概要
アイテム番号:SCP-060
オブジェクトクラス:Keter
SCP財団が管理するSCPオブジェクトの一つ。通称「地獄より来たるオカルトスケルトン」。
米国ミネソタ州のとある地域に自生する17本のホワイトオーク(「コナラアルバ」とも呼ばれる落葉広葉樹の一種)を中心とした木立と、ある条件を満たした場合にその木立から現れる異常存在の総称。後者は財団からは主に「SCP-060-Alpha」と呼ばれており、特に危険視されているのはこのSCP-060-Alphaである。現在、この木立が存在する地域は財団によって買収されており、衛星サイト66-060として管理されている。
何らかの要因でこのホワイトオークが燃焼すると異常性が発現し、SCP-060-Alphaが出現する。発火の要因は落雷などによる自然発火でも、タバコの火などの人為的なものでも関係なく、ホワイトオークの一部が燃焼するだけでも出現する可能性がある。
SCP-060-Alphaは背丈が2.3mほどの骸骨のような姿をしている。その全身は白く輝くように燃えさかる摂氏1500℃に達するほどの超高熱の炎に包まれており、出現した瞬間から周囲を焼け野原にすべく動き回る。筋肉など一切存在しない外見のくせに異常なまでの身体能力を誇り、最高時速80kmもの猛スピードで走り抜け、たった1回の跳躍でおよそ5mも跳ぶ(しかもほとんど助走を必要としない)。そしてただ移動するだけでも全身の白い炎が周囲に燃え移り、どんどん延焼していく。おまけに行動中に遭遇する人間に対しては悉く敵対的であり、出現する度にサイト-66-060の地理について詳しくなりつつあるなど若干ながらも知性を感じさせる行動も確認されているという。挙句の果てに燃え盛る自分の骨を投げ付けて遠距離攻撃を仕掛けてくる事もあるというから始末に負えない。存在から所業に至るまでまさに「地獄からの使者」と言えよう。
なお、あくまで本体はホワイトオークの方であるらしく、無差別に辺りを焼き尽くしていくSCP-060-Alphaも、ホワイトオークだけは燃やさないように避けるような行動を取る傾向が強い。
無力化する方法は、大量の水もしくは難燃性の液体をぶちまけて強引にでも消火する事。成功すれば最終的には塵となり崩れ落ちる。しかし、常に凄まじい高熱を放っている上にやたらアクティブに動き回るので決して簡単な作業ではない。また、消え去るその瞬間まで被害を出し続けるので徹底的に消火してやる必要がある。
なお、財団の研究と計算によれば、消火に必要となる液体の量はおよそ500リットル(一般的な家庭に備え付けられている浴槽数杯分程度)もあれば十分らしい。流石に少ないとは言い難い量だが、本来同等の熱量を鎮圧する場合と比較すれば意外と大した量ではない。
なお、SCP-060-Alphaが暴れ回った跡地には、異常性をそのまま受け継いだホワイトオーク、つまりは新しいSCP-060が生えてくる。これも駆逐しておかなければSCP-060-Alphaの出現率を高めるだけなので、消滅した後も油断ならない。
ちなみに、財団がこの辺りの土地を買収する以前、敷地内には「ジョナサン・コーヒル」という人物が住んで「いた」一軒家が建って「いた」(買収後に取り壊されたため、現存はしていない)。彼は周囲からは変人扱いされる事もあった閉鎖的な人物で、彼の兄弟によればいつの頃からかビクトリア朝のオカルティズムの研究に執心していたという。
彼の住処は骨組みを残して大部分が焼け落ちており、暖炉があったらしいリビングルームに当たる場所から出火したと見られている。財団はジョナサンがSCP-060を暖炉で燃やしてしまい、SCP-060-Alphaが室内に出現した事で家屋は焼損したと考えている。
しかし、この見解については少々疑問に残る点もある。SCP-060-Alphaが出現したにしては家屋へのダメージが妙に小規模な事。召喚し、襲われたと思われるジョナサンの遺体や遺骨などは敷地内では一切発見されていない事。そもそもジョナサンの行方も生死も全くの不明である事。
これ以上の真実は報告書には書かれておらず、全ては推測の域を出ない。
そういえば、ジョナサンはオカルトに興味があったとか……。まさか……?
余談
報告書にはSCP-060だけでなく、激しく燃え上がるSCP-060-Alphaの写真まで掲載されている。能力や性質そのものはまさにKeter級の脅威でしかないSCP-060-Alphaだが、何故かその写真では妙にテンションの高いポーズを取っており、不気味に思いながらもその姿につい笑ってしまったという人もちらほら。