概要
『2』より半年経った1991年10月13日から1992年4月5日まで文化放送より放映されたメディアミックス作品『魔神英雄伝ワタル』シリーズのひとつ。全24話。
正式には『ラジメーション 魔神英雄伝ワタル3』。アニメを原作とするラジオ放送形態の番組で、前半がラジオゲストトーク&ハガキコーナー、後半が本編の形式をとる。初回と最終回を含めれば全26回放送である。
総監督は監修に周り、『無印』の脚本を幾つか執筆した川崎ヒロユキがメインを担当。月刊アニメディアでも特集は組まれており、牙皇子のイメージキャラを公募(受賞作品は容姿が異なるも、後のスタジオライブ関連作品に繁栄される)。破壊四天王の面々はかわいいキャラを徹底的に崩し、凶悪にさせるのに有名な漫画家Dr.モロー、神北ハヤト両名に依頼して竹内浩志、西村聡の手でブラッシュアップ。ダイジェストに纏めた小冊子も付録として世に送られ、基本設定が視られない、雑音で聞き取れないファンにもビジュアルの情報が得られる様になる(この情報には魔獣豹牙、(魔神・邪豹牙)や、魔除けの羽根、狼の剣、崩壊の斧、風色の龍、光の龍玉、戦光龍王剣、煌牙獣双剣なども描かれた)。
此まで謎だった龍神の生態についても触れられており、総監督は「自分が書いたらキャラも結末も別の終わり方になっていた」と言う。簡単に纏めれば「友達と言う意味を深く考えなかったワタルが、その意味を知ってる敵に友を奪われ、ツケを払わされる」話。「強い思いで待ち続ける人間は恐ろしい」(月刊OUT92年7月号 安倍川キネコ談)で大体言い現せる。『無印』で着けられなかった『魔界』との繋がりを絶ち切る話でもある。今回もまた、こっ恥ずかしくクサい台詞をバンバンと放出しているのも特徴である。
また、冒頭部は此まで少ししか描かれなかったワタルの『現生界』での生活も導入されている。
マーチャンダイジング的な要素が無くなった分、設定画だけを起こせば複雑な模様や装飾を描いても大人数のスタッフを必要とせず、脚本と数人の声優だけで展開可能なメリットが有るものの、本放送時間が日曜日の深夜枠で1話10分前後で挿話が終了。リスナーのイメージとナレーションの捕捉説明で展開せねば成らず、電波状況で雑音リスナーが生まれるリスクがデメリットになる。
登場人物
マズルカ(CV：天野由梨)
緞武宝(CV：戸谷公次)
ユミ(CV：半谷きみえ)
担任(CV：田中和実)
現生界の警官(CV：島田敏)
ハデハデス村の村長(CV：稲葉実)
シャベクリフォン(CV：玄田哲章)
クラタテータ(CV：安西正弘)
アララン(CV：高山みなみ)
風色の龍(CV：曽我部和恭)
イースタン・ブル(CV：安西正弘)
サザン・クロウ(CV：水原リン)
ウエスタン・ウルフ(CV：緒方賢一)
ゴクアクダー(CV：飯塚昭三)
ナレーション(CV：小杉十郎太)
関連用語
浮遊界
創界山より遠くはなれた聖域だが、彼方よりも遥かに影響力が強く魔界に一番近い土地。(ラジオ媒体設定の関係上)全五層で構成される。
眼下には『魔界の海』に囲まれており、其処から発する邪気によって下層へ下る毎に濃度が高まり人心が荒れる。この為に略安全に暮らせられるのは頂上の『第一浮遊界』のみ。
光の龍玉【ひかりのりゅうぎょく】
劇中の根幹と言うべきキーアイテム。大きさはボーリングの玉程度だが、非常に重い。触れると表面の紋様が消え、龍神の姿が浮かび上がるので宝石の類いでは無いのは一目同然。
一万年に一度、神部界よりも遠方にある聖域『龍神界』から守護する土地へ降臨する『龍神の卵』と形容される代物。これが紛失した事が事件の発端である。
魔除けの羽根
『第一浮遊界』ゼロゼロ山の聖獣『シャベクリフォン』の翼から抜け落ちた羽。直径20cm。孔雀や鳳凰の羽にも酷似する。『魔界の海』から沸き立つ邪気は濃度によって人心が荒廃し、邪悪な魔人に近い性格に成ってしまう。この理由から下層の土地へ赴くのに邪気を祓うのに必須のお守りアイテム。身体の何処に着けても破邪の効果は変わらない。風に翳すと下層世界へと飛んでいく移動アイテムでもある。
狼の剣【おおかみのつるぎ】
ウエスタン・ウルフがマズルカへ接触した際にワタル暗殺用として授けた多刃型の刀。手に持つ者にしか見えない不可視の物質で出来ており、不意打ちに最適な代物である。
崩壊の斧
禍々しい魔物の頭部が刻まれた白銀の戦斧。聖域の支柱を崩壊させる威力を発揮する。
だが、有るものが必須。
スタッフ
総監督：井内秀治
音響監督：藤野貞義
脚本：川崎ヒロユキ、山口亮太
音楽：兼崎順一、川崎真弘
エンジニア：西澤則夫
