2011年10月より、フジテレビ系列の「ノイタミナ」で放送中。
概要
『明治開化 安吾捕物帳』をはじめとする坂口安吾の複数の小説を再構成。
時代設定を明治から近未来に変更し、世界観や登場人物を大胆にアレンジ、オリジナルストーリーが展開される。
ミステリーの体を取りつつも、特殊能力を操る異形というアニメ的なギミックや、戦後の混沌に中に見る人間模様を描く人間ドラマでもある。
水島精二監督のtwitterでの「ノイタミナで何かやってみたい」というつぶやきが、フジテレビの山本幸治プロデューサーの目に留まったことから、企画がスタート。
山本の出したコンセプトは「バディ(相棒)もの」「社会派」だったという。
脚本の會川昇、制作のボンズと、結果的に『鋼の錬金術師』(第1期)のスタッフが集結することになった。また、キャラクターデザインの高河ゆんは水島監督の『機動戦士ガンダム00』に参加している。
テレビシリーズのほか、本編の前日譚に当たる『UN-GO episode:0 因果論』が制作。
2011年11月19日よりTOHOシネマズにて、二週間のレイトショー限定で劇場上映された。
あらすじ
近未来。終戦を迎えたばかりの東京には、いまだあちこちに戦火の爪痕が残っている。
幾多の難事件を解決しているのは、膨大な情報量と優れた頭脳を持つメディア王・海勝麟六。だが、その推理には裏があった。
とうに廃れた職業の"探偵"を名乗る結城新十郎と、摩訶不思議な能力を持つ相棒の因果は、隠された真相を求めてひた走る。
たとえ世間に真相が知らされず、"敗戦探偵"と呼ばれようとも。
世界観
舞台は終戦後の東京。
その姿は現実の東京の面影を残しているが、各地に瓦礫の山が積まれている。
戦争の影響で治安が悪く、政府は右傾化しており、テロなどの政治抗争が起こっている。
戦後、外圧への対処と各省庁の調整を行う"連合調整部"という部署が新設された。
劇中では大きく明示されないが、脚本担当の會川昇は
- 今(2011年)からおよそ20年弱が経過している
- "戦争"とは、世界規模のものではなく、政府の方針に反発するテログループとの間に起こった内戦
との設定を、インタビューで解説している。(MangAnimeナビにいがたより)
また、劇中世界においてYouTubeやニコニコ動画を髣髴とさせるインターネット動画サイトが登場したり、VOCALOIDがかつて存在していたことが台詞に登場するなど、現実と地続きであるとの演出がなされている。
登場人物
結城新十郎周辺
主人公。自称"最後の名探偵"。
推理力、身体能力ともに優れており、連合調整部や警察からも一目置かれている。
さまざまな事件を解き明かしているが、海勝麟六がメディアを牛耳っているため、その成果は世間の知るところにはならない。
戦争を経験したことから政府やそれに類する権力者に不信感を持っており、麟六とは対立しがち。人の死に名誉を与え、それを旗印にするような行為を特に嫌っている。その態度は無頼そのもの。
新十郎の助手。二つの姿を持つ人ならざる存在。
妖艶な美女に変身し、相手に一つだけ質問を答えさせる特殊能力を発揮することができる。
二つの姿でファッションも大きく違うが、どちらもパンダを模したデザインになっている。
人間が腹の底に潜めているという"御魂"を得るのが目的で、捜査の過程でそれを引き出す、という契約の元、新十郎の助手を務める。
佐々駒守の開発したRAI(人工知能)。
ネットワーク上に自身のデータを分散させており、あらゆる電子機器に入り込むことができる。
新情報拡散防止法に違反するとしてRAIが摘発を受けたため、現存する最後のRAIとなった。
第3-4話の事件以降、新十郎らと行動をともにするようになる。少女型ボディ、またはパンダのぬいぐるみに入って活動する。
海勝麟六周辺
戦後に復旧した情報インフラ・JJシステムの会長。
圧倒的な情報力と推理力を振るい、警察・検察からの情報分析顧問も任されている。
政財界にも広く顔が利くが、それゆえに癒着の疑惑がある。
常に飄々とした態度を崩さない食わせ者で、新十郎に追及を受けてもそれは変わらない。
海勝梨江 (声:山本希望)
麟六の娘。
おおらかで好奇心旺盛、自由奔放なお嬢様。
新十郎に興味を持っており、麟六の抱えた事件をの新十郎に持ち込むことで接点を持っている。
検察庁連合調整部の検事。
難事件が起きると海勝麟六の元へ相談に訪れる。
警察庁警備局課長。
事件現場でよく新十郎と出くわす。
その他
因果と同じく、人ならざるもの。
『UN-GO episode:0 因果論』(以下『因果論』)で初登場。テレビシリーズにも登場する。
神のような、少女のような容姿。
人に嘘を信じ込ませる能力を持ち、新十郎が関わるいくつかの事件に噛んでいる。
東関東社会復帰促進センターの囚人で、"小説家"を自称する謎の男。
現実を原稿、新十郎を名探偵に見立てて推理小説を書こうとした。
『因果論』に登場。
新十郎とは学生時代の友人で、新十郎が異国を放浪している時期に再会した。
『因果論』に登場。
新十郎が異国を放浪している時期に出会い、新十郎の生き方に影響を与えた女性。
『UN-GO episode:0 因果論』
2011年11月19日公開。配給は東宝。
アニメ映画ではあるが、本編は49分と短編で、二週間限定のレイトショー上映(特別料金)というかたちが取られた。
結城新十郎と因果の出会いと、最初の事件、因果と別天王の出自が明かされる。
別天王はテレビシリーズに先駆けての登場となった。また、『因果論』での一件はテレビシリーズ8話以降で触れられている。
スタッフ
原案 : 坂口安吾
ストーリー・脚本 : 會川昇
アニメーションキャラクターデザイン・総作画監督 : 稲留和美/矢崎優子/やぐちひろこ
美術デザイン : 宮本崇、脇威志
プロダクションデザイン - 宮本崇/石垣純哉/柳瀬敬之
美術監督 : 脇威志
色彩設計 : 中山しほ子
撮影監督 : 佐々木康太
編集 : 吉武将人
音響監督 : 三間雅文
音楽 : NARASAKI
チーフプロデューサー : 山本幸治
プロデューサー : 大薮芳広/小中大典/竹枝義典
アニメーション制作 : ボンズ
制作 : 「UN-GO」製作委員会(フジテレビジョン/東宝/ソニー・ミュージックエンタテインメント/電通/ボンズ)
主題歌
オープニングテーマ
「How to go」
作詞 - 内村友美、江口亮 / 作曲 - School Food Punishment、江口亮 / 編曲 - 江口亮 / 歌 - School Food Punishment
エンディングテーマ
「Fantasy」
作詞・作曲・歌 - LAMA
漫画
『UN-GO 敗戦探偵・結城新十郎』
ニュータイプエースVol.1から連載。
漫画 : 山田J太
原典 :「UN-GO」制作委員会
監修 : ボンズ・「UN-GO」製作委員会
『UN-GO episode0 因果論』
月刊ニュータイプ2011年10月号から連載。
ストーリー : 會川昇
画 : pako
作画協力 : 高河ゆん