落第騎士の英雄譚
らくだいきしのきゃばるりぃ
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概要
GA文庫レーベルのライトノベル。作者は海空りく、イラストは「をん」。
作者曰く「異能バトルでスポコンもの」。ライトノベルとしては珍しく、主人公×ヒロインのカップリングが固定されており、トーナメント戦を勝ち上がっていく少年漫画的な作風が特徴。
ただし、学生一を競い合うトーナメントである七星剣武祭編の終了後は、異能バトルの戦争ものの様相を呈しており、舞台はトーナメントから実戦の場に移行、さらに対戦相手が学生から犯罪者or海外の軍人に変化している。
他作品に置き換えるとすれば、9巻までが「グラップラー刃牙」の様な作風、10巻以降が「バキ」みたいな作風になっている、と言ったところか。
原作小説は本編全19巻+短編集1巻。
コミカライズがスクウェア・エニックスの電子漫画雑誌「ガンガンONLINE」にて連載された。全11巻。
また、GA文庫創刊10周年プロジェクトの一環としてテレビアニメ化もされた。
あらすじ
己の魂を魔剣に変えて戦う現代の魔法使い≪魔導騎士≫
魔導騎士の養成学校「破軍学園」に通う黒鉄一輝(くろがねいっき)は、能力値が低すぎて留年した≪落第騎士(ワーストワン)≫だった。
そんな彼は、ある日、ヴァーミリオン皇国の皇女、ステラ・ヴァーミリオンから「敗者は一生服従」という決闘を一方的に挑まれる。十年に一人の天才と呼ばれるステラとの勝負の結果は誰の目にも明らかのはずであったが、しかし、彼は勝利してしまう。
一輝は魔法の代わりに剣技を極めた、異端の実力者だったのだ。
才能の不足を圧倒的な努力で克服し、騎士の高みを目指す一輝の姿に、ステラは次第に惹かれ初めていく…。(公式サイトより)
主な登場人物
破軍学園
本編の主人公。伐刀者として致命的なまでに才能がないが、それを努力と技術で補う異端の実力者。「落第騎士(ワーストワン)」又は「無冠の剣王(アナザーワン)」の異名を取る剣豪。
ヒロイン兼ライバル兼もう一人の主人公。北欧の小国「ヴァーミリオン皇国」の第二皇女。「紅蓮の皇女(ぐれんのこうじょ)」の異名を取る、伐刀者として規格外の才能を持つ文字通りの神童。
一輝の実妹。ヤンデレかつブラコンで、兄を一人の男性として愛している。「深海の魔女(ローレライ)」の異名を取る水使いの魔導士。
一輝の友人。陽気なイケメンオネエだが時折きな臭い雰囲気を漂わせる。「黒い茨(ブラックソニア)」の異名を取る実力者で、影を操る能力を持つ。
一輝のクラスメイト。ステラに勝利した事から彼に興味を持ち、新聞部を一人で立ち上げて、彼やステラを追いかける。その一方で、一輝たちの対戦相手を調べてはそれを提供する情報屋も務める。分身や飛び道具の数を増やすなど、非常に使い勝手がよく強力な「複製」の異能を持つが、戦闘能力は無いに等しい。
《最後の侍(ラストサムライ)》の異名を持つ非伐刀者の剣豪「絢辻海斗」の娘。スランプに陥っていた所に一輝の噂を聞き、弟子入りする。父から教わった剣術を主体に、「傷を開く」という能力を織り交ぜて戦う。
- 葉暮桔梗・葉暮牡丹
校内選抜戦を共に全勝で勝ち進んだ双子の姉妹。桔梗はCランクの槍使いで「瞬間加速」の異能を持ち、牡丹はDランクの二丁拳銃使いで異能は不明。
生徒会長であり、昨年の七星剣武祭ベスト4・学内序列第1位の実力者。戦闘時は苛烈だが、普段は面倒見の良いお母さんのような性格。自身の伐刀絶技から取られた「雷切(らいきり)」の異名を取る。
「観測不能(フィフティ・フィフティ)」。生徒会副会長で、刀華とは同じ孤児院出身の幼馴染み。「自分の力や行動で起こりうる可能性であれば運命を改変出来る」という能力を持っており、破軍の生徒では唯一の因果干渉系能力の持ち主。しかし彼自身は極めて非力で戦闘能力が無いに等しい為、校内選抜戦には不参加を貫いている。
生徒会会計であり、日本屈指の資産家の一つ「貴徳原財団」の令嬢。常に白いドレス姿で、帽子と日傘で顔が隠れている。学内序列第2位の実力者であり、テロリストと交戦経験も豊富。異名は「紅の淑女(シャルラッハフラウ)」。無数の刃と化した自身の霊装を操り、相手を斬り刻む戦法を得意としている。
生徒会庶務で、常に体操服姿の元気娘。学内序列第3位で「速度中毒(ランナーズハイ)」の異名を取る超スピードタイプ。「速度累積」の異能を持ち、停止しない限りは延々と加速し続けられる。
生徒会書記。学内序列第4位で「城砕き(デストロイヤー)」の異名を持つパワーファイター。「威力累積」の異能を持ち、尋常ならざる破壊力の一撃を繰り出す。
昨年の破軍学園の七星剣武祭代表生で、一輝への虐めの主犯格。確実に勝てる相手を徹底的に痛めつけて倒し、勝てない相手とは戦わずに棄権するゲスな性格。完全ステルスという強力な能力を持つ。騎士にあるまじき戦い方から「狩人(かりゅうど)」の異名を持つ。
教員
破軍学園理事長。「世界時計(ワールドクロック)」の異名を持つAランク騎士。強力無比な「時間操作」の能力を持つ。元世界リーグ3位の実力者だが、結婚・出産を機に引退した。近年、七星剣武祭で成績が振るわない破軍学園を立て直すために大改革を行っており、その中で一輝の実戦スキルに目を付け、高く買っている。
世界リーグ現3位。「夜叉姫(やしゃひめ)」の異名を持つAランク騎士。重力を自在に操る能力の持ち主。黒乃とは過去の七星剣武祭で戦った仲であり、その縁で破軍学園の臨時講師を務め、さらには七星剣武祭の学内予選では立会人兼解説を務め、その解説は的確。ただ、愛らしい(きれいな言い方)顔立ち、着物を常に着崩しているファッションセンスの無さ、解説者席でのいいかげんな態度が目立ってしまっているどころか、解説者席から平気でトンヅラこいては黒乃を激怒させることもしばしばある。
一輝のクラス担任。「死の宣告(ジョリーロジャー)」。かなり病弱であり、よく吐血して倒れるため、輸血の準備が欠かせない。
「痛覚共有」の異能を持ち、自身が味わう病魔の苦痛を味わわせてコンディションを低下させ、また自身が受けた痛みをも味わわせるという、強烈なデバフとカウンターを両立している。そして彼女自身も破軍の教員の中でも屈指の実力者。
他校の強豪
「剣士殺し(ソードイーター)」。貪狼学園のエースで、昨年の七星剣武祭ベスト8に残った強者。不良グループのリーダーでもあり、あちこちで剣士相手に道場破りを繰り返している。
「浪速の星(なにわのほし)」。武曲学園のエースであり、昨年の七星剣武祭を制した七星剣王。事故で両足を失った事から1度は引退したが、魔力による治療と地獄のようなリハビリを耐え抜き、カムバックした逸話を持つ。「魔力破壊」の能力によってあらゆる伐刀絶技を封殺する為、魔導士にとっては天敵であると同時に、抜刀術の達人である「雷切」が完封される程の槍の達人。
- 城ヶ崎白夜
諸星と同じ武曲学園の生徒で、昨年の七星剣武祭準優勝者。テレポート系の能力者で、リングアウト勝ちのある七星剣武祭などの公式戦では非常に強力。事前の分析を元に相手の行動を完璧に掌握する戦闘スタイルから「天眼(てんがん)」の異名を持つ。
- 浅木椛
諸星と同じ武曲学園の生徒で、昨年の七星剣武祭3位。異名は「鬼火」。ステラと同じ炎系の能力者で、忍者のような体術を使用する。
廉貞学園の代表生で「白衣の騎士(はくいのきし)」の異名を持つ卓越した水使いであり、世界屈指の魔導医。騎士は本業ではなく2年間公式戦には出ていなかったが、学園側の依頼で出場することになった。
- 加我恋司
禄存学園の代表生。身長236cm、体重370kgの並外れた巨漢で「鋼鉄の荒熊(パンツァーグリズリー)」の異名を持つ。固有霊装は褌型で、相撲を格とする体術型の伐刀者。小学生リーグ時代から王馬や諸星と面識があり、特に当時一度も勝つことができなかった黒鉄王馬に対抗心を燃やしている。
- 鶴屋美琴
巨門学園の代表生で、昨年の七星剣武祭ベスト8。「氷の冷笑(こおりのれいしょう)」の異名を持つ実利的な騎士で、一輝やステラには対等な条件では勝つことができないことを明言している。霊装であるモノクルを通して凝視した箇所を絶対零度にするという能力を持つ。
暁学園
「風の剣帝(かぜのけんてい)」。一輝・珠雫の兄。日本人学生では唯一のAランク騎士であり、小学生時代には世界大会を制した実績を持つ。中学進級後は表舞台に出ることは無かったのだが、ステラと戦うために暁学園へ加わる。ひたすら強さのみを求めるストイックな性格で、一輝を「ペテン師」と断じている。
「魔獣使い(ビーストテイマー)」。日本屈指の資産家の一つ「風祭財団」の令嬢。眼帯を付け、無駄に小難しい言葉遣いをする中二病患者で、メイドのシャルロットによる通訳が欠かせない。動物を霊装化させる能力を持つ反面、自身の戦闘能力は低い。
風祭凛奈の専属のメイド。厚い忠誠心を凛奈に向けていて、凛奈の命令に絶対服従を誓っているのだが、忠誠心が行き過ぎて凛奈に百合的な感情を抱いていて、男女問わず凛奈に近づく者を目の敵にする。
「血塗れのダ・ヴィンチ(ちぬれのダ・ヴィンチ)」の異名を持ち、筆の固有霊装で戦う変則的な伐刀者。上半身だけ見れば裸エプロンというきわどい格好の女性。一輝をある絵のモデルとして見定めた事からヌードになれと迫ってくる。本人は「筆より重い物は持ったことが無い」と言う程のひ弱さだが……
「凶運(バッドラック)」の異名を持つ、中性的な雰囲気の少年。最初は一輝のファンと名乗り、フレンドリーに接してきたにもかかわらず、一輝は嫌悪感を抱いている。選抜戦を全て不戦勝で勝ち上がったという不気味な経歴の持ち主。
「不転」の異名を取る裏社会屈指の暗殺者。凶暴で好戦的な性格の小柄な少女。固有霊装はチェーンソー型で、戦闘特化の反射系能力と鍛錬によって培われた並外れた動体視力を武器に戦う。
ピエロの恰好をした長身の男性と思われる人物。灰汁が強くて協調性が薄い暁学園の生徒の中で、唯一まともな協調性を見せる生徒だが、その本性は邪悪そのものであり、喜々として悪事を働く危険人物。その正体は……
暁学園理事長にして現・内閣総理大臣。かつての破軍学園理事長でもあり、黒乃は当時の教え子にあたる。非戦闘系の伐刀者だが、その能力や真意は黒乃ですら知らない。
その他
「大英雄」と呼ばれる伐刀者で現在は故人。一輝の曾祖父であり、かつての大戦で日本を勝利させた英雄の中の英雄。魔力の無さ故に両親からも見捨てられていた一輝を励まし、その道を示した。生前は氷結系の伐刀絶技を使う二刀流の魔導騎士だった様で、能力の方は曾孫の黒鉄珠雫に継承されている。
一輝達の父で、国際魔導騎士連盟日本支部長。非常に厳格な性格であり、かつて一輝に「何も出来ないお前は、何もするな」と言った。自らも伐刀者であり「鉄血」の二つ名を持っている。
「闘神」と呼ばれる高齢の伐刀者。「音」を操る剣豪で、寧々や刀華の師匠であり、最高クラスの伐刀者大会である闘神リーグ日本唯一の制覇者。かつては黒鉄龍馬のライバルだった。
「比翼(ひよく)」の異名を持つ女性伐刀者。世界最強の剣士であり、史上最悪の犯罪者とも言われる。その実力は黒乃や寧音ですら恐れ慄き、騎士連盟も捕まえることすらあきらめた程。解放軍と繋がりがある一方で、無闇に人を殺さないどころか積極的に守ろうとすらするなど、今の所その真意は分からない。彼女との戦いが後に一輝をさらなる高みへ歩ませることとなる。
- アーサー・ブライト
「白髭公」の二つ名を持つ、現KOKリーグ世界1位。世界を三分する勢力の一つ、「連盟」の長であり別格の力を持つ。
- ノーマン・クリード
「翼の宰相」の二つ名を持つ人物。国際魔導騎士連盟副長で「白髭公」アーサー・ブライトの右腕。「蒼天の扉(ディヴァイン・ゲート)」と呼ばれる七百七十七本の小さなナイフ型の霊装(デバイス)を持ち、霊装(デバイス)から霊装(デバイス)へと瞬時に移動することができる転移系能力の最高峰の保有者。この霊装(デバイス)は他者に貸与するすることもできる。
- カルロ・ヴェルトー二
「カンピオーネ」と呼ばれる現KOKリーグ世界2位の伐刀者。イタリア最強の騎士であり、世界最強の水使い。禁技指定となっている伐刀絶技「第八大海(アドリアンブルー)」は空をも飲み込む。
「不屈」の二つ名を持つ伐刀者で現KOKリーグ世界4位。甲冑型固有霊装である「無敵甲冑(オレイカルコス)」は堅固な防御力の他異常なまでの治癒力を持っており、物理的な攻撃はほとんど通らない。
「超人」と呼ばれるアメリカ最強の伐刀者。20代という若さながら世界を三分する勢力の一つ、「同盟」の長を務め別格の力を持つ。異能は「超能力者(サイキック)」であり、「念力(テレキネシス)」「発火(パイロキネシス)」「放電(エレクトロキネシス)」「瞬間移動(テレポート)」など、超能力に分類される能力はなんでも使える反則極まる能力の持ち主。
「暴君」の異名を持つ違法伐刀者。第二次世界大戦以前から活躍し、現在も世界を三分する勢力の一つになっている「解放軍(リベリオン)」の長を務めている。伐刀者として別格の力を持っておりとある青年に深いトラウマを植え付けた。長い事本名が明かされなかったので、異名である「暴君」で呼称される事が多かった。
「隻腕の剣聖(せきわんのけんせい)」と呼ばれる「解放軍」の幹部の一人。右腕のみの隻腕でありながら超一流の剣士である。単純かつ強力な摩擦を操る能力を持ち、その力はまるごと山一つをも両断する。見込みがある者を「解放軍」に引き入れる行動もとっている。
「傀儡王(かいらいおう)」の異名を取る「解放軍」の幹部で「解放軍」の中でも屈指の危険人物。「糸」の概念を操る能力の持ち主で、体技はからっきしだが、極めて優れた魔術の使い手で戦闘能力は非常に高い。生まれつき歪んだ性格の持ち主で、他人の不幸でしか喜びを感じられないという。
「砂漠の死神(ハブーブ)」の名前で恐れられる有名な傭兵で、各地の戦争に現れては両者に等しく壊滅をもたらす。「乾き」を操る能力で世界でも五指に入る戦闘能力を誇る。
「饕餮」の異名を持つ中国の伐刀者。相手の伐刀絶技を複製する伐刀絶技「五兵大主」と「四象拳」なる拳法を使う。
「解放軍」の最高幹部の一人。「肉」の異能を操る伐刀者。断片的に語られるのみだが、その悪性はそれでも明らかで……
用語
- 伐刀者(ブレイザー)
1000人に1人の割合で存在する現在の魔法使い達の呼称。米国では「超能力者(サイキック)」、中国では「仙人」と呼ばれている。一人一人が魔力を持ち、魔力を消費して行使する異能(伐刀絶技)の使用と、埒外の硬度を誇る武器(固有霊装)の顕現ができる。
- 魔力
伐刀者が伐刀者足らしめている特殊なエネルギーの呼称。
NARUTOで言う所のチャクラに分類される様なエネルギーなのだが、鍛錬で総量を伸ばす事が出来ないのが最大の特徴。
その為、魔力は伐刀者がこの世でやれる事の限界値そのものである『運命』と言われている。
伐刀絶技の行使以外に、鎧の様に纏えば物理衝撃を軽減させる働きを持ち、紙の様に薄く伸ばせば規格外の切れ味を誇る斬撃にする事ができる。また、肉体に作用させる事で身体能力を強化する事もでき、最低でも倍、魔力制御に長けた者ならば5~6倍まで強化する事すら可能。
- 伐刀絶技(ノウブルアーツ)
伐刀者が魔力を消費して発動する異能の呼称。
どんな能力を持って産まれるかは伐刀者によるが、前述の魔力の性質から、魔力量が高ければ高いほど強力な能力を秘めた伐刀絶技が宿っている様子。能力は系統分けされており、以下にそれを記す。
・身体強化系
自身の身体能力を強化する。殆どの伐刀者が通常の魔力行使で出来る事でしかない為、RPGなどにおけるハズレスキルと呼べる物である。
・概念干渉系
この世に存在するあらゆる概念を操作する能力。現時点では最も多く使い手が確認されており、桐原の「ステルス」や有栖院の「影」などのピンから、絢辻の「傷を開く」などのキリまで多種多様である。
・自然干渉系
炎や水、電撃に風と言った自然物を操る能力。応用範囲が非常に広いので、使い手の練度が戦闘能力に直結しやすい。また、非常に華やかで見栄えのする能力であり、伐刀者に興味のない非伐刀者にとって、伐刀者の能力と言えばこの自然干渉系を指す事が殆ど。
・因果干渉系
数ある伐刀者の能力の中で最も希少かつ強力。他系統の能力を遥に上回る強制力を持ち、場合によっては相手に何もさせないまま完封することも可能。しかし、使い勝手が悪くて戦闘に向かない能力も多く、良くも悪くも因果律を操る能力である為、勝てる可能性がある相手には確実に勝てるが、絶対に勝てない相手には必ず敗北するという、全体的に勝負事には向かない能力である。
- 固有霊装(デバイス)
現在の魔法使いである伐刀者が、自身の魂の一部を高密度な魔力で武器の形にして顕現する『魔法の杖』の呼称。
高密度な魔力の結晶である為、通常の武器とは比べ物にならないほどの硬度と強度を誇る(巡航ミサイルの直撃を受けても無傷)一方で、伐刀者自身の魂の一部でもある為、破壊されると意識を失うダメージを負ってしまう伐刀者にとっての急所でもある。その為、固有霊装の破壊は対伐刀者における極めて有効な戦術であるが、霊装の対破壊性を考えれば現実的ではない。
魂の一部である事から自身の性質及び伐刀絶技とかみ合う仕様になっており、霊装ありきの伐刀絶技も頻繁に見られる。
刀や槍といった古典的な武器の形をした霊装もあれば、超巨大戦艦といった兵器の形をした霊装も存在する。
- 魔導騎士
法律や規律の下で伐刀絶技の自由使用が認められる免許を持った伐刀者の総称。
免許を得るには、魔導騎士養成学校を卒業する必要があり、日本には7校存在する。
その学校に入学した者は自動的に準魔導騎士である《学生騎士》として扱われて、元服の認可も自動的に降りる仕様になっている。
その為、有栖院や珠雫は飲酒を嗜んでいる時があり、倉敷は堂々と喫煙している。
- 魔人(デスペラード)
自身の「運命の限界」に達した伐刀者が、その限界を突破する《覚醒(ブルートソウル)》を経る事で至る超越存在。本来ならば如何に訓練しようが上げる事が出来ない「魔力量」の上限を、訓練次第で上げる事が可能。更には通常の伐刀者とは存在格が違うとされ、それ故に余程能力の相性が良くない限り、通常の伐刀者が《魔人》に勝つ事は絶対的に不可能とされている。
作中では一輝、ステラ、西京、新宮寺、エーデルワイス、南郷、アイリス、オル=ゴール、ナジーム、シャオリー、白髭公、エイブラハム、暴君が該当する。
《覚醒》には当人毎にイメージが違う様で、作中で触れられたものでは、一輝は「自身を地の底に繋ぎ止めようとする枷を破壊する」、新宮寺は「目の前に現れた、触れれば簡単に開く大きな扉を開く」、ステラは「自身の霊装が砕け散り、内部から真の姿と言わんばかりの新たな霊装が出現」となっている。
- 覚醒(ブルートソウル)
自らの意志で運命の外側に歩みだす事を心から決意した伐刀者が魔人になる現象。
運命の外側に向かおうとする伐刀者が自身の精神世界の中に入り、「鎖」や「大きな扉」や「十字架」といった自由を阻む物を破壊する事で魔人になる事ができる。
精神世界内の「鎖」や「十字架」といった物は「人を縛りつつも人を守っている」という檻の役割を果たしている運命の具現化であり、それを破壊する事は自殺に等しい行いである為、メリットばかりでは無い(一例として後述の覚醒超過が挙げられる)。
また、精神世界の中に入る事が出来ても必ずしも覚醒できるとは限らず失敗に終わる時もあらば、逆に覚醒の合格条件をクリアしていても伐刀者本人の意向次第で魔人になる事を拒む事もできる。
ちなみに『ブルート』とは、「獣(けだもの)」「人でなし」「畜生」「野蛮な人」を意味する言葉である。
- 覚醒超過
覚醒によって魂(ソウル)が人ならざる存在(ブルート)になった魔人が負の感情の爆発により肉体ごと人ならざる存在に変異する現象。
変異したその姿はファンタジー作品に登場する『亜人』や『異形の生物』にそっくりな姿になる。
一介の魔人だった頃よりも強大な戦闘力を得るが、代償として理性が完全に無くなり飢えた獣の様に狂暴な本能に従う事しか考えられなくなる。
その為、どんなに強くなりたくても覚醒超過に踏み入ってしまえば、本能のまま暴走して親しい人間や無辜の民を躊躇なく殺害してしまう可能性が高いので、魔人になった者は決して感情の制御を手放してはならない。
しかし、覚醒超過に陥った魔人が初めから理性も良心も無い極悪人だった場合はデメリットとして機能しないので、結果的に強大な力を犯罪者に持たせる事になってしまう。
そういう意味では二つの意味で覚醒超過は覚醒の負の側面と言える。
覚醒とは違って英名は付けられていない事から、漢字のまま「かくせいちょうか」と読むと思われる。仮に付けられていた場合は「オーバーブルートソウル」とでも呼称されると言った所か。
アニメ
2015年10~12月に放送。
全12話で、原作1~3巻の部分+αを描いているが、大まかな出来事はそのままにしつつも、一部順序の入れ替えなど改変が多く行われている。
また、解放軍(リベリオン)や王馬など本格登場が4巻以降となる部分については簡略化・変更して中途半端にならないようにしている。
音楽面では作者が好きなアニメであるスクライドのスタッフを起用している。
スタッフ
監督 | 大沼心 |
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シリーズディレクター | 玉村仁 |
シリーズ構成 | ヤスカワショウゴ |
キャラクターデザイン | 小松原聖 |
音楽 | 中川幸太郎 |
アニメーション制作 | SILVERLINK. Nexus |
オープニングテーマ
「アイデンティティ」(第1話ではエンディング、第12話では挿入歌として使用)
作詞・作曲・歌:酒井ミキオ
エンディングテーマ
「波羅蜜恋華」
作詞:宝野アリカ、作曲:片倉三起也、歌:ALIPROJECT
挿入歌
「覚醒の無意識」(第12話)
作詞・作曲・歌:酒井ミキオ