概要
GAZ(ガズ、キリル文字表記:ГАЗ)は、本来Горьковский автомобильный завод (Gorkovsky Avtomobilny Zavod) の略で、これはロシア語で「ゴーリキー自動車工場」という意味である。現在では主に中~上級車やトラック、四輪駆動車を生産している。
歴史等
この会社の始まりは1929年に、フォード・モーターとソビエト連邦の共同事業としてNNAZ(ニジニ・ノヴゴロド自動車工場)という名前で創業したことである。1932年に市の名前がマクシム・ゴーリキーにちなんだ「ゴーリキー市」に変わったのに伴って、社名も現行のものに変更された。1935年からはソビエト連邦の革命家であり、スターリンの片腕であったヴャチェスラフ・ミハイロヴィチ・モロトフ(ちなみにモロトフ・カクテルはこの人物の名前に由来する)にちなんだ「モロトフ記念工場」という名称であったが、当人がフルシチョフとの権力闘争に敗北して左遷されたため、1956年に元の名称に戻った(なおこの人物は粛清はされず1986年まで生きていた)。
この会社は当初はフォードの旧型車両の製造設備を譲り受けて自動車を製造していたが、1941年に初めて国産車種(GAZ-11)を製造。また、全輪駆動車(GAZ-61)も製造した。
第二次世界大戦が終わった1946年GAZ-M20(ポピェーダ、基本は中型セダンであるがオープンカーやワゴンも存在、さらにはKGB専用車両も!)を製造、これはソビエト連邦の国土に合わせ設計された初めての自動車であった(全輪駆動タイプGAZ-72もわずかに製造された)。この車種は1958年まで製造(なおポーランドではワルシャワとして1970年代まで製造)された。また1958年GAZ-M21(ヴォルガ、ポピェーダの後継車種)や、GAZ-14(チャイカ、VIP用の大型乗用車)、さらにはトラック(GAZel、GAZ-66等)や四輪駆動車(GAZ-69、GAZ-2975)、さらには軍用車両(BTR-60、BTR-80)等も製造している。
【GAZ(Gorkovsky Avtomobilny Zavod)自動車製造工場:2017年6月20日公開・公式動画】
※動画はGAZ(Gorkovsky Avtomobilny Zavod)公式YouTubeチャンネルより転載。
また特筆すべきはアフトヴァース(1966年にフィアットと合弁で設立した会社)よりロータリーエンジンの提供(むろん開発元には内緒で)を受け、KGB用やVIP用車種に搭載していたとされるが、この件に関しては黒歴史となっているらしい。
現在
現在は軍用車両やGAZELなどのトラック、乗用車Siverなどを製造したり、他社のフレーム等の製造をこなしつつ、ロシア以外の国の市場も狙っているとされるが、日本においては存在感が薄いためよくわからない状況である。
関連項目
自動車 装輪装甲車 ロシア フォード・モーター ロータリーエンジン