『私も入れてよ!敵連合!』
『トガ!!そうだよトガです!覚えててくれた!!』
『カアイイねえ、キレーだねぇ』
プロフィール
吸血し変身——— 潜み紛れる純粋暗殺者
カワイイものが大好き 血に飢えた病みカワ少女
———僕のヒーローアカデミア 公式キャラクターブック2 Ultra Analysisより
概要
敵連合の一員。ヒーロー殺し・ステインの逮捕後、ブローカー・義爛の紹介で加入したメンバーの一人。
漢字表記は渡我被身子。連続失血事件で追われている容疑者だが、未成年のため、顔や名前はメディアに明かされていない。
ステインのファンであるらしく、彼を慕って敵連合に加入した。
敵連合には生存中の女性が彼女しか存在しないため、実質敵サイドのヒロインといえる。
人物
口語調の中に、時折敬語を織り交ぜた独特の話し方で会話する。
見た目だけならごく普通の女子高生のようだが、その実態は常軌を逸した猟奇的思考の持ち主であり、とりわけ他人の血液に対して強く執着している。彼女にとって、他人を傷つけることは攻撃手段であるのと同時に、ある種の愛情表現でもあるという。
敵(ヴィラン)名は死柄木と同じく本名そのまま。
鋭く尖った犬歯、腫れぼったい目元、黄色い瞳と縦長の瞳孔が特徴。髪型は両サイドにお団子を作り、付け根から髪がハネている。作者曰く、目と髪を描くのが難しいらしい。
セーラー服にミニスカートを身につけ、ベージュ色のセーターで萌え袖を作っている。
上イラストは雄英の林間合宿の際のもの。管の繋がれたマスクと、背中のボトルにチューブが繋がれた注射器、歯のような模様の付いたネックウォーマーを装着している。
マスタード曰く、「裏の開発者の作品で理に適っている」とのことだったが、本人はデザインが可愛くないと不満を漏らしており、あまり積極的に活用していない。
外見の可愛らしさと危なげな雰囲気から、本名が判明する前から『ヴィランっ娘』として注目を集めていた。
好みのタイプは「血の香りがしてボロボロな人」。好きな人の真似をしたり、同じものを身につけたりした末、満足出来なくなりその人自身になりたくなって、そして最後は切り刻む。
「ずっとそうやって生きてきた」と語っていることからも、自らの隠密・逃走スキルには相当な自信があることが窺える。それに加えて捕まること(殺されること)を強く恐れているような様子も見られる。
思考や行動が読めず、会話もほとんど成り立たないためか、顔合わせの際には、死柄木からは「ガキ」、荼毘からは「イカレ野郎」と言われていた。
一方のトガは死柄木を「弔くん」、トゥワイスを「仁くん」と呼ぶなど、連合の仲間とはかなりフランクに接している。トゥワイスの二重人格やマグネの性別などに関しても一定の理解を示しており、自分を否定しない相手には寛容らしい。
ステインのことを「ステ様」と呼び、アイドルのように慕っている反面、「ステ様になりたい。ステ様を殺したい!」とも笑顔で宣言している。どうやら過去にステインと直接会ったことがあるようだが、詳細は不明。
敵連合に入ったのは上記のステインの存在が切っ掛けだったが、連合のメンバーとして過ごす内に、考えに変化が生じてきた様子。自分らしくいられる敵連合は彼女にとって居心地が良い場所らしく、死柄木から死穢八斎會への出向を指示された際には、強い拒絶の意志を見せていた。
個性
個性は『変身』。
相手の血液を摂取することで、その相手の姿になれる個性。声も変わる。
対象者から摂った血が変身のエネルギーになり、摂取量が多いと維持時間が長くなる。コップ一杯の量でだいたい1日くらい維持可能。
衣服や装備も込みで変身することができる。その場合は着ている衣服があると邪魔な為、最初から裸になる必要がある。しかし本人曰く裸は恥ずかしいらしい。好きな相手の前や、苦楽を共にした仲間の前ならまだ平気なようだが。
一度に複数人の血を摂取することでその分だけ姿を変更でき、変身した状態から別の人物に変身し直すこともできる。姿を変える際には体表が蝋の様にドロドロと溶ける。
元々はナイフなどで与えた傷口から直接血液を「チウチウと」吸い取っていたようだが、敵連合に加入した後には注射器のように血を吸い取る機械を備えた専用の装備を与えられた。しかしこちらはあくまでも血液採取を目的とした装備であるためか、八斎會出向時にはマスクを外した状態で登場している。
覚醒
キュリオスとの戦闘において個性が覚醒し、変身した対象の個性が使えるようになった(好きな人限定だが)。作中では変身した麗日お茶子の『無重力(ゼログラビティ)』を使用した。
しかし使用後は突然変身が解除され、素顔は戦闘による負傷に加え更にボロボロになっていた。やはり肉体に相当負担がかかる模様。
今まで血を搾取、変身した人物一覧
また、隠密行動に長けており、気配を消す、相手の死角に入り込み消えたように見せかけるなどの謎の技術を持っている。これは、警察に追われる中で独自に身に着けたものであるらしい。
過去
家庭環境は至って普通で、彼女の嗜好は生来のもの。
幼少期から小鳥などの愛着のある対象の血液に興味を示し、血まみれのスズメに直接口をつけて吸血するなど猟奇的な行動を取っていたため、『異常者』としてトガの将来を不安視した両親が矯正を試みた。
しかし、彼女は表面上それを受け入れつつも、社会の「普通」を押し付けられることに、内心では鬱屈した思いを抱いていた。
中学までは何とか本性を押し隠していたものの、卒業式の日にそれが爆発。片思いしていた相手を切りつけて重傷を負わせ、その血を啜って逐電。社会に敵対する道を歩む事を決断した。
以来、か弱い女子高生を装いながら夜の街で生き、時に気に入った相手を殺害して血を吸うという連続失血事件を起こし続けた。
動向
林間合宿襲撃の際は、森の中で孤立していた蛙吹梅雨、麗日お茶子を襲撃する。
明らかに意図を取り違えた会話の中で梅雨を一方的に「友達」と呼び、お茶子と「恋バナ」をしたかと思えば、緑谷達が合流すると、突然興味を失ったように退散している。それ以来、一目見てボロボロだった緑谷のことが気になる様子。
仮免許試験では個性を使い士傑高校の現見ケミィに変身して試験に参加、緑谷に対して大胆なアプローチを仕掛けた。
その際、合宿の時にも示唆された高い運動能力、相手の視線から消える技術など独自の戦闘能力を見せた。
なおこの時敵連合は各自潜伏・仲間集めに動いている。試験後の電話でのMr.コンプレスとの会話を見ても特に組織的な目的があった訳ではなく、独自判断でケミィと入れ替わっていた。
死穢八斎會との接触・話し合いは決裂、仲間であるマグネとMr.コンプレスの左腕を失うことに。
再度話し合いの席を設けた死柄木とオーバーホールの間で提携が結ばれ、トゥワイスと共に八斎會で「出向組」として動くが、元より八斎會との交渉の際、マグネを殺害されたこと等で快く思っておらず、八斎會突入作戦で彼らを見限り、トゥワイスと内部工作に勤しむ。分断していたヒーロー達を合流させることで、八斎會との全面衝突へと導いた。
この際彼女の呟いた
は、雄英高校ヒーロー科の『更に向こうへ(プルスウルトラ)』の対局に位置する、敵連合を象徴する言葉と言える。
異能解放軍との抗争では幹部のキュリオスとの戦闘で満身創痍になりながらも個性の覚醒によって勝利。
戦線から離脱して物置に隠れていたが、スケプティックが作ったトゥワイスのコピーらにとどめを刺されかけるが、覚醒したトゥワイス本人が自身を増殖したことで阻止、彼がトガの複製から輸血させるという方法で何とか生き残る。
連合の勝利後、超常解放戦線結成後はスケプティックと共に開闢行動情報連隊『CARMINE』の隊長に任命される。
3月の超常解放戦線とヒーロー科生徒&プロヒーロー達による全面対決では、コンプレスと共にヒーローに拘束されるもトゥワイスによって救出された。だがトガ達を助けたトゥワイスは彼のコピーであり、本物のトゥワイスはホークスにとどめを刺され、すでに亡くなっていた。
謝罪を繰り返しながら体が崩壊していくトゥワイスに、「たすけてくれてありがとう」と優しく抱きしめると、彼は涙を流しながらトガの腕の中で消滅した。
そしてトゥワイスが殺された事で、ヒーローに対する凄まじい怒りと社会に対するある疑問が彼女に生まれる事となる。
自分を拘束したヒーローに変身して他のヒーローを殺傷する中、動き出したギガントマキアに乗って死柄木の元へ向かうが途中でお茶子と梅雨を発見。荼毘達の元を離れ、たまたま近くに居た老婆を殺害。
彼女に変身し、不意討ちに近いやり方でお茶子にトゥワイスが殺された理由を迫り、一進一退の攻防を繰り広げる。
だがお茶子はあくまでヒーローとして「好き勝手に生きるのならその責任は受け入れなければならない」と言われ、自分たちは普通の社会からは決して受け入れられない存在であると悟り、悲し気な笑みと涙を浮かべながら「そうだね」と返し、お茶子と決別すべく止めを刺そうとするも、梅雨の乱入を受けて撤退し死柄木たちの元へ向かおうとする。
だが死柄木が満身創痍だった上にその精神が個性因子内に宿っていたオール・フォー・ワンの意識に乗っ取られることになり、トガの到着を待つことなく生き残ったメンバーだけを連れて撤退してしまった。
死柄木とスターアンドストライプの戦いの前後の時には潜伏先の洞窟に到着していた。
僕のヒーローアカデミアすまっしゅ!!
No.46から敵連合登場!すまっしゅにおいて敵連合はあぶれ者の仲良しクラブと化した。
その中でのトガちゃんは「ステインラブの危ない女子」。顔合わせ後の懇親会、王様ゲームで次々と相手に動物耳カチューシャをつけ語尾を強要するといった可愛らしさと、少し興奮するとすぐ人をナイフで刺したがる猟奇性を併せ持つ。でも連合は居心地がいいので刺すのは我慢しているらしい。
指差しゲームでお題「一番嫌いな人」に自分を選ぶ場面もあり、何かしら闇を抱えているのかもしれない。
余談
八重歯や個性発動条件の吸血行為などが、どこか吸血鬼を思わせる。
アニメ版では変身解除して裸になった際は、首から下が白塗りの泥で塗られたような状態で表現されている。
「血の香りがしてボロボロな人」が好みなタイプであるトガだが、作中ではヒーロー殺しの通称を持つステインはとにかくまだ学生時代の頃のデクも一目が置かれていたことが当初不明であったが、全面戦争後にヴィラン側の隣に立っても不自然ではないほど豹変した黒デクに対する伏線だったのだろうか。
皮肉にもデクとステインはやっていることこそ真逆なものの「英雄回帰」としてヒーローの資質や単にそれぞれの活躍が彼女の言う「混沌」なのも共通している。
関連イラスト
関連タグ
レスキュー・アナザーワールド:グランブルーファンタジーのコラボイベントで「緑谷出久」「爆豪勝己」とともにイベント限定で手に入るプレイアブルキャラとして登場している。向こう側で出会った騎空団の団長の血を摂取し、(外見とは逆に)強力な自己強化を使用できる。
第二次全面戦争
以下、345話以降のネタバレを含みます!
ヒーロー勢力のトロイア発動で物間がコピーした『ワープゲート』でヴィランが各地に分断される中、奥渡島に転送させられたトガは、死柄木の元へ向かうはずだったデクをゲートを通じて無理矢理同じ場所へ引っ張り込んだ。
「行かないでよ出久くん!」
「大好きだよねぇだから行かないで!」
そう告げるトガに対し「僕にどうして欲しいんだよ…」と問いかけるデク。
「私の恋人になって」
突然トガに好意を伝えられた事に驚愕を隠せないデク。
「恋人だと…!?」
「何を言っているんだ!!」
赤面して叫ぶデクにまさに恋する乙女といった様子で頬を染めるトガ。
「好き 初めて見た時から」
「血だらけで、ボロボロで、初恋の人にそっくりで」
「かっこいいよ出久くん」
「私、君になりたいの」
「チウチウさせて?」
勿論理解が追いつかないデクは「恋人っていうのは二人で遊園地に行って手をつないでクレープを半分こすることだろ!!」と反論する。
しかしトガは答える。
「私にとっては『同じ』になることが『それ』なの」
「それでしか、満たされないの」
そう、トガが愛着のある生き物の血に執着する理由。
それは他者、つまり好きな人になれる『個性』の影響で、『その他者になれる力の源である血への執着』という特殊性癖を持つようになってしまったのだ。
しかしその社会の「普通」とは違う感性は家族からも他人からも到底受け入れられるものではなく、破壊者となった現在では両親からは「悪魔の子」とまで蔑まれ、決戦前に偶然赴いた生家は身バレしていたのか、他者からの憎悪による罵倒が沢山書かれた廃墟と化し、自分の部屋は両親の手により空っぽになっていた。
そしてトガはかつてお茶子にも聞いたように、今一度デクに問う。
「ねぇヒーロー、君は私をどうしたい?」
これに対しデクは「分からない」と答えた後に
「僕も、オールマイトのように強く在りたいと思った」
「『同じ』になろうとする事が心を充たすのは分かるよ トガヒミコ」
と、一抹の理解を示すも、
「でも、じゃあ何で…心も同じになろうと思えないんだ」
「僕は、好きな人を傷つけたいとは思わないよ」
この言葉を聞いたトガは憂いを帯びた表情をしながら、自分がかつて両親や他人から受けてきた言葉が頭をよぎった。
そして自分はどう足掻いてもヒーローとヒーローが守る世界と交わることが出来ない事を改めて認め、その生きづらさを嘆きながらも、自分も世界を拒みヒーロー達と戦う決意を口にする。
ここから先はキャラクターの結末を含む重要なネタバレのため、閲覧要注意
「構造が違う!!」
「お前達が言う祝福も喜びも、私は何も感じない!」
「そっちの尺度(ルール)で 私を可哀想な人間にするな!!!」
セントラル病院でスピナーが黒霧を奪還した際に荼毘が事前に採取し託していたトゥワイスの血液を摂取して変身、
「無限増殖 哀れな死の行進(サッドマンズデスパレード)」の能力を発動。
「殺意」が混ざったことで他者の増殖こそ不可能になっているものの、分身体が返り血を摂取することで変身能力まで付与した「我々は大勢であるがゆえに(サッドマンズレギオン)」の圧倒的な物量と攪乱効果により多数のヒーロー達を戦闘不能に追い込み、その一帯どころか戦局全土の蹂躙すら目前とした。
そんな極限の状況下で唯一麗日お茶子が直接対峙に漕ぎ着けるものの、自身と世界の隔絶への怒りに燃えるトガの手によって、腹部をナイフで突き刺されてしまう。
失血死寸前の重傷を負ったお茶子だったが、
止めを刺そうと迫り来るトガに対して
「敵対する異常者としてのヴィラン」ではなく、同じ目線を持った一人の人間として向き合う為に能力を行使、分身体を「無重力(ゼログラビティ)」の個性によって無力化し、本体との接触に成功する。
対話の中で、お茶子はトガの過去から現在に至るまでの全ての思いを受け止め、笑みを浮かべて「カァイイ(可愛い)?」と問いかけるトガに対して「世界一」と答える。
肉親からすら迫害され絶望していたトガは唯一の理解者を得た事で戦意を喪失、同時に時間制限によりトゥワイスの倍化能力も消滅して戦闘は終結する。
その後、戦闘の最中で大量に失血したお茶子は生死の狭間に立たされていたが、今度はトガの方から歩み寄り、溢れ出たお茶子の血を摂取する事で「血液まで含めて」本人に変身。今まで吸血に用いていたツールによって輸血を試みる。
「この気持ちは本当だから 私の血、全部あげる」
「ありがとうねぇお茶子ちゃん。嬉しかったよ。本当に嬉しかったの、お茶子ちゃん。」
制止するも体の動かないお茶子に、トガは自らに寄り添ってくれた事に対して感謝の思いを伝えながら輸血を強行、今までとは逆に血を分け与える事によって自らの親愛の対象と一つとなる。
最後はお茶子と互いに名前を呼び合い、抱き合いながら
「私はトガヒミコ
好きに生きて好きに生きた、
世界一笑顔がカァイイ普通の女の子!」
と、自らの人生が受け入れられ、悔いなく生きた喜びの中で静かに息を引き取った。享年17歳。
こうして、最終決戦で敵連合の幹部としては荼毘に続く3人目の脱落者となった。
彼女の死はお茶子にとって極めて大きなショック且つ一種のターニングポイントとなり、「もっと早くに出逢っていれば、自分がナイフに刺されなければ」、「私のせいで死んじゃったの!!」と救えなかった思いや後悔の念が彼女の中で入り混じり、最終決戦終結後の後日に様子を窺いに来た出久に涙ながらに吐露している。この際トガの、いや被身子の個性が本当は『人に血を分けられるとても優しい力』で、その命を引き換えに自身を救ってくれた事も伝えた。
8年後、ウラビティは亡き恋友のように自身の個性やそれに伴う性癖で悩む子供たちを今度こそ救えるためにヒーロー稼業の傍ら、小学校などに出向いて個性カウンセリングとしても活躍している。