概要
『初代ゼルダの伝説』及び『リンクの冒険』から数百年後のハイラルを描いた任天堂公式の"外伝"となる「スーパーファミコンアワー」内の音声連動ゲーム放送。
放送第4話内でプレイヤーをサポートするほこらの老人が語るには「パワーブレスレット」は"数百年前にハイラルを救った「最後の勇者」が使ったもの"と伝わっている。
本放送が行われた1995年時点で、本番組の基となった『初代ゼルダの伝説』は『時のオカリナ』の年代に相当する「封印戦争」より数百年後の『神々のトライフォース』+外伝作品である『夢をみる島』の更に数百年後の物語であるという設定は定まっていた。
このことから本放送作品はトライフォースを奪還した勇者の存在した世界軸上にあると考えられる。
※言葉では非常に説明しづらい作品なので、目次より「5.関連動画」を選び、奇跡的に現存するプレイ動画を見てもらう事を強くお薦めします。
プロローグ
遥かなる昔の事。神々は、この世界を創造された。
神々はその大いなる力の証として、黄金の正三角体「トライフォース」を遺された。
「力を支配する者」
「知恵を司る者」
「勇気を鍛える者」
それぞれ3つの紋章を持つトライフォースは、それを受け継ぐに相応しい者が現れるまで、
誰にも気づかれぬ聖地で眠っていた。
ー 天下る 何処かに 黄金の力あり
触れ初めし者の望み 神に届かん ー
それは、ハイラルの地に伝わる言葉である。
"黄金の力「トライフォース」を手にすれば、望みが叶う。"
という言い伝えに魅かれた者達は、我先にと聖地を探し求めた。
しかし、事もあろうか、最初に聖地の扉を開き、「トライフォース」を手にしたのは、
盗賊団の首領「ガノンドロフ」であった。まさにこの時、邪悪の王「ガノン」が誕生した。
やがて、ガノンの邪気はハイラルにも広がり、不吉な出来事が次々に起こるようになった。
そこでハイラル王は七人の賢者と騎士団に、邪気の根源を封印する様に命じた。
ハイラルの人々は神のお告げにより、トライフォースを勾引す
"魔を倒す力を持つ聖剣"「マスターソード」を作り出した。
しかし、七人の賢者でさえ聖剣「マスターソード」を使いこなす事は、できなかった。
人々は、聖剣「マスターソード」を使いこなす事の出来る「勇者」が現れるのを、待った。
しかし、ガノンの邪気の勢いは勇者の出現を待たずに王宮にまで迫り、壮絶な戦いが繰り広げられた。
多くの犠牲の後、賢者はやっと封印を成功させ、後に「封印戦争」と呼ばれる戦いは幕を閉じ、再びハイラルの地に平和が訪れた。
…
……
「私の名前はゼルダ姫。
邪悪な力によって、地下牢に閉じ込められています。
勇者よ、早く立ち上がって!
ハイラルが、ハイラルが危ない…!!」
ひと時の平和を引き裂いた、謎のメッセージ。
…急げ!勇者よ。
ハイラルの地に、再び平和を取り戻すのだ。
サテラビュー
この作品は一般販売は行われておらず、スーパーファミコン専用周辺機器「サテラビュー」と、データや音声を受信する為のBS放送受信設備によって受信する事の出来た放送形式の「音声連動ゲーム」である。
しかし、当時としてはキワモノ扱いの通信販売制or任天堂から認可を受けた特定店舗内での直接契約+サテラビュー本体の受け渡しという販売形態。更に当時の高額なBSアンテナの設置費用と衛星放送契約(ケーブルテレビ等によるBSアンテナを介しない形式での衛星放送の契約や視聴設備では不可)という前提条件故にメインとなる低年齢層どころか、一般・社会人層にとっても敷居が高いもので、その知名度は極端に低く、実際にプレイした人口は更に少ない。
特に、この作品は『古代の石盤』と違い本当に初期にしか放送されていないので、その知名度は日本はおろか海外でも「かの"CD-iゼルダ"よりも低い」とはっきり言いきれる作品である。
しかし、待望の音声連動ゲーム第一弾という作品だけあってゲーム内容もBGMの楽曲も程よく作り込まれており、プレイする事のできた人物からの評価はとても高い。
特にBGMに関しては当時販売されていた超名作アレンジCDと共に、この作品の為だけに演奏された、いくつもの超絶クオリティなアレンジ版が贅沢に流された為、今現在でも音源のサウンドトラック化を望む者も多い。
※問題の「タイトル曲のアレンジ」を含め、多数の音源が未だCD化されていない。また、現在はサテラビューのサービスが終了している為、合法的な形で遊ぶ事は不可能である。
一連の流れ
衛星時計と連動したシステムの為、実際の時間に合わせてゲームが進行される。
以下はその流れを簡潔に示したものである。
プレイヤーは18:00に受信を開始し、受信中の間にプロローグやそれまでのあらすじを聞く。
18:07周辺の決められた時間から、プレイヤーは行動可能となる(全世界同時ゲームスタート)。
18:07〜18:57までゲームをプレイし(18:57となった時点でプレイは強制終了される)。
その後次回への繋ぎやエピローグが流れ19:59〜20:00にゲーム終了。
この時間による縛りはサウンドリンクゲームにおける「お約束」とも言うべきルールであり、
また「サテラー」(サテラビュー利用者)の間では一般的に暗黙の了解とされていたルールである。
また『BSゼルダの伝説』においてこの流れにおける1時間は「ゼルダタイム」と呼ばれ、
このゲームは決められた日の決められた1時間しか遊ぶ事が出来ない非常に貴重なゲームであった。
攻略対象の迷宮の開放は1話につき2つとなっており、第2話以降は以前の放送分で開放されたダンジョンへのアクセスは可能であったが、放送上で未開放の迷宮については翌週以降までの待機を要求された。
主人公
この作品は「"プレイヤー自身"がハイラルにやってきた」という設定の物語である為、サテラビューにおける受信用ソフトウェアである「BS-X」にて設定していた性別によって、「野球帽の少年」「赤毛の少女」がそれぞれ主人公となる。
※「野球帽の少年」の参考画像。知恵のトライフォース(左下)部分のハチの隣の少年。(但し、こちらは同一人物ではあるが「古代の石盤」のデザインなので注意。)
しかし彼らをゲーム開始時に選択する事は出来ず、予め「BS-X」にて「セイテン缶」というアイテムを用いて放送中に使用したい性別に変えておく以外に方法はなかった。
但しこの「セイテン缶」は値段(「BS-X」中での)が高めである上に使い捨て形式である為に気軽に使用できず、結果として赤毛の少女でプレイできた事を知っている、また実際にプレイした事のある人はあまりにも少ない。
『ゼルダの伝説』シリーズにおいて今の所唯一の「単独で冒険する女主人公」なので、もう少し知名度が欲しい(『ゼルダ無双』のラナやリンクルの様に複数のプレイアブルキャラクターが登場するゲームを除く)。
ディスクシステム版との違い
大まかなシステムはディスクシステム版に準じるが、上記の性別によるプレイヤーキャラの変更以外の要素として、合計約4時間(実際は前述の通り、ゲーム部分以外の放送が含まれるため実プレイ時間は更に短くなる)以内で探索を完了できるように、フィールドマップがディスクシステム版の半分の64区画に変更されている。
また、ドラマパートと連動して時々「耳をすませ」という表示と共にゲーム進行が一時停止し、その後に何らかのイベントが発生する。
基本的にイベントは、ほこらの老人による支援という形でプレイヤーに有益なものであることが多いが、放送第4話に限り「魔王ガノンの妨害」という形でプレイヤーに対し不利に働くイベントも存在する。
初回放送日程
- 第1話:1995/08/06
- 第2話:1995/08/13
- 第3話:1995/08/20
- 第4話:1995/08/27
(いずれも18:00〜19:00の一時間のみ放送された)
BSゼルダの伝説 Map2
1995〜1996年内に数度のみ行われた再放送。
その再放送ではラジオ音声はそのままにマップが変更され、高難易度化したバージョンが配信された。
通称「裏BSゼルダ」であり、前回の上位成績者を想定した内容であった。
こちらについては残念ながらプレイ動画は現存していない。
Map1との主な違いは一部ダンジョンへの到達経路とダンジョン内の構造である。
ただしこちらも約4時間という放送時間の制約上、ディスクシステム版の様な複雑な構造やダンジョン配置は避けている(ダンジョンの配置位置自体はMap1と同じ)。
またディスクシステムの「裏ゼルダ」に存在した【"一方通行"の通過できる壁】や【通行に代償を要求される老人の部屋】(オカネカ イノチヲ オイテユケ)といった探索時に時間の浪費をさせる仕掛けやルピー・ハートの器を探索させる要素は実装されていていない。
余談であるがMap2の迷宮は構造がアルファベット状になっており、LEVEL1からLEVEL8の順に並べると「NINTENDO」(厳密にはLEVEL4の迷宮は小文字「t」の形状)となる。
関連動画
実際のプレイ動画
(※動画ではおそらく録音機器の関係でモノラル音声なのですが、本来はステレオ音声で放送されました)
第1話冒頭
第1話ダイジェスト
(第4話の最後まで全て見たい方はこちらをご利用ください→:ニコニコ動画のリスト )