概要
アートディンクから発売された鉄道会社経営シミュレーションゲーム。プレイ速度を向上させたNew3DS専用(3DSでも遊べるが、改善の恩恵は受けられない)の「A列車で行こう3D NEO」やパソコン版の「みんなのA列車で行こうPC」もある。「NEO」とPC版は最初からダウンロードコンテンツが含まれている。
システム
社長として鉄道会社を経営し、シナリオごとに異なる目標を期限内に達成するのが目的。設定された条件を期限内にすべてクリアするとそのシナリオはクリアとなる。資金がゼロになったり、クリア条件を期限内に達成できないとゲームオーバー。
クリア条件には売上高や特定部門の取引利益、株式公開といった会社にまつわるものや、マップの人口や産業比率、新幹線開通といった街の発展状況に関するものもある。
難易度は「やさしい」「標準」「いばらの道」の3段階で、後者に近づくほど資金と期限が減少し、攻略が難しい。
交通事業
旅客列車と貨物列車は鉄道会社の基本の業務である。鉄道だけでなくバスの営業やトラックでの貨物輸送も行える。線路や道路は自社で建設しなければならない。ルートやダイヤを細かく設定することもできる。費用はかかるが車種やデザインは自由に決められる。
資源
資源は「資材」「農産」「水産」「木材」「石油」「石炭」の6種類。
資源生産施設から10マス以内に資源置き場があると自動的に資源を買い取る。資源置き場から10マス以内、および上下1階層以内に資源消費施設があると自動的に売却される。生産施設と消費施設が離れている場合は貨物列車やトラックで中継する。隣接都市や海外との資源取引も可能。資源売買が交通事業の規模を上回ることさえある。
資材以外はクリア条件で要求がなければ扱わなくて構わないが、会社の利益を伸ばせる余地がある。だから、手に余ることのない範囲内でうまく売り捌いてしまおう。
資材
資源として最も重要なのは、資材。これは自社他者問わず建物の建設に必須で、資材がなくなると街の発展は完全に停滞してしまう。
資源置き場の名前は「資材置場」。地上だけでなく地下にも設置可能。
資源関連リスト
種類 | 生産施設 | 主な消費施設 |
資材 | 資材工場 | 建設中の建物 |
農産 | 農業組合所 | スーパー・レジャー牧場 |
水産 | 漁港 | スーパー・水族館 |
木材 | 伐採所 | 製材所 |
石油 | 油井 | 製油所 |
石炭 | 炭鉱 | 製鉄所・火力発電所 |
子会社
物件を建設して子会社として経営することができる。これにより得られた利益や損失は自社のものとなり、交通事業よりも多くの利益が得られることも珍しくない。物件に限らずあらゆる建物は地価の変動や環境の変化など周囲に様々な影響を与える。子会社は買収や売却もできる。建物のない場所は土地のみの売買が可能。
産業
産業は8種類に分けられ、都市内で最も発展している産業を100%として産業比率が算出される。比率の高い産業は需要が減り、比率の低い産業は需要が増える。街を発展させるには産業比率が100%の建物を造って他の産業の需要を増やす必要がある。
プラン
資金を消費して新車両の開発・新技術の獲得・人員増強・株式公開・CM放送などの様々なプランを実行できる。プランは決定してから施行されるまでに数か月程度の時間がかかり、なかには必ず成功するとは限らないものもある。
銀行
資金が足りないときは銀行から融資を受けることができる。株式公開すると借りられる限度額が大幅に増える。
証券
株の売買も行える。売買で利益を得るだけでなく、特定の企業の株をたくさん買うと株主優待で様々な特典が得られる。
行政情報
行政が用途地域の指定や助成金などの施策を行うことがある。用途地域の指定がされた地域は特定の建物が建設できなくなってしまう。ただしこの機能はゲーム開始時に無効にしておくこともできる。難易度を上げたい場合は有効、下げたい場合は無効にしておこう。助成金が施行されると、特定の地域に特定の建物を建てた後で助成金が支給される。ときには建設費の30%が戻ってくることもありバカにならない。
経営レポート
損益計算書と貸借対照表を見ることができる。現実世界とだいたい同じ仕組みなので簿記の知識があれば理解しやすい。減価償却費や繰延資産などといった一般にはなじみの薄い要素もある。収益と費用は決算時にリセットされるが、資産や負債はリセットされない。売上高や利益がクリア条件に入っている場合は決算をまたいで0に戻ってしまう恐れがあり注意が必要。
年代
このゲームには年代の概念があり、年が進むにつれて建設できる建物の種類や建築様式・物価などが変化していく。また、過去に現実世界で起きた時事ニュースも社員が次の日に報告する。ニュースの中にはゲームに影響を与える出来事もある。登場人物の服装と髪型も年号(昭和or平成)によって変化する。
コンストラクションモード
シナリオを3つ以上クリアすると、コンストラクションモードではオリジナルのシナリオを作成することができる。街のデザインやクリア条件の設定・会話イベントの作成なども自由にできる。作成したシナリオは画像ファイルとして出力して配布することも可能。ただし難易度「いばらの道」でクリアしなければ配布できない。
シナリオ
チュートリアル
- A列車で行こう:ゲームの基礎を学ぶためのシナリオ。
- 循環する都市:資源の基礎と鉄道以外の交通網を中心に学ぶシナリオ。
- 未来へ続く軌跡:子会社経営を中心に学ぶシナリオ。地名の元ネタはタロット。
本編
- 湖水に映る街:ニュータウンの人口を増やすのが目的。クリア条件が人口と住宅比率と相反する(住宅比率が高すぎると人口が伸びない)というシステム上非常にやっかいなシナリオ。元ネタは千葉県北部。
- 古びた煙突:借金を返済して工業を発展させるのが目的。元ネタは阪神工業地帯。
- たそがれの離島:黒字を維持して人口を増やすのが目的。元ネタは長崎市南部。
- いくつもの河を越えて:株式公開や人口を増やすのが目的。元ネタは広島市。
- 黒いダイヤの復活:資源や子会社で利益を上げるのが目的。元ネタは三笠市・美唄市周辺。
- パークアンドライド:鉄道と路面電車で利益を上げるのが目的。元ネタは富山市。
- 新都心構想:広大な空き地を開発して売却するのが目的。元ネタはさいたま市。固定資産売却益がクリア条件に含まれている珍しいシナリオ。
- 未来への架け橋:鉄道や資源で利益を上げるのが目的。元ネタは瀬戸大橋。橋を造らなくてもクリアは可能。
- トンネルを抜けると:娯楽産業などを発展させて新幹線を開通させるのが目的。元ネタは新潟県魚沼地区。
DLC
- 風光明媚な温泉街:娯楽産業を発展させるのが主な目的。元ネタは伊豆半島。
- 第三の道のり:倒産寸前の鉄道会社を立て直すのが目的。元ネタは羽咋市周辺。
- 登場人物がそろいもそろってぶっ飛んだ言動を見せ、営業部長が超能力を使ったり、秘書が六本木に対しすさまじい毒舌を吐いたり、桜田麻衣が急に歌手デビューしたりする。さらにマップもパックマン型の池やUFO形のものがあったり、地名の元ネタが『幽☆遊☆白書』だったりとネタだらけのシナリオ。しかし使えるコマンドが制限されているなど当作品ではトップクラスの難易度である。
DLC シナリオコンテスト入賞作品
- 鬼ヶ島ニュータウン:突如浮上した無人島を開発するのが目的(開発しなくてもクリアは可能)元ネタは桃太郎。
- 港町の産業構造改革:元ネタは横浜市。工業比率を下げるという珍しいクリア条件がある。
- 水と絶壁の間で:傾斜地だらけの平地が少ない土地を開発するのが目的。
- モォ~んだいのある街:前作のゲームシステムをネタにしたシナリオ。大量のレジャー牧場が新幹線開通を邪魔しており、買収撤去で新幹線の線路を通せるようにしなくてはならない。地名の元ネタは肉の部位。
- 萌ゆる渓谷の向こうに:資源と子会社による利益を上げるのが目的。元ネタは紀伊半島。
- 企業倒産のつめあと:元ネタは宇和島市周辺。クリア判定が行われるのが最短でもゲーム開始から9年後(最長で22年後)という忍耐力が必要なシナリオ。
PC版新規シナリオ
登場人物
登場人物はシナリオによって性格や言動が大きく変わる場合がある。特にシナリオコンテスト入賞作品では一般ユーザーが制作しているため、当初より収録している本編にはないような言動も少なくない。
また全シナリオ共通で設定年代にちなんだ時事ニュースを報告することがあり、一部シナリオではそれを題材にした会話もみられる。
- 秘書 赤羽美紅
どちらかというと天然タイプ。シナリオによって言動が大きく異なるが、概ね甘いものと温泉旅行が好きと描写されることが多い。
『トンネルを抜けると』では他の女性陣と『私をスキーに連れてって』らしき映画について語り合っている場面がある。
- 経理部長 白河清
経理部長だけあってお金には細かい。ショックを受けた時の顔がコメディタッチと評判だが、ゲーム的にはピンチの場面である。『水と絶壁の間で』では自らこの顔を「顔芸」とネタにしている。
一部シナリオでは映画『八甲田山』が気になっていると見られる描写がある。
時事ネタへの反応は新紙幣発行のほかは主にショックを受けたときの顔グラフィックを活かして災害・テロ担当。
- 営業部長 麻布稼頭夫
派手なことが好き。積極的な投資を進めるため白河とはそりが合わないという描写がされることが多い。
DLCやシナリオコンテスト作品ではかなりインパクトのある言動を見せることが多い。『第三の道のり』に至っては宇宙人疑惑まで浮上している。
新しいもの好きということもあって時事ネタへの反応も多い。
- 車掌 森下鉄郎
鉄道だけでなく、バス・トラックの自動車、路面電車の業務もしている。
シナリオ上では基本的に鉄道好きとして描写される場面が多い。
時事ネタへの反応は国鉄民営化など鉄道・交通関係がほとんど。
- 工事責任者 大門匠
建設業務担当。基本的には施設等が建てられない場合にしか姿を見せず、グラフィックも昭和・平成各1枚のみで表情差分はない。
その代わりシナリオ会話では「強面に反して猫やスイーツが好き」など見た目とのギャップを活かした出番が多い。
- 都市計画課長 六本木艶子
行政情報の告知を担当。おおよそ40~50代として描写されることが多く、1960年開始の『古びた煙突』では「大正生まれで離婚歴のある子持ち」という衝撃的な台詞があるほか、他のシナリオでもミニスカートを履いて現れ男性陣を絶句させた描写もある。
一方でロードバイクで爆走する、スキー映画にハマってスキーを始めたら短期間で上達するなどアクティブな一面が描写されることも。
ゲーム上のクリア条件を設定する人でもあり、社長たちに無茶ぶりをして赤羽から苦言を呈されたり役所側の無理な目標設定に苦慮する姿が描写されるシナリオも。
- 銀行員 青山智也
冴えない銀行員。プレイヤーの会社の資金融資を担当。
気の弱い性格として描写されることが多いが、『第三の道のり』では上司に散々な目に遭わされたそうで倍返しを誓う場面がある。
- 証券会社員 桜田麻衣
証券取引を担当。小悪魔タイプで年上相手でも容赦ない毒舌を見せる。
妙に活動的な人々が多い中で自転車に乗れないなど運動が得意ではない描写がされることが多い。
関連項目
A列車で行こう はじまる観光計画:後継作品