ウルトラQザ・ムービー星の伝説
うるとらきゅーざむーびーほしのでんせつ
概要
特撮番組『ウルトラQ』のリメイク劇場映画。監督と脚本はウルトラシリーズに多数参加した実相寺昭雄と佐々木守。
当初は金子修介が監督、伊藤和典が脚本の、後の平成ガメラコンビが担当する予定で、ガラモンやカネゴンと言った名怪獣達を再登場させるオムニバス形式の三部作になる予定だった(後述)。
しかしこれが実現しなかった為、円谷プロの元専務である円谷粲が独立し、設立した「円谷エンターテインメント」が製作を引き継いだ。
だがウルトラ怪獣の版権はバンダイが独占している為、新たにスポンサーとなったセガでは怪獣の商品を出すことが出来なかった。これらの理由から、過去怪獣は登場しない事に。
そして、すでに取得していた映画の一枠を埋めるため、実相寺・佐々木の両氏が監督と脚本を引き継ぐ事で制作された。両氏は当時より、ファンから絶大な支持を受け、アイディアも持っていた。
こういった経緯から、円谷プロダクションは原著作としてクレジットされていおり、円谷プロ原作でありながら円谷プロ製作ではないという少々ややこしい事になっている。
1982年に制作が予定されていた『ウルトラマン怪獣聖書』を基に、浦島太郎や天人の羽衣を題材としたSFファンタジー映画。
当時は特撮にも本格的にCGが導入されていた時代であったが、本作ではオープニングタイトルに使用したのみで可能な限り放送当時の作り方で製作されている。特に、ナギラが暴れまわる描写は時間こそ短いものの迫力満点の仕上がりとなっており、ウルトラファンなら必見のシーンとなっている。
同時上映として「ウルトラQ 第2話『五郎とゴロー』」「ウルトラQ 第17話『1/8計画』」、一部地域では劇場版『機動警察パトレイバーtheMovie』が公開された。
なお今作の製作である「円谷エンターテインメント」は後に円谷プロと組み、正式に『ウルトラQ』のリメイク作『ウルトラQ_darkfantasy』を制作する事となる。
あらすじ
古代遺跡の発掘現場で、盗掘者やリゾート開発業者が次々と何者かに殺される事件が発生した。
被害者の遺体の胸や額には3センチほどの穴が開いており、現場にはなぜか海水が飛び散っていた。
そして古代史番組の取材クルーの浜野が謎の失踪を遂げた。
浜野の同僚である万城目、由利子、一平の三人は事件の謎を解くため古代遺跡のある場所へと向かう。
彼らはそこで、世にも奇妙な事件に巻き込まれる事となった。
果たして浜野はどこへ消えたのか?そして一行の前に現れる謎の美女、星野真弓の正体とは?
キャスト
『ウルトラマン』および『ウルトラQ』でレギュラー出演していた俳優がチョイ役で出演しているほか、風見しんご・高樹澪・寺田農・円谷浩・堀内正美など、後に平成ウルトラシリーズで重要な役を演じることになる俳優が多数出演しているのも特徴である。
万城目淳 | 柴俊夫 |
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戸川一平 | 風見しんご |
江戸川由利子 | 荻野目慶子 |
一の谷博士 | 中谷仁 |
星野真弓(ワダツジン) | 高樹澪 |
浜野哲史 | 堀内正美 |
笹本毅 | 山内としお |
山根報道部長 | 寺田農 |
森田通信員 | 佐野史郎 |
カメラマン | 円谷浩 |
報道部員 | 高野浩幸、筒井由美子 |
刑事 | 小林昭二、黒部進、毒蝮三太夫 |
山根の同僚 | 西條康彦 |
漁師(土偶型ワダツジン) | 深沢政雄 |
若い女(ミラーメタル型ワダツジン) | 二階堂美穂 |
郷土史家 | 岡村春彦 |
タクシー運転手 | 打出新五 |
農夫 | 加藤茂雄 |
ビジネスマン | 小沢幹雄 |
吉野ヶ里係員 | 岩本勲 |
工事現場監督 | 池島ゆたか |
警官 | 小島邦彦、日高俊樹、三ツ谷真之、山本竜二、弓家保則 |
観光事業部員 | 谷口敦、まさき博人、広瀬昌助 |
宿のおかみ | 加賀恵子 |
土偶型ワダツジン | 深沢政雄 |
ミラーメタル型ワダツジン | 川上登美子 |
ナギラ | 松岡稜士 |
ナレーター | 石坂浩二 |
金子修介版の内容
前述の通り、当初は金子修介監督、伊藤和典、じんのひろあき、島田満の脚本で、四話オムニバスの作品になる予定だった。
また、マンモスフラワー以外は、共通する人物として「榊原百合子」がそれぞれ登場する。
- じんのひろあき「マンモスフラワー」
アバンタイトル的な内容で、セリフが無い。深夜の大都会を巨大な『根』が浸食。やがて静かに巨大な花が咲き、都市部は異形の世界に変貌。無人の都市部に咲いたマンモスフラワーの花粉が風で飛び、雨水で、マンホールの排水溝に渦をまきながら吸い込まれていく。そしてそれが「ウルトラQ」というタイトルになる……というオープニングだったという。
- じんのひろあき「サルベージ」
海底に発見された巨大な遺跡に、フロートを装着し浮上させる。百合子を含めた調査隊が内部に入ると、昆虫人間のような生物の棺桶を発見。そして人間より一回り大きい、ハサミムシを思わせる「ギガラ」の襲撃を受け、調査隊は次々に倒れていく。が、フロートが破裂し、唯一生き残った百合子の目前で、遺跡は謎を秘めたまま再び深海に降下していく
- 島田満「夢中デ眠ル」
自殺未遂のため、カプセルに収容され、内部で眠り続ける少女・上村梢子。彼女の夢と、試験管ベビーとして誕生したエリート学生・間上大介の夢がシンクロする。が、互いの魂が引き合う事を恐れ、人々は大介の記憶を封印。しかし18年後に大介の夢の中で記憶がよみがえり、奇跡を起こす。
- 伊藤和典「ガラダマ」
ウルトラQの同エピソードと同じく、地方の山間にガラダマ=隕石が落下。しかしそこから怪獣ガラモンが出現する。周囲の生態系を浸食・改造、強力な電磁波により物体および電子機器の破壊など、本作のガラモンは後年の「ガメラ2」におけるレギオンを彷彿とさせる。