誹謗も賞賛も所詮は他人の感情
重要なのはキミ自身がどうあるべきかを強く持つことだ
概要
『Pokémon LEGENDS アルセウス』に登場するキャラクター。
ギンガ団調査隊隊長で、主人公にギンガ団の入団試験を許可した人物。
真面目な人物で、表面上は書斎に溜まった書類の山と格闘しつつ主人公に厳しめの発言をするも、任務をこなす姿に期待を寄せている。
容姿や言葉遣いなどが中性的な雰囲気で日本版の公式サイトでは性別への言及がないが、英語版のサイトでは紹介文に「she」が使われており、ボトムスが女主人公のものに近しいことや口紅を付けていることから女性であるようだ。
また、髪の色や顔つきの雰囲気、後ろで手を組むなどの仕草が『ダイヤモンド・パール・プラチナ』でのギンガ団のボス・アカギと似ているが、今のところ先祖であるかどうかは明言されていない。
見かけとは違いかなりの健啖家でよくイモモチをたくさん食べている。
主人公がコトブキムラに来た当初は、調査が思うように進まない苛立ちから10人前をヤケ食いしていた。
ペリーラ曰く「ホウエン有数の剛剣の使い手」らしく、出身はヒスイではなくホウエンらしい(残念ながら劇中で彼女が剣を振るう様子を拝むことはできないのだが)。
『LEGENDS アルセウス』の前日譚であるwebアニメ『雪ほどきし二藍』では最終回に登場。
CVは朴璐美さん。劇中では彼女が警備隊に所属していた事が明かされた他、相棒であるケーシィとの出会いも描写されている。また、エンドロールではラベン博士との初対面時の様子も描かれていた。
アニメージュ2022年8月号では本作の特集が組まれ、山本健監督とのインタビューが行われた。監督によると「今後また演じてもらう機会があるかもしれないと思い、演じる期間が空いても安心して任せられる人に頼もうと思い朴氏にシマボシ役を頼んだ」らしい。つまり朴氏が彼女を演じて下さる日がもう一度来る事も夢ではないかもしれないのだ。
因みに朴氏は『幻影の覇者 ゾロアーク 』ではゾロアーク(原種)の声を担当していた(『雪ほどきし二藍』はヒスイゾロアが主役となっている)。
作中の主な動向
アカギに似た容姿な上に冷徹そうな振る舞いが目立つが、彼とは違った意味での理想の上司とも言える人物だった。
最初こそ素性の怪しい主人公に対し、(作中の現状を鑑みて)それなりの難易度のミッションを言い渡し、「野垂れ死にしなけりゃ何とかなるだろ(意訳)」的な発言をするが、献身的な働きを見せる主人公に対して次第に信頼を置き、裏から表からサポートしてくれるようになる。
主人公の働きに対する団員やコトブキ村住民の評価も把握しており、ギンガ団の活動の助けになる功績を挙げ他の団員達に与えた良い影響の効果も正当に評価している。
団員ランクが上がってくると「君ならば大丈夫だろう」といった実力を認めた発言もしてくれるようになる。
その他、調査結果報告に応じて、団員ランクの昇格に関する手続きを行う。
また、昇格の際には新しいボールのレシピや贈呈品をくれる。
仕事人として
主人公が時空の裂け目の異変との関連性を疑われ、デンボクにコトブキムラからの追放を言い渡された時は、デンボクの方針に従い主人公をムラの門まで引っ立てて行くも(尚、この時寄り道しすぎるとブチギレられる)、本来なら必要ない原野ベースまでのエスコートをした上で「野垂れ死にするな」と当初の対応とは真反対のエールを送った。その後様々な人の助けにより衣食住こそ確保できたものの、相変わらず表立って行動できない主人公に自らのケーシィを寄越し、テレポートによる放牧場のポケモンとのやり取りもサポートした(尚この際、わざわざ主人公宛てに、ケーシィを寄こした理由を記した手紙を持たせており、文末に肩書きと自身の名を明記している(まあ、ケーシィを手持ちに入れているのはこの人しかいないので丸わかりだが)。当然、表沙汰にはできないため次に主人公に会った時にはすっとぼけている。
また、デンボク不在時に主人公が復団しに来た時は「(私などに)留守を任せる方が悪い!(意訳)」と堂々と宣言し独断で主人公の復帰を認めた上、主人公がシンオウ神殿に向かう際には「無事に帰還せよ!」と生きて帰ってくることを“命令”した上で、主人公たちを見送った。
なぜここまで主人公に肩入れするのか
何故、まだ身の潔白を証明できていない主人公を、自身が疑われるリスクを冒してまで助けたのか。そしてデンボク不在の中主人公を自由に動かしたのか。
これについては、ゲームの最序盤でその答えが示されている。
主人公が加入するまで、調査隊は大した成果を挙げられておらず、同じギンガ団でも
「調査隊の連中…… いったい なにを調べてるんだ?」
「イモヅル亭のオヤジの 得意料理とか 調べてるのかな?」
と皮肉る(イモヅル亭ではイモモチしか出ない)団員もいるほどであり、調査隊が冷ややかな目を向けられていたことが示唆されている。
つまり、ストーリーの始まりの時点では、シマボシは追放されるときの主人公と同じような立場だったのである。
そんな折にどこからともなくやってきて、入隊するやいなやあれよあれよと各地でポケモンを捕獲しまくり、生態調査を飛躍的に進めていった主人公は、シマボシにとって間違いなく恩人だった。
この経験が根底にあるため、シマボシにとって主人公は自身を助けてくれた恩があり、且つ終盤においては完全に暴走しているデンボクを止められる唯一の人間であった。
主人公を助けることは「コトブキムラを救う」という大義と共に「大きな借りを返す」意味があったのである。
総括した人物評
以上のことから、シマボシは状況に応じて柔軟な対応ができる判断力と、恩義に対する義理堅さ、人を見極める技量を併せ持つ人物であり、調査隊という最前線でポケモンという(当時の価値観では)化け物と戦う隊の長として相応しい度量をもった人物だと言えるだろう。
また、主人公追放時には顔には出さずとも主人公の事を部下として深く信頼していたことが解る。
それを裏付けるように、ムベから主人公がいない間、健啖家の彼女が食べるイモモチの量が減ってしまったという話も聞けるため、組織から追放された主人公のことをかなり心配していたらしいことが窺える。
アカギとの関係
記事冒頭の追放された主人公を激励するセリフには心動かされたプレイヤーも多かったようだが、ここで「感情」について言及しており、アカギほど過激ではないものの「感情は心を乱すものであるから、それに身を任せるべきではない」という考え方はふたりとも一致していることが窺える。
善人でありながらもアカギとの繋がりは強く意識したキャラクターになっているようだ。
図鑑完成後のイベントではデンボクから団長を引き継ぐことが示唆されている。
また、ヒスイの夜明けクリア後のイベントでは、デンボクにギンガ団の名と功績を子々孫々に伝えていくと宣言している。
これらのことから、仮にアカギがシマボシの子孫だとするならば、自分の先祖がギンガ団という組織を率いていたことを何らかの形で知ることとなり、自身の率いる組織に改めてその名を冠したと考えるのが一番自然だと思われる。
余談
名前の由来は「月」の大和言葉から。
英語版の名前は「Cyllene」で、ギリシャ神話の月の女神「Selene(セレーネ)」のもじりと思われる。ちなみにアカギの英語版の名前は「Cyrus」(ペルシャ語で太陽の意)であり、頭の2文字が同じだったり意味が対になるなど、意識されていると思しき点がある。
なおシロナも英語名が「Cynthia」(『ギリシャ神話』の月の女神アルテミスの別名)となっており、頭の2文字に加えて月に関連している点で共通している。
表情について
喜怒哀楽が全く顔に出ず(というか、いつも飲料水のフキゲンみたいな顔をしている)、動揺する事もない彼女。
しかし実はむしタイプのポケモンが大の苦手であり、作中のムービーでは執務室に入ってきたケムッソに「ぎゃあ!!」と言う物凄い悲鳴をあげた上に腰を抜かし、ケーシィにテレポートで逃がすよう哀願している(尚、作中で彼女の顔グラが変わるのはこの一度きりである)。
なんだただのギャップ萌えか。
なお、その直後にはまるで何事もなかったかのようにいつもの澄まし顔で主人公に接するのであった。
エンディングのエンドカードでは、着物(浴衣)姿の彼女が描かれている。
遠目からなのでややわかりにくいものの、男泣きするデンボクに向かって笑顔を浮かべており、
本編では見られない彼女の意外な一面が見られる(ぶっちゃけ滅茶苦茶可愛い)。
なお、祭りの際はいつになくはしゃいでいたらしく、祭りの翌日にラベン博士からそのことを指摘されると、本人は「錯覚だ」と言って誤魔化していた。先のケーシィを寄こした件といい、照れ隠しが好きな御仁である。
関連タグ
ポケモン LEGENDSアルセウス ギンガ団(ヒスイ) アカギ(ポケモン)
グラジオ:序盤は冷酷そうに見えたが実際は義理堅い性格で、ボスに反抗してまで裏では主人公を支援しボスを引き継いだ点が似ている。悪の組織のボスの息子で彼の母親はアルセウスをベースとしたポケモンを生み出している。アカギと同じくニューラ系統、ズバット系統を連れている(ポケモンカードも含めればリザードンも共通)。
カスミ(アニポケ):虫ポケモンが苦手なトレーナー繋がり。キャタピーに悲鳴をあげる。