概要
戸塚慶文の漫画『アンデッドアンラック』に登場する謎多き人物。
物語の始まり時点では、何故か男主人公・アンディの内側に存在する別人格であり、他を圧倒する最強者。
また主要人物・ジュイスと面識があるようで…。
ヴィクトルには、称号「戦勝の神」や埒外な戦闘力を有しており、これら戦力面については【ヴィクトール(アンデラ)】を参照。
もう一人の不死
(原作漫画2巻終盤の)UMAスポイル戦に初登場。
強力な理(ルール)を強いる難戦から、男主人公・アンディは自身の額に刺さるカードを抜く決断から出現したヴィクトル。正確には、アンディの別人格である彼が表層に出た事で、アンディは深層に潜る形式で入れ替わった状態。
そして本作に登場するUNDEAD-不死-の否定者、もう一人の不死者である。
謎の男・ヴィクトルは称号「戦勝の神」を有し、伝説の戦士「ヴィクトール」とも呼ばれる逸話があると、戦場へ居合わせたシェンは語る。
実際にUMAスポイル戦や以後の動向として―
- 組織の否定者三名らが苦戦していたUMAスポイルを、一人で圧倒する高い戦闘力。
- 年長ゆえか作中世界の事情や組織(ユニオン)について、何かを知ってるかのような物言いをする。
- 組織の女ボス・ジュイスと知り合いである。
等々、初登場時から様々な謎を秘めている人間である。
そして後に判明する、ヴィクトルの素性は物語へ深く関わる重要人物であった。
元UN■■■の否定者
原作漫画5巻から、少しずつ明らかとなっていく不死身の男・ヴィクトルとは、嘗てUNION(ユニオン)の否定者だった人物。
組織の女ボス・ジュイスとは、互いに信頼を置く相方だったが、過酷な運命や大人の関係、様々な困難から袂を分けた仲間であった。
プロフィール
年齢 | 数えてない |
---|---|
身長 | 189㎝(だったが身体が筋肉でふくれて伸びている) |
体重 | 知らん |
趣味 | 世界旅行 茶葉集め 遺跡探索 |
特技 | 体術 能力のコントロール ジュイスの買い物の付き添い |
好物 | 紅茶 ステーキ |
能力 | UNDEAD -不死- |
CV | 中村悠一(アンディと兼役) |
容姿
筋肉質な碧眼の強面、髪色は別人格・アンディの灰髪から黒髪に変色、髪はかなり伸びて纏まりきらない様からより威圧感のある風体。
肉体はアンディと共有している(正確にはヴィクトルが本体である)ため、左胸には弾痕のような傷、その上には「1865」の数字。左肩には「DEAD END」の入れ墨が刻まれている。
初登場では、これらに加え腕・肩・首と体の随所に増えた古傷がある禍々しさであったが、再登場時には消えていた。この有無は裏事情で浮き出ていたキズだった事が原作者・戸塚慶文によって解説された。深層(うちがわ)にいるアンディが表層(そとがわ)に出ようと足搔き、それを主人格・ヴィクトルが抑え込む不均衡から出来た生傷。唯一血が出るまで抵抗できてる頭部以外は完全に抑圧されてる状態だったとのこと。
服装はアンディのイメージと異なるためか着こなし方が変化し、上着は腰に巻くスーツ姿が基本である模様。なお初登場時は上裸だった。
そしてアンディと同様にUNDEAD-不死-であるため、体が再生する際には股間へ海苔が付く。
人物
性格はアンディの時より冷酷かつ好戦的になり、これは「人が変わった」と称されるほど別人のように変貌する。即ちアンディと全く異なる人物。
初登場では世界事情について知己のような振る舞いで、対峙したUNION(ユニオン)も知っていた(元構成員であった伏線)。組織(ユニオン)の戦力が揃うことを望んでいるらしく、不要と判断した風子(ヒロイン)を殺して席を空けようとしたり、円卓メンバーの戦い方を分析してダメ出しや称賛を送るなど、組織幹部たちを試すような態度をみせた。
本作に登場するもう一人の不死者としては、主人公の不死者・アンディと違い死ぬことは完全に諦めている様子。体の主導権を奪ったあげく決して手に入らない死の為に無駄な時間を費やしたアンディに苛立ち、彼の死への希望である風子(ヒロイン)を疎んでいる所感を抱いた。
ヴィクトルから見たアンディの風子への感情は「依存」でしかないと視ており、その発言を目の当たりにした風子はヴィクトルを「嫌いな人」と、完全にアンディとは別人扱いになった。そのためUNLUCK-不運-の否定者である彼女が接触しても不運は何も起きなかった。
一見は不敬な男と思えるが、アンディのように現況へ対する思考の柔軟さがあり、一度低評価を下した相手を見直す発言もしばしば見て取れる。後に古代遺物の記憶から、ヴィクトルの人物背景「元UNIONの否定者」「かつて世界に立ち向かっていた1人」を知った風子から、初対面時の不審を改められている。
ヴィクトルを知る人物、組織(ユニオン)の女ボス・ジュイスからは間接的に相方であった真実を告白されている。だが、これを今の仲間へ周知する場面では緊急事態であった事、それ以上の関係は語る時ではないという風に詳細は語られていなかった。
アンディに潜む者
ヴィクトル曰く自分がオリジナルで、アンディは片割れと揶揄していた。
物語の始まり時点では、アンディに刺さっている記憶を閉じ込めている額のカードを引き抜く事で姿を現すが、体の主導権は完全に乗っ取られてしまうほどの強い人格者(魂)である。言い換えれば「(アンディの)記憶が戻ったというよりも人が変わったと言った方が適切」な状態となる。
肉体については、本来はヴィクトルのものであるらしく、彼の「俺がオリジナルだ」という主張に対して、後にアンディ自身も「おそらく事実だ」と肯定している。
ちなみにアンディの口癖は「馬鹿が」だが、ヴィクトルの口癖は「阿呆が」となっている。
「Victor(ヴィクトル)」が何故アンディに封じられているのか?
本作にある謎の一つであり、その真実はアンディの出生へ深く関わっているのは確信できる存在である。
能力
自己対象 強制発動型
男性主人公・アンディよりも長命に生き、多大な能力研鑽も行い、伝説「戦勝の神(ヴィクトール)」にもなった最強者。
この称号も含め、詳細は【ヴィクトール(アンデラ)】を参照。
pixivのヴィクトル
『ヴィクトル』だけならば他作品に登場するキャラも指す。
そのためpixivにイラストを投稿・タグ付けするならば、本記事の『ヴィクトル(アンデラ)』を使用したり、関連タグとして『アンデッドアンラック』や『アンデラ』など合わせて使うことが絞り込み検索を助ける。
余談
「Victor」という人物名は、国々によって発音が異なり―
綴りと発音が一致するのはスペイン語だが、そこに彼のルーツがあるのかは作者のみぞ知るところである。
単語での意味は「勝利者」「達人」「征服者」「先生」と言った活用がされる。
また「ヴィクトル」という架空人物で、創作に「死から命を生み出す」不徳な科学者がおり、死なない事について有縁もある名称。
アニメ版で「Victor(ヴィクトル)」が初登場する第8話「Victhor(ヴィクトール)」は、奇しくも2023年11月24日で「いい不死の日」と不死者に縁ある記念日であった。
関連タグ
【機密事項】
⚠以下、漫画『アンデッドアンラック』の重大なネタバレを含みます⚠
本作『アンデッドアンラック』では、特異な理「ループ」によって人知れず、幾度も世界規模な「破壊と創造の循環(ループ)」が繰り返される不条理な真実があった。
なお本編第一話時点の世界は100回目の周廻(ループ)である。
そして本作の不死者、UNDEAD-不死-の否定者は物理的にループを越える宿命も背負わされていた。
確認できる限りでは、ヴィクトルは4554億年以上も世界の歴史を歩んできた1人の人間であった。
最古の円卓否定者
上記でも触れたように、ヴィクトルは嘗てジュイスと共に組織(ユニオン)で戦ってきた最古参の組織メンバー、最古の円卓否定者である。
また(あくまで昔の話と言うが)ジュイスとは単なる仲間以上の関係である事も明らかになる。
ジュイスは伝説の古代遺物「アーク」で時を越え、ヴィクトルは否定能力から死を越えて、共に99回ものループを生きてきた世界の経験者たち。全ては大義〈創造主-神-を殺す〉を成し、この呪われた立場から解放、無辜の人達を救済するために行動していた。これが出来るのは否定者(ひていしゃ:世界の理を否定する業の器になった者)だけ、世界の真実を知る自分たちしか成せない正義であると。
いわゆる「神殺し」に挑むため、99回もの世界で組織(ユニオン)を1から作り上げ、数多の課題(クエスト)を成功させ戦力を集めては苦い敗北を喫していた。それでも互いに支え合って世界を越えてきた戦士であり、盟友であり、それ以上の間柄であった。
嘗てのヴィクトル
現行では不機嫌な感情が張り付いたような強面だが、始めからこんな感じでは無かった。回想にて、外見は殆ど変わらずだが、まだ若輩者な風の時期(上記で触れたようにUNDEAD-不死-であるため、実年齢は相当に老齢な若者)があった。能力研鑽の途上から少し細身、顔つきはどことなく柔らかい不良貌な感じ。頭の後ろで腕組みしたりと、仕草に緩い雰囲気の特徴もある。
過去のヴィクトルは、不死の特性「長生きで人生経験を豊富にできる」もあってか、器用な一面で防具制作をして、相方・ジュイスに宛がう仲間想いな一幕があった・・・貴重なエプロン姿で。
公式𝕏️(前代・Twitter)のおまけ漫画では、その時の微笑ましい「思い出」にあった裏話も投稿されている。
永劫を生きる者
ジュイスの口から、地球は神の手により幾度も破壊と再構築を繰り返されてきたという衝撃の事実が語られる際、その不条理で「死」を否定されたヴィクトルだけは、地球が破壊されても死ぬことができない不幸も語られる。
古代遺物「アーク」によってループを行なってきたジュイスに対し、ヴィクトルは宇宙空間や原始地球を物理的に生き延びることで、ループを繰り返してきた。つまり彼の生きた年月は、ゆうに数千億年を超えていた。後に、ジュイスがヴィクトルと共に神へ挑んだ戦歴として4554億年の人生を重ねていたと判明する。
この経歴を鑑みれば、主人公の不死者・アンディが第1話で死にたい願望を抱いていた所感よりも、更に深い酷い重い不死の宿命を歩んでいたヴィクトル。そして戦う者として死ねずに生き残り、99回も破壊と創造の世界で生と死、数多の苦しみ続ける宿命を負っていた。
だが温かい。
ヴィクトルは一人じゃない。
彼の永遠とも言える人生は苦痛だけでは無かった。
それは「温もり」を与えてくれた盟友・ジュイスの存在。彼女は99回のループを越えても戦うことを諦めない正義の人間、そして一人の人間としては相棒の不死を気遣う心優しい人格者だった。
2人とも終わりがないような戦う立場にいたが、時には骨休みという風に休息を過ごす「思い出」も共有する親愛もあった。だが死を否定された者、死と同価値である命の在り方を曖昧にされる能力者として、ヴィクトルは精一杯に生きるジュイスから貰う「命の温かみ」について不可解と有り難いを抱き続けていた模様。
だけど長年、極めて長大な戦いの人生。
共に戦い、最愛の女性となったジュイスのために、ヴィクトルはある決断に動く…。
敗北の道を歩まされる葛藤者
課題(クエスト)に挑み続け、戦力を集めていけば創造主-神-の命へ届くと思っていた闘い。
だが気付く。勝てないと。
何百何千何万何億と年を経て立ち向かっても敗北する不条理な闘いであると、今までの自分達では絶対に神へ敵わないと悟るヴィクトル。
一つ一つ最善手を打てばいつか神の死に近づくと確固な信念を抱いていたジュイス。
だからこそヴィクトルは、彼女を殺そうと決めた。
『 惚れた女が苦しむ様を 見たい男がどこにいる 』
不死ではないのだから、死なせて楽にさせてやろうと最悪の決断をした。
そうして物語本編の世界線、100回目のループ世界にてヴィクトルの運命が大きく動く…。
ヴィクトルが何故今回のループにおいて記憶を封じ込められ、アンディという別人格が生まれたのか。
その要因(特異点)は1865年4月15日、最愛の彼女が彼氏を救うために使用した古代遺物が鍵となっており──。