概要
ラッセル式除雪機関車として既に実用化されていたDD15よりも軸重を低減し、線路規格が低いローカル線での除雪作業にも使用できるよう、DE10をベースに開発された。
冬の間はラッセルヘッドを連結して除雪運用、冬以外の季節はラッセルヘッドを取り外してローカル線での旅客列車・貨物列車の牽引、操車場や駅での入換作業にも使用できる構造である。
初期に製造された車両はラッセルヘッドが片側のみであり、折り返す場合は、その都度ヘッドを切離し反対側に付け替えていたが、積雪時の切離し・再連結が重作業であった為に、機関車の前後にヘッドを連結する方式に改められた。(ヘッドが片側のみで製造された車両は、反対側のヘッドを製造し追加した他、機関車間でヘッドをやりくりした場合もあり、他車にヘッドを供出して失い、入換え専用になったDE15も存在した。)
ラッセルヘッドには単線用と複線用の2種類があり、機関車と同じ番号である。(ヘッドは独立した車両ではなく、あくまで除雪装置で機関車の一部という概念のため。後に誕生するDD16300番台も同様。)
(同じ役割のキ100が独立した除雪車両となっているのとは対照的である。)
エンジンの種類、蒸気暖房装置(SG)の有無、ラッセルヘッドの種類によって番台区分が分かれる。
ラッセルヘッドとの連結装置があることを除けば構造面ではDE10とほぼ同じであり、不要になった連結装置を撤去してDE10に編入された車両も存在する。
JR各社での状況
JR北海道
発足時に36両が継承された。1520号機はラッセルヘッドとの連結装備を取り外し、ほぼDE10と変わらない形態となった。ノロッコ号カラーの車両もある。
2020年には1542号機と1545号機がTHE ROYAL EXPRESS ~HOKKAIDO CRUISE TRAIN~の牽引機に指定され、黄色に塗装された。
2020年以降、キヤ291形への置き換え計画がある。
JR東日本
発足時に33両が継承された。しかし保守機械扱いのモーターカーの導入などにより廃車が進行。最後まで保留車として残っていた1538号機も2020年10月3日に譲渡に向けて秋田港へと回送された。
廃車された車両のうち14両はJR貨物へ売却され、ラッセルヘッド関係装備を撤去してDE10形3000・3500番台として運用している。
また、一部は山形・秋田新幹線の標準軌在来線除雪車としてDD18を用意する際、ラッセルヘッド部分は本形式から調達し、台車を改軌して賄った(合計3両分6ヘッド)。機関車本体をDD51にしたのは、元形式DE10同様動力台車改軌の難しさかもしれない。既にモーターカーへの転換により廃車済み。
JR東海
発足時に2両が継承された。高山本線と東海道本線関ヶ原地区での除雪運用に使われていたが、老朽化などにより2011年度をもって運用を終了。1両はJR西日本へ売却され、もう1両は2013年に解体された。
JR西日本
発足時に13両が継承された。後継の気動車キヤ143形への置き換えを順次行っている。2558号機は奥出雲おろち号の牽引にも使われるため、専用カラーに塗られた。2020年4月時点で2558号機を含めた4両が現存する。
あいの風とやま鉄道にも1004号機・1518号機の2両が譲渡されているが、2020年以降モーターカーへの置き換え計画がある。