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No.109【R.I.P.】

おやすみーりっぷ

漫画「アンデッドアンラック」にある対戦・一幕。此処では第109話の前後も併合して解説する。
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⚠以下、漫画『アンデッドアンラック』の第109話前後・原作漫画13巻に関する重大なネタバレを含みます。これから単行本アニメを楽しみにしている方は閲覧注意⚠




















概要編集

戸塚慶文の漫画『アンデッドアンラック』で描かれる対戦・一幕。


世界の命運よりも、自己の全てを救うを求めて、否定の業を背負った者同士が衝突する。


此処では第109話の前後も併合して解説する。


主要用語・人物編集

主用語編集

古代遺物「アーク

≪新しい世界≫へ飛び、全てをやり直せるとされる伝説の古代遺物(アーティファクト)

この超常存在を求め行動してきたリップとラトラは、UNDER(アンダー)へ所属しUNION(ユニオン)と対立する最中で、自分達が求めている物が「円卓」に備わる機能であると突きとめた。そして「円卓(アーク)」の使用には無形の功績(ポイント)が必要で、これは他者に譲渡もできる。


世界の理「ループ

上記の≪新しい世界≫に関わる世界の理が直接に行使する、世界規模で「破壊と創造の循環(ループ)」を齎す不条理

今のリップとラトラがいる世界は、確認できる限りで100回目の世界。次の新しい世界(101回目)へ渡る乗物として「円卓(アーク)」が存在する。


RAGNARØK(ラグナロク)

世界の理「ループ」における破壊を指す時局。これは101回目の罰(ペナルティ)ともされ、神・SUN(サン)世界(ちきゅう)に現れ宇宙も巻き込む終末。

主人公勢の組織(ユニオン)は、神との全面戦争(ラグナロク)に応戦するため様々な備えを進めてきた。


主人物編集

リップ=トリスタン

UNREPAIR-不治-否定者。他の「治癒・治療」を否定する青年。

元は実力の有る医者だったが、心臓病手術を執刀中に否定の業が移行し、切開部位が治らず患者の女性を死なせてしまう。彼女はリップの想い人・ライラ=ミラーで、彼は深い心の傷を負った。ライラと双子姉妹の姉であるラトラの協力もあって、施術をやり直す道に繋がる「円卓(アーク)」の手掛かりを得る。その鍵となる不死の男・アンディを強迫するため重装備で接触する。

それまでの金色義足「走刃脚」に加え、名称不明な左義手走刃脚と同様の装飾で、長く鋭い刀身が仕込まれている)と、右目の特殊義眼(禍々しい配色をした右眼で、物体(メス)を遠隔操作する機能がある)を身に付けた物騒な装いになっている。


ラトラ=ミラー

アンデラ13巻発売おめでとうございます!

【調査中】否定者。(原作漫画13巻時点において)詳細不明だが、認識した事柄を当たらなくする女性。

リップと幼馴染、ライラの双子姉妹である姉。的中率100%という実力の有る占い師だったが、妹の心臓手術を占う最中に否定の業が移行し、成功する結果(ビジョン)を外す結末を引き起こしてしまう。妹を死なせた自責を負いながら否定能力と向き合い、当たらない占術・認識した現象を外す技を習得。一人で無茶をする妹の恋人・リップを想い、彼の助太刀に向かう。


ライラ=ミラー

Undead Unluck ⑭(下方でほほ笑む短髪の女性)

リップと幼馴染、ラトラの双子姉妹である妹。幼少期に重篤な心臓病を患った(否定者ではない一般人)。

否定能力者になったことを自覚しないまま行ったリップの手術、ラトラの占術により、ライラは命を落とした。

死の間際、最愛の2人へ「私の事は忘れて、多くの人を救ってほしい」と言葉を遺した。



アンディ

アンディ

UNDEAD-不死-否定者。自己の「死」を否定する不死身の男。

実は同じUNDEAD-不死-否定者ヴィクトルを内に宿しており、彼は最古の円卓の否定者でもある人物。数多の課題(クエスト)をこなしてきた戦士であり、多くのポイント保有者でもある。

つまりヴィクトルと同一人物でもあるアンディ「円卓(アーク)」を起動する鍵(ポイント)も持っており、ポイントを譲渡させる目的でリップに強襲される。


ルーシー

UNHEALTHY-不健康-否定者。自己の「健康」を否定する体調不良の少女。

最愛の母を探すため、一時的にアンディと行動を共にしており、その道中で不治と不死の死闘に居合わせる。


Chapter【R.I.P.】編集

調整者(レギュレーター)ルインで101回目のRAGNARØK(ラグナロク)」が迫り、世界規模で異常事態が発生している最中、リップは調整者たちと対戦していたアンディを強襲する。

調整者たちは別目的で離脱する。


リップは、アンディに戦いを挑んだ目的を告げる。

ループを行うことのできる古代遺物・アークの正体は円卓。

それに搭乗するためには、課題(クエスト)達成により集めた多くのポイントが必要。

ヴィクトルと体を共有するアンディは多くのポイントを保有していた。


「よこせ!! お前のポイントを!! 全部!!」

「オレが アークに乗り」

「もう一度 ライラを治す!!」


No.109【R.I.P.】編集

UNDEAD-不死-否定者アンディを確実に無力化するため、両足の走刃脚による機動力と併せて、左腕を切り落として装備した長い刀身が仕込まれた義手、右目を犠牲にして物体(メス)を浮遊させて遠隔操作する義眼、これらと自身の否定能力「UNREPAIR-不治-」を駆使しして不死身の男を傷付けていくリップ。左義手の刃で胸を切り裂き、肺の再生を否定し呼吸機能を落として身体能力を低下させる。抵抗するアンディへ更に、義眼の操作能力で浮遊させたメスによる一刺し、右脳へ一刃を見舞い大きく戦闘力を削ぐ。

リップはアンディは数度の戦闘を交えていた事から「潜在意識へ作用する否定能力」により、抵抗手段=治療行為を否定し拘束する布石も兼用し動きを封じていく。もう一撃、脳への負傷(ダメージ)を狙うリップは、右脳へ刺さったメスを不自然にいじるアンディを目の当たりする。


次の瞬間、素早い動きで背後へ、ついで浮かしていたメスを損壊させたアンディ。だが彼は白目を剥いて、至る所から出血した恐ろしい形相でぎごちない言動をしている。アンディは不治の縛りを攻略し、脳の傷を深くすることで狂人化した状態になっていた。「治療行為に繋がる反撃」という意識を抑え、自ら脳を自傷して意図的に知能を下げる不死ならではの対処療法であった。

不治の縛りという優位性が働かず、アンディの化物じみた攻撃で徐々に負傷していくリップ。右目の義眼が損傷しメスの浮遊操作が不能になる。破滅的な戦闘法を駆使してくる相手に、リップに不利な戦況となる。それでも致命傷を入れるため、目的を達成する最後のチャンスと必死に応戦する。


アンディの死に物狂いの大技を前に、幸福だったミラー姉妹との「思い出」を走馬灯で視るリップ。その瞬間、ラトラが箒型の飛行バイクに乗って現れる。「認識した現象を外す」否定能力によって不死の大技を反らすと、そのままリップを回収し上空へ退避する。


飛行バイクの上で、ラトラはリップを𠮟責する。

何故いつも、自分を巻き込んでくれないのかと。


伝説の古代遺物を入手するため、強さを求め両足を犠牲にして武器を身に着けたこと、UNDER(否定者狩り)へ加入したこと、UMAオータムとの戦いへ勝手に参戦したこと。いつも幼馴染・ラトラを置いて行動していたリップ。亡くなったライラの為にいつも命懸けだったリップをラトラは傍で見て来た。


「アンタが好きな人の為に命をかけていいのなら!」

「私だって アンタの為に…!!」


「命ぐらい!!」

「かけさせてってば!!!」


ラトラが涙ながらに語る想いに、柔らかな抱擁で応えるリップ。そして、アンディに勝つ策があるとラトラはリップに伝える。

ラトラには「アンディに背後から抱きつき押さえつける自身、その正面には左義手の斬撃を外すリップ」という未来が視えていた。彼女の占った事象は必ず外れる。


再び狂人化したアンディの元へ、挟み込む形で迫るリップとラトラ。

急所であるアンディの頭部を抱えるように抑え込むラトラを目の当たりにするリップ。

瞬時に彼女の自己犠牲の意思を悟り苦悶するが、歯を食いしばって左の凶刃を繰り出す。

占い師の予測は外れ、刃は彼女の胸ごと不死の頭を貫いた。


不治の否定者が負わせた傷は、彼が死ぬまで治らない。



死神の覚悟編集

続く110話。ラトラを犠牲にして、アーク起動の鍵となるアンディを無力化したリップ。胸に不治の刺し傷を負った幼馴染の彼女を抱き起こし、アンディへの一撃は当たったと告げる。ラトラのおかげで不死を倒せたと、涙を流しながら最後の時が迫る彼女へ言葉をかけ続けるリップ。


これでライラを救うという、二人の願いは叶えられる…ハズだった。

リップの背後には、倒れていたはずのアンディが傷を再生しながら立っていた。

まだ闘いは終わってないことを悟ったリップは、振り向きざまに左義手の斬撃を振るうが、アンディの技で腕の根本を抉られ、左腕と両足を全壊させられる。リップが倒れ込む瞬間を逃さず、連続して不死の否定能力技を繰り出すアンディ。


彼は、内に宿る別人格・ヴィクトルと人格交代することで不治の能力を攻略していた。

そしてもう一つ、アンディはヴィクトルの言葉により、幾つもの悲劇が起きた今の世界(ループ)を捨て、次の世界(ループ)に全てを賭けるために死神となることを決めていた。


その覚悟をもとに、アンディはリップへ致命傷を負わせるのだった。



願いを託す編集

続く111話。

不死の大技で致命傷を負い瀕死状態で倒れるリップの隣へ、不治の刺し傷で瀕死状態のラトラを横たえるアンディ。そして2人に背を向けて去ろうとする。

リップは、アンディが全ての悲劇を次の世界(ループ)で救おうとしていることに気付いていた。しかしそれは不可能だと叫ぶ。

どのループでも、自分は必ずライラを直そうとする。それをアンディは止めることはできないと。


「他人のテメーに オレ達の運命は変えられない!!」


最愛の人を救おうとするため動いた結果、この結果になった。お互いを本当に愛しているからこそ、否定能力による悲劇は必ず起きる。

しかしリップとラトラを覚悟を持って手にかけたアンディは、二人に告げる。


「変えるさ」

「でなきゃ ループする意味がない」


アンディの揺るぎない意思を理解し、項垂れるリップ。

もう体を起こす体力もないラトラは、涙を流しながら次のループでライラを救うことを懇願した。

そして2人の否定者を残し、アンディはRAGNARØK(ラグナロク)が近づく緊急事態へ応戦すべく、次の戦場へ向かう準備に動く。


まだ視線をおとしてるリップは、最愛の女性・ライラが最後に語り掛けてくれた「私の事は忘れて、多くの人を救ってほしい」という言葉を思い起こしていた。


「ハッ またなヒーロー」

「次は 組織(なかま)に入れてくれ」


「いいね 最高だ」と言葉を残し、去っていくアンディ。

そして、リップとラトラに最期の時が近づく。

二人は、今までの事を顧みていた。ライラを救うために闘う決断をした事、その道程で不死不運と出会い、希望を託す選択へ繋げられた事。

先に命を落としたリップへ、ラトラはそっと彼の血で濡れた左口元を拭い、自分の顔を寄せた。



おやすみ リップ

ずっと かっこよかったよ



備考・余談編集


再編集

リプラトバニー他まとめ

主にリップ=トリスタンの章節となった原作漫画13巻。幾つかの箇所には連載版と単行本とで変更点が視られる。分かりやすい部分では―


Ⅰ.第109話の副題【R.I.P.】にある添字は―


連載版:レクイエスカット イン パーチェ

単行本:レスト イン ピース


の差違がある。これは表記が違うだけで同一の意味を現す。ラテン語≪Requiescat In Pace≫と英語≪Rest In Peace≫は、伝統的なキリスト教礼拝や祈りにおいて亡くなった人の魂の永遠の安らかな眠りと平安を願うために使われる語句(フレーズ)。要約して「平和の内に休みたまえ」「安らかに眠れ」とされ、18世紀から広く墓石に刻まれてもいる。また頭文字を取って≪R.I.P.≫または≪RIP≫とも略される。


Ⅱ.第110話【死神】にて、最初の頁に載るラトラの台詞。


連載版

「あなたの王子様がきっと あなたを迎えに行く」


単行本

「待っててライラ あなたの王子様がきっと あなたを救ってくれるから」


という台詞編集が視られる。


作業用BGM

原作者・戸塚慶文ガンダムシリーズの愛好家でもある。No.109【R.I.P.】を描く作業用BGMに、機動戦士ガンダムSEEDのエンディングテーマ「RIVER(作詞・作曲・歌:石井竜也)」を聴きながら制作していたとの事(2022年5月「週刊少年ジャンプ」23号の巻末目次コメントより)。

本曲は「悔しさ」「諦められない意地」「もう一度のチャンスを手にしたい」「夢を叶えたい」「心を癒す唇」など、No.109【R.I.P.】の物語構成やリップ=トリスタンの人物像を連想させるような要素が散りばめられた歌詞が綴られている。


奇しくも

リップの章節が終幕となるNo.111【ENTRUST(エントラスト)】が掲載された『週刊少年ジャンプ』25号。発売された5月23日は、日本においてキスの日】【恋文の日ラブレターの日】【難病の日】が結び付けられている。

異常が日常となってしまったリップの難病(ひげき)と向き合うアンディ、先に安眠するリップへキスをするラトラや彼女の秘めた恋心、奇しくも色々な所感を想起させる月日である。


参考リンク(外部リンク)編集






















「 ごめんね・・・ 」

「 運んだりできないから... 」



「 カーテンでごめんね だけど 」

「 寒くないようにかけとくね 」



不治と不死の死闘に居合わせた不健康の少女・ルーシー。戦いの末に命を落としたリップとラトラの体に、優しくカーテンを掛けた。今はこれしか出来ないと、後でお墓を作りに来ようと、UMAの被害により自我を失っている母親へ語りかけた。


あのお兄ちゃんがママを助けてくれたんだよ!


おじちゃんと闘ってたけど

きっと… いい人だと思うの

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