美しい世界を望むか? 広大な世界を望むか? 自由な世界を望むか?
万引きをしてみたいか? 暗殺者のギルドに入ってみたいか?
自分だけの魔法を、アイテムを作ってみたいか?
広大な森を散策し、ひっそりと佇む遺跡を探険してみたいか?
海岸を歩き、素潜りをして貝殻の中に潜む真珠を見つけてみたいか?
ヴァンパイアに血を吸われ、自分もヴァンパイアになって吸血してみたいか?
魔物に苦戦している時に通りすがりの旅人や街道警備の衛兵に助けられてみたいか?
何十もの街があり、何百ものDungeonがあり、数限りないQuestがある。
さまざまな種族があり、さまざまな人がおり、さまざまなMonsterが、さまざまなEventがある。
すべてが君のすぐ目の前にある。あとは好きにするがいい。
RPGはもう飽きたと思うかね?
なら最後にThe Elder Scrollsを試してみるといい。
—Morrowind板テンプレより一部改変
概要
Bethesda Softworks社が開発している、3DオープンワールドRPG。略称は「TES」。
洋ゲーらしい高い自由度と、広大なマップ・美麗なグラフィック、そして非常に作りこまれた設定が特徴。
世界観はいわゆる"剣と魔法の世界"。
主人公に関しては最低限の設定(何故か捕まっている, 何らかの特別な力を持つ(『Morrowind』,『Skyrim』)以外は作中で何も語られることはなく、行動を縛る物語もかなり少ない。
そのため主人公の出目や性格、設定を自分で妄想し、そのキャラになりきったロールプレイングを行うことも十分に可能。
作品によって舞台は異なるが、基本的にはどれもTamrielと呼ばれる大陸の1地方が舞台となっている。
2作目以降の作品名(『Daggerfall』,『Morrowind」,『Oblivion』,『Skyrim』)は全て舞台となっている地名からとられている。
解説
自由度
The Elder Scrollsシリーズの特徴として、とても高い自由度があげられる。
家やベットなど据え置きされている家具、生えてる草等を除き、ほぼ全ての物体を持ち上げたり好きなところに置いたり採取ができる。
盗賊から装備を剥ぎ取るといった行為はもちろんのこと、雑貨屋の売り物を万引きしたり、リンゴを相手に投げつけたり、自宅を好きな装備で飾ったりできる。
そして、この作品ではメインストーリーのクリアを強要しない。
ちろん物語の核心へ迫るドラマティックなシナリオは一見の価値があるものの、ロールプレイングを行う上では邪魔になる事も多い。
選ばれし者だとか英雄だとかって祭り上げられたくないプレイヤー、例えば一般人プレイとか暗躍する暗殺者プレイを望む人だっているためだ。
言ってしまえばこのゲームシリーズに決まった目的は存在しないといっても過言ではないだろう。
それはプレイヤー自身に委ねられており、何をすればゲームクリアであるという線引も薄い。
どのような遊び方でも基本的に対応できるということこそ、この作品の最も素晴らしいところなのかもしれない。
逆に言うと、明確なクリア目標を与えられないと何をすればいいかわからないという人には割と向いていないとも言える。
とはいえ、ゲーム開始すれば原則として自然にメインクエストが始まる。またクエスト通り進めるなら、誰と話せばいいかどの敵を倒せば良いかマーカーが画面や地図に表示される事が多い親切設計。まずはメインクエストに乗って世界の広がりを感じることもできる。
シリーズ
The Elder Scrollsシリーズは基本的にPC(WindowsOS)向けのゲームである。
Morrowind以降はコンシューマ機にも進出しているため、PCスペックに不安がある人はコンシューマ版を選ぶと良い。
『Arena』と『Daggerfall』は現在Bethesda社が無料公開しており、The Elder Scrolls Official Siteからダウンロードができる(ただし動作環境がMS-DOSのため、Windows上で動作させるにはDOSBoxなどのエミュレータを要する)。
また、『Morrowind』,『Oblivion』,『Skyrim』, それとスピンオフの『The Elder Scrolls Online』はPCゲームダウンロードサイトであるSteamで販売されている。またこの4つのうち前者2つはGOG.comでも若干の調整(それでも導入の一部手順を飛ばせる良調整でもある)をなされた上で販売されている。これからThe Elder Scrollsシリーズに触れる人は、これらを利用するとよいだろう。
国内ではめったに見かけないが、Redguard,Battlespire等の番外編も存在している(前者はGOG.comで購入可能)。
また、『Morrowind』以降は追加パッケージ(言ってしまえば公式が作ったMOD扱いの大型DLC)がそれぞれの作品でリリースされている。
公式だけあって非常に気合が入っている。中には一部の有志MODを動作させるために必要である場合もあるので、入れておくか、まとめ買いするのも良いだろう。
ナンバリングタイトル
"The Elder Scrolls:Arena"(1994)
記念すべきシリーズ1作目。
第三紀399年、皇帝ユリエル・セプティムⅦ世になりすました魔闘士ジャガー・サーンによって地下牢に幽閉されていた主人公は、サーンの元部下で彼に反抗したため殺されたリア・シルメインの導きによって牢を脱出。サーンの野望を打ち砕くためにタムリエル各地に散らばった「混沌の杖」の欠片を集める旅に出る。
シリーズで唯一タムリエル全土を股にかけられる作品。主人公の通称は『エターナルチャンピオン(Eternal Champion)』。
タイトルのArena(アリーナ)とは闘技場という意味。元々は闘技場でのトーナメント戦をメインに据えたゲームとして制作が始まり、そこに肉付けとしてサブクエストを追加していった。その中で次第に闘技場要素が薄れていき、最終的にそれらの要素を完全に排した、世界中を旅しながらダンジョンを探索するという本格RPGとなった。だがすでに商材は印刷済みであったためタイトルの変更ができずそのまま発売された。
"The Elder Scrolls II:Daggerfall"(1996.8)
第三紀405年、皇帝ユリエル・セプティムⅦ世によって牢獄から解放された主人公は、皇帝から「ライサンダス王の霊が街を徘徊する原因の追究」「ライサンダス王の妻に送った手紙の行方の捜索と破棄」という2つの指令をこなすことを条件に恩赦されることとなった。
皇帝の工作員としてハイロックの地方の都市ダガーフォールへ船で向かうが途中で船が難破。命からがらたどり着いた洞窟から冒険が始まる。
前作と異なり、冒険の舞台は一地方に留まったがエリア全土をシームレスに移動できる「オープンワールド」となった。その広さが約160,000平方km(日本の本州の半分程度)という異様な広さで有名。
また、シリーズの中でも珍しいマルチエンディングを採用しており、主人公がどの勢力に協力したかによって全くことなる結末を迎えることになる。
次回作以降ではエイドラの一柱アカトシュが介入したことにより「全ての結末が同時に起こった」ということになっている。
"The Elder Scrolls III:Morrowind"(2002.5)
第三紀427年、囚人であった主人公は皇帝ユリエル・セプティムⅦ世の恩赦により、タムリエルの北東・モロウィンドへと送られることなった。モロウィンドに降り立った主人公に課せられた任務は、バルモアという街にいる帝国の工作員に皇帝の密書を渡し、その指示に従うこと。
主人公はモロウィンドでの冒険を続けるうちに、モロウィンドで信仰される英雄ネレヴァルの転生体『ネレヴァリン(Nerevarine)』であった事が判明。前世で因縁のあったダゴス・ウルと対峙することとなる。
初めての固定マップとMOD機能搭載、家庭用ゲームへの初進出、シリーズ共通のテーマ曲が作られるなどシリーズ根幹を固めた作品。
"The Elder Scrolls IV:Oblivion"(2006.3)
第三紀433年、シロディールの帝都地下牢に閉じ込められていた主人公の元に皇帝ユリエル・セプティムⅦ世が訪れる。何者かによって帝位継承者が暗殺された皇帝は秘密通路を使って帝都を脱出しようとしていたのだが、その入り口のある地下牢に主人公が囚われていた。
「夢で見た」そう言う皇帝に付き従い、通路を進む主人公と側近のブレイズ達だったが、次々と襲い来る暗殺者によって遂に皇帝の命が奪われてしまう。
皇帝の死の間際に託された「王者のアミュレット」を手に、この世で唯一の皇帝の血を引く落胤を探し、オブリビオンとニルンを隔てる結界「竜の火」を再び灯すためにタムリエル中央、シロディールを巡る旅に出る。
主人公は冒険の最中でクヴァッチという町を救ったことで『クヴァッチの英雄』と呼ばれ、各地で尊敬を集める冒険者となる。
日本の家庭用ゲーム機初進出で、国内でTESシリーズを有名作に押し上げたのはこの作品によるところが大きい。
スパイクによって翻訳版が発売されて以降は、ベセスダから派生した親会社ゼニマックス・メディアのアジア支部で改めて日本版がリリースされ始める。
現在Steam版は日本語化の成功率が著しく低下している為GOG.com版を推奨する。
"The Elder Scrolls V:Skyrim"(2011.11)
時代は一気にくだって、第四紀201年が舞台になる。
200年前、セプティム朝が崩壊し、新たにミード朝が帝国を支配する。しかしサマーセット諸島にて建国されたハイエルフの国家「アルドメリ自治領」との戦争を機に属国が次々と離反。スカイリム内でも独立派と親帝国派がぶつかり合う緊張状態となる。そしてウィンドヘルム首長ウルフリック・ストームクロークがスカイリム上級王トリグを殺害したことで内戦が勃発した。
スカイリム国境付近でウルフリックを罠にはめ、捕縛に成功した帝国軍司令官・テュリウス将軍は一味を処刑するため、ヘルゲンの街へと向かう。その中に、どさくさに紛れて囚われた主人公もいた。一味と見なされて処刑されそうになったその瞬間、巨大な黒い竜がヘルゲンに襲来、破壊の嵐が吹き荒れる。
混乱の中で脱出に成功した主人公が伝説のドラゴンボーン、『ドヴァーキン(Dovahkiin)』と呼ばれる存在である事が判明するのは、それからしばらく後の事である。
"The Elder Scrolls VI"
2018年6月のE3で長らくの沈黙を破って発表されたTESシリーズ6作目。
しかし、現時点で判明しているのは「The Elder Scrolls VI」というタイトルのみで、正式タイトルや舞台は一切不明。
タイトルのバックに表示された僅かな地形を頼りに、ファンたちは舞台はどこか考察を続けている。
スピンオフ
"The Elder Scrolls Legend: Battlespire"(1997.12)
第三紀398年。
帝国軍の魔闘士訓練施設「Battlespire」がジャガー・サーンの差し金によってデイドラロードのメエルーンズ・デイゴンに占拠される。
見習いだった主人公はデイゴンの軍勢を撃退すべく行動を開始する。
シリーズ初のスピンオフ。ダンジョン探索がメインとなっている。
"The Elder Scrolls Adventures: Redguard"(1998.10)
第二紀864年。
行方不明の妹の捜索にストロス・エムカイ島へやってきたレッドガードの若者サイラス。
捜索の最中に帝国の圧政を知った彼は、ハンマーフェルを帝国から救うべく、やがてレジスタンスの一員として戦いに身を投じることになる。
シリーズでは現在唯一の主人公固定の作品。
"The Elder Scrolls Online"(2014.4)
第二紀578年。デイドラの君主モラグ・バルは自身の領域「コールドハーバー」とニルンを融合させんとし、混乱に乗じて”虫の王”マニマルコの死霊術師達とデイドラの軍勢によって帝都は制圧されてしまった。
崩壊した帝国の玉座を狙って各地の勢力は同盟を結成し、大陸中央「白金の塔」を巡って3つの勢力が戦端を開こうとしていた。
シリーズ初のMMO。プレイヤーは3つある勢力のいずれかに所属し、タムリエルを気ままに旅するもよし、シロディールを巡る戦争に参加するもよし。
世界設定
肥大化につき分割。詳細はタムリエルを参照。
本作は宗教や人々の思想といった曖昧な概念から、歴史、言語、地方ごとの訛りやスラング、植生等非常に細かいところまで設定を煮詰めている。
作中に登場する本は記述の異なるものが300冊近く収録されており、内容だけでなく、作者ごとのクセといったポイントまで描写されている。
また、登場するNPCの殆どに彼らの立場や職業、信条等が設定されており、設定に従ったAIによって日々の仕事や趣味に励んでいる。そして、主人公の過去の行いや種族によって接触時の対応が変化する。
また、ファンに愛される一部の濃いキャラクターも存在する。
設定の信憑性について
そのほとんどは発言者の思想全開のセリフや、著者の主観の入った書籍で解説されるため、我々の現実サイドによる発表以外は新作の度にいくらでも覆せる形となっている。
なので、可能なら、どの作品のどんなシーンやアイテムに書かれていたか出典を添えていただきたい。
ほとんどの設定に「著者がデタラメを書いていた」「むしろ作中の世間一般で信じられている情報こそ嘘」といった疑念がいくらでも付き纏うのである。
さらには世界レベルで人の記憶を改鋳できる存在がいたり、ESOでは時空を超えて未来の書物を引き寄せる書庫まで登場したため、本の出版の日時から推測した時系列すら信用ならないのだ。
Mod
Modificationの略語。The Elder Scrollsシリーズでは、有志が作成したゲームパッチを指す。
本来MODはあくまでも非公認なゲーム改造を指しており、開発者やファンから嫌われる事も多かった。そのためMOD作成は技術難易度も高くなりがちで、日の目を見ることが少なかった。
しかし『Morrowind』において、MOD制作ツールである"The Elder Scrolls Construction Set"が公式から配布されるようになり、MODの在り方が一気に変化していった。
プログラムがわからない素人であっても、そこそこ勉強すれば簡単な改変MODとかなら作成できるという敷居の低さ、そして公式側が奨励することによって正当性が保証された結果、MODは多くの人に迎え入れられるようになった。
ゲームファンによるストーリーの補完はもちろん、公式の残したバグを修正するMODや、戦闘をよりエキサイティングにするもの、武器や防具・新たな魔法の追加や高画質化、グラフィックの改変、翻訳パッチ、果てはエロ要素を導入するもの等まで、既存の概念にとらわれない多くのMODがリリースされた。
特に有志による日本語化MODは、『Oblivion』が日本で広く認知されるようになるのに貢献したといえる。さらに『Oblivion』では「Nehrim」という、『Oblivion』をリソースに用いたほぼ別物のゲームにするMODまで登場した。
最新作としてゲームエンジンがリニューアルされた『Skyrim』でもMODの概念はしっかり引き継がれており、今現在でも多くのMODが日々誕生している。
ただし、MODはThe Elder Scrollsシリーズの醍醐味の一つではあるが、MODがThe Elder Scrollsシリーズの全てではない。基本的にはゲームの改造に近く、嫌う人もいるというのを忘れずに。
MODの面白さを理解するためにも、初めてのプレイヤーはまず何も入れないでThe Elder Scrollsの世界を楽しむと良いだろう。
また、MODは基本的にPC版でしか使えない。基本的に、Skyrim Special Editionと言った最新機種版以外では、コンシューマ機とは無縁の存在だった。
表記ゆれ
Pixivでは、The Elder Scrollsタグよりも各作品名をタグに採用していることが多い。
TES TheElderScrolls ElderScrolls
関連項目
The Elder Scrolls Official Site:公式ページ
fallout……「fallout3」以降は開発元が同じとなっており、技術的には姉妹作といっていい関係にあたる(特にSkyrim以降はその傾向が強い)。