治』が初めて手掛けたノベライズ。『魔神英雄伝ワタル』シリーズの登場人物のひとり『虎王』とは何者なのか?を題材にした物語。1990年に角川スニーカー文庫で刊行された。全3巻。
この作品に於いて上層世界である『天部界』が初登場し、事実上『救世主ワタル』が役目を果たし終えた事を仄めかされた。
一言で言い表すなら『人間の娘を愛した天上界の皇子の二つの精神が、1000年前後の神部界と現生界を巻き込み、天帝の怒りととばっちりも受けた物語』である(誇張でも過言もない)。
完全アニメ化を求める声も多いが、真面目一辺倒なドラマを得意とする総監督がヒミコやシバラク等のギャグ担当要員を徹底排除した為に、物語自体がドシリアス且つ残酷描写も多々有って未だ映像化に至っていない(93年『アニメディア』小冊子で、矢島たすく画による漫画にてヒミコが居た場合を想定したパロディをやらかした)。登場人物の複雑過ぎる相関系も原因のひとつで、ワタルや虎王も番外編で頭の回転をフルに使うが、音をあげている。1992年10月から1993年3月まで『文化放送』にて『魔神英雄伝ワタル3 虎王物語』のひとつとして『ラジメーション』化され、原作を簡略化したが、それでもシリアスである。
一応は完結したが、新たな謎が生まれ、続編『魔界王子 虎王伝』を執筆、途中繋ぎ談である『魔界王子虎王伝 虎ブル ドリーム』も『角川 新ファンタジー王国Ⅰ』で掲載され(ヒミコ、シバラク、金龍は回想で登場する)、前日譚の『魔神英雄伝ワタル-終わりなき時の物語-』がOVA化される事となる。
あらすじ
龍神中学1年生になった『ワタル』は1週間経って転校してきた『御形渉』に目を疑う。金髪碧眼の容姿と声は『創界山』で会った虎王にそっくりだった。その夜、本物の『虎王』との再会を境に、奇妙な出来事が次々と遭遇、ワタルの同級生『文月』もその出来事に巻き込まれる。
『魔界王子 鬼夜叉』の暗躍と、秘宝『運命の鏡』の欠片が奪われ『天部界』竜王の怒りを買い、一週間の期限内に奪回しなければ『虎王』の命が『聖龍妃』の手で奪われる危機に陥る。
二人は『伽藍洞』の仙人『幻喝仙』の知恵を借り、天馬『御雷丸』の力で千年前の現生界へと飛び、その時代にて『運命の鏡』の騒動がある悲劇が発端であることを知り、果ては『魔界』へと辿り着く。
登場人物
秋子
秋田先生
生江臣福正
りん(CV:伊藤美紀)
一文字
※CVはラジメーションより
用語
天部界【てんぶかい】
『神部界』よりも上に存在する竜王『大龍光帝』が治める神々の世界。神部に住む者よりも実力や神力が格上な為に守護の番人でさえ『聖龍妃』(部署は違えど『星界山』の『星天王』、『海燐王』親子や、『水界山』の『水明王』も含め)以下の神々には高圧的態度を取る。だが、彼らであっても更に遥か上の上層界の者にとっては下下下の管理職神に過ぎない(ビルに例えるなら『神部界』は1階、『天部』は2階。『魔界』は地下。もう一つの例は天上編宇宙皇子の天界に近い)。今回の騒動が過去の皇子が起こした不祥事だったのにもかかわらず下界の神に勅命を下している。
運命の鏡【ときのかがみ】
『聖龍殿』の宝物庫に収められた禁断の秘宝だが、本来は『天部界』の所有物。鏡と言う名前ではあるが、水晶球。鏡に姿を写した者は真実の姿を見せると言われるも、実際は写した者を二人に分ける力があり、分身を生み出した後は鏡は赤と青の2つの小さな水晶球になる。ひとつに戻した場合は、お互いの記憶は共有するが、乱用すれば別れた人格それぞれが一人歩きを始める危険な代物。
だが、鏡は既に分割された状態で、『翔龍子』の誕生日に偶然を装い鏡を見せたのが発端となる。
『ラジメーション』では1週間の期限内にひとつに戻さないと永遠に時間の狭間を彷徨うと云われる。
鬼聖剣【きしょうけん】
『大龍光帝』の愛刀とされる鍔に龍があしらわれた剣。元々は『虎王』が期限内に鏡を取り戻せない場合、四天童子から処刑役を宣告された『聖龍妃』に譲渡された代物だったが、紆余曲折から以降虎王の武器となる。
武蔵国榎津郷【むさしのくにえなつごう】
劇中中盤の舞台となる国。永延2年(西暦988年)の時代の『龍神町』にあたる。当時この国の周辺では長引く日照とそれに伴う飢饉が深刻な社会問題となっており、道端で行き倒れる者・親に間引きされたり母が栄養不足で乳をあげられずに夕べに生まれて明日に死する赤子そして親に捨てられる子供が珍しくないほどである。しかし赤銅家のような一部の貴族達はそんな中でも重い年貢や賦役を強いており甘い汁を吸っているものがいる。
鬼火党【おにびとう】
大新山に住み着く、飢饉のせいで親に捨てられた者または重い年貢や賦役のせいで親を奪われた者などといった身寄りのない童達で構成された野盗集団。
主題歌
OP
ED
関連タグ
魔界王子-虎王伝-…続編