概要
ピクシブ百科事典において関係性の低い(あるいは、まったくない)項目Aと項目Bについて「AとBは〇〇つながり」などと関連性をこじつけてリンクを貼る行為。 こういった編集を繰り返すユーザーのことを、以下「繋がり荒らし」と記す。
通常は悪意を持って行われるものではなく、概ね余談や豆知識、軽いネタ、あるいは「自分はこれだけ比較対象となるものを知っている」というひけらかし、「自分の知っているものはみんな気になるに違いない」「多くの記事で行われているのだから問題ないのだろう」という勘違いなどから発生するものと思われる。
こうした関連付けによるネタは外部サイトでもよく見られるものだが、ここピクシブ百科事典においては「pixivアカウントを持っていれば誰でも無料で編集できる」という手軽さが災いして、些細な共通点をこじつけた過剰な追記・リンク付けの弊害が悪目立ちしており、近年では「場をわきまえないユーザーによる迷惑行為」として問題視され、あまつさえ外部から「程度の低い百科サイト」として馬鹿にされる要因の一つにもなっている。
そういった状況にもかかわらず、当の本人たちは「規約違反じゃないから問題ない」「少しでも共通点があるなら間違ってない」「共通項のあるもの同士の存在を知れる機会になるからいい」などと自らの正当性を主張する人が少なくない。
さらに執着的なユーザーの場合、「人が書いたのを勝手に消すそっちこそ削除荒らし」「ピク百では許されている。そんなに気になるなら他所へ行け」と逆ギレし、自らの編集を咎められたり、追記箇所に干渉された事自体に腹を立て、執拗な差し戻しという私物化に及ぶケースも多い。
なお、繋がり荒らしが規約違反かどうかについては、公式のガイドラインにおいて禁止内容として「記事タイトルと無関係な記事内容」が挙げられており、これに抵触する可能性がある。
繋がり荒らしの編集の例
繋がり荒らしの編集の傾向として、主に以下のような例が挙げられる。
「関連タグ」に関連性の低い単語を並べる
ピクシブ百科事典は、各項目の末尾に「関連タグ」や「関連項目」として、その項目に関連するリンクを貼ることが慣例化している。
ここに共通する要素があるだけで、本来何の関連もない別作品・キャラクターの項目へのリンクを貼ってしまうのが繋がり荒らしである。
例としては、
- 作品の項目の関連タグ欄に「制作会社・連載された雑誌・放送枠などが同じ」「主要キャラクターのモチーフが同じ」「世界観・扱うテーマなどが似ている」「話の展開が似ている」などの理由で、他作品のタイトルを挙げる
- キャラクターの項目の関連タグ欄に、「同じ声優・俳優が演じた」「名字・名前のどちらかが同じ」「登場作品の公開時期が近い」「デザインの一部・イメージカラーなど外見的特徴が似ている」「性格や、作中での立ち位置や動向が似ている」など、(編集者の主観的な印象も含め)設定が共通している他作品のキャラクターの名前を列挙する
- ヘイトを買うような行動をしたキャラクターや炎上中の作品の記事に、その行動や内容を糾弾したり皮肉ったりするような形で他作品の名台詞・主題歌の歌詞などを引用してリンクづけする
- 「同じく〇〇を題材とした過去シリーズ」「演者の✕✕が過去シリーズにて演じたキャラクター」など過去のシリーズやそれに登場するキャラクターの名前を執拗に出す(ただしスタッフやキャストがそのことに触れている場合は該当しないこともある)
というような行為が挙げられる。
しかしながら、こういった「関連タグ」には客観的に見ると
- 偶然の一致くらいの話であり、ことさらに取り上げるようなことでもない
- ほかにも山ほどある「似たテーマの作品」「属性・モチーフが同じキャラクター」のなかからわざわざ関連づける意味があるようには見えない(神話や伝承モチーフなどでは名前や性質被りはままある事である。)
- そもそもの「共通点」が編集者の主観だらけの的外れなもので、まったく似ているように見えない
といったものが少なからず存在する。(箇条書きマジックの典型として使われるネタである「ターミネーター2」と「ドラえもん」が同じ作品であると宣う様なやり方等)
中には「共通点の記述はそこそこに、後は相違点ばかり詳細に解説されている」というような「それだけ違う点があるなら似ているとは言わないだろう」としか思えない、「外見だけを比べて「似てる」と言い張る方が余程ネタにしやすいのに、ツラツラと"共通点"をこじつけてしまい似てない印象の方が強まる」様な本末転倒な記述も見受けられる。
また、記事によっては関連項目に限らず「余談」や「備考」といった項目段落の中に、そのような強引な関連づけを書き込んでいるケースもある。
文章の中に見当外れなリンクを貼る
ピクシブ百科事典は二重括弧「[[]]」と「>」を使うことで文章中にリンクを貼ることができる。例えば、「イラスト・マンガ・小説を投稿できるSNS」という文章を「pixiv」の項目へのリンクにしたい場合、「イラスト・マンガ・小説を投稿できるSNS>pixiv」という記述を「[[]]」で囲えば可能となる。
キャラクターの名称と項目名が一致せず、記事名が「キャラクター名(作品名)」となっている場合や、ラスボスの正体を隠すために「魔王(リンク先ネタバレ注意)>キャラ名」の様にしてネタバレを伏せる場合などに役立つ機能だが、繋がり荒らしはこの機能を悪用して文章に直接関係のない記事へのリンクを貼ってしまうことがある。
例えば、違う作品で似た能力を持つキャラクターAとBがいたとして、Aの記事の文中に「~という能力を持つ>B」とリンクを貼る、という具合である。
先述の「関連タグ」と同じで「その共通点はAとBに限った話ではない」というケースが大半(例えば「炎属性の主人公繋がり」と言われてもそんなキャラクターはごまんと居るという話である)な上、「〇〇つながりでリンクを貼っている」という説明もないため場合によっては非常に分かりづらく、知識のない閲覧者には誤解や混乱を与えかねない。酷い時には連想ゲーム状態になっているリンクまで見受けられる始末である。
ただし「言葉で説明しにくい難解な概念や独特のデザインに関して、知名度の高い他作品の類例を引用して例えることでわかりやすくする」といった形であれば、ある程度は許容される可能性もある。(「掌にエネルギーを溜めて打ち出す→かめはめ波」、「赤くなってパワーアップ、後で反動がある→界王拳」等)
ただし挙げられる例がマニアック(電撃技→萬國驚天掌とか)すぎたり、「似て非なるもの」だったりすると、逆に閲覧者の理解を損なう危険もある。
例えば上記の例えで言うなら「手からビーム」なんて他作品のキャラクターも散々やっているし多くのバリエーションがあるためかめはめ波とは限らない、せめて"まず腰だめに構えてチャージする"などで「かまえが似ている」とか「両掌を併せて打ち出している」位の共通点は必要である。(それだけ似ていても、構え方によっては「ギャリック砲」「ファイナルフラッシュ」等より適切な例えがある場合もあるが)
また、界王拳の例にしても「赤くなってパワーアップするだけで反動がない」、「あっても全身疲労に襲われてまともに動けなくなる程ではない」「反動はあるが、赤くならない」等、繋がる先の特徴をおさえていなければ結局は「赤いところしか共通点がない」と言われかねない。
問題点
繋がり荒らしの編集によって、以下のような実害が発生しうる。
記事の肥大化
「関連項目」「関連タグ」やそれに関する説明ばかりが大量に追記されていくことで、本来その記事で取り扱われるべき内容が不要な情報の中に埋もれ、何が主題なのかも曖昧な、読みづらく理解しにくい記事になってしまう。
場合によっては「自分にとって興味のある比較ネタ」を目立たせるため、最優先されるべき「基本的な情報」を下に置いたり消すことすらあり、繋がり荒らしとその同類にだけ通じる内輪ネタの集合体に成り果てることもある。
ネタバレ
関連タグで類似作品・類似キャラクターに触れることでネタバレを食らう可能性がある。
例えば「物語の終盤で主人公が神になった作品A・B」があったとする。すると、繋がり荒らしはAの項目に「B←主人公が神になった作品つながり」と加筆する。しかし、閲覧者が作品Bを未見だった場合、不本意なネタバレを食らうことになってしまう。
酷いものでは、当時公開中だったアニメ映画の核心に触れるキャラクターのネタバレを、声優以外に共通点がまったくない別のキャラクターの記事にリンクづけし、閲覧者を唖然とさせたケースもある。
解釈違い
自分と他人の解釈は必ず一致するとは限らない。
繋がり荒らしは「キャラクターAとキャラクターBは性格が似ている」といった関連づけを簡単に行うが、閲覧者には解釈違いと思われる可能性もある。また、A・Bどちらかのキャラクターしか知らない閲覧者には誤解を与え、衝突しかねない。
時に関連付けに肯定的なユーザー同士の間でもそのキャラクターのイメージに対する解釈の違いから編集合戦等の衝突が起こることもある。
アンチ
繋がり荒らしはアンチの温床にもなっている。
少しでも評判の悪いキャラクター、評価の低い作品、似た理由で荒れた話題の記事があれば「〇〇が原因で酷評された作品つながり」などと称して自分が嫌いな対象の悪評を広めようとする、ネガティブキャンペーン目的の編集も頻繁に行われている。
特に、劇中で悪辣さや無能さが強調されていたり、他のキャラクターの死因になるような事態を引き起こしたりしてヘイトを買っているキャラクターの記事では、「類似キャラクター」「似たような人物」と称して無関係な他作品の悪役・憎まれ役の名前が際限なく列挙されるということがしばしば起こり、酷い場合には事実上そちらがメインの一覧記事のようになってしまうことさえある。
布教による風評被害
アンチとは逆に、自分の好きな作品やキャラクターを他項目と関連づける、布教活動的な繋がり荒らしもいる。
オタクにありがちな愛の暴走ともいえるが、それで閲覧者が興味を持つ可能性は薄く、逆に無理矢理なこじつけに不快感を覚え、該当ジャンルを敬遠する可能性すらある。つまりは逆効果。
実際5ちゃんねるやニコニコ大百科のピク百スレやSNSでは、繋がり荒らしが多いとされるジャンルやそのファン界隈も「民度が低い」と批判の矛先が向けられるようになっている。
対立煽り
「Aは不評だったのに対し、Bは好評を得た」といった関連づけで対比を行う。上述したアンチと布教活動の合わせ技。
記述者に悪意があるとは限らないが、特に炎上した作品の記事だと「本人は客観的に分析をしているつもりだが、閲覧者には対立煽りのように映ってしまう」というケースが多々見られる。
ただし、同一シリーズ内で、演出などシナリオ運びによって違う印象を抱かせた、似た事をやったキャラであった場合などはこれには当てはまらないが、「そう思っているのは自分だけで、実際は両方とも否定(許容)されている」こともあるため注意が必要
負の連鎖
上述の通り、繋がり荒らしとされるユーザーはそうした内容への苦言を受け入れず、削除も許さないという独善的な人が多いため、急増に伴いそれを良しとしないユーザーとの編集合戦も深刻化している。
始めは小規模だったが、否定・指図された怒りから逆に行動を過激化させ、多くの記事に大量の関連タグを貼り回る悪質ユーザーに変貌してしまった例も最近は多い。
そうして無駄なリンクが増加・放置された結果、それを見た新規ユーザーが「少しでも共通点があれば無関係の記事に載せてもいいんだ」と勘違いし、新たな繋がり荒らしが生まれる土壌となってしまっている。
ピクシブ百科事典では、明確な規約違反を乱発でもしない限り「横暴に振る舞ったもの勝ち」という側面もあり、そうした面に嫌気が差したユーザーたちを、結果的にピクシブから追い出してしまう例も増えてきている。
検索妨害
記事内に関連性の薄いキーワードを列挙した結果、そのキーワードで検索した際に関連性の薄い記事がヒットしてしまう。
例えば、「この項目は作品Aと〇〇のようなつながりがある」といった記述があちこちの記事にされていた場合、作品Aについて検索しようとした人が大量の不要な記事を目にしてしまう。れっきとした検索妨害である。
繋がり荒らしの基準と対策
明確に「無関係」とされる基準が定められているわけでもない関係上、こういった記述をどこまで許容するかというラインは各編集者・閲覧者の考えに依存するが、おおむね「関連性が高い」と受け入れられやすいのは以下のパターンである。
- 前作・次回作に当たる作品
- 公式コラボした作品
- 「キャラクターAはキャラクターBがモデル」「作品Cは作品Dを意識している」「作品Eの〇〇は作品Fの△△のオマージュ」など公式や作者が影響についてインタビューで言及しているもの
- 「『作品G』に登場するキャラクターHについてはこちら→キャラクターH(作品G)」のような曖昧さ回避に関する記述が必要な場合
- 他作品のパロディになっている箇所の元ネタを解説したい場合
作品・キャラクターの類似
「共通点や類似点が多い作品・キャラクター」「同じシリーズや放送枠関連」「版権作品全体を見渡しても珍しい共通点」等は有益なのではないか、という意見もあるが、そのあたりの基準も結局は編集者の主観次第によりけりである。
キャラクター同士の関連性が広範の概念か特定モチーフである場合、キャラクターの記事に「〇〇つながり」と書くのではなく、共通する「〇〇」の記事にキャラクターの名前を記載する程度に留めた方がいいだろう。
その他
その他「作中に直接的な描写はないが、実は製作の背景などにおいて密接な繋がりがあった」「非公式のネタだが、外部SNSで話題になった」というケースは、それが解説に必要かを考えたうえで、なるべく具体的な論拠と説明を添えて本文に記載する方が好ましい。
ただ単に「○○に似ている」とするよりも、閲覧する側には「客観的で特記性のある情報」と受け止めてもらいやすい。
また、pixiv百科事典には各記事にフリーにコメントを書き込む欄もあるので、本編の記事とは棲み分けてその場所に書き込んだり、他のユーザーともコメント欄を通じて談義したりするという方法もある。
繋がり荒らしに対する評判
5ちゃんねるでは、少なくとも2019年10月12日にはその存在が指摘されており、以下のように書き込まれている(外部リンク)。 /
-「わずかでも共通点を見つけたら関連タグのところに「〇〇繋がり」と書いて同シリーズどころか全く関係ない他作品へのリンクをどんどん増やしていく人もいる」
Twitter(現X)では2021年12月27日に「ある作品の五番勝負と、無関係なある作品の五番勝負は、勝敗の結果が同じである」と書かれた記述(これはネタバレにも当たるため作品名は伏せる)が晒されて炎上している(外部リンク)。
繋がり荒らしにならないために
ピクシブ百科事典は「不特定多数のユーザーが利用・閲覧している」「非常に広範なジャンルを扱う」Wiki形式の百科事典であるため、興味関心・知識の範囲はユーザーごとに大きく異なっている。
そして当然、基本的に閲覧者の興味関心の対象はその記事が主として扱っているものにある。
しかしながら繋がり荒らしは「ほかのユーザーが何を求めてその記事を読むのか」「自分が追記しようとしている内容は本当にその記事に必要なものなのか」ということを考えず、無関係なタグとその解説で記事を闇雲に肥大化させたり、配慮もなくネタバレをしたりしてしまう。
これは例えるならキャラクターAの設定を聞いているのに「キャラクターBと似ていると思います」「キャラクターBとはこんな共通点があります」などと、自分が知らない・興味のないキャラクターのことばかり無理矢理聞かされているようなもの。
そんな独りよがりな記述が氾濫していては、見ている方も白けるどころか無関係なキャラクターBやその登場作品に不快感を抱いてしまうかもしれない。そもそも「共通点」と「関連性」は厳密には別の概念であり、必ずイコールになるわけではない。
繋がり荒らしになってしまわないためには、一応はフリー百科事典であるピクシブ百科事典にどんな記述が求められているか、中立的な視点で考えてみることが大切といえる。
言ってしまえば、何にでも探せば共通点の一つや二つ見つかるのが当然である。たとえそれが本人にとって「面白い発見」であっても、その作品を知らない第三者からすれば「チラシの裏」でしかない。
そういった共通点をクロスオーバーやパロディといった創作のネタにしたり、SNS等のファンコミュニティで話題にしたりするくらいであれば、その場のルールに反しない限りは自由である。
しかし、ピクシブ百科事典はSNSや掲示板のように個人の感想や考察を披露するための場所ではない、というのは最低限踏まえておきたい。
関連タグ
〇〇つながり こじつけ 蛇足 ネタバレ 内輪ネタ 検索妨害 記事の肥大化 風評被害 布教活動 無自覚な荒らし 迷惑行為 独自研究
削除荒らし:繋がり荒らしと相対する概念。そのためか、繋がり荒らしを行うユーザーの中には関連タグを消したユーザーを編集コメントで「削除厨」呼ばわりする人もいる。
中の人ネタ、中の人繋がり、声優ネタ、カップやきそば現象:特にこういった露骨な関連付けの基準や根拠になりやすいもの。
復元荒らし、一覧厨、タグ荒らし、かまってちゃん:非常によく似た存在で、兼任している人も多い。
外部リンク
- pixiv百科の関連タグについて - Togetter
- ピクシブ百科事典 - ニコニコ大百科 - 繋がり荒らしに対する苦言が多い