概要
演:杉元哲太(実写映画)
『どろろ』の登場人物。
三本杉の地に住む郷士であり、本作に登場する武士の中では珍しく慇懃で紳士的な振る舞いの人物。登場エピソードの副題は『鯖目の巻』となっているが、三本杉の鯖目自身は妻に利用されているだけの生身の人間である。
鯖目の妻の正体は『遠い世界からやってきた』蛾の妖怪マイマイオンバ(百鬼丸の右脚を奪った妖怪)であり、この種族に魅入られた男性は繁殖のために精気を奪われ、人間的な感情を失い死んだ魚のような目つきになってしまう。
マイマイオンバが本性を晒したことで「うわーっ、気持ち悪い! 私に近寄るな!」と正気を取り戻し、百鬼丸がマイマイオンバを倒したことにより廃人のようになってしまった。
その後、頭を丸め出家し罪を償うために村の復興を行う。
実写映画版
原作に登場した尼寺の設定が改変され、捨てられていた子供を引き取ってよそに送る振りをして、娘(芋虫の化け物)たちのエサとして供与していた。しかし、罪なき子供たちを人身御供にし続けることに内心嫌気がさしており、妻への愛情と板挟みになっていた。百鬼丸からマイマイオンバを守ろうとするも、羽交い絞めにされたところを背後から百鬼丸諸共マイマイオンバに日本刀で貫かれ致命傷を負う。最後はマイマイオンバから愛されていなかったことを知ってなお、自らはマイマイオンバを愛していたことを呪詛の如く叫びながら息絶える。
平成アニメ版
本作の鯖目は多少マイマイオンバの毒気に晒され人間性を失っているものの、実の所はシラフであり、率先してマイマイオンバに生贄を捧げていた。
三本杉の里は肥沃な土地故に野武士や盗賊、害虫害獣などに襲われており、村を守る為にマイマイオンバと契約し、それらの外敵を餌として与えていた。しかし生まれてきた子供(芋虫の化け物)はそのくらいでは飽き足らず更に餌を求めていたため、旅人や尼寺の孤児たちまでも人身御供にしていた。しかも村人も完全にグルであった。
百鬼丸やどろろも生贄にしようと目論むが、百鬼丸と蛾の妖怪たち(マイマイオンバの子)が交戦した為に物見やぐらが倒壊して火災が発生。村人たちが争い始める最中、鯖目は目を逸らしてきた尼寺での虐殺がフラッシュバックし、罪悪感と後悔に苛まれて焦燥。最後は動乱に巻き込まれて命を落とすこととなる。(直接の死因は不明)
それはまるで大切なものを守る為に悪魔に魂を売った男の末路を示すが如く…。