解説
貨物及び人間の航送を行なう船の総称であるが、一般的に旅客航送と同時に乗用車等の運送を行なうカーフェリーのことを指し、客船や貨物船、さらには貨客船などを含まないことが多い。
日本における運用
近距離、例えば湾内および近距離の離島をつなぐ渡船で使用されるこの種の船舶もこれに含まれるが、語彙としては長距離カーフェリーに使われることが多い。日本の定期n中長距離航路は伊豆諸島及び小笠原諸島との航路を除き全てカーフェリーとなっている。
2010年以降、高速道路の1000円通行実施の影響や、対抗交通手段( 新幹線、高速バス、航空機 )の追い上げや各種交通インフラの整備により減少傾向にあった。現在は下げ止まっているが、例えば第三セクターであった明石淡路フェリー、愛称:たこフェリーは経営断念し、高速船での運用に切り替えられた航路や、沖縄-台湾間を運営していた有村産業が倒産し航路も廃止された事例も存在し、交通手段の変化により往時の勢いまで回復しきれてはいない。
他方、離島支援の見直しもあり、短距離離島航路においてはコミューター航空機を撤退に追い込むなど活躍を見せる。これらの手段では高速船の一種ジェットフォイル( 別名ボーイング929、軍用のミサイル艇をベースにした旅客用水中翼船、川崎重工に全面的に移管され、1995年まで製造 )などの使用も多い。
また日本では寝台列車および夜行列車などがほぼ壊滅する中、国内便で「寝て乗れる」「一昼夜を過ごせる」手段としても長距離フェリーは貴重な存在である。多くのフェリーでは、大食堂・大浴場・ゲームコーナーや売店・展望スペースなどの公室に、シティホテル並みかそれ以上の個室( 特別室、スイート )>ビジネスホテル並み設備の個室( 特等 )>個室( 一等 )>ベッド( 2等寝台、半個室と二段ベッドの二階級構成が多い )>雑魚寝部屋( 二等 )といった等級ランクに分かれた客室、というのが定番であったものの、対立交通機関に対抗するため客室の単一クラス化・食堂サービスをセルフサービスの売店化する船舶が登場するなど省サービス化による運営コスト圧縮が進む傾向にある。
一方で利用客の単価上昇を狙うため、最近では展望風呂・トイレ付で52平米( 太平洋フェリー「ロイヤルスイート」 )もある部屋を用意したり、二等雑魚寝部屋を廃止し全室寝台ないし個室としたり、公室でも露天風呂やサウナを装備( いずれも新日本海フェリー )するなどの新しいサービスも見られる。全体的には客室内のテレビ設置や内風呂の設置・拡張、下位寝台においてもプライベート重視の改善が全社を挙げて進められている。また、公室として展望プロムナードやシアターラウンジなどの設備も見直し、改めて力を入れている例もある。
なお、90年代まで長距離フェリー定番の設備の一つだったプール( 冬季はジャグジー )は、現在の船舶ではただ二隻を除き国内から消滅した。
また、下関や博多から大韓民国の釜山へ、大阪・神戸から上海へと向かうなどの国際航路も存在する。
主な航路
- 大洗~苫小牧:商船三井フェリーさんふらわあ
- 名古屋~仙台~苫小牧:太平洋フェリー
- 敦賀・舞鶴・新潟~小樽:新日本海フェリー
- 敦賀~新潟~秋田~苫小牧東:新日本海フェリー
- 八戸~苫小牧:シルバーフェリー
- 青森~函館:青函フェリー・津軽海峡フェリー
- 新潟~佐渡:佐渡汽船
- 東京~徳島~新門司
- 東京~志布志( 鹿児島県 )~奄美大島~那覇:マルエーフェリー
- 久里浜( 神奈川県 )~金谷( 千葉県 ):東京湾フェリー
- 神戸~小豆島~高松:ジャンボフェリー
- 神戸~大分
- 神戸・泉大津~新門司:阪九フェリー
- 大阪~新門司
- 大阪~別府
- 大阪~宮崎
- 大阪~志布志
- 神戸~大阪~奄美大島~徳之島~沖永良部島~与論島~那覇:マルエーフェリー
- 和歌山~徳島:南海フェリー
- 下関~釜山:関釜フェリー
- 博多~釜山:カメリアライン
- 鹿児島~桜島:桜島フェリー
- 鹿児島~奄美大島~徳之島~沖永良部島~与論島~本部(沖縄県)~那覇:マリックスライン
関連タグ
太平洋フェリー 駿河湾フェリー 南海フェリー 津軽海峡フェリー マルエーフェリー さんふらわあ