「あなたの目の中に、私が映ってる……、あなたの中に私が入っている……。」
概要
小説『仮面ライダーBLACK MADソルジャー計画』のヒロイン。22歳。趣味は水泳と音楽鑑賞。
生物遺伝子学の権威である原研三郎教授の一人娘で、紀田克美の友人の結婚披露パーティに来ていた南光太郎に一目惚れし、彼に淡い恋心を抱き始める。
時折、突然気分が悪くなったり、姿を消す事があるなど本人の自覚がない所で不穏な空気が彼女に付きまとっているが…。
実は本人は知らなかったが物語が始まる16年前、6歳の時に交通事故に遭い瀕死の重傷を負った際に父親である原教授の研究に目を付けていたゴルゴムによって命を助ける代わりに16年後にゴルゴムへと引き渡すという条件でサイボーグ手術を施され改造人間にされており、更に原教授の開発した遺伝子をゴルゴムによって組み込まれ、不定期的に魚の化け物=MADソルジャーへと変貌する体にされてしまっていた(作中では“不運な女”と評されている)。
更に自殺防止用のプログラムが組み込まれているような描写が存在する。
自身に隠された真実を光太郎から聞かされた後、父親と共に自殺を図るが、三神官たちの手によって捕えられてしまい、“攻撃反復システムMAD”と“X線レーザー砲”を組み込まれた上に洗脳を施され、仮面ライダーBLACK抹殺兵器MADソルジャーへの最終的な改造を施され、最愛の人である南光太郎抹殺の最強の暗殺者へと仕立て上げられてしまう。
それでも亜矢子への愛を捨てきれない光太郎との再度のデートの最中、遂に最終指令“MADソルジャー計画”が発動してしまい、光太郎=仮面ライダーBLACKとの悲しい最後の決戦を展開する。
激闘の末に殆どパワーを使い果たした所へ『ライダーキック』を受けるのと同時に最後の切り札“X線レーザー砲”を放つが、最後の最後で自我を取り戻したのか、あるいは光太郎への愛が勝った結果なのか、“X線レーザー砲”はギリギリBLACKには命中することはなく、“X線レーザー砲”を打った反動で自爆。
その忌まわしい呪われた運命から解放された彼女は、まるで光太郎に別れを告げるかのようにその体を放射能の透明な炎に包まれながら光り輝かせながら消えていった…。
人物像
物語のヒロインで、南光太郎の恋人という位置づけである。年齢は光太郎より上で、「知的でクールな色っぽいお姉さん」として描かれており年下で奥手な光太郎をリードする。
性格は冷静で落ち着いているが、内面は情熱的。マイペースながら、大胆な行動で光太郎を振り回す。
自分の所属する生物遺伝学研究所のマドンナ的存在であり、研究所の男性から言い寄られているものの、亜矢子を射止めた男はおらず、「お高くて付き合いにくい」という評判を立てられている。
容姿
絶世の美女で、抜群のスタイルを持つ。
パーティー会場のカウンターのすみでブランデーグラスを手にしてこしかけていた亜矢子の姿を見た光太郎から、「立った姿を見なくても、どれほどのスタイルの持ち主か十分想像できた。それに、ほりの深い、くっきりした顔立ち。」と評される。
夜の海では、泳ぐためとはいえ、光太郎の見ている前で服を脱ぎ捨て、生まれたままの姿を披露する。「形のよい小さな頭」「肩から腰までの柔らかな流れの半ばでなかばで、急激にくびれたウェスト」「ほどよい曲線をえがくヒップからつま先にかけての長く細いしなやかなライン」といった亜矢子のしなやかな肢体を月の逆光が照らし、長い髪を両手で束ねながら岩の上に立つその姿は、ギリシャ神話の美の女神アフロディーテを連想させる。
光太郎は海で泳いでいる亜矢子を「海のニンフ」、自分を「海の神ネプチューン」とし、「必ず、あの人をおれのものにしてみせる。」と決意する。亜矢子も「まるで人魚になって彼を追っかけたり、水の妖精ニンフになって、追っかけられたり。」と例えて思いにふけっている場面がある。
光太郎との出会い
光太郎とは結婚披露パーティー会場で出会い、すぐに心を許し、交際を始める。
同じ研究所のメンバーが主賓ということで、結婚披露パーティーに参加していたものの、会場内の気取った雰囲気を不快に感じていた亜矢子は、自分に熱い視線を送ってくる南光太郎に気づいて接触を図る。
ウブな反応を示す光太郎に好印象を持つと、二人の仲が接近することを快く思わない連中から嫌味を受け、気分を害してしまう。
会場を抜け出した亜矢子は、心配して追いかけてきた光太郎から、「潮風にでもあたればすっきりする」という提案を受け、バイクで海へと繰り出す。
夜の海での水泳
夜の三浦半島に到着した二人は、岩の上に座りながら潮風にあたり、月の光が海を照らす情景の中でいい雰囲気になる。空を見上げて「きれいな星。」とつぶやく亜矢子に、「あれは星ではなく人工衛星で宇宙兵器なんだ」と光太郎がその危険性について語りだすが、亜矢子は上の空でまるで話を聞いておらず、場にそぐわぬ話題しかできず、自己嫌悪におちいった光太郎は岩の上にひっくり返ってしまう。
そんな光太郎をよそに、急に立ち上がった亜矢子は「私、泳ぐわ。」と宣言していきなり服を脱ぎ始める。突然の出来事に意表を突かれた光太郎は、「だって水着は……?」と肌の露出を気にするが、亜矢子は裸を見られることに抵抗がないのか、「私、そんなこと、気にしない。」と返し、光太郎の視線を気にもとめず次々と服を脱ぎ捨ててゆく。
あっという間に身につけているものをすべて脱ぎ捨てた亜矢子は、自分の生まれたままの姿を光太郎の前に披露する。振り向いて「一緒に泳ぎましょうよ、ね。」と微笑みながら光太郎を誘うと同時に、夜の海へダイビングし、見事なバックストロークで泳いでゆく。誘いに乗った光太郎は、自らも着ているものをかなぐり捨てて飛び込み、亜矢子と夜の海を裸のままで泳ぎ、水をかけたり、沈めっこをしたりして仲むつまじくじゃれ合う。
沖で光太郎といちゃついているうちにテンションが高まってきた亜矢子は、自分の足を光太郎の胴に絡ませ、そのまま反転して光太郎を水の中に引きずり込ませる。
不意を付かれた光太郎が、水面に顔を出し息をついていると、続いてポカッと顔を出した亜矢子が嬉しそうに手を叩いてはしゃいでみせる。思いがけぬ亜矢子との肌の密着でスイッチが入った光太郎は、「やったな。今度はこっちから行くぞ。」と言って亜矢子に仕掛けようと水の中に潜るが、その直後に魚の群れが亜矢子の目の前ではね、引きずられるようにして波間をすべって見えなくなってしまう。
亜矢子を見失った光太郎が不安に感じ、一帯を泳いで探していると、海水で濡れた身体をキラキラ光らせながら、波打ち際を急ぎ足で去ってゆく亜矢子の後ろ姿を発見し、呼びかけて浜へ向かおうとしたところを頬をかすめて飛んできた魚に気を取られ、亜矢子を見失ってしまう。
光太郎との交際
後日、光太郎との三浦半島でのデートについて、(光太郎が亜矢子を振り回したと思い込んでいる)父親の研三郎から光太郎のことを悪く言われるが、みんな自分が頼んだのだから悪く言うのは止めて、とかばう。相手のことで初めての反応を示した亜矢子を見て、光太郎に興味を持った研三郎は、突然行方をくらました亜矢子を心配して家に尋ねてきた光太郎と話し、食事に誘う。
父親と光太郎を交えた三人での食事の後、光太郎と二人で遊園地に行き、ジェットコースターに乗っている中で「好きよ、光太郎さん……。私はあなたを愛してる。」と告白とも取れるつぶやきをする。その言葉を光太郎の強化された聴力が拾い、「愛してる……。」と言葉を反復することで、亜矢子の心臓の鼓動を早まらせる。
遊園地を始めとして、映画、食事のあと、最後に六本木のディスコで踊っていると、自分の身の上を負い目に感じた光太郎が気後れし、ノリが消えたことで、他の女性のことを考えていたのではないかと疑い、機嫌を損ねてしまう。しかし、結局は落ち込んだ光太郎を心配し、似た者同士であることを理解し、「光太郎君、これからもずっとつき合ってね。」と約束を交わし、乾杯する。
連日のデートで順調に交際を続け、亜矢子は光太郎を心の拠り所とするようになるが、二度の失踪と怪人との遭遇から、光太郎は亜矢子を疑い始め、調べるうちに亜矢子が自分と同じサイボーグではないかと勘ぐる。
そのことを亜矢子に告げると、ショックのあまり駆け出して、父親を問いただした末に事故現場で心中を図ろうとするが、ゴルゴムに捕らえられてMADソルジャーへと改修され、仮面ライダーBLACK抹殺という指令を受ける。
光太郎の自宅で帰りを待ち構えていた亜矢子は、その愛らしい微笑みで光太郎を困惑させる。初めて会った日の夜の海での亜矢子の姿が忘れられない光太郎は亜矢子と再び海へ行き、立ち尽くして夕日を見ている亜矢子を見ながら、彼女がサイボーグだとしても自分が愛した亜矢子だということに変わりはなく、このまま二人で海の中で思う存分抱き合い、ひとつになる、と考える。
度々時間を気にして、「おなかがすいたの。」という亜矢子を連れて光太郎は松林の中のスナックに移動し、「二人きりに……なりたい。」と体を寄せて誘惑してきた亜矢子と、店員の目もはばからず抱き合う。
「もっと強く!」とせかす亜矢子のリクエストに答え、豊かな乳房の弾力が伝わるほどに抱きしめると、亜矢子の体内から”私はマッド・ソルジャー。仮面ライダーをたおすのを本分とする。”という声が聞こえ、愛の終局を悟る。
その後は身を引いた亜矢子に魚の群れが飛びつき、最終形態であるMADソルジャーへと変身を遂げ、光太郎も仮面ライダーBLACKに変身して応戦し、激しい戦いの後、哀しくも愛する亜矢子を失う形でゴルゴムの刺客に勝利するのだった。