カタログスペック
頭頂高 | 17.5m |
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本体重量 | 33.2t |
全備重量 | 59.4t |
ジェネレーター出力 | 1,790kw |
装甲材質 | ガンダリウム合金γ |
スラスター総推力 | 74,600kg |
概要
型式番号RMS-108。アナハイム・エレクトロニクス社製の汎用量産型MS。
同社がハイザックをベースに開発した後継試作機「ロゼット」の量産モデルであり、ハイザック同様、ジオン系MSの意匠を多く踏襲した機体となっている。
主な特徴として、装甲材にガンダリウムγが全面的に導入され、内部にはガンダムMk-Ⅱから得られたムーバブルフレーム構造が取り入れられている。これによって、ジェネレーター出力の向上が可能となったため、ハイザックの欠点だったビーム兵器の同時運用が可能となっている。ただし、消耗が前提となる量産機にガンダリウム合金を採用するのは、コストパフォーマンスの悪化に直結することになるのだが、この点はティターンズがTR計画の推進で予算面を優遇されている事や総帥であるジャミトフ・ハイマンが連邦内の賭博組合から資金を調達していた事もあってか、特に言及はされていない(「Zガンダム Define」では、ティターンズに納入された初期生産型の修理金額を見たバスク・オム大佐が激昂しており、以降納入される量産型のコストダウンを性能低下覚悟の上で要求している)。
機動性の面においても、メインバーニアは高機動型ザクⅡ一機分の推力を発生させる高出力なものを採用しているなど、一年戦争当時の機体とは完全に隔絶した性能を有する「傑作機」として多くのパイロット達から支持された。
上記の高性能に加えて、ハイザックがベースとなっている為、部品の流用が容易である点も、当機が「傑作」たる所以である。
このため、グリプス戦役が終結しティターンズが解体された後はハイザックなどと共にネオ・ジオンによって接収された機体が引き続き運用され、更にネオ・ジオンが二度の敗退を迎えた後も地上のジオン残党軍で運用され続けた機体も存在した。
また、本機をベースに開発された後継機として、第二次ネオジオン抗争で運用されたギラ・ドーガがある。
開発背景
実は、当初はエゥーゴの戦力とすべく「ドミンゴ」の開発コードと「MSA-002」のナンバーを与えられて開発が進められていた。しかし、ティターンズが「ガンダムMk-Ⅱ強奪事件」へのアナハイム社の関与を追及してきたため、その矛先を逸らす為に急遽ティターンズに納品され、その後グラナダ工廠で開発された機体として「RMS-108」のナンバーを正式に与えられ連邦軍(ティターンズ)制式採用機としてロールアウトした(その代わりにエゥーゴへ納品されたのが、並行して開発されていたネモである)。
武装
頭部バルカン砲
対空・牽制用の60mm機関砲。ジオン系の意匠を持つ機体が装備するのは極めて稀。
ビームサーベル
ゲルググのデバイスが採用された専用のサーベル。
ビームライフル
型式番号BR-87A。出力2.2MW。
小惑星ペズンで開発されていたアクト・ザクが運用していたものをEパック式に改良したモデルであり、ハイザックも運用が可能。予備のEパックを右肩シールド内にマウント可能。
従来の量産型ビームライフルよりもやや出力が高めだった事も幸いしてか、後年においても北米・シャイアン基地配備のジェガンが本兵装を運用している。
フェダーインライフル
ガブスレイが装備していた長砲身のビームライフル。出力は6.6MW。ライフル後部にサーベルのエミッターが装備されており、ランスや薙刀のように使用することが可能。劇場版「機動戦士Ζガンダム」や「機動戦士ガンダムUC」にこのライフルを装備した機体が登場する。
このほか、頭部バルカン砲を小型ミサイルに差し替えた機体やハンブラビの海ヘビを持った機体なども存在する。
バリエーション
マラサイ(ジオン残党軍仕様)
型式番号RMS-108。
アニメ『機動戦士ガンダムUC』に登場。
地球に残っていたネオ・ジオン残党が用いるマラサイの鹵獲機。トリントン基地襲撃に投入された。
大規模な改修はなされていないが、塗装はグリーンを基調としたものに改められ、前述のフェンダーインライフルや海ヘビを携行している。
ロゼット
型式番号RX-107。
雑誌企画『ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに』に登場。
アナハイムが開発したマラサイの原型機で、T3部隊に配備された。
大気圏突入モジュールを装着したTR-4[ダンディライアン]や、熱核ジェットを用いるホバーユニットを装着した強化陸戦形態などの仕様バリエーションが存在する。
詳細はロゼット(ガンダム)を参照。
レジオンマラサイ
型式番号ARZ-108MR。
雑誌・Web企画『A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ-くろうさぎのみた夢-』
火星のジオン軍残党組織「レジオン」によって再生産されたマラサイ。
塗装がレジオン仕様に変更されたほか、新たにホバリング用の「グランユニット」が開発されており、下半身にグランユニットを装着したグラン-マラサイ(型式番号ARZ-108GMr)と呼ばれる形態も存在する。
なお、グランユニットはマラサイ専用のオプションではなく、レジオン仕様のハイザックやバーザムも装着できる。
マラサイキャノン
『A.O.Z Re-Boot』に設定のみ登場。
ハイザックキャノンと同様の形で、マラサイにキャノン・パックを装着した中距離支援機。
グリフォン
型式番号RMS-156。
近藤和久による漫画版『機動戦士Ζガンダム』に登場。
旧式化したマラサイをアップグレードした改良発展型で、グリプス戦役末期に投入された。
外見上の特徴として頭部センサーがツインアイタイプに改められたほか、両肩にスパイクが装着された。
性能はバーザムと同程度まで向上しているという。
キリマン・マラサイ
ゲームブック『機動戦士ガンダムΖΖ vol.3 エニグマ始動』に登場。
グリプス戦役後半の混乱の中で連邦軍が生産したマラサイ。
アナハイムがエゥーゴ支援に傾いた際に連邦軍およびティターンズからマラサイのデータが失われたため、残った実機を元に改めて開発された機体とされる。
ストライク・マラサイ
型式番号RMS-108d13。
雑誌企画『MOBILE SUIT in ACTION ジオンの星』に登場。
地球連邦軍第13独立機動戦隊「DRAGOON13」による地上戦用の現地改修機。
頭部センサーユニットは強化によって肥大化。突撃・攪乱任務のためにホバー走行ユニットを備えたA型と、簡易的な仕様の支援機であるB型の2つのサブタイプがある。
主兵装として、A型はガルダの副砲を改造した50mm6連装バルカン・ポッドを、B型はジャイアント・バズを携行する。
マラサイ改
型式番号RMS-108。
雑誌企画『アイドルスターMS戦記』に登場。
マラサイ前期量産機のカスタム機。センサーや推進系の性能向上が図られ、シールドとスパイクも大型化しているほか、初期不良が存在した前腕をハイザックのものに付け替えている。
武装にはバズーカが追加されている。
なお、本機が登場した『アイドルスターMS戦記』は、「80年代当時のアイドル(のパロディキャラクター)がティターンズのMSパイロットになる」というある種時代を先取りしすぎた企画であり、本機の主なパイロットもモモコ・キクチ中尉とされている。
マラサイ重装高機動タイプ
型式番号RMS-108F。
「ホビージャパン」での模型作例が初出で、『HOW TO BUILD GUNDAM WORLD 3 Z GUNDAM』に収録。
スラスターを強化・増設するとともに、増加装甲の装着などによって重装甲化が施された機体。
ロングレンジタイプのビーム・ライフルを携行し、右肩には3連装ミサイルポッドを増設するなど武装も変更されている。
マラサイ指揮官タイプ
型式番号RMS-108R。
「ホビージャパン」での模型作例が初出で、ムック『HOW TO BUILD GUNDAM WORLD 3 Z GUNDAM』に収録。
バックパックの強化とプロペラント・タンクの装備によって機動性と航続性能を向上させた「高機動型マラサイ」と言える性格の機体。
武装面でも新たにメガ・ランチャーを携行するほか、シールドも大型化されている。
ガンダムTR-6[ハイザックII]
型式番号RX-124。
『ティターンズの旗のもとに』に登場。
マラサイやハイザックの後継機として計画されたガンダムTR-6の1形態。マラサイの脚部をそのまま使用している。
詳細はガンダムTR-6を参照。
余談
設定の変遷
当初はエゥーゴの量産機としてデザインされていたが、「友軍量産機はGM顔、敵軍量産機はモノアイ系で統一しないと、敵味方がわかりにくい」という意見が製作サイド内部から出たため、急遽ティターンズ側の機体に変更された(上記の政治的設定は、この実話を参考にしている)。
裏話
ティターンズ用なのに塗装が赤いのは当時サンライズの製作スタジオに大量に赤系統の塗料が余っていたためであり、赤い人専用機だからではない。
同じ理由でリック・ディアスも途中から全機赤く塗られた。
ホビージャパン別冊に掲載された改造作例は、クリーチャーデザインで有名な韮沢靖のモデラーとしてのデビュー作である。(韮沢はマラサイをデザインした小林誠の弟子である)
メディアミックス
またアニメでは「ティターンズ」の量産型MSであるが、一部別設定の作品ではジオン軍で開発されたMSなどとして登場する事も多い。その場合、ヒートホークやチェーンガン、マシンガンなどを装備している。
ただしΖガンダムなど、アナハイム製でありながらジオン系MSを髣髴とさせる機体の多くは、一年戦争以降にアナハイムに入ったジオン系技術者が関わっているというのが通説であり、まるきり的外れな設定というわけではない
漫画『機動戦士Zガンダム Define』では、ティターンズ用MSの開発チーム主任がリック・ディアスの開発データを盗用して作ったコピー機という設定に変更されている。そのためデザインが若干変更されており、コックピットが頭部に移動した他、肩部前後にスラスターが追加されている。
クワトロ曰く「装甲の増加によってリック・ディアスの長所が台無しになっている」ため総合性能ではリック・ディアスに劣るとされている。
ちなみに、本編設定においてもリック・ディアスより重量が重く、出力と推力では劣るとカタログスペック上では負けている。この辺りの設定を上手く利用したアレンジとも言える。
プラモデル、フィギュア等での商品化
1/220、1/144、HGUC(1/144)、MG(1/100)でプラモデル化されている。
1/220キットは『Z』放送時販売の接着剤不要のスナップフィットプラモである。
HGUCは初の表情つき手首が入ったキットである。
劇場版公開限定のエクストラフィニッシュ版、『UC』版カラーのものも存在。後者にはガブスレイのフェダーインライフルとハンブラビの海ヘビも入っている。
モビルスーツアクションにて通常版とTS3イメージカラーの物が存在。後者は同カラーリングのガルバルディβとのセット商品で限定品でもある。