概説
マンダリン草を使って地球の子供を虚弱体質にするという作戦をZATの東光太郎に非難されたメフィラス星人二代目が発したセリフ。
ここで「君の勇気(気力)を見せたまえ」とか何か、兄のように子供の心に挑戦するようなセリフを言えれば愚弟呼ばわりもなかったのだろうが…。
出てきた言葉はこの頭の悪いセリフ。
もはや救いようがない。
ところが……
二代目の存在共々、ファンからはほぼ“総スカン”の格好となった大迷言だが、あろうことか初出より35年以上の時を経て、まさかの再評価を受けることになる。
まずは2009年に放映された『仮面ライダーディケイド』第6話にて。
ライダー裁判バトルで、仮面ライダーベルデ相手に劣勢になった仮面ライダーシザースは「俺の負けだ」と降伏するも、ベルデが油断した隙にボルキャンサーを召喚して逆転勝利する。
そしてベルデに「卑怯」と罵られた彼は、
「卑怯もラッキョウも大好物だぜ!」
と高笑いするのであった。
ウルトラシリーズではなく平成ライダーシリーズで、意外なキャラの口から発せられた迷セリフに、多くの視聴者が度肝を抜かれた。
ちなみにここからちょっと遡る事2年前、『コロコロイチバン!』に掲載された『ウルトラマンメビウス外伝 超銀河大戦 巨大要塞を撃破せよ!!』では暗黒四天王のメフィラス…の弟が同様のセリフを吐き捨てている。
表記は原典と少し異なり、「卑怯もラッキョもあるものか!」となっている。
さらに……
2012年放映の『ウルトラゼロファイト』において、二代目を敬愛する魔導のスライの口から、
「卑怯もラッキョウもありませんよ」
と、ほぼそのまんまのセリフが飛び出した。
少し遡って『ウルトラゾーン』(第17・18話「メフィラスの食卓」)でも、メフィラス星人がラッキョウを凄まじい効果音とともに食するシーンが描かれている。
また、ドラマCD『ウルトラ怪女子』でも、テンペラー星人から不意打ちを責められた際にメフィラス星人(作中の描写を見る限り、初代と同一の個体)が「卑怯もラッキョウもありませんわ!!」と発言している。
また、『第3次スーパーロボット大戦Z』の天獄篇においても、サルディアスが主人公達に向かって同様のセリフを吐いている。
その他、『ウルトラマン超闘士激伝』では、メビウスの門を開く条件を提示する門番スフィンクスに対し、メフィラス大魔王が「気取りやがって」と憤慨、スフィンクスごと門を力付くで破壊し、突破することを提案。「無抵抗の相手に少し卑怯では?」という闘士ウルトラマンタロウの言葉に対し、「卑怯もラッキョウもあるものか!!!やれと言ったらやるんだっ!!!!」と凄まじい表情で叫ぶシーンも存在する。
こうしてみると、今やラッキョウはメフィラス星人の間違ったベクトルでのマストアイテム、鉄板ネタと化した感がある。
それにしても、ある程度の期間地球に潜伏していたと思われる二代目はともかく、スライはどこでラッキョウを知ったのだろうか…?
地球原産のマンダリン草を使った飲料がメフィラス星で流行したらしいので、ラッキョウも『ゾーン』の個体によって持ち込まれたのかも知れない。
しかも……
2020年の『ウルトラマンZ』に登場したバロッサ星人(二代目)がウインダムを人質にとった際にウルトラマンゼットから「ウルトラ卑怯だぞ!正々堂々と戦え!」と非難された際に「もう、やんなっちゃう・・・卑怯もラッキョウもあるかぁ!」と言った。
メフィラス星人以外の宇宙人がこれを発したのは何気に初めてである。
別のシリーズ漫画でも…
1990年代中盤頃から始まっているザ☆ドラえもんズの、田中道明氏による漫画版のコミックス4巻収録の『神の力を手に入れろ!』でも、このセリフは使用されている。
王ドラ&ドラメッドⅢ世のメイン回であり、中国の山奥のジョーリン山でジャッキー・ヘンの秘伝書を狙う『裏カンフー』という悪のサイボーグの一味が2度目に襲撃して来た時。それも現地で出会った少年少女達と共に秘伝書のあるという場所に向かってもう目前まで迫った時、件の悪党一味が「わははは、道案内ご苦労。お前らには消えてもらうぜ。」とのセリフと共に登場、どうやら一行の跡を付けてここまで来たらしい。
そこでドラメッドが「ひきょうでござるよ。」と非難するのだが、巨漢でスキンヘッドの親分が「ひきょうもらっきょうもあるか!」と、原文をある程度もじったセリフで返すのだが、
当のドラメッドは「いまのはだじゃれでござるか?」と王ドラに訊き、王ドラも「まさか……。」とヒソヒソ話を繰り広げ、言った本人である親分は無言で赤面してしまう(或いは青ざめた?)。
仕舞いにはドラメッドと王ドラで「つまんないだじゃれはよしなしゃれ!」「ドラメッドのほうがつまんないじゃないですか!」と、ツッコミにツッコミを重ねる漫才を繰り広げてしまうのであった。
直後に敵の親分はしびれを切らして(或いは恥ずかしさから?)一斉にかかるよう号令を出すのだった(当然と言えば当然か)。
少し違うかもしれないが……
2021年に公開された東映特撮の映画『スーパーヒーロー戦記』に登場した戦隊メギドが機界戦隊ゼンカイジャーの登場人物(ロボット)であるセッちゃんを人質にとった際にゼンカイザーこと五色田介人から「卑怯だぞ!」と言われた際に「卑怯結構! お前らだって卑怯な手を使って良いぞ!」と少し違うが似たように韻を踏んだ台詞を返した。
こちらは卑怯な手を使ってはいるが、逆に卑怯な手を使ってもいいとちゃんと言っている辺りまだ紳士的(?)である。(尚、繰り出されたのはあまりにも卑怯すぎる手であった。)
さらに……
2022年に公開された『シン・ウルトラマン』にて、メフィラスが居酒屋で飲食をするシーンがあるのだが、食べているツマミの中にラッキョウがある。
これまた違うかもしれないが……
2023年の2月に放送された『ポケットモンスター めざせポケモンマスター』の第6話にて、主人公のサトシの相棒であるピカチュウが昼寝の最中に、例によってロケット団のいつものメンバーに特製の網で捕まえられてしまう(直後にサトシはツタージャによって網から出られたが、ピカチュウは未だに捕まっていた)。その時にロケット団らのいつもの名乗り口上の後にサトシが「またお前達か!」と言った直後に、ロケット団のムサシから「またもマタドガスもない!」と返されているという、寝込みを襲うという意味では卑怯であり、尚且つダジャレな返し方というシチュエーションを繰り広げている。
総じて
ウルトラマンタロウで発した際にあちこちに広がり、発言する方も聞く方も韻を踏んでいて語呂が良く手頃な台詞(と絶妙な小物臭さ)ゆえ異論な悪役やキャラに言わせる代名詞となっている。