ドラえもん「いや、本当はのび太君の勘違いだよ。君はおっちょこちょいで、忘れんぼうだから。でも、可愛そうだから、一応しらべよう」
のび太「よく正直に話してくれた」
ドラえもん「い、いや、今のはその...」
概要
てんとう虫コミックス7巻及び、藤子・F・不二雄大全集3巻に収録。
スイッチを押すと電波が発生し、それを浴びた人物は思っていることを喋ってしまう。この道具は原作版で二回登場しているが、エピソードによって名称及び効果が微妙に異なっている。
下記の初登場エピソードでは「ショージキデンパ」という名称で登場しており、パラボラアンテナ型の道具で、「本人が話したくないと考えていても強引に本音を喋らせる」効果になっている。ちなみに下記の1981年版では、先端にアンテナが付いた手にもてるリモコン型の道具となっていた。
強情な人物は道具の効果に抗うこともあるが、その場合は電波の出力を強くすれば強引に本音を喋らせることが出来る。しかし電波の出力を強くし過ぎた場合、周りの人間にも電波の効果が及んでしまう。
「のび太の結婚前夜」では「正直電波」という名称で登場しており、電波塔型の道具で、「本人が照れくさくて言えないと思っていることでも、自分から相手に伝えたくなる」という効果になっている。参考として『ドラえもん最新ひみつ道具大事典』では、この道具はショージキデンパの新型とされている。ただしこれはオリジナルの設定で、原作にはそのような設定はない。
同じく参考として『ドラえもんのひみつ道具使い方事典1』では、ショージキデンパは「ヒューマン波コマンド送信アンテナ」、「ヒューマン波受信用アンテナ反射板」(相手がどの程度の嘘をついているかをキャッチする装置)、「ショージキ電波拡散つまみ」、「スイッチ正直ダイヤル」、「ショージキコンピューター」で構成されていると解説されている。
ストーリー
昨日の学校の帰り道でちゃんとカバンの中に双眼鏡を返したと言い張る本山に対し、のび太はだったらカバンの中にあるはずだと主張するが、スネ夫は本山の言い分の方を信用してしまい、のび太は自分から借りた物を人に貸すのが悪い、あの双眼鏡は父親がスイスで買って来た何万円もする高級品だと言われ、2人から返すよう連呼されてしまった。
更にスネ夫は後で取りに行くことを言い、本山はのび太が双眼鏡をなくした罪を自分のせいにしてきたことをしずから女子たちに告げ口していた。帰宅後のび太は、このことをドラえもんに話すも思い違いってこともあると言われてしまい、更に泣き出してしまった。そこでドラえもんはのび太に謝った後、「ショージキデンパ」を取りだした。
説明を聞いた後早速のび太がこれを起動させると、ドラえもんは上記の言葉をペラペラしゃべり出し、のび太はこれに怒ったものの、これで本山を白状させようと外に出向いて行った。すると出た先でスネ夫と出会い、もうすぐはっきりさせるからもうちょっと待ってくれとお願いし、その後本山の家に到着したが、本人が気づいて居留守を使ったため、彼の母親から出かけていると言われてしまった。
そこでドラえもんとのび太は空地に向かうが、そこではジャイアンが皆を相手にリサイタルを開いていて、本山のことを知らないか尋ねると中断させられたことに怒られ答えてくれず、ジャイアンはそのままリサイタルを続行。ドラえもんとのび太も本山の捜索を続けたが、その後スネ夫から再び本山は見つかったのかなどをとやかく言われてしまった。
だがその時、通りかかったしずかから本山が家にいたことを言われ、騙されていたこに気付き怒ったドラえもん達は先を急ぎ、その後スネ夫の母親と本山の母親が話しているのを見つけると、デンパを起動させ本山の母親から本人が家の中にいることを打ち明けさせた。そして部屋の中に乗り込むと、まだしらを切る本人にデンパを浴びせ、口を開き始めるも口で手を抑えたため更にデンパを浴びせ、双眼鏡は自分が壊したこと、弁償させられるのが嫌で嘘をついたことを白状した。
するとこれに続いてスネ夫も、双眼鏡がスイス製ではなく祭りの屋台の売れ残りだったことを白状し、表で話していた母親2人も「バカで嘘つきのくせに」「いつも学校で怒られているの知ってるんだから」と口論になっていて、空地でも皆がジャイアンの歌を胸が悪くなる、怖いから仕方なしに聞いていたなどと白状したため怒ったジャイアンが皆を投げ飛ばしていたりして、これにドラえもんとのび太は「デンパが飛び散ったらしい」と驚いていた。
アニメにおける原作との主な相違点
大山版は1981年12月4日に、水田版は2024年10月19日にそれぞれ放送している。
1981年版
- 冒頭の下りは授業終わりの教室で行われていて、口論になったのび太と本山の間にスネ夫も割って入り、「黙って聞いてれば、責任のなすり合いじゃないか!」と言っていて、返せなかったら弁償するようにとも言っていた。また本山がしずから女子たちにのび太のことを告げ口するシーンは描かれていない。
- 本山の下の名前は「しんいち」となっていて、母親にはのび太と遊ぶとこっちもバカになってしまうからと言い訳をしていた。またのび太は去り際には、彼の母親に自分が捜していたことを伝えるよう頼んでいて、川で釣りをしていた子供達にも本山を知らないか尋ねていた。
- のび太はジャイアンリサイタルの場に行くことをためらっていたが、ドラえもんから「あの中にいるかもしれない」や「早くしないと日が暮れるぞ」と言われ勇気を出して行った。ちなみにジャイアンは本山との用を済ませたらのび太達も歌を聞きに来るように言っている。
- しずかは本山から本を借りに行ったため、手には本を持っていた。
- 家に本山がいるかどうか聞きに行ったのはスネ夫で、これは自分達が行ってはまた居留守を使われるとドラえもんが思ったからだった。
- 音波の効果でスネ夫と本山は嘘を吐き合った後、抱き合って号泣しており、この他にも美容師と散髪客、肉屋の男性と買い物に来た女性、風景絵を描いている男性とそれを見ていた男性がそれぞれに喧嘩をはじめ、ドラえもんとのび太はタケコプターで上空を飛びながらこれらを見ていた。この時ドラえもんは「22世紀では電波を止める装置は開発されていないが、本音を全て吐けば効果がなくなる」と説明している。その晩には音波の効果が切れて町は静かになったが、「こうしてみると世の中嘘だらけだね」というのび太にドラえもんは「そう言う君はどうなの?」と道具のスイッチを入れ、のび太は必死に口を塞ぎ逃げようとしていた。
2024年版
- 昨日の出来事が回想で描かれていて、この時のび太は双眼鏡で小鳥を観察していたが、そこに本山がやってきて貸して欲しいと頼まれたため貸してあげ、自身は野兎を追いかけて行った。またのび太を疑ったスネ夫は彼を嘘つき呼ばわりし、通りかかったしずか達には本山と共に告げ口をしていた。
- ドラえもんは泣き出すのび太に、自身の真剣なまなざしを見せて疑っていないことを証明しようとしたが、ダメだったため道具を取りだした。
- 外出しようとした際のび太は、ママに宿題をやったかどうかで呼び止められたが、デンパのスイッチを押してしまったため「宿題なんかやっている場合じゃないんだよ!もっと大事な用があるんだ!」と本音を言ってしまい怒鳴られドラえもんと共に逃げ出した。
- 2人が通りかかった洋服店の女性にデンパを発射する下りが追加され、店の女性は来客が着ていた服が去年の残り物で、これをさっさと処分したいと思っていたこと、この客はどうせ何を着ても似合わないと思っていたことをペラペラ口にし出した。
- 本山は勉強に集中したいからと嘘をついて居留守を使った。
- 2人はジャイアンだけでなく歌を聞いていた皆にも本山のことを聞いていた。
- 2人に本山が家にいたことを教えたのは、しずかと彼女と一緒にいた女子だった。
- 本山の家の前で彼の母親と話していた女性はスネ夫の母親ではなく、そっくりさんだった。
- のび太はデンパを浴びせた後、「ドラえもんは赤い」と言うように本山に言っていていたが、それでも彼が口を塞いだためデンパを強くした。
- ラストは「何でも正直に言うのは考え物だね」というのび太の台詞で締めくくられている。
余談
本山の声は1981年版では山本圭子が、2024年版では渕崎ゆり子がそれぞれ担当した。