鹿児島市電
かごしましでん
2015年現在4路線(第一期線、第二期線、谷山線、唐湊線)計13.1km(営業キロ)を有し、2系統(第一期線および谷山線を通る1系統および第一期線、第二期線および唐湊線を通る2系統)が運行されている。なおほかに2路線(上町線および伊敷線)が存在したが、交通渋滞の元になることおよび不採算のため廃線となった。
また延伸の話も存在する。
軌間は1435mm(標準軌)、電圧は直流600Vである。最近は路面の芝生植栽を進めており、メンテナンスのための「芝刈り電車」なるものまで存在する(老朽化した車両を改造したもの)。また架線のセンターポール化(複線路線の中央にポールをたてその両側に架線を敷設する形式、景観がよくなるほか、この鉄道の場合無理な右折車を減らす効果も存在した)を行った。
現在の主な運行系統は2つ。両系統とも平均5分間隔で運行されている。
郡元もしくは高見馬場での乗り換え時には乗り換え券を運転手から受け取る。ただし、ラピカ利用の場合は乗り換え券は不要(30分以内に乗り換えをすれば自動的に処理される)。
1系統
鹿児島駅前-桜島桟橋通-水族館口-市役所前-朝日通-いづろ通-天文館通-高見馬場-甲東中学校前-新屋敷-武之橋-二中通-荒田八幡-騎射場-鴨池-郡元-郡元(南側)-涙橋-南鹿児島駅前-二軒茶屋-宇宿一丁目-脇田-笹貫-上塩屋-谷山
市電沿線にある著名な観光地としては以下の通り。
- いおワールド鹿児島水族館…水族館口下車
- 鶴丸城跡・鹿児島県歴史資料センター黎明館…市役所前下車
- 西郷隆盛銅像…朝日通下車
- 照国神社…いづろ通下車
- 天文館…天文館通下車
また鹿児島市電の路線はJR線とだいたい並走しているため、いくつかの駅で乗り換えが可能となっている。
- 鹿児島駅前電停⇔鹿児島駅(日豊本線・鹿児島本線)
- 鹿児島中央駅前電停⇔鹿児島中央駅(九州新幹線・鹿児島本線・指宿枕崎線)
- 純心学園前電停⇔郡元駅(指宿枕崎線)
- 南鹿児島駅前電停⇔南鹿児島駅(指宿枕崎線)
- 脇田電停⇔宇宿駅(指宿枕崎線)
その他、鹿児島港桜島フェリーターミナルは桜島桟橋通が、南国交通バスターミナルは鹿児島中央駅前が最寄り。
路面電車の運賃は大人170円、子供80円の均一料金。交通系ICカードのRapiCa及びいわさきICカード(ともにかごしま共通乗車券)が使用可能となっている。
一日乗車券は大人600円、子供300円。市営施設などの割引もあるためお得。
この路面電車で用いられる車両は桜島が間近にあり、降灰のため窓があけられないことがあるため冷房化が早期に進み、昭和61年には既に通常運行車両がすべて冷房化されていた。
また、この路面電車の場合過去は東京都電および大阪市電より供給を受けていたものと新規作成車両が半分であったものの、車両の譲渡が可能な前記路線がほぼ壊滅した結果、新造車および車体更新の車両が主流となり現在に至っている。
この鉄道は大正元年鹿児島電気軌道により現在の谷山線(この路線は実は軽便鉄道であったが)を敷設したことに始まる。その後第一期線および第二期線を敷設運営するようになった。さらに伊敷線や上町線を敷設する。
昭和3年、鹿児島市は鹿児島電気軌道を買収し、この路線は公営の鉄道となる。さらに路線を延伸したり、路線を改良したりしている。
空襲により被害を受け、一部路線が廃止され後に別路線で復活している。
また戦後も路線の改良等は続いた。昭和25年から昭和34年にかけて唐湊線が開業する。通常他都市の場合は市電の縮小、廃止は昭和40年代に始まりやがてピークを迎えるが、鹿児島ではこの時点ではその流れはまだ見られなかった。
しかしながら、昭和50年代後半より自家用車による交通渋滞および採算性の問題が持ち上がり始め、ついに昭和60年、伊敷線および上町線が廃止される。この当時市電事業は赤字であったが、交通局は逆に積極策に打って出た。旧形式車両の淘汰および新車両の導入、センターポール化などである。これがちょうどバブル景気と重なり利用者は増加、市電の運営も健全となった。
現在においても積極的な営業を行っており、平均5分間隔で発車しているとされ、停留所の芝生化などを行っている。
- この路線の停留所は電停と呼ばれ、(JRの)駅とは区別される。
- 市電の車庫は長らく市内の高麗町に所在していたが、老朽化のため2015年5月1日に市内上荒田町の旧日本たばこ産業工場跡地に交通局局舎とともに移転した。これに伴い、今までの交通局前電停は「二中通」に、新交通局局舎(車庫)最寄りの神田(しんでん)電停は「神田(交通局前)」に改称された。(それに伴い、1系統の方向幕および行先表示が従来の「交通局前経由」から「騎射場経由」に改められた。)
- 芝刈り電車であるが、これは旅客運用を外れた500形電車(昭和30年に新製された車両、機器が単純で保守が容易なため現在でも運用される車両が存在している)の車両を改造した散水車としての機能を持たせた駆動車両と芝刈り機能がある付随車からなり、深夜作業を行う。なお駆動車単体でも桜島からの降灰の際に舞い上がる灰を抑える為の散水に用いられる。
- 降灰時の散水作業に関しては通常自動車を用いるが、「花電車に散水タンクを取り付ける」、「芝刈り用車両の駆動車に水タンクを取り付ける」というあまり考え付かないことを行っている。
- 谷山線は開業時武之橋電停から谷山まで専用軌道で、鴨池電停は立派な駅舎のある高架駅であった(鴨池地区にあった動物園を跨ぐため)。しかし、沿道の整備等で路盤を下げ武之橋電停~郡元電停間【後に涙橋電停まで】を併用軌道に変えた。
- かつて谷山線の末端区間(脇田電停~谷山電停間)は鹿児島市外(当時の谷山市)を通っていたため脇田電停を境に運賃が加算された(谷山市の鹿児島市への合併直前時代の市内区間運賃20円、市外区間運賃5円)