ディアブロスとは、『モンスターハンター』シリーズに登場するモンスターの一種である。
通称「角竜」。
概要
飛竜種に分類される大型のモンスターで、主に砂原や砂漠地帯に生息している。
ねじれた2本の角と襟巻状の頭部に、ハンマーのような形状に発達した尻尾が特徴で、飛竜種のモンスターの中でもとりわけ大型の種である。その容姿から「双角竜」とも呼ばれている。
その巨体故か飛行する事は殆ど無く、地中を潜行して移動する事の方がよっぽど多い。むしろその巨大な翼も含めて地上・地中での運動に特化した独自の進化を遂げた種でもある。
その2本の角と襟巻状の頭部は、有名な草食恐竜の「トリケラトプス」を初めとした実在の角竜がモデルである。ただし、ディアブロスの顔立ち自体は現実の恐竜の角竜類とはかなり異なる。
ハンマー状の尻尾は、やはり有名な草食恐竜である「アンキロサウルス」などの曲竜類がモチーフだと思われるが、こちらも実際の曲竜類の尻尾のハンマーとは形状はかなり異なっている。
全身を覆う重厚な外殻は、生半可な武器ではまともなダメージすら与えられない程に頑強。
口にはいかにも凶悪な大きな牙が生えているが、草食恐竜がモチーフなだけあって、実際は飛竜種としては非常に珍しい完全草食性の飛竜であり、サボテンを主食としている。
僅かな差ではあるが、雄よりも雌の方がより大きな体格に成長する場合が多いらしい。
一方でその食性に反して、数いる飛竜種達の中でも指折りの凶暴性を誇り、縄張り意識が非常に強く、ディアブロスの縄張りを内包する砂漠地帯近辺は極めて危険性が高いとされている。
砂漠の自警団を襲撃して全滅に追い込む、国境付近に設けられた防壁を破壊するなど、本種による被害報告は枚挙に暇がない。討伐に赴いた数十人の兵士をまとめて返り討ちにしたという事例すらもあり、ハンターズギルドからも特に危険視され、警戒を呼び掛けられているモンスターである。
その凶暴極まりない性格と、傍若無人なまでに暴れ回る姿から「砂漠の暴君」の異名を持っており、砂漠の生態系においても、他の生物とは別格の強さを誇る種とされている。
強靭な脚力と巨大な双角を活かした攻撃の数々は熟練のハンター達からも恐れられており、中でも脅威である突進攻撃は、岩を穿ち岩盤をも突き崩す威力であると共に、その巨体からは信じ難い速度で繰り出される。大型モンスターに横から体当たりされてもその勢いを殺す事はできず、正面からぶつかり合ってもそれを押し退けるように逆にはじき返してしまう程である。
特に地中潜行を得意としており、翼で砂をかき分けながら地面に潜り、角と襟飾りで岩を弾きながら猛スピードで地中を掘り進む。研究によれば、彼らの聴覚は視覚よりも発達しているとされており、これによって地中でも容易に地上の様子を把握する事が出来る。
ブレスを生成する内臓器官は持っていないのだが、その代わりに強靭に発達した肺を持ち、周囲の大気が震えんばかりの大音量の咆哮を上げる。その音量たるや鼓膜を破られてしまったハンターもいる程であり、至近距離で聞いてはまず平気ではいられない。
あまりの轟音と襲い来る恐怖感に囚われて動けなくなり、追撃を回避できずに散ったハンターも数多く、ディアブロスの咆哮が響いてくる砂漠地帯に足を踏み入れるのは、自殺行為に等しいとまで言われている。
なお、これらのディアブロスの外殻や角は防具の素材になるのは勿論だが、一部の地域では角は高級インテリアとしても扱われている。他にも、ディアブロスのモモ肉や心臓などは高級食材として取引されているが、その危険性からこれ等の素材が市場に出回る事は極めて稀である。
特に心臓は、万能薬の素としての注目もされ始めた事で、急激に需要が高まってきている。
MH3では他の飛竜と同様にリデザインされ、外殻の重厚さや尻尾の太さがより増した。
翼爪も2本から3本に増やされている。
MHWでも続投しており、大蟻塚の荒地の食物連鎖の頂点として君臨する。
本作においてリオス種の夫婦を初め、不用意に近付きすぎたり攻撃しない限りはハンター達への敵意を見せない個体が大半の大型モンスターの中で、威嚇後も目の前に居座っていると敵意を見せる程の高い縄張り意識と凶暴性を持つ。
また、ねぐらの真上で音をたて続けていると地面をブチ破って登場し、いきなりブチ切れるというスタイリッシュ屋根ドンをかましてくる。こわい......
最も手っ取り早く呼び出す方法は、ディアブロスの住処である北東(マップ右斜め上)の蟻塚エリアで飛んでいる翼竜にスリンガーを当てる事である。
すると翼竜の音爆弾のような鳴き声が連鎖的に始まり、高確率で暫くすると飛び出してくる。
とにかくプライドと縄張り意識が非常に高い事で知られており、侵入者には必要以上の猛攻を加え、例え相手が戦意を喪失して逃走しても追撃の手を一切緩めない。
同族であっても縄張りに入る事を決して許さず、ゲーム中でもリオス夫婦やティガレックスやボルボロスといった他の大型モンスターは勿論、同じディアブロス同士や、通常種と亜種の間でも頻繁に縄張り争いが起こる。生態ムービーさながらの重厚なSUMOUは一見の価値あり。
ディノバルドやアンジャナフ亜種といった、肉食恐竜がモデルのモンスターとの縄張り争いも実装されている。初手は突進を避けられ首をかまれ投げられるも、終盤で強引に拘束を解除してサイの如く角で突き上げて、逆に相手を放り投げて地面に叩きつける。
しかし、同じ肉食恐竜型でも、古龍級生物であるイビルジョーには流石にどうあがいても負けてしまう。さらに怒り喰らうイビルジョーには、歴戦個体の亜種までなすすべもなく負けてしまう。
ちなみに狩猟目的にはならなかったがβテスト版でも登場だけはしていた。
行動などの特徴
その巨大な角と硬い甲殻、ハンマー状の尻尾が武器で、見た目以上に全体的な防御が高くて、特に見た目に違わず頭はとても頑丈である。
その巨体を支える脚や、唯一柔らかい腹部や尻尾を狙って攻撃をする必要がある。
前述の通りの巨体に見合わぬ、素早く威力の高い突進攻撃を多用してくる。おまけに地面に潜行して足元から飛び出す、尻尾のハンマーで薙ぎ払う、咆哮で動きを封じるといった厄介な攻撃の数々でハンター達を翻弄してくる。
初期シリーズではバインドボイスの拘束時間が非常に長く、特に怒り状態時はその後に突進を繰り出されると高確率で被弾する為、多くのハンターに恐れられていた。
また、バインドボイスのある咆哮を持つモンスターとしては、珍しく怒り状態に移行する際に咆哮しないモンスターであり、咆哮のタイミングが完全にランダムなのでバインドボイスの餌食になりやすい(他にはフルフルが同様の特徴を持つ)。
やたらと地面に潜って撹乱してくる事もあるので、プレイヤーによって好き嫌いが割れやすいモンスターでもある。
尻尾は、アタリハンテイ力学の大家であるガノトトス並に謎の判定をしており、しっかり回避しないとごっそり体力を持っていかれる事になる。
MH3、MHP3、MH3Gでは、回転尻尾攻撃の亜空間判定が無くなったが、代わりに地面に潜った後に地中から飛び出して突っ込むという新技を繰り出してくるようになった。MH3では、下位の段階でこの攻撃を繰り出してくるが、MHP3およびMH3Gでは上位以降に繰り出してくる。
MH4Gでは、亜種および極限個体が使用してくるが、新たに飛び出し後に即反転して再度こちらに突進してくるという、さらに危険なモーションが追加された。
一方で、地中にいるときは発達した聴覚に神経を集中させている為、音爆弾を投げるとびっくりして飛び出して自分の掘った穴に埋まってしまったり、突進の勢いが余って岩や壁に角が刺さって抜けなくなるというお茶目な一面もある。
怒り状態になると口から黒い煙を吐き出し、ただでさえ威力のある高速突進の速度が上がり、最早手の付けようがないほどに凶暴化する。通常時であれば反応を示す筈の潜行中の爆音にも全く動じなくなり、音爆弾や閃光玉が効かなくなる。
これは怒りが他の全ての感情を圧倒する為だとされている。
破壊可能部位は角(左/右の両方破壊で報酬確定)・尻尾の3カ所。4Gからは背甲も追加され4カ所となった。そして角は、最上位ランクの「堅牢なねじれた角(黒巻き角)」が、妙な出現率の悪さ誇る事でとても悪名高い。特にレア素材の「大地を穿つ剛角」は天鱗レベルの入手確率だったが、4Gでは確率が少しだけ見直された。
なお、角を両方とも折ると突進による壁や岩への角刺さりができなくなる(これはモノブロスも同様)。
また、本種の特徴として「怒りやすさ」も挙げられる。
最初のうちはそこまで怒りやすいわけでもないのだが、体力が少なくなると急激に怒りやすくなり、捕獲~瀕死のライン辺りまで来ると、数発攻撃を加えただけで怒り状態に移行する。
攻撃力と俊敏性の上昇幅もかなり大きい。
その凶暴性は身の危険を感じる程に拍車がかかり、瀕死にまで陥ると怒りに任せてひたすら暴れ狂うので、狩猟の終盤戦のディアブロスは、ほぼずっと怒り状態でいると言っても過言ではない。
最後の最後まで全く気が抜けない。
…怒りやすさという点ではアイツの方がさらに上ではあるのだが。
種類
原種
無印(第1作)から登場しており、リオス夫婦と並びシリーズ皆勤賞のモンスターだったが、残念ながらMH4には登場せず、素材のみが入手可能という結果になった。
MH4Gでは砂漠系フィールドが追加された事もあって、他の砂漠系モンスターと共に復活する事となった。
それどころか、OPムービーにてハンター達と激しい戦闘をするシーンが盛り込まれており、メインモンスターのセルレギオス以上に多数の見せ場が用意されるなど、かなり優遇された扱いを受けている。また、発見時の咆哮に新たにバインドボイス効果が付与された他、地中から飛び出した後に直接突進行動に移行するなどの新モーションも習得し、過去作と比べても隙の少ない強敵に仕上がっている。
本作で実装された極限状態にも対応しており、極限個体は亜種のモーションだけでなく、近縁種のモノブロスとその亜種のモーションも使用してくる。また、極限状態の特性上、閃光玉や音爆弾は通常時においても一切無効化される為、足止めして闘う事がほぼ不可能になっている。
その為、数ある極限状態のモンスターの中でも屈指の強敵の1つとして恐れられている。
恐らく雄と雌の区別はなく狩猟する事になる。
亜種
厳密には繁殖期に入った雌個体。通称「黒角竜」。
ディアブロスをそのまま黒くした見た目だが、能力やモーションには若干の違いがある。
ワールドでは頻繁に通常種と縄張り争い(おそらくは夫婦喧嘩)を起こす。
原種(隻角)
通称『ディアソルテ』、『マ王ディア』など。
元ネタは、漫画版『モンスターハンター2』に登場した、隻角の赤いディアブロス。
その後、MHP2(MHP2Gでは村長上位および集会所上位)のイベントクエスト「「マ)王 片角のマオウ」としてゲーム内にも実装された。
分類的には原種と同じ個体だが、何らかの原因で片方の角が折れてしまい、そのストレスのせいなのか獰猛性が格段に上昇し、手の付けられない状態になってしまった(ちなみに、「角が片方折れた強力な個体」という設定は、後述する二つ名個体にも受け継がれている)。
サイズ倍率153の巨体に、HP6000という集会所クエストレベルの体力、攻撃力400というG級レベルの破格の馬鹿力を発揮する。さらに集会所のイベント戦「「マ)王再び」でグレードアップして帰ってくるから始末に負えない……。
MHXXで登場する、ディアブロスの二つ名個体。「鏖魔(おうま)」と読む。
バルファルクと並ぶ、同作のもう1体のメインモンスターでもある。
二つ名持ちモンスターはもちろんだが、ディアブロスにとってもメインモンスターに抜擢されるのはこれが史上初の快挙である。
猛者揃いの二つ名モンスターの中でも別格の強さを誇る強豪で、公式に"二つ名持ち筆頭"とも称されている。
集会所のとある人物と何かしらの因縁があるようで、集会所では、この鏖魔ディアブロスを中心にストーリーが展開されていく事になる。
ヴァルサブロス
MHFGのG6から登場した火山地帯に生息するモンスター。通称「炎角竜」。
砂漠に生息していた「とある飛竜」が干ばつの影響で住処を失った為に、火山地帯に生息場所を移して、そこで進化・適応したモンスターとされている。
この「とある飛竜」の正体については明言されていないが、ヴァルサブロスの見た目や主食がサボテンである事などからも、まずディアブロスだと見て間違いないだろう。
つまるところ「火山の環境に適応したディアブロス」と言える存在なのである。
限定的とはいえ、同種系統では初となる本格的なブレス攻撃を習得した。
装備・ディアブロシリーズ
通称「ディアブロ装備」。
肩などにその雄々しい角を飾った非常に威圧的な見た目が特徴。
なお、ディアソルテの場合はちゃんと片方の角が欠けており、全体が黒・サブが赤という「マオウ」の異名をとったディアブロスの名に恥じないカッコ良さがある。
装備を統一した際に効果は「耐震」と「抜刀」「スタミナ奪取」で、大剣などの切断系の重装備向けの効果が発動する。
ただし、「状態異常攻撃弱化」も発動するので、状態異常攻撃を得意とする片手剣などの装備とは相性が悪い。
生態動画
余談
- 名前の由来は、スペイン語で"悪魔"を意味する"diablo"(ディアブロ)からだと思われる。確かにその凶暴無比な性質と凶悪なまでの戦闘力は"悪魔"と呼ばれるに相応しいと言える。
- ディアブロスのモチーフは恐竜の角竜類だと前述したが、2010年に発見された新種の角竜類の化石が、同じく「悪魔の角を持つ顔」という意味で「ディアブロケラトプス」と名付けられている。
- 現実世界でもラクダなどサボテンを主食とする生物は実在する。
関連タグ
モノブロス:近縁種のモンスター。
ゴッドオブウォー(2018):角竜のような頭部を持つ竜が複数個体登場している。