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YAWARA!の編集履歴

2022-03-20 23:08:33 バージョン

YAWARA!

やわら

「YAWARA!」とは、浦沢直樹による、柔道を題材とした漫画作品。

概要

作者は浦沢直樹。「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)にて1986年から1993年まで連載された。全29巻、文庫版全19巻。完全版全20巻。発行部数は3000万部以上(ビッグコミックスピリッツ版のみの実績)。


作者曰く、YAWARA!のタイトルは作者が影響を受けまくった大友克洋の『AKIRA』をもじったもの。『パイナップルARMY』を気に入っていなかった編集に、新たに企画を持ち出したものであり、すぐに「これはいけますよ、ぜひ連載しましょう!」という反応が返ってきて、自分も最初の数話を描いているうちに「これは大ヒットする」と手応えを感じていたという。


そして、柔道漫画、そして青年誌でタブーとされていた女子を主人公としたスポーツものとしては異例の大ヒットを記録して、アニメ化以後は幅広い年齢層に多大な人気を博した。また女子柔道ブームの火付け役となり、女子柔道の強者を「やわらちゃん」と呼ぶ発端ともなり、当時彼女の髪型をリスペクトする女子選手が山のようにいた(劇中での、ソウルワールドカップでの髪型で、後でバルセロナ五輪でも試合中は同じ髪型にしている)。


当初はスポ根へのアンチテーゼを盛り込んだ、柔道はやりたくないのに才能だけで勝っていく少女を描いたドタバタ群像劇だったらしい(お色気シーンも多かった)。ところが、作者自ら監修に加わった(実写映画があんまりの出来で作者が激怒したため)というアニメ化をきっかけに方針を転換、作者曰く「どのようにしたら売れる作品になるか」を突き詰めた実験作品だといい、蓋を開ければ、劇中後半にはトレンディドラマばりの青春柔道ラブストーリー(DVDの宣伝文句をそのまま引用)になった。そんなわけで、柔道の要素も高い(作者は全く柔道を知らずに始めたため、当初は女子が男子トップクラスに勝つなど無茶苦茶な描写が多かったが、何度も取材し、だんだん本格化させてはいった。しかし、それでも現実の柔道とは異なる描写が多いらしい)が、あくまでベースとなっているのは猪熊柔と松田耕作のラブストーリーである


その内容は王道的な展開も多いものの、原作者浦沢直樹の緻密な心理描写、巧みなストーリー展開、あちこちに鏤められた布石や伏線などロジックが売りである。また、作者は自分が苦手だった可愛い女の子を描くために、女の子は必死に江口寿史の画風をリスペクトしたことをカミングアウトしている。また、前述したように大友克洋の影響もすごく受けており、松田がバイク乗りなのも、AKIRAの金田の影響を存分に受けている。


ちなみに、この作品ではフィクションということで女子柔道の無差別級を開催しているが、実際の五輪で女子の無差別級試合が行われたことは一度もない。また、男子柔道においても無差別級は廃止された(実際は、同一レベル同士だと体重差は大きなハンデとなり埋められないということである)。


ストーリー

大きく分けて4部にわけられ、武蔵山高校時代、三葉女子短大時代、鶴亀トラベル時代、そしてバルセロナ編となっている。高校時代は柔道をプロットにしたドタバタラブコメディー、短大時代は富士子との友情を描いた青春物語、鶴亀トラベル時代では、より柔と松田の関係を掘り下げつつも周囲の邪魔が入ったりと、昼ドラのような生々しい展開となっているなど、作品の雰囲気は異なる。また、あちこちで似たようなシーンが繰り返し登場するが、それぞれ二人の心理状況はまるで異なっているのも特徴であり、この辺りは作者の非常に高い構成力が窺える。


武蔵山高校時代

柔道家の祖父の元で稽古に明け暮れていた少女猪熊柔、しかし彼女は思春期を迎え、普通の女子高生のようにオシャレしたり恋したりしたい思いを秘めるようになり、柔道から遠ざかろうとしていた。一方、日刊エヴリーで嫌々スキャンダルを取材していた松田耕作は、ひったくり犯を巴投げで投げ飛ばす女子高生(猪熊柔)を目の当たりにし、彼女にスーパースターの光を感じ、彼女を追い回すことになる。


なお、この高校時代に、柔が未成年飲酒をする場面があり、完全版でむりやり差し替えられた場面があるが、当時はワインは例外的に食事の一環として黙認されていた風潮があったことを補足しておく。


三葉女子短大時代

晴れて三葉女子短大に入学した彼女だが、なかなか周囲の浮わついた感覚についていけずどぎまぎ。そんなとき、後の無二の親友となる伊東富士子に出会い、二人でゴルフサークルに入部。だが合コンのとき、うっかり柔は相手の男を投げ飛ばしてしまい、自分の柔道は他人に危害を及ぼすものだとショックを受ける。だが、富士子は猪熊柔の一本背負いを見て感激、そして自分が対照的にバレリーナになれなかった存在だということを暴露する。それを聞いた柔は、富士子から託された思いも込め、再度柔道に打ち込むことを決意し、それを松田に告げた。そしてソウルで友情を築いたジョディと戦うことを目指し、稽古に励むようになる。


この三葉女子短大時代で、無二の親友となる伊東富士子に出会う。になると、だんだん柔の心は松田に傾いていき、ユーゴスラビア(現在はセルビア)での出来事でほぼ決定的になる。


鶴亀トラベル時代

晴れて花のOLとして鶴亀トラベル社員となった柔だが、彼女の上司は全くやる気のない羽衣という冴えない男。あまりにやる気の無さに痺れを切らした彼女は事もあろうに競合他社、本阿弥トラベルの顧客を訪問してしまうが、得意先が猪熊柔のファンだということで、彼女はいきなり接待のため羽衣と一緒に北海道に行くことに。だが、偶然にもその日が全日本選手権とバッティングしてしまうが、羽衣係長は実は松田耕作記者の記事の大ファンで、そこで新たな接点が生まれていくことになる。


この鶴亀トラベル時代では、むしろ恋敵は風祭やさやかより、加賀邦子が手強い難敵として柔と松田に立ちはだかることになる。また、柔の上司になる羽衣係長だが、彼はアニメだと柔の味方を続ける(というより尺の都合で出てこなくなる)のに対し、原作では松田をスクープ記者だと誤解し、柔との距離を引き離そうとする。


バルセロナ編

バルセロナ五輪への切符を手に入れた柔と富士子だが、今度は松田にトラブルが発生した。なんと邦子が行方不明になったというのである。そしてその原因が誘拐であることがわかり、松田は警察に頼っていられないと自力で邦子救出に向かう。


このバルセロナ編はアニメでは放送されず、4年後舞台をアトランタに変えたスペシャル版放映によってある程度展開が補完された。しかし、原作の名シーンをカットしたり、富薫子が赤子のままだったり、ファンにはツッコミどころ満載の出来となっている。


その後のエピソード

当然続編希望の声も高かったのだが、浦沢直樹本人が当作、特に松田耕作をあまり気に入っていないのか「続編やるとしたら、まず松田は殺しますね」と発言しているため、すなわち続編は期待してはいけないということである。作者よあんた…


また、連載中にアニメの展開や締切に振り回された部分もあり、作者自身、昔は気に入っていない節があった。それで作者自らHappy!というもっと作者がやりたかった展開の作品を発表することになる(こっちは相当えぐい展開やキャラが多く、当作がいかに読みやすい作品かわかるほど)。

 しかし、完全版の後書きには「当時は、週刊2連載という多忙スケジュールの中、締切に追われていたので、手抜きばっかりの作品という意識があったが、改めて振り返れば全くそんなことはなかった』と再評価しており、作品を気に入ってなかったというのは過去の話であるようだ。


また、最終回後の展開(二人の電話や手紙のやりとり、アメリカでの再会、結婚、二世誕生など)を自由に膨らませられる上、脇役が非常に立っている作品なので、とにかく後日談を描いた二次創作小説が多い作品として昔から知られている(最初から立場上すれ違いを繰り返していただけで、両者ともお互い根は一途だったのもそれをやりやすい理由)。


登場人物

猪熊家

猪熊柔(演:浅香唯、CV:皆口裕子

猪熊滋悟郎(演:小林桂樹、CV:永井一郎

猪熊玉緒(CV:藤田淑子

猪熊虎滋郎(演:菅原文太、CV:岡部政明

猪熊カネコ(CV:皆口裕子

日刊エヴリースポーツ

松田耕作(演:阿部寛、CV:関俊彦

鴨田(CV:茶風林

加賀邦子(CV:あきやまるな

編集長(CV:岸野一彦

本阿弥家関係者

本阿弥さやか(CV:鷹森淑乃

本阿弥錦之助(CV:鈴木泰明

徳永(CV:島田彰

風祭進之介(CV:神谷明

伊東・花園家

伊東富士子 / 花園富士子(CV:川島千代子

花園薫(CV:菅原正志

花園富薫子(CV:こおろぎさとみ

柔道選手

藤堂由貴(CV:峰あつ子

ジョディ・ロックウェル(CV:一城みゆ希

アンナ・テレシコワ(CV:水谷優子

ベルッケンス(CV:佐々木るん

キム・ヨンスク(CV:林玉緒

フルシチョワ(CV:滝沢ロコ

クリスティン・アダムス(CV:さとうあい

マルチネス(CV:水原リン

マルソー(CV:荒木香恵

柔道関係者

祐天寺豪造(CV:仲木隆司

ポルナレフ監督(CV:上田敏也

タマランチ会長(CV:矢田稔

石倉監督(CV:稲葉実

犀藤(CV:西尾徳

山下泰裕(CV:藤本譲

三葉女子短大

南田陽子(CV:鈴木みえ

日陰今日子(CV:冬馬由美

四品川小百合(CV:東美江

小田真理(CV:斉藤庄子

鶴亀トラベル

大田黒社長(CV:亀井三郎

羽衣係長(CV:西川幾雄


実写映画

1989年の春休み映画として東宝系の映画館で公開された。

ガチの柔道選手である山口香山下泰裕(こちらは“元”ではあるが)が出演している。


テレビアニメ

『YAWARA! a fashionable judo girl!』というタイトルで、1989年10月から1992年9月にかけて日本テレビ系列局全21(放送開始時点)→24(放送終了時点)局ほかにて放送された。なお、全124話だが、2話連続の総集編が放送されたため、実際には122話である。また、本編は119話であり、あとの3話は柔の祖父・滋悟郎の若き日を描いたもの(スピンオフ作品「JIGORO!」として、浦沢の他の読み切り作品と合わせる格好で単行本化されたこともある)をアニメ化したもの。

アニメ化できなかったオリンピック出場から完結までの話は、1996年に金曜ロードショーで『ずっと君の事が…』の副題で放送されたが、展開がかなり異なる上に舞台がアトランタに変更された。


また、テレビアニメをベースとした映画版も作られており、1992年の夏休み映画として公開された。


「(雪印アワー・板東英二の)わいわいスポーツ塾」(TBS系列局)を向こうに回しまずまずの視聴率を取っていたので、主題歌も永井真理子、今井美樹、辛島美登里、原由子などといった、時代を彩る大物アーティストを起用できたという。


アニメーション制作はマッドハウス、ホスト局はよみうりテレビ


主題歌

オープニングテーマ

「ミラクル・ガール」(第1 - 43話)

作詞:亜伊林、作曲:藤井宏一、編曲:根岸貴幸、歌:永井真理子

「雨にキッスの花束を」(第44 - 81話)

作詞:岩里祐穂、作曲:KAN、編曲:佐藤準、歌:今井美樹

「負けるな女の子!」(第82 - 102話)

作詞・作曲・歌:原由子、編曲:小林武史

「YOU AND I」(第103 - 124話)

作詞・作曲:陣内大蔵、編曲:根岸貴幸、歌:永井真理子

エンディングテーマ

「スタンド・バイ・ミー」(第1 - 43話)

作詞:松本隆、作曲:矢萩渉、編曲:萩田光雄、歌:姫乃樹リカ

「笑顔を探して」(第44 - 81話)

作詞・作曲・歌:辛島美登里、編曲:若草恵

「少女時代」(第82 - 102話)

作詞・作曲・歌:原由子、編曲:小林武史・桑田佳祐

「いつもそこに君がいた」(第103 - 124話)

作詞・作曲:LOU、編曲:松浦晃久・LAZY LOU's BOOGIE、歌:LAZY LOU's BOOGIE


関連タグ

美味しんぼ:アニメの前番組。この作品自体は放送枠を移動した上で放送継続。しかも発表された漫画雑誌が同じ

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