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ABS

えーびーえす

ここではブレーキの滑走軽減装置(アンチロックブレーキングシステム)について説明する。
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曖昧さ回避編集

  1. アクリロニトリル (Acrylonitrile)、ブタジエン (Butadiene)、スチレン (Styrene)共重合合成樹脂の総称。⇒ABS樹脂
  2. プログラミング言語で数値の絶対値を得る関数(ABSolute value)
  3. ブレーキ時の車輪滑走を低減する装置(Anti-lock Braking System)
  4. 秋田放送(Akita Broadcasting System Inc.)の英語略称。
  5. 英語で腹筋を意味する単語。「Abdominal muscles」の省略形。

本稿では3.のブレーキ時の車輪滑走低減装置のABSについて記する。

車輪滑走軽減装置のABS編集

急ブレーキ時や低摩擦路(氷った道や濡れた路面など)でのブレーキ時に車輪と路面との摩擦力の限界を超えてしまい滑走することがあり、制動距離が長くなるだけではなく自動車ではコントロールを失って事故の原因に、鉄道では車輪にフラットと呼ばれる傷が出来てしまい振動騒音の発生や車両を傷める原因となるので車輪が滑走するとブレーキを一旦弱めて摩擦力を回復させ、再びブレーキを強くして摩擦力を強くする「ポンピング」と呼ばれる動作を行う。


これを高速で自動的に行うのがABSである。


ABSの歴史は意外と古く、鉄道では1900年代初頭には車軸と連れ回りするはずみ車と開閉器からなる簡易的な機械式WSP(Wheel Slip Protection)が開発され、採用されていた。その後、マグアンプによるアナログ演算方式の電磁式WSPが登場し、マグアンプ回路を使用したものからトランジスタ回路に置き換えた電子式WSPが登場、そして現在ではコンピュータによるデジタル演算で高度な滑走軽減制御を行うようになった。

自動車では1930年代からABSの研究が行われており、電子制御式のものが1970年代高級車から徐々に採用されはじめた。更に1980年代からは高価なオプション装備ではあったものの大衆車向けにも徐々に採用され始め、のちに価格も下がり現在では殆どの車種で標準装備となった。また現在のものは、初期のものと異なりコンピュータや各種センサーの高性能化もあってきめ細やかな滑走低減制御が行われる装置となっている。

バイクでは車体が自動車に比べ小さく軽いため、小型軽量でしかもきめ細かい制御ができるABSが要求された。そのため普及は自動車に比べ遅く、電子制御式のものが実用化されたのが1980年代末で、普及が進んだのは1990年代後半であった。現在は小型軽量かつきめ細かい制御もできるようになり海外での義務化もあって、126cc以上ではABSを装着することを義務化されている。最近では125cc以下の原付二種でもABSを装着するバイクも増えてきている。

モータースポーツでは、レースの種類やレギュレーションによって装備の許可禁止が異なり、ABS装備車でも下手に動作されると意図した操作ができず成績が悪くなる場面もあるためABSを含めた電子装置の介入を解除する機能が備わっていることもあるなど千差万別である。

航空機では着陸速度が100kt(≒185km/h)を超える機体に装備されており、こちらは呼び名が一般的なABSではなく「アンチスキッド」(anti-skid)と呼ばれている。

ちなみに最近のラジコンカーでもミドルエンド以上の機種のプロポにABS機能があるが、実車とシステムが異なりブレーキ時のプロポの操作量に応じてポンピングを行う仕組みになっている。そのため、どれだけレバーを動かすとABSが動作するか、ABS動作時のブレーキを緩める時間と強くかける時間の比率や、ブレーキを緩めるときの緩め具合を走らせる車やコースに応じてプロポ側で調整するようになっている。


補足

  • マグアンプ・・・電磁気を応用した増幅器の一種で、磁気増幅器ともよばれる。見た目は変圧器そのものに見えるが、鉄芯の磁気特性が一般的なものと大きく異なる。堅牢性と電流容量、耐放射線特性に優れているのが特長だが、現在は半導体の進歩により非常に高い信頼性を求められる用途や、非常に厳しい要求の用途でしか使われていない。

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