概要
1973年7月4日〜1974年3月27日に全39話が放送。放送局は日本テレビ。
当時の特撮作品は、大人気だったウルトラシリーズや仮面ライダーシリーズ等や、他社の特撮作品といかに差別化を図れるかがポイントであった。本作では「人間が搭乗して操縦する巨大ロボ」という新機軸を打ち出した意欲作である。
こう書くと、前年に放送されていたマジンガーZに端を発するロボットブームの影響と思われがちだが、企画自体はマジンガーZよりも先だった。
宣弘社の特撮作品「アイアンキング」の次回作となり、西部劇風のアイアンキングとは対照的にスパイアクション、ガンアクション、カーチェイスを取り入れていた。
興行的には成功した作品だが、スポンサーの都合で製作費が回収できなくなり39話で打ち切りになってしまった。これはその後のスーパーロボットマッハバロンや小さなスーパーマンガンバロンも同様だった。
1994年にリメイクアニメ「レッドバロン」が放送されたが、一部固有名詞とレッドバロンの外見を除けばほぼ別作品となっている。
ストーリー
世界征服を目論む暗黒結社「鉄面党」は、日本で行われていた万国ロボット博覧会に展示されていたロボットをすべて強奪。同時にロボット製作者を次々に誘拐、科学秘密特捜隊SSIの隊員・紅健の兄である健一郎博士も拉致されてしまう。
しかし健一郎は、自身が制作したロボットレッドバロンを鉄面党に渡すことを拒否し、自分の命と引き換えにする形で健に託す。
健は兄に託されたレッドバロンを操縦し、鉄面党のロボット軍団と対決する。そして鉄面党侵略ロボットの弱点を探る為、科学秘密捜査隊SSIのメンバーがロボット兵士・メカロボと戦っていく。
やがて、鉄面党は宇宙からの指示で活動していた事が明らかになる…
登場人物・組織
SSI
- 「現代の忍者の資格を持つ」とナレーションで語られた特捜チーム。本放送時の設定では国連の秘密下部機構とされる(国際本部がニューヨークに存在、極東支部が東京の「大郷自動車修理工場」の地下に有る)。
いわゆる「国際公務員」である。「SSI」そのものは「科学秘密捜査官」の略称で、人々の平和な生活を乱す凶悪な敵を暴き、これを葬り去る事を使命とする。その為、普段は市井に紛れる為に別の仕事をしているが、それで生計を立てている訳ではない(大作とかは―勤務的に―クビにされてもおかしくなさそうなのだが…)。
浜松の地下に巨大な秘密工場を有し、(アルミニウム合金製のダミーロボットとは言え)レッドバロンの2機目を建造できた事はこの辺りにも理由が有る。
極東支部は第27話以降「地球防衛隊」に編入される事になるが、これは(レッドバロンを含めた)人材/資材の「貸し出し(出向)」扱いになるらしい(地球防衛隊は作中で詳細が語られなかったが、「万国ロボット博」からの鉄面党によるロボット強奪と、それによる被害に対する「世界各国の水面下での活動の結果」らしい。運営が軌道に乗り始めた所で敵が宇宙鉄面党に変わった…そう言う事の様だ)。
- 紅健(演:岡田洋介)
レッドバロンを開発した紅健一郎博士の弟。設定年齢18歳。普段は「大郷自動車修理工場」の修理工として住み込んでいる。指紋認証と声紋認証によって、レッドバロンを操縦出来る唯一の人物である。
なお、紅家には彼の下に「健三」(演:黒田英彦)と言う弟がいたが、第1話で(4年前に)鉄面党に誘拐され両親共々デビラー総統に処刑されていた事が明らかになっている。…後述の通り、父の健太郎博士は生きていた(と言うより「生かされて」いた)のだが…。そして、あろう事か最終3話では(その存在を)「忘れ去られて」しまった。※健がSSI入りした背景には「自らの手で拐われた両親と弟を救い出す」決意が有った模様。
- 松原真理(演:牧れい)
SSIの紅一点でミニスカのヒロピン担当。設定年齢18歳。普段は通信社のカメラマン。中盤からムチを武器にして戦う。紅健とは周囲も公認の恋人同士だが、第11話では鉄面党指揮官「(怪老人)鉄腕アンクル」(演:泉田洋志)にこの事を利用され、図らずも健とレッドバロンを窮地に追い込んでしまう。
- 坂井哲也(演:加藤寿)
設定年齢20歳。普段は自動車のセールスマン。クールな射撃の達人で、紅健のライバル的存在(第12話では「キラーQ(演:水木梨恵)」に射撃の腕を狙われ、表の仕事で誘い込まれて洗脳、小田切博士(演:杉山渥典)を射殺してしまい、その決着を付ける為にSSIワッペンを返上して単身キラーQを追撃した。本話は殆ど加藤氏のプロモである)。宇宙鉄面党編ではコメディリリーフ的側面も見せる様になる。
- 堀大作(演:穂積ぺぺ)
設定年齢19歳。普段は通信社の原稿運び。ムードメーカーだったが、鉄面党基地の所在地を突き止めるもデビラーに捕まり、挑発までしたために人間爆弾(右腕にガントレッド式の爆弾が組み込まれた)に改造される。その後どうにか脱出し、メンバーに鉄面党基地の場所を伝え、壮絶な爆死を遂げる。大介(演:丸山久和)と言う弟がおり、彼は最終回まで続投した。
- 大郷実(演:大下哲矢)
設定年齢35歳。普段は「大郷自動車修理工場」工場主(第17話冒頭の健とのやりとりから弱冠ワーカホリック気味の傾向が窺える)。通称キャップ。SSIのリーダーとして指揮を執る。デビラー総統を一騎打ちで倒した後、負傷によって誤って緊急脱出用のスイッチに触れてしまい、宇宙鉄面党本部へ連行されることを知る。そして宇宙鉄面党の存在を告げ、捕虜になる前に自爆した。
- 三神史郎(演:潮哲也)
設定年齢:27歳。再組織されたSSIの司令として招かれた人物(ニューバロンニウムの開発を行った矢沢博士の一番弟子)。宇宙ロボット工学の権威。宇宙活動装備スペースウィングスを開発した科学者なのだが、バイクに乗って前線で戦闘員とも戦う熱血漢でもある。人は彼をライオン丸と呼ぶ。
気さくな性格である反面、「博士と呼ばれるのは嫌い」とのことから、「三神さん」と呼ぶよう強制させている。
- 熊野一平(演:玉川伊佐男)
設定年齢:40歳。警視庁科学捜査課課長。どこにでも自転車に乗ってやってくる警視庁の警部で、通称「自転車刑事」。自転車に仕込まれた武器(主に剣とバズーカに分離する空気入れ、ライフル兼シールドになる傘の二つ。発明狂でもある警部の作品でもある)で鉄面党と戦う。
第4話で(レッドバロンの兄弟機とも言える)「(公害監視汚染除去ロボット)飛龍」ですら熔解、爆発した摂氏10万度の灼熱地獄から生還したレッドバロンを「赤い不死鳥」と讃えた張本人である。
- 水木ひかる(演:雨宮貞子)
熊野警部の部下の女性警官(フランス帰り)で初登場の第18話では当初「謎の人物」として暗躍していた。設定年齢等は残念ながら不明。
- 紅健一郎(演:石田信之)
設定年齢:26歳。健の兄で万国ロボット博日本代表の飛龍の開発者。4年前の両親と健三の誘拐/行方不明事件に際し、背後に動く巨大な敵の存在を感じとり、密かにレッドバロンの開発/建造を行っていた。
鉄面党に誘拐され、そこで対面したデビラー総統から両親と健三の末路を突き付けられレッドバロンの譲渡を要求されるが、これを拒否した為、奴隷人間(首輪型爆弾を植え込まれた)にされる。バロン確保の為に解放されるがデビラーの命令を拒否して健にバロンを与えトロイホースを倒した事で健の目の前で処刑されてしまったが、これは当人も覚悟の行動だった。
…実は初期企画案では彼が本作の主人公だった。
鉄面党
- 組織についてはリンク先を参照。
- デビラー総統(演:伊海田弘)
数年前に失踪したと思われていたロボット学者だが、巨大ロボットを使って世界征服を企む鉄面党の総統となっていた。だが実は宇宙鉄面党に操られていたサイボーグであった。
「フレミングの右手の法則」を体現した銀色の右手は中指に三つのスイッチが有り、メカロボの爆破等様々な機能を果たす。また、その内側には「骨格に赤黒い血肉が纏わり付いた様な」奇怪な右手が有り、そこから高熱を発して大作や大郷に傷を負わせている(但し、本来は赤熱化を表現する合成を加えるべき所を処理し忘れるミスや大作の顔に押し付けられる件の右手を「銀色の手袋」が握っているのが見切れているミスが有る)。
尚、伊海田氏は最終3話では坂井哲也の父役で出演している(この時の富士山麓ロケはスタッフ、出演陣の慰安旅行を兼ねていた為と思われるが詳細は不明。「若駒冒険グループ」内のヒエラルキーの関係か?)。
宇宙鉄面党
映像上では第24話でデビラーの前に現れた「宇宙からの使者」エンジェルキリー(演:鈴木和夫)が述べた自らの素性から、SSIメンバーには第26話に於いて存在が判明した鉄面党の上位組織。惑星間航行能力を持つ宇宙ロボットを主軸に地球を攻撃する。最終回に於いて地球は(あくまでも宇宙征服の為の)「兵器の実験場」としか見なしていなかった事が判明する。
火星に本拠が有る展開は打ち切り決定に因る設定変更が原因(上原正三氏に因る設定では「鉄面党銀河連邦」の名が冠せられており、先述のエンジェルキリーの口上にその名残が有る「鉄面党銀河連邦総本部から来た、エンジェルキリーだ‼」)だが、放映当時の雑誌連載記事「レッドバロン=ニュース」に於いて、宇宙鉄面党の紹介と合わせて「火星に本拠が有る」件がネタバレどころではないタイミングで発表されている。これはメインスポンサーの「日本空気販売」のオイルショックの影響に因るスポンサーからの撤退に起因する番組終了が1973年11月の時点で決定していた為と見られる(撮影は二本を二週間で行うが原則、制作開始から本放送まで三ヶ月かかる事を考えると大体の事情が判る筈である)。
- 紅健太郎(演:高桐真)
紅健の実の父親で、宇宙鉄面党火星基地の最高幹部に就いていた。身体はサイボーグ化され、頭脳はギラスQによって洗脳されている。最終回の展開は「ジェダイの帰還」に似ている。因みに第1話では演者が異なり(高桐氏は、むしろ「若返って」いる)、全話通しで視聴すると違和感満載である。
ギラスQの惑星ミサイル計画をアシストするもギラスQが一旦破壊されたことで洗脳が解け、レッドバロンと健を援護し宇宙鉄面党の壊滅に貢献。地球に帰還後、火星との気圧差によって人工心臓が異常を起こし、レッドバロンを操縦したいという願いを残したまま健の背中で息絶える(三神曰く「機械仕掛けの明日を拒否された」)。
- ギラスQ(声:依田英助)
宇宙鉄面党総統。その正体は火星基地の全システムを司るスーパーコンピューター。本体が破壊されてもコンピューターの働きで5分後に次のギラスQが誕生する。いつ誰が作ったのかは一切不明。惑星ミサイル計画(衛星フォボスに推進装置を付け地球にぶつける「質量兵器」。ぶっちゃけ「遊星爆弾」である)を成功させた後に全宇宙征服に乗り出そうとしたが、紅健太郎によって軌道を変えられた惑星ミサイルが火星の本部に命中したことで爆発四散した。
尚、依田氏のアテレコに因るギラスQの台詞は第30話での(入院中の健の元に集まったSSIメンバーへの)降伏勧告が初。後は最終話でのそれだが、最終3話では浅井鉄夫氏演ずる「鉄面党セールスマン:地球0321号」の吹き替えも行っていた関係か、甲高い機械音声風に加工されていた。
ギラスQ本体は人間の脳を思わせる形状のユニット(大きさも人の頭程)で、その周囲に再生システムを兼ねたバックアップユニットが存在するが、実はこれ、お役御免になった新SSI作戦室のセットに先述の「本体」を設置、撮影画像をネガポジ反転したものだった。
レッドバロン
身長 | 45.0m |
---|---|
体重 | 150.0t |
飛行速度 | マッハ10 |
走行速度 | 時速500km |
水中速度 | 500ノット(劇中では披露せず) |
出力 | 100万馬力 |
※現在ネット上で「身長:40メートル」とする記載が有るが、これの論拠になっている資料は放送開始直前の雑誌記事である。放映版とは一部設定に食い違いが有る為注意が必要。1980年代から2000年代初頭の書籍資料では、日本テレビが放送直前に関係先に配布した公式資料を元に上記の「身長:45メートル」に統一されている。
鉄面党の侵略を予感した健一郎博士が、4年の歳月をかけて制作したロボット。動力は原子力(設定では「小型中性子ロケットエンジン」とされているが、スタッフ的にも判りにくい設定だったらしく劇中では「原子炉」としか呼ばれていない)。
燃料は必要ないが、計器類の潤滑油として「特殊オイルBR70」が必要。ボディは摂氏10万度もの高熱に耐えきる超合金バロンニウムで構成されている。24話から(2倍の性能を持つ)ニューバロンニウムに換装された(そんな素材、どうやって加工するんだ?!と突っ込みを入れた貴方は間違っていない)。※全身の換装は七項目の強化作業「レッドバロン七つの秘密」が実行された25~26話において。
起動には指紋と声紋が必要で、事実上健以外は操縦できない(21話では「電子頭脳の回路を組み換える(操縦用の計器盤が登録回路を兼ねていた)」事で登録を初期化する手段を鉄面党に採られ、あわや奪われる所だった。さらに、29話では亡き弟の健三を思わせる少年=天野シゲル(演:山崎亮一)に擬態した宇宙鉄面党の「戦闘員3号」に指紋と声紋をコピーされ、レッドバロンが侵略の尖兵となる悪夢が現実となった)。出動時には通信用ブレスレットで「レッドバロン、出動!」と叫べば自動的に飛んできて健のもとにやってくる。健が左目の奥にあるコックピットに乗り込み、「ファイトレバー、オン!」の掛け声で起動する。搭乗口は左足側面と首の左側面の二ヶ所、コックピットまではエレベーターで繋がっている(搭乗口の撮影用セットは「妙に小さい」のだが、設計寸法を間違えたまま作ってしまい、スケジュール的にもそのまま使わざるを得なかった様だ。初期設定ではレッドバロンは「身長15メートル」だった事が遠因と思われるが、それにしても小さすぎる)。
第4話以降、敵味方共に「赤い不死鳥」もしくは「赤いフェニックス」の別名でも同機の事を呼ぶ様になる。
必殺技
- エレクトリッガー
頭部両側面の突起(便宜上、以降「耳」と呼称)の両端に出現した電極に右拳→左拳の順に接触させた後、腹部バックル上で両拳を合わせた状態で放つ一億ボルトの高圧電流。
第2話や第11話では計器盤のダイヤル操作で精密照準を行っており(弄っていたダイヤルはその都度異なる)、この事から電極ユニットに可動式の同軸レーザーが存在し、これから放たれた不可視レーザーで射線上の大気を電離、導電路とする事で誘導していると考えられる。
電極ユニットは(正確な事は不明だが)両耳が展開すると共に電極ユニット自体も変型する形で出し入れされているのだろう。
ユニットの「取って付けた感が凄い」件は制作サイド的には「アタッチメントの一環」として捉えていた部分も有る様だ。
- バロンパンチ
両拳を合わせた後「爆弾ワイプ」で「青地に赤のサイケ模様(第5話以降は「薄い青地に朱色の渦巻きが回る」パターンに変更)」に白抜きで表示された「バロン(上段)パンチ(下段)」の文字をぶち抜く形で両拳が画面を埋める演出がインパクト大の攻撃。
機構的には下腕部を肘から手首にかけて袈裟斬りにした状態で分離、その分離した腕部が切断面で合体した「V字型の飛行物体(拳は左右並んでいる)」で攻撃を行う物。形状から想像が付くと思うが重力/慣性制御で飛行している。
レッドバロンは手甲部に小型ミサイルの連射機構が有る為、トロイホースの「ブーメラン速射砲(分離した両脚がブーメラン状に合体、爪先からのロケット噴射で回転しつつ閃光状の爆撃を連射する)」の様な浮遊砲台としての運用も可能な筈だが、その用法で使われる事は無かった。
- バロンミサイル
胸部の逆三角形のハッチをはね上げ打ち出されるミサイル。「メカのからくりを見せる」演出方針からバロン内部のミニチュアセットが作られ、腹部弾薬庫からミサイルがリフトアップして発射口までガントリーで運ばれる様が丁寧に描かれた。
ただ、この描写から判る通り「ハッチの一枚裏は弾薬庫」であり、第15話でプロトアンデスのドリルミサイルが左胸に(ハッチを破って)刺さった際やスカイシャークの「アシッドファイヤー」に左胸から左上腕の装甲が溶かされた際等にバロンが爆破される危機が有った為、「レッドバロン七つの秘密」の一環として胸部装甲の内側にシャッター式の防御装甲が追加されている(第25話の改造シーンで確認できる…が、実は話の流れでは「ここ」に入らねばならないのは「レッドバロンの(改造の為の)解体」シーンであり、どうにもスタッフ間の意志疎通が巧く行っていない印象が有る)。
設定では左右合わせて最大12発の搭載だったらしい。ちなみに射程は5万メートル。
- バロンビーム
喉の空調ダクト状の部分(放映前は「温度調節装置」とされていた)から空手の貫手のモーションと共に繰り出す青色の破壊光線。第6話から使用。
- バロンハンマー
- バロンブレイク
100万馬力の体当たり。
- バロンバリヤー
防御バリヤーの一種だが、第1話と第6話以降で描写が異なる。第6話以降は(平手状態の)両腕を交差させた後、外向きに振り下ろす形で全身に展開する「多角柱状に明滅するオレンジ色の電磁バリヤー」だが、第1話では飛行中のレッドバロンにトロイホースが頭部を分離飛行させて攻撃を仕掛けた際、バックルを中心に時計回りに機体を高速回転する事で背中の上に「バックルの上で両拳を合わせたレッドバロンの上半身」の虚像が出現(?!)、トロイホース頭部の放つ光線を反射して、これを墜落させた。・・・どうしてこうなった?
- プラズマビーム
初期企画書の時点から存在する武器だが、映像では最終話でようやく登場、かつ効果音と(ネガポジ反転による)映像処理だけで済まされてしまった為、正体不明の武器としてネット上等では扱われてしまった。
予定では、バロンミサイル発射口に砲身となる誘導放射アタッチメント(内蔵型)をセットし、太陽光線を集束変換したプラズマエネルギーを攻撃対象にビームとして放つ物だったらしい(ビジュアル的には企画資料等の形で野口竜氏が描いた「胸から電極が出て放電しているレッドバロン」と似た形になる様だ)。
- アームミサイル
第7話で反撃の切り札として登場した武器。右腕の内部を台架に載せられたミサイルが移動し、突き出した拳が「指を割る」形で甲側と掌側に割れて開く事でミサイルが露出し撃ち出される(レインボーショットの添付画像参照)。・・・いや、おかしいだろ!?(開き方が)
放送前の資料では(バロンミサイルを主砲としての)「副砲」の扱いで両腕に搭載されている事になっていたが、何故か設定が変更されたらしい。射程は3万メートル、装弾数は左右8発(「各」なのか「合わせて」なのかは不明。一応、劇中での最大連射数はどちらの説でも矛盾しない)。
- レインボーショット
第37話で火星行きが決まったレッドバロンに三神博士がアームミサイルと入れ換える形で右腕に搭載した新兵器。七色の爆弾を撃ち出す物だが、ディモスZに付着した際の様子から「明治マーブルチョコレート」を彷彿とさせる(赤、緑、青、黄、紫、橙、白の各一色)プラスチック爆弾の一種らしい。
起爆装置は遠隔信管と近接信管の二種が確認されている。バロンとの衝突軌道に有った流星群を無害化した他、「ロボット電送機」の支援を失った上に弱点の「火炎面の右目(そこにヒューズが有る、からだそうだ…)」にダメージを受け機能不全に陥ったディモスZを完全破壊している為、その威力は凄まじいと言うより他は無い。
アームミサイルと入れ換える形で搭載された理由だが、まず「弾の補充が出来ない為、予め少ないスペースに大量の弾を用意しておく必要が有る」点と「そもそも宇宙や火星ではエレクトリッガーやバロンミサイル、アームミサイルは使用できない(ミサイルは誘導制御に空力を併用している為、エレクトリッガーは導電体となる大気成分の有る環境でないと使用できない)」点が挙げられる。
- バロンキック
空中に飛び上がってから繰り出すドロップキック・・・なのだが、描写に問題がある。
本作におけるロボットの「キック」は、レッドバロンは3尺(約90センチ大)のミニチュア、敵ロボットは着ぐるみをワイヤーで吊り上げて、上昇シーンを撮影後、仰向けに寝かせた状態でワイヤーを付け直し除夜の鐘の要領で「足の裏を相手にぶつける」物だった・・・(流石に次回作では普通のキックになっていたが)。
- ジェットファイヤー
- アースマーカー
- ドリルアロー
- バロンフルパワー
各話リスト
話数 | サブタイトル | 登場ロボット |
---|---|---|
1 | ロボット帝国の陰謀 | トロイホース、ブラックマサイ、ビッグバイソン |
2 | 激突!バロンブレイク | ブラックマサイ、ビッグバイソン |
3 | 切り札はアンドロイドX | アグンガルーダ、飛龍、アンドロイドX |
4 | 必殺!フェニックス戦法 | 飛龍、アンドロイドX |
5 | 打倒!謎のロケット作戦 | 豪龍 |
6 | レッドバロン戦斗不能 | バイキング3世 |
7 | 秘密兵器は赤い風船 | ブリザード7 |
8 | 無敵!砂漠の魔王 | ベドウィンG |
9 | 霧のウラン鉱争奪戦 | ベスビオスY |
10 | 逆襲!破壊光線 | マウマウ |
11 | 美しき暗殺者 | ガルニゾンエース、鉄腕アンクル |
12 | この一撃に命を賭けろ! | エレキアマゾン、キラーQ |
13 | 五大都市爆破10分前 | マッキンレーV6 |
14 | 不死身ロボットの謎 | キングジョンブル、ロボター |
15 | 予告された罠 | プロトアンデス |
16 | 鉄面党脱走犯E16号 | アイアンクロスG |
17 | 悪魔の書いた話 | グランマタドール |
18 | 見よ!レッドバロンの最後 | ラジャスターン |
19 | 美しき悪魔の操縦士 | マグマウルフ |
20 | 危し!SSI | スフィンクサー、モデルロボット |
21 | レッドバロンを改造せよ | エスカルゴス |
22 | レッドバロン危機一髪 | モンゴルスター |
23 | 宇宙からの挑戦状 | スカイシャーク、エンジェルキリー |
24 | 破れ!宇宙の必殺兵器 | スカイシャーク、エンジェルキリー |
25 | レッドバロン7つの秘密 | キングデビラー |
26 | 鉄面党デビラーの最後 | キングデビラー |
27 | 宇宙ロボット襲来 | マーズサターン |
28 | ゴールドフィンガー | ゴールドフィンガー |
29 | 鉄面党ロボット三兄弟 | ベムパンサー1号、ベムパンサー2号、ベムパンサー3号 |
30 | レッドバロンをあやつる少年 | ベムパンサー1号、ベムパンサー2号、ベムパンサー3号 |
31 | 恐怖のリンゴ爆弾 | デビルゴースター |
32 | リモコン戦車襲撃開始 | マースバード |
33 | 宇宙ロボット蜘蛛の怪 | スパイダーロボ、ドンキーワン |
34 | 裏切りの宇宙特急便 | スパイダーロボ、ドンキーワン |
35 | 恐怖の吸血ヴィールス | ドラキバット、ドラキュマン |
36 | 国際本部から来た男 | ドラキバット、ドラキュマン |
37 | 宇宙から来た父の手紙 | ディモスZ |
38 | レッドバロン火星に遭難 | ディモスZ |
39 | 機械じかけの明日 | ディモスZ |
ロボット造型
レッドバロンのメインの着ぐるみがグラスファイバー製で当時の価格で200万円した事は有名である(川崎製鉄で製作した物をヒルマモデルクラフトが手直しした物だが…ぶっちゃけ『ただの』FRPであり話題作りの意味しか無かった。当時のヒルマは製作ノウハウを持っていた筈である)が、ラテックス/発泡ウレタン製のアクションスーツも都合2種造られている(対ガルニゾンエース戦が印象深い『前期型』と第19話から使用された『後期型』の2種。後期型は『テレビマガジンヒーロー大全集』P.211で「アトラクション用」と誤報されている)。
また、敵ロボットの着ぐるみはヒルマモデルクラフトの他、高山良策氏の「アトリエ・メイ」やアルファ企画、コスモプロ、エキスプロ等に発注されていた。
造型元(発注先)が判明しているロボットは以下の通り。
高山良策
ベスビオス、ガルニゾンエース、エレキアマゾン、グランマタドール、ラジャスターン、スクィンフサー、モンゴルスター、キングデビラー、マーズサターン、デビルゴースター、スパイダーロボ、ドラキバット、ディモスZ
ヒルマモデルクラフト
ベドウィンG、マウマウ、マッキンレーV6、キングジョンブル、プロトアンデス、アイアンクロスG
制作の経緯と初期企画書
そもそも本作は当時日本テレビとその関連会社の社員だった「斎藤汎司」氏(日本テレビ)と「渡辺一彦」氏(日本テレビ音楽)の二人が「マーチャンダイジングの目玉となる自社制作の特撮番組が無い」と部署が全く異なるにも関わらず企画に乗り出した物である(ある意味「同人活動」)。この過程で創刊間もないテレビマガジン経由で野口竜氏の協力を得るが、一度「別の窓口から売り込みをかける」等実際の制作が軌道に乗るまでには紆余曲折が有った。
また、放送枠の決定については、実は「白獅子仮面」も関わっている。1972年の秋、宣弘社は日本テレビ編成局長から「日本テレビの若手社員が考えたロボットものの企画がある。宣弘社で枠を買い取り、制作してみないか?」「しかし、その条件として『(スポンサーがつかず、お蔵入りしていた)白獅子仮面』の枠をまずは買い取って欲しい。そうすれば、その後の水曜日19:00枠を空ける。そこで、そのロボットものの番組を放送しよう」との相談を受ける。結果的にこの案を飲んだ形になった訳だが・・・(ここでも紆余曲折が有った模様)。
さて、初期企画書である。本作が「ジャパン・ホーム・ビデオ」から全話VHSソフト化された際、全巻購入特典として複製品が購入者に配付されたのだが、その内容は放送された物とは大きく異なる。
「敵が万国ロボット博から奪ったロボットを改造して攻めてくる」「主人公側が奪われる前のロボットの情報から弱点を攻めるが、当然その対策を敵もしている為、虚々実々の駆け引きが生まれる」点に変化は無いが、それ以外は大幅に異なる。
初期企画書版の設定
- レッドバロン
小型中性子ロケットエンジンを動力として様々なアタッチメントを装着することが可能、それにより地上、水中、空中の戦闘能力は倍加する。
重量 | 150トン |
---|---|
全長 | 15メートル |
馬力 | 100万馬力 |
速力 | 空中・マッハ10、水中・500ノット |
武器:プラズマビーム(太陽エネルギーをプラズマ状の粒子の束にして発射し、あらゆる物を切断する)
エレクトリッガー(自ら赤熱し、相手に1億ボルトの電圧をかけ爆砕する)
水中戦(高濃度特殊ナトリウム弾を発射し敵を爆破する)
操作:通常は指令室のコントローラーより特殊誘導波を発し、操縦するが、万一コントローラーよりの誘導波が途絶えても、超高性能コンピューターを内蔵しているので指令無しで自ら戦闘状況に応じてあらゆる戦闘を行える。ただし、そのタイムリミットは30分。
- 紅健一郎(28才)
世界的ロボット工学の権威である日比野博士の秘蔵っ子。25才で早くもロボット学会で注目されるべき論文を発表したが、その設計図にみられた性能は、その戦闘能力の高さにおいて驚くほどの物であり、その点を博士に批判され研究所を飛び出してしまった。以来、東京近郊の山奥に研究所を建て秘かにスーパーロボット・レッドバロンを制作していた。
- 紅光二郎(24才)
健一郎の弟。夢の動力といわれた中性子ロケットエンジンの開発を世界に先駆けて手掛け、遂にレッドバロンの動力として応用する事に成功した。兄に劣らぬ優秀な青年科学者。冷静沈着な兄にくらべ血気盛んな若者。
時には独断専行する事もあり、他の四人をハラハラさせる。
- 草野大介(28才)
紅健一郎の大学時代からの親友で熱線工学、高圧電子工学専攻。スポーツ万能の大男で射撃はもとより柔道、剣道、空手など日本武道も超一流の腕前である。それもそのはず、元モントリオールオリンピック近代五種チャンピオンでもある。
なりに似合わず、ムシが大嫌いで、いつも昆虫などを追い回している松原みどりにからかわれている。彼はロボット戦において戦術参謀とも言うべき役割を担う。プラズマビーム、エレクトリッガーは彼の開発による。
関連タグ
特命戦隊ゴーバスターズ…巨大ロボット(実は盗品)を送り込む侵略者が現れ、あくまでメインは巨大ロボ戦でありつつも、作戦の都合で等身大のスパイアクションが発生する作品。
仮面ライダービルド…赤い不死鳥なロボットがいる。他にもタイトルロールのキャラの顔が「包帯を巻いた」様なデザインな点や「科学と人間の関係性」、「死んだと思われた主人公の父が(敵に与する形で)生きていた」等いくつか共通点が有る。
冥王計画ゼオライマー…原作者が本作の大ファンなのはマニア間では有名。事実、原作コミック版は本作のオマージュがそこかしこに有る。