「俺は暴力肯定派の古いタイプの芸人だぜ?」
概要
劇場で売れないお笑い芸人をしている35歳の男性。
初登場時は不穏な雰囲気を漂わせていたがそれっきり出番がなく、死滅回游が本格的になると天賦の才をもつ術師や見た目が強烈な術師の登場で忘れ去られていたところ、伏黒恵がレジィ達と戦闘している最中、センターマンの姿で乱入するという斜め上どころではない登場で一気に話題となった。
現在は虎杖悠仁達と合流して共に行動をしている。
人物
舞台ではフリップを使ったネタを披露していたが、ウケはイマイチで拍手もまばらと冴えない地味な芸人でしかなく、先輩芸人からは身の振り方を考えるよう忠告されていた。
しかし、別の先輩であるケンさんから売れる条件は「面白い」か「面白いと勘違いできること」というアドバイスを受けると、センターマンの決め台詞をつぶやき一旦出番を終え、その後何かが吹っ切れてしまったのかセンターマンの衣装でコロニー内での戦闘時に参戦する。
常にテンションが高く、突然ギャグをかましてスベってキレるといちいち行動が面白い濃すぎるキャラ。
言動が面白いというだけで芸人としては完成されてると言えよう。
どれだけ殺伐とした状況であっても自身が芸人であることを忘れない前向き思考の持ち主で、対戦相手であるレジィが『何か来る』と身構えたら寒いギャグを飛ばし、スベるとブチギレて『クソ客』と叫び出し、伏黒が説明していると顔が近過ぎて怒られ、過去の術師かどうか聞かれたら自分が面白いヤツか否か聞かれていると思う等々、存在自体が面白い上にシリアスな戦闘でギャグキャラのノリを突き通す、まさにリアクション芸人の鑑である。
伏黒からは『東堂と同じニオイがする』と評される、紛うことなき奇人である。
また、芸人の矜持として『人から一生笑顔を奪う真似はせん!!』と口にしており、実際に所持得点が0ポイントとなっているように殺人は一切行わない。
暴力は許容するが、たとえ悪人相手でも命を奪うことを良しとしないポリシーを持つ。
また、身を挺して伏黒への攻撃を庇い、自身の直感任せだが善人を助ける事にも躊躇しない。
しかし、笑いを取るためならば暴力的行動も辞さないという一昔前の芸人を肯定する一面もあり、良くも悪くも〝芸人らしい〟人物である。
テレビや新聞を真面目に見る方ではないようで、死滅回游による電気系統の維持などいった事を知らなかったため、来栖華に「大人の無邪気は邪気ですよ」と手厳しい一言を言われてしまった。
※この先、単行本27巻のネタバレを含みますのでご注意ください!
「オマエにウケなくったって、オマエ以外にウケたら関係ねーんだよ!!」
「それ、君が言っちゃうんだ」
現在はピン芸人(一人でお笑いをする芸人・コメディアン)であるが、元々コンビでやっていた事が単行本24巻のおまけページで明かされた。
その後、本誌でなんと羂索と戦う事になり(そもそも漫才が平安時代を起源とする日本の伝統芸能であることもあり)お笑いにも精通していた羂索に追い詰められた事でその過去が判明する。
お笑いを始めたのはもっと自分を知ってほしかったから。そうすれば、寂しくなくなるから。
しかし現実は厳しく、いつまでも報われず、コンビは解消……髙羽はピン芸人となった。
必死に考えたネタの評価も散々で、先輩のケンさんからは「100人中100人に面白いと思ってもらうなんて無理な話」「自分はオマエのネタ嫌いじゃなかった」とフォローされる。
だが、髙羽はその言葉を逃げる理由にした。
ケンさんは「無理だから諦めろ」と言いたかった訳ではなかったのに、自分が傷つきたくなかった髙羽は都合のいい解釈をして諦め、いつしかお笑いというものに向き合わなくなってしまった。
自分を見に来てくれた100人全員に自分を知ってほしかったのに、笑わなかった人を自分から切り捨ててしまった。
それを自覚し、「なぜ今もお笑いをやっているのか?」という原点を思い出した髙羽は羂索が思わず見惚れてしまうほどの美しい土下座を披露して謝罪。
(美しい、本気の土下座だ…私がこの域に達したのは20代後半……)
(いや私は…何を言っているんだ?)
そして、こう宣言した
「オマエを胃袋吐くまで笑わせてやる!!」
「それが俺のお笑いだ!!」
戦闘能力(本誌のネタバレ注意)
術式
超人(コメディアン)
髙羽が“ウケる”と確信した想像を実現する術式。理論上はほぼ全能に近い術式で、作中でも地の文で五条悟に対抗し得るとまで明言されている。
ただし、髙羽自身は自分の術式を全く認識していない。また、その性質は裏を返せば「本人が『笑いを取れる』と思えない内容は実現できない」、「ほんの少しでも『これではダメだ』と思ってしまえば実現に失敗する」という縛りがかかっているということでもあり、相手に一方的な暴力を加えることなどはできないと思われる。
強大な能力の代償として必要とされるのは「自分自身のユーモアセンスを信じて疑わない(芸人としての)強靭な精神力」であり、その点では色々な意味で吹っ切れている今の髙羽だからこそある程度使いこなせているという側面もある。
基本的に格闘戦がメインだが、突然呪力を上昇させて歴戦の術師が反応できない速度で相手の顔面にドロップキックを決める、普通なら死ぬような爆撃を何度も受けても少し焦げたり一時的な流血で済ませ、しかもそれらの怪我もいつの間にか治っている(羂索曰く「攻撃が効かないのではなく、攻撃が効かなかった事にされた」)等々、まさにギャグ補正そのものを味方につけたようにデタラメな戦闘力を誇る(伏黒からは髙羽が敵でなくて良かったと少し引かれていた)。
術式対象は髙羽本人だけではなく相対する相手も含み、いつの間にか顔に落書きが書かれたり、バンダナやグラサンを付けられたり、鏡を持たされたりするのだが、作中トップクラスの術師でも反応できないほどの速さで効果を発揮してることから東堂の不義遊戯と同じく、「領域展開をせずとも常時必中」の性質を持っていると思われる。
また、「赤は御法度」であるためか殺傷行為に対するギャグ補正は相手にも適用される(ただし人間に限る)。 状況次第では周囲の人間にも影響が及ぶ可能性が示唆されており、宿儺から明らかに致命傷を受けた上に高所から無抵抗に突き落とされた来栖が死なずに済んだのは髙羽が近くにいたからと天使に推測されている。
これだけ特異で強力な術式でありながら、覚醒タイプの泳者に興味関心がなかったこともあってか羂索は把握していなかった様で、相対した際には「下手をすれば私の千年の呪術ノウハウが通じない!!」と驚いていた。
しかし、その一方「どんな術式にも穴はある」と冷静に対処し術式の発動条件を看破、自身にお笑いの知識があることも手伝い、ロジカルな駄目出しで徐々に髙羽を圧倒していった。何の因果か、羂索のお笑い理解度は髙羽以上だったのだ。
しかし、その後に芸人としての不甲斐なさを自覚した髙羽の土下座を見た羂索がその姿勢を黄金比にたとえた上で「美しい。本気の土下座だ。私がこの域に達したのは20代後半…」と自身が意味不明な思考を巡らせた事に困惑しており、精神汚染の効果もあることが推測されている。
更には相手のイメージすら取り込んでフィードバックさせる事も可能で(羂索曰く「魂の共鳴」)こうなると相手の思考と行動はおろか周囲の状況すら髙羽の術式に操作されてしまい、病院や野外クイズ会場、挙句にファンタの海と言った意味不明な環境に加え、警察やクイズ司会などのモブまで創造してしまう。
「魂の共鳴」という性質を持つためか、一方的にルールを押し付けるのが基本の呪術廻戦の術式にしては珍しく相手の方からも状況(シチュエーション)を操作できるようだが、無理やりギャグの流れを作り出すアドリブ力に長けた髙羽から主導権を奪いきるのは困難で相手は否が応でもギャグのセンスを引き出し対処しなければならないのは非常に厄介な点である。羂索はお笑い知識と理解力によって食い下がるも、それは髙羽のボケに対するノリツッコミのような形式になってしまい、先手が取れず延々とコント合戦を繰り広げる羽目になってしまった。
しかも髙羽にとってこの状況はあくまでシミュレーションでしかないため、高圧電流を流されようがタクシーに撥ねられようが海に溺れさせられようがジャンケンでグーチョキパーを出されようが無傷だが、相手には一方的に潜在的なダメージが入る理不尽仕様。
威力はムラこそあれど、イメージ次第では特級呪霊を瞬く間に一撃で祓う程であり、攻防共に隙のない性能を誇っている。 九十九のブラックホールを負傷しながらも難なく突破した羂索をして「このままでは私は負ける」と言わしめるほど。
下手をすれば作中最強の術師である五条や宿儺であっても正攻法での攻略は困難なのでは、とまで評されている。
何しろ何をやっても彼のボケに持っていかれ、繋げられ、髙羽はノーダメージなのにこちらはドンドンダメージが蓄積するのだから、それこそ宿儺が細切れにしようと天の助の如く復活したり、最悪「切れてなーい」と無かった事にされてしまいかねないし、「あぶなーい!!」と五条を轢傷しかねない。
つまるところ、術式『超人』は絵面こそギャグだが『自分とその周囲で事象改変を連続して行い、相手に一方的な消耗を強いる常時発動型の領域展開』…っぽい何かとしか言いようがない。
しかも強制的に相手を術式効果に引き込むため、領域での中和や反転術式による回復等、ダメージを回避する行動すら制限するに等しく、初見で対応するのは実力、知識共に羂索クラスの猛者でなければ不可能。
術式の自覚が無い上に殺傷は行わないという二重の縛り、加えて効果は使用者のユーモアセンス次第というピーキーさを加味しても特級クラスの破格の術式と言えるだろう。
ギャグと何でもありなカオス展開で隠れがちだが、身体能力の強さや実力の差が通用せず同じ呪い内の対決でしか対処できず、言葉(ギャグ)やそれを元にしたイメージや行動で戦い合うという点は、ゴリラ廻戦が多い劇中でも珍しく思う存分呪い合うという夏油が言った言葉に相応しい能力という、一種の原点回帰のような術式であるのはある意味皮肉と言える。
この完全にハジけた能力に翻弄された羂索は、「相手のイメージをも取り込み反映する」性質を利用し、漫才の舞台を創造、髙羽と共に漫才で大ウケする事で髙羽を満足させ、術式を終了させる作戦に出たのだった。
羂索「もう十分喉は温まったろ いくぜ相方」
「…… おう」
武器(呪具?)
- ハリセン(仮称)
威力は普通のハリセン程度だが、敵の攻撃を弾くなど露払いに使える。芸人の武器といえばコレ。
何も無いところから唐突に取り出しているため、これもまた術式で具現化した物だと思われる。
隠し持っていた可能性もあるが、モノを隠し持てるような衣装ではないので……
- トラック(仮称)
「あぶなーい!!!」
髙羽が呼び出した中で恐らく最も殺傷能力が高い物。
呪霊を呼び出した羂索に対して使用。
即座に背後から追突し、呼び出した「特級叛霊 悪路王大嶽」(恐らく特級呪霊に匹敵)を召喚された次の一コマで何一つさせることなく物理的に四散・即死させ、ついでに羂索も思いきり轢いた。
「大丈夫かぁ?でも急に飛び出してきちゃあ危ないよぉ(by髙羽)」
「10:0でお前が悪い(by羂索)」
この一連の流れからすると「赤はご法度」は呪霊には適用されない模様。仮にこの出来事が「呪霊が一撃でバラバラにされたら面白い」と考えた故に起こった結果の場合、威力云々は関係なく事実上の概念レベルの即死攻撃の可能性すらある(なお創作の世界では数々の主人公格を一撃で葬っている定番兵器であり、その実績はかなり高い)。
- 水上バイク(仮称)
「海で溺れているにゃんこ(ネコ耳を着けた髙羽)を助ける」というシチュエーションで使用。サーフィンでにゃんこ(髙羽)の救出に向かった羂索を背後から追跡し、そのまま彼の後頭部に突撃した。
技(?)
- 余計なお世WiーFi
髙羽を象徴する一発ギャグ。
外で速度の遅いWiーFiにスマホ等が勝手に繋がってしまった時に使用するネタ(作中では所構わず披露していたが)。
一回目は伏黒、レジィ、黄櫨の前で披露し、盛大にスベり散らかした(本人は彼らを「クソ客」呼ばわりして逆ギレ)。
二回目は羂索相手に披露。しかし、相手が(自称)お笑いのプロだったこともあり、内容を理解した上で「フリがないからどういうネタなのかが客に伝わらない」という非常に的確な指摘を受けた。因みに読者の中にも羂索の説明で意味を理解した人が居たりする。
余談
漢字がとても似ているからか、よく名字の「髙」が「高」と間違えられるので注意。
実際こちらの高羽史彦のタグも使われている。
ちなみに、下着は着けていない模様。(⚪︎呪という⚪︎禁的モザイクで隠されている)
それまでシリアスだった雰囲気をぶち壊し、読者の腹筋を崩壊させるほどのクリティカルを決める濃いキャラであったため早くも人気に。
初登場時に呟いていたセンターマンの決め台詞である「本当は七三くらいが……」という台詞から、当時は十劃呪法を使えるようになるのではないかと予想する声もあったが、フタを開けてみるとまんまセンターマンだった。
現在では再登場により判明した戦闘スタイルから「ネタを披露することで呪力の出力を上げる術式」「いわゆる“ギャグ補正”を現実に適用する術式」や、『人から一生笑顔を奪う真似はせん』『赤(出血)は御法度だぜ』といった発言から「人を殺さないという縛りにより高い呪力を得ている」などの能力を予想する声が上がっていた。『ギャグ補正を現実に適用する』はある意味間違いではなかったと言えよう。
ちなみに、髙羽が住んでいたアパートはオードリー・春日俊彰が嘗て住んでいた「むつみ荘」ほぼそのまんまであり、彼が視聴していた漫才もオードリーのズレ漫才である。更に、芸人がアイドル番組のMCに就任することの意義についても独自の見解を示しているが、それはまさにオードリーにそのまま当てはまっている。
これは、作者である芥見下々先生がリトルトゥース兼坂道シリーズのファンであることに起因している。
関連イラスト(ネタバレ注意)
関連タグ
ハジケリスト:能力や言動を一言で言い表すなら、コレ。特に羂索との理不尽ギャグワールドは聖鼻毛領域を彷彿とさせる。髙羽の主役エピソードのタイトルも「バカサバイバー!!」でありボーボボが元ネタ。
センターマン:自分に初めて爆笑を教えてくれたヒーローとして尊敬している。
両津勘吉:同じ週刊少年ジャンプのバトル漫画の世界にやってきて、その世界の住人を呆然とさせたギャグ漫画の主人公。羂索との戦いにてまさかのコラボ回のパロディをかまし攻撃を凌いだ。