概要
女神転生シリーズにおけるセトは原作小説である『デジタル・デビル・ストーリー』以来、複数作品に登場する最古参悪魔の一体である。
デザインは原作小説内においてアピペと混同した記述を採り上げて現在に至るため、本来のエジプト神話における複数の獣を混合させたセトとは乖離した蛇及び龍を意識したものとして描かれている。
一方で作品への登場についてはかなりの振れ幅があり、小説を基としたファミコン版『女神転生』及び続編の『女神転生Ⅱ』と作中のストーリーに絡む「真・女神転生Ⅱ」以降は派生・外伝作品のペルソナ2やデビルチルドレンに顔を出すのみで、『真・女神転生NINE』と『デジタルデビルサーガ2』で3Dデザインが運用されてからようやく安定した作品登場率を獲得している。
シリーズ各作品でのセト
デジタル・デビル・ストーリー
第2作「魔都の戦士」に登場。前作でロキを倒した中島朱実の開発した「悪魔召喚プログラム」に興味を持った、黒魔術師イスマ・フィード(後述のファミコン版の固定ポイントに出現する敵悪魔ゴースト・イスマの生前の姿)の暗躍によって召喚される。
作中のセトはロキと比しても膨大なデータ量を持つ強大な悪魔とされ、顕現以前からセトがアッシャー界に降臨するまでの地固めとして政権与野党の政治家たちに下僕・アピペを寄生させて勢力を拡大させている。
中島朱実によって生贄として捧げられ、ロキに妊娠させられた古文教師・小原の子を依り代として降臨し、人間界に留まるための縁となる大量の生体マグネタイトを得るために白鷺弓子をはじめとした大勢の人間を体内に取り込んで肉の塔のような姿を形成・成長を続けていく。
退魔プロジェクトを率いるチャールズ・フィード教授(米国魔術界の総帥にして、イスマの実兄)らにより、静止衛星スタースコーピオンのコンピューター上で悪魔召喚プログラムを稼働されたことにより宇宙空間に放逐されて人工衛星に巻き付いた巨大な蛇の姿で実体化する。
その後セトは衛星ごと地球に天下ろうとするも、イザナミから空を翔ける衣を授かり宇宙空間まで追って来た中島と体内に取り込んでいた弓子に外と内から同時に攻撃をかけられてあっけなく倒された。
デジタル・デビル物語女神転生
OAVとのメディアミックス作品の一つとしてファミコンで発売された『女神転生』においては、歩く度にダメージを受ける第5エリア「炎の腐海」を支配する魔王として登場。
今作のセトは蛇の頭が生えた樹木の根のような姿で、強力な物理攻撃を無効化できる「プルーシーのいななき」を入手して攻略することになる。
戦闘においてはエナジードレインを持ち、さらにブリザトンやガボアット等の強力な攻撃魔法を繰り出してくることから、物理攻撃を封じた状態でも高い実力を誇る。
デジタル・デビル物語女神転生Ⅱ
今作では魔界の「ベリアルの城」に単体で通常出現する悪魔であり、首と脚が長い赤い体色のドラゴンのような姿の種族「邪神」の悪魔になった。
単体でのみの出現ではあるが付近に登場する悪魔よりもレベルが20ほど高く、それゆえに大量の経験値量を持つことから魔界でのレベル上げはセトを狩るが一番効率が良い。
真・女神転生
メガCD版のみの登場。シムスが移植したこのバージョンでは、事前アンケートで選ばれた追加悪魔として登場し、種族「邪神」で長い頸と蛇の頭部をもつファラオのような独自の姿であった。
真・女神転生Ⅱ
今作のセトは裁く者・サタンの半身であり、魔界のティフェレトに位置する“セトの神殿”において神の力で封印されているという設定。
作中のルシファーはセトが目覚めの予兆を見せているためにサタン復活が近いことを確信・警戒しており、ミカエルたち元老院と偽の神を打ち破ったアレフがサタンではないかと疑う場面がある。
選択するルートによってはゴモリーがセトを封印しようとする展開も見せるが物語の終盤にセトは覚醒を果たし、残る半身と融合したことでサタンが復活する。
デザインは蛇としての姿を強調していた過去作から一転して“翼を持つ黒龍”で、作中のドット絵よりも禍々しい公式イラストが描かれており、その後の作品ではこのイラストを元に3Dモデルが作成されている。
ちなみに、セトとサタンを関連付ける真Ⅱ作中の設定だが、バーバラ・ウォーカーの「サタンはセト・アン(セトの犬)が訛ったもの」というトンデモ説を採用したものであり、本来ならばサタンとセトの間には何の関係も無い。
デジタルデビルサーガ2
真Ⅱと同じくある存在の半身という設定そのままに「太陽」第五層最深部に座す隠しボスとして登場。なお、今作における種族は死神。
セラフを「裁く者」とは真逆の存在、茨の道を行く「抗う者」と呼ぶ一方で神話原典におけるセトの神性(悪、戦、嵐)を尊ぶ言動を見せる存在である。
戦闘においては完全な無効化手段が存在しない万能物理スキル“アゲンストペイン”とセトのHP現在値が低いほど威力が増加する万能スキル“妬みの暴圧”による圧倒的な火力と、敵単体をHP150に低下させて戦列から外す万能スキル“砂漠の風”や悪魔変身状態を解除する“マハーリターナー”による妨害能力をあわせ持つ強敵であり、銃撃以外はほとんどの攻撃属性を減衰または無効化する強固な防御相性を持つ。
真・女神転生STRANGE JOURNEY
メインアプリ「エネミーサーチC」によってサーチできる固定悪魔としてエンカウントできる邪神種族の悪魔として登場。
エネミーサーチ時の悪魔は悪魔会話によって仲魔にはできないものの、それぞれ独自の台詞が設定されており、セトの場合は軽い口調ながらも人間(主人公)が自分の相手をするつもりでいることの無謀さを嘲り、自身の力が原初の力で荒れ狂うシュバルツバース以上であることを誇示するという神話原典の狂猛な悪神を思わせる力強いものとなっている。
また、セクター・エリダヌスにいる魔神トートから受注できるEXミッション「賢者の書庫」の報酬である五つの書片は、詳細画面で表示されるワードを組み合わせることで邪神セトを呼び出すパスワードが完成するという仕様である。
真・女神転生Ⅳ
種族邪神の悪魔として登場。
また、イシスが依頼をするチャレンジクエスト「イシスの柩探し」ではオシリスを殺傷してその棺をナラクの川に流した上に回収されないように周辺を見張っている存在というエジプト神話の姿をなぞる役割で登場。
当クエストでは主人公のHPとオシリスの柩の耐久力が連動した仕様になっており、柩回収後は特定の地点に赤色のシンボルエネミーとしてセトが出現・妨害を行ってくるというものである。
続く「オシリスの復活劇」ではセトがイシスの下からオシリスの遺体を奪い、複数の部位に分断して東京中にばらまいた経緯が語られ、主人公が各部位回収のために東京中を駆け巡ることになる。
遺体を回収した主人公がイシスの下へ訪れると待ち受けていたセトと交戦することになり、これを撃破することでミッション完了となる。
女神転生シリーズでもセトが持つ悪神のイメージを最も強調しており、イシスを助け悪神と戦う他の神々やホルスの役目を主人公が執り行って最後に両者が交戦することで神話中の物語が完成するという筋立てとなっている。
なお、口調はDDSATに続いて地がカタカナ、単語は漢字という仕様になっている。
真・女神転生ⅣFINAL
多神連合に与する悪魔たちの一体として「宇宙の卵」第3層のボス悪魔として登場。
戦闘前にYHVHに貶められた恨みを晴らすためにクリシュナたちに協力した旨を語る。だが、それ以外の台詞が皆無な上に獣族悪魔のようにカタカナだけを用いた片言口調で、前作とは打って変わって著しく知性に欠けた様子を見せている。
真・女神転生Ⅴ
種族「邪龍」の悪魔として登場。
セトはダアト:港区の上空を飛行しているので序盤からその威容を窺える仕様になっており、フィールド上で話しかけられる悪魔の中にはセトを話題に上げる者もいる。
本格的な登場はストーリーを進めることで受注できるサブクエスト「エジプト支部の様子を探れ」においてで、オダイバの龍脈からエジプト陣営本拠を目指す途中で主人公の前進を阻んだセトと交戦することになる。
サブクエスト内とは言えど強制戦闘として立ち塞がる存在なのだが一言も喋らない上に戦闘後は何事もなく進行するため、真ⅣF以上に個性が廃されているただの悪魔に等しい扱いとなっている。
ペルソナシリーズ
『ペルソナ2』では過去作の邪神/外道が多く所属するTOWERのペルソナとして登場。
『ペルソナ2罰』ではアペプとの間にはペルソナトークが発生する仕様で、太陽の運行と共に日々セトの手によって殺されるアペプをセト自身が脅迫し、見逃す代わりに契約もしくはカードの拠出を強いるというものになっている。
『ペルソナ3』『ペルソナ4』ではアルカナ月のペルソナとして登場し、『ペルソナ5』では塔のペルソナとして、エジプト神話の神々・女教皇イシス×審判アヌビス×皇帝トート×太陽ホルスのギロチン合体で作成できる。
なお『ペルソナ3』のパラレルワールドを舞台にしたアニメ作品『トリニティソウル』では神郷洵のペルソナが「セト」であるが、エジプト神話では無く旧約聖書に登場するアダムとイブの三男がモチーフである。
デビルチルドレン
白の書に登場。イシスの弟で大地の魔界に登場するボスデビル。