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語り手の編集履歴

2020-06-21 21:49:18 バージョン

語り手

かたりて

語り手とは、物語を描写するための物語内の存在のこと。

概要

 「語り手」とは、物語を描写するための物語内の存在のこと。

 小説ライトノベルといった文学作品で『「地の文」を担当するキャラクターとするのがわかりやすいだろう(厳密には文学の世界では「三人称の語り手」「神の視点」なるものも存在し、この場合は作中に地の文担当がいないことになる。ピクシブでこのあたりの真面目な議論は需要は無いだろうし、ここではとりあえず割愛する)。


 一般には物語の主人公が担当することが多いが、シャーロックホームズシリーズのワトソンのような「作中のヒーローではなく、一般人の視点と感覚を持った人」が担当することもしばしばである。ライトノベルなら涼宮ハルヒシリーズのキョンが近いかもしれない(尤も、ハルヒはトラブルメーカー側なので、そもそも主役に向かないが…)。


 基本的には漫画アニメにはあまり意味のない概念で、せいぜい「語り手の独白があっても他者の心中を直接確認はできない」程度である。何故なら視覚を介して物語についての十分過ぎる情報が入ってくるため、「語り手が世界をどう見ているか」は殆ど度外視して物語に没入できるからである。

 このことはメディアミックスが隆盛を迎えている現代日本の二次元界隈で、原作と他メディアとの作品世界観の解離の要因の一つとも考えられる。原作となる多くのライトノベルは「語り手」を通して物語世界を描いているが、それは必ずしも作者の構想している世界観と同じとは言えない。このことからアニメーターが語り手の世界観に寄せればいいかというと、それは必ずしも正解とは言えないだろう。かと言って、作者や神の視点に近づけるとネタバレすら発生しかねず、物語本来の面白さが失われる危険もある。ここまでくると語り手どうこう以前に何を以て本当に原作に忠実なのかの議論まで必要になってくる。コミカライズやアニメ化は、この辺りの摺り合わせもとても大切なのである。

 また、大半のコンピューターゲーム(特にRPG)は、ゲームの物語を主人公視点でなぞる形となるが、この場合プレイヤーの分身が物語の世界に居て操作できるわけなので、やはり語り手というものはほぼ必要ない。強いていうならサウンドノベルくらいか…語り手がプレイヤーの分身だが、語り手の思考を通してしかプレイヤーは物語世界を認識できないシステムとなっている。

 

 前置きが長くなってしまったが、各論に移ろうと思う。

 真面目な話は無いので、肩の力を抜いて眺めて欲しい。


ライトノベルにおける「語り手」

 「ライトノベルの定義が何か」とかいう自家撞着みたいなところに行き着きやすいが、ここではさしあたって『萌えとかボケツッコミとかが存在する、よくある日本のラノベ』だと思って欲しい。

主な特徴

  • 主人公である。

 物語の世界観に読者を引き込むにはコレが王道だろう。

 ある程度、読者層に共感を持てるキャラクターである必要がある。


 これはある意味当然であろう。語り手の思考回路が不思議ちゃんだったりしては読者はついていけない。

 そして悲しいかな、彼らは宿命的にアニメ視聴者は「濃いキャラに埋もれたOne of Them」になりかねない。何故なら、うすいキャラだから語り部を務めていたのだから。アニメ化を意識し始めたら唐突にメタ発言したり、語尾を変えようとする語り手も居るそうだが、生暖かく見守ってあげて欲しい。

 探偵ものだと助手役で概ねこの立ち位置だが、これは古くからある推理小説も大体一緒である。


  • 現代日本が舞台なら、多少(?)変人でも務まる。

 現代日本が舞台なら、世界観にさほど紙面を割く必要はない。そして常識が通用するなら、語り手が変な奴だったとしても、読者は「あー、いるいるこんな奴」と受け取ることもできる。

 代表格は比企谷八幡あたりか。物語開始早々に独自のぼっち理論を展開、読者視点でもだいぶ拗らせているとわかる。教室の人間関係をぼっち特有の視点で観察したり、彼特有のフィルターでみることも作品の面白さである。


  • 世界観が既知なら、変人でも務まる。

 要するにスピンオフなら、世界観の説明が不要なので、変人だって語り手になれる。

 わかりやすい礼はジョジョの奇妙な冒険のスピンオフ小説「岸辺露伴は動かない」だろう。

 また「東方香霖堂」も東方Projectを知っている人を対象にしている。森近霖之助はどの世界観からみても変人だが、彼独自の視点で見る幻想郷もまた味のあるものである(漫画作品だが三月精はちょっとおバカな妖精視点、茨木華扇本居小鈴は常識人寄りの観点で幻想郷をみているのがわかり、少しずつ世界観が違う。特に霊夢のキャラ。東方Project二次創作が見る人によって変わることを暗に示しているようでもある)。


 媒体を問わずラブコメでは定番だが、語り手にはこの属性は付きやすい。

 何故なら「語り手は異性の気を引こうと打算的なことはしない」のである。やったら読者に必ずバレてしまうわけで、誰かを純粋に想っている場合を除けば、そんな作品は人気が出ないだろう。かと言って恋愛要素やエロ展開が全く無いと、ラノベとしては面白くならないしライトにならない。すると必然的に、語り手は「意図せずモテる」ようになる。

 そして大概の場合、語り手は「異性のアプローチは描写するが、その意味には気づかない(勿論読者は気付く)」ことになり、鈍感かつ天然ジゴロなキャラが出来上がる。

 例外として羽瀬川小鷹は、ほぼこの語り手設定に当てはまりながら、叙述トリックを使った→え?なんだって?


 異世界転生はもとより世界的にみられ歴史も長いとされるが、小説家になろうなど小説投稿サイトで一般人でも容易に小説を世に出せる地盤が整ってから、日本国内では「異世界系」が極端に増えたとされる(要出典)。この手の異世界系の語り手は、殆どこのパターンである。

 何故か? 現代日本の知識がある人間が語り手の方が、世界観が伝わりやすいからである(身もふたも無い言い方をすれば、作者が楽)。ファンタジー世界の人間をファンタジー世界の語り部にしても、物語のリアリティを文章だけで伝えるのは大変なことである。転生者/転移者は、現代日本に照らして異質な設定でも上手く説明してくれる物語の案内役でもあるのだ。

 実はこの意味で、アニメ化やコミカライズでは、画的なもので世界観が丸わかりになるので、主人公の「語り手」という役割はあまり必要がなくなる。現代日本の知識をある程度使い尽くしてしまったキャラなどは、突き詰めると「こいつ転生してきたって設定もう要らなくね?」と見える語り手キャラも、居ることは居るだろう。「表現力の無さを設定で誤魔化した」とか「日本語が低レベルでもアニメ化してしまえば良作になれる」と色々批判があるのもわかる。だが待って欲しい。それでも原作がなければ物語は始まらないんだし、最終的に面白いストーリーになっているならいいんじゃ無いかな?


他、追記あれば。


複数の語り手

 本邦ラノベで代表格は「物語シリーズ」あたりか。

 基本的には阿良々木暦視点が多いが、セカンドシーズン初作の「猫物語(白)」で羽川翼が語り手を務めて以来、様々なキャラクターが語り手を務めるようになる。中には非常に意外な人物も含まれ、キャラクター毎の世界観の相違が物語全体に奥深さを与えている。各語り手キャラの持ち味を生かしつつ、ストーリーに大きな矛盾を生じさせないのは西尾維新の構成力・文章力があってのものか。

 

 「はめフラ」も初期から多数のキャラが語り手を務める。が、これは主人公カタリナアホの子過ぎて(ある意味、信頼できない語り手)、放っておくと物語や世界観がちゃんと伝わらないからかもしれない…主人公の鈍感さを強調する意味もあるようだが。


他、追記ありましたら。


信頼できない語り手

 語り手物語世界を客観視はできないので、ある意味で「全ての語り手の語りは信頼はできない」とも言える。

 ぼっち難聴系主人公などが代表格だろう。阿良々木暦はぼっちを気取っているが、他の語り手を通して実は有名人かつ人気者らしいことがわかり、必ずしも主人公の視点というのはアテにならない部分がある。

 だが、このように呼ばれる語り手の典型は叙述トリックを使う語り手だろう。代表格は「アクロイド殺し」であるが、もはや古典の名作と言って良いこの作品も未だにトリックに賛否がある。物語を作るとき、どこまで語り手を正直にするか、というのも大事な要素なのだろう。


別名・表記ゆれ

語り部:こちらは主に「神話や民間伝承を語り継ぐ職業」を指すことが多いが、本記事と同様の意味でも用いられる。

ナレーター:日本語では少々意味が異なるが、本来英語では語り手をこのように呼ぶ。


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小説ライトノベル

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