概要
「荒らし」とは、web掲示板やSNS等、不特定多数のユーザーが利用するwebサイトにて、他人が不快になるような投稿や、他人の正常な利用を妨害するような投稿を悪意をもって行うこと、またそれを行うユーザーを指す。
多くはそのサイトの利用規約に則り、(他ユーザーからの通報を受けた)サイトの管理者またはサービスの運営によって、アカウント停止(BAN)、アクセスブロックされる、あらかじめNGワードなどの投稿制限を設けるなどして対応が行われている。
しかしインターネット上には様々な思想や価値観、性格の人間がいるため、あるユーザーが悪意なく常識の範囲内だと思って行ったことが、別の(多くの)ユーザーには非常識であり、荒らし(と同レベル)と見られる場合や、明確な規約違反ではないにしろ、マナーに反するものになってしまう場合がある。これが「無自覚な荒らし」である。
インターネットでは、昔から「よくあること」、つまり誰でもなる可能性があることであり、基本的にはあくまで一般ユーザー間のトラブルの一つである。
「荒らし」となった側はあくまで無自覚であるため、自分の行為の何が問題となっているのかわからないまま、他のユーザーからの指摘に気が付かず荒らしに相当する行為を繰り返す可能性がある。これが他のユーザーからすれば「改善が見られない厄介な存在」として嫌厭の対象となり、最終的には排斥されることになる。
一方、「荒らし」の判断基準は実際の利用規約とは関係なく「俺が不愉快かどうか」(そのユーザーによって不快かどうか)であることも多いため、実際にはすぐに改善できる行為や、本来なら該当しないような行為でも(無自覚な)「荒らし」のレッテルを貼られてしまい、サービスから追い出されたり、他ユーザーから距離を置かれ交流が絶たれたりすることも起こり得る。
この場合、いわゆる自治厨(※ここでは、サービスの本来の運営管理者ではなく、自分の考える秩序を求めて他のユーザーに対して厳しくマナーの遵守を要求し見回りを行っている一般ユーザーのこと)の暴走というケースも多いが「無自覚な荒らし」の利用時間や回数が増えればそれだけ反抗心を持つ他ユーザーも増えることとなり、一人による決めつけだけとは限らない。
原因は様々あるが、主に年齢が若い・ネットの利用歴が浅いなどの理由で、対人コミュニケーションにおける一般常識や(ネット)リテラシーに疎いこと、またサービスごとに特有の複雑な文化やマナーがあり、それに十分に対応しきれていないといった事情が考えられる。
とくに特定のテーマについて深く語るようなチャットや掲示板では「マナーになっていない新参者」に対して厳しい傾向があり、有名な「半年ROMってろ」というフレーズも「空気が読めない書き込みをする前に、掲示板を読み込んで他ユーザーの書き込みの傾向を把握しろ」という(遠回しかつやや一方的な)アドバイスの一種である。
また、文字・画像主体のサービスでは、現実の人間を相手にした時の表情や声の繊細な変化といった雰囲気の情報が少ないため、相手の感情の機敏を察知しにくく「荒らし」化していると気がついた頃にはすでに怒りの限界に到達していた、サービスから排除されてからやっとわかった、ということも起こっている。
「無自覚な荒らし」と呼ばれる存在が厄介なのは(サービスそのものの規約違反でないという前提はあるが)当の本人に明確な悪意がない、いわば結果的に荒らし行為になっているだけであり、本人にその自覚は全くないという点と、「何が荒らし行為(と同等)か」というのはそのユーザーの主観的な部分が大きいため、中には一方的な見解の押し付け、誇張や捏造、発言力の大きいユーザーへの同調等の、正当性に欠ける「荒らし認定」が含まれるという点である。
他ユーザーから「荒らしがいる」と通報を受けた管理者も、明確な規約違反でない限りは悪意の有無や真偽の判断が難しく迂闊に該当ユーザーのアカウント凍結やアクセス禁止といった対処に踏み込めないことが多い。
そのため、大半の場合問題の収拾はユーザー間の議論や呼びかけに委ねられるが、議論が過熱するあまり、正義感を拗らせたユーザーが過剰な自治行為を始めたり、次第に引くに引かれなくなりミイラ取りがミイラになるかのように本人が荒らしそのものと化す危険性は高い。また、(議論に直接参加していなくても)荒れ具合に耐えられなくなったユーザーが退会などの形でサービスから完全に離れてしまうケースも少なくない。
当ピクシブ百科事典でも「無自覚な荒らし」による編集やコメント欄での議論に、他ユーザーが折れる形で対応したり、不毛な編集合戦に発展して白紙化したりすることが度々あり、中には記事を全て書き換えられた事例もある。
「無自覚な荒らし」と「明確な悪意を持つ荒らし」とは区別することが望ましく、とくに荒らしとなった人物が閲覧するような場面では「困ったさん」と呼ばれることも多い。
無自覚な荒らしにならない、荒らしを生み出さないために
まず大前提として、すべての人が無自覚な荒らしとなりうるということを踏まえた上で、どのような行動を取れば「荒らし」と思われにくいか、もし「無自覚な荒らし」に出会ったら、自分が「荒らし」となってしまったらどう対処すべきかについて述べる。
ただし(ピクシブ百科事典というサービスの特性上)編集者の個人的な体験やそれに基づく見解も大いに含まれるため、本記事が一番優れた考え方・やり方である、というわけではないことに注意していただきたい。
サービス(Webサイト)の利用にあたって、規約違反でないことはすべて許されるというのは勘違いである。
サービスが不特定多数の人間によって利用される以上、サービスを受ける一員の最低条件として、他のユーザーの投稿や言動を観察・学習し、またそれがインターネット・当該サイト内のマナー(広く守られている行儀や作法)に反していないか判断するリテラシーを身につける必要がある。
一見すると有益で面白いコンテンツ、局所的には称賛されている行為でも、そこのコミュニティにおいては不適切なコンテンツ、他の多くの人を不快にさせる行為となっている可能性もあり、利用者どうしの対立に発展した場合、荒らしかどうかを最終的に判断するのは、各々のサイトの管理責任者である。(ただし管理責任者が黙認し、どちらの味方もしないことで、炎上が悪化するケースも少なくはない。運営仕事しろ。)
あくまで同じサイトを使っているというだけで、個人の考え方や感じ方は全く異なるため、自分の意識としては普通に使っているだけでも誰か1人に「不快だ」「荒らしだ」と訴えられたり、運営管理者に通報されたりすることは起こり得る。
しかし、例えば掲示板などで、複数人から荒らしであると糾弾され、さらに擁護がないような場合、本当に周りから自分が「荒らし」と認識されていると考えたほうがよい。また、仮に1人からの(誤解による)糾弾・攻撃であっても、自分の日頃の言動や相手の発言力、トラブルの対応の仕方によっては、敵が増えてしまうこともある。
基本的に周りの人と違うこと、悪い意味で目立つことをしなければ「(無自覚な)荒らし」認定される可能性は下がるため、他ユーザーと同じような行動をとったほうが無難である。
仮に槍玉に挙げられているのが客観的に見て荒らしではないような行為でも、荒らし認定に対して激しく怒ったり相手を逆に煽ったりすれば、それこそ故意の荒らしと捉えられ事態が悪化する危険がある。荒らし認定を受けたときはあくまで冷静に悪意のないことを示した上で、速やかに引き下がったほうが安全と言える。
問題解決にあたって運営・管理者側の判断を仰ぐという形になっても、スクリプト荒らし(※掲示板において、意味のない文字列を大量投稿してサーバーを攻撃する荒らし行為の一つ)のように故意でなければ行われないものを除いて、その行為に悪意があるかどうかの判断は第三者には難しく、全員が納得の行く形で事態が集結するとは限らない。
このため、そもそもトラブルの種になりそうなことをしないという行動指針と、それがどのような行動なのか考えることが必要となる。
ただし「無自覚な荒らし」という言葉を使う側にも注意は必要である。
この言葉にはある種のレッテル貼り的なニュアンスも含まれているため、迷惑(に思われるような)行為をしているからといって、相手を一方的に「荒らし」呼ばわりすることは適切な行為とは言えない。
そもそも「荒らし」と呼ぶこと自体が相手に喧嘩を売る行動であり、ともすれば相手の人格否定や誹謗中傷に該当する可能性がある行為と言える。
「無自覚な荒らし」となっている人物は、自分のどのような言動が荒らしとなっているのかわからないため「理不尽に『荒らし』というレッテルを貼られた」と深く傷ついてしまい、余計トラブルが広がることも考えられる。
もし、荒らしだと認定したことが正しい(実際に多くのユーザーが迷惑だと感じるような問題行動を繰り返している)にしろ、必要以上の攻撃や他ユーザーからの排除によって「無自覚な荒らし」ユーザーが傷付き、さらに逆上してサイト自体を攻撃する、荒らしと認定した相手にしつこく嫌がらせを行うなどの「本物の荒らし」化してしまうことも考えられる。
「荒らしに反応する人も荒らしです」というタグに代表されるように、荒らしと感じる相手に対して「荒らし」と呼んで攻撃を加えること自体が荒らしの一種であり、短絡的な荒らし認定も無自覚な荒らしに該当する。荒らし行為を悪化させるだけでなく、自身が新たな荒らしとなってしまうというリスクが存在するのである。
また、相手に対する暴言や中傷といった、相手の人権を侵害する、名誉を毀損するようなことはそもそも犯罪行為である。それにより相手が自殺する可能性もあるということは忘れてはならない。
具体的な対応
基本的に、対人コミュニケーションの場面において、気に入らない部分があるからといって相手を一方的に非難したり排除したりするのは決してよい行いとはいえない。相手にも汲み取るべき事情があり、改善や妥協の余地があることが大半だからである。
荒らしについても、背景に悪意がないと考えられる者について、サンドバッグ的に攻撃を加え排除してしまうことで、上記のように怒りのあまり本物の悪意ある荒らし化する原因となり得る上に、拒絶によって情報が絶たれ、相手から「ネットマナーや常識を学ぶ機会を奪う」ことにも繋がってしまう。
さらには、「荒らし」と判断して非難した側が、荒らし化を招いたとして周囲の顰蹙を買い、逆に悪質ユーザーとみなされる本末転倒な結果にもなりかねない。
先に述べたように、無自覚な荒らしとなっている人は、若者やネット初心者、サイトの新規利用者などであることが多い。
誰もが皆、どんなことにおいても初めの内は初心者であり、「先輩」である他者からルールやマナーを学ぶのが当たり前である。マナー違反や問題行動をしてしまっている初心者がいれば、突き放す・攻撃を加えるのではなく、初心者の目線に立って優しく諭し、相手に対してマナーやネチケット、またその大切さを学ぶ機会を与えることが必要となる。マナーを理解したユーザーが増えることで、自分の属するコミュニティの平穏を保つことに繋がるのである。
「困ったさん」は、そんなに悪いわけじゃないですよ。
悪意があるわけではなく、たいてい、単にネットマナーを知らないだけです。
悪意のない相手に感情を乱す必要はありません。
最初は誰もが初心者です。ネットマナーなんて知らなくて当然です。
教えないと、何も解決しませんよ。
(毒吐きネットマナーPlus 「困ったさんへの対応の仕方」ミラーサイト版管理人の補足文より)
無論「自覚の有無にかかわらず、荒らしに手を出すこと自体が荒らしと同等である」という考え方もある。
仮に善意で指摘や指導を行ったとしても、聞き入れてもらえない、教えた内容を曲解しまた別の荒らし行為に走る、初心者を装った悪意ある荒らしであるなど、状況が改善しないこともままある。
上で「問題の収拾はユーザー間の議論や呼びかけに委ねられる」と述べたが、本来は管理する側に立たない一般ユーザーが、同じく一般ユーザーに対して過剰に関与することも場が荒れる原因になり得るため、できうる限り管理人が第三者・仲介者として対処に努めることが望ましい。
とはいえ、一口に「サイト」といっても個人の小規模サイトから大企業が運営する掲示板サイトなど様々な種類があり、利用規約やトラブルに対するガイドライン、運営方針もそのサイトごとに分かれる。あるサイトでは、管理者が直接仲裁に入って話をまとめ上げるということもあれば、別のサイトでは荒らしと通報を受けたユーザーをアクセス禁止にして終わりというようなこともあり、対応は千差万別である。運営体制や規模によっては、そもそも個別のトラブル対応に手が回らず、いつまでも解決しない可能性がある、ということを留意する必要もある。
何はともあれ、聴く耳を持たない相手に対して無理な説得や説教・議論をすることは控え、状況を鑑みて管理人に対処・判断を委ねることが適切であろう。
そして、あくまでも自身は運営側の立場でもない限りは管理権限を有さない一般ユーザーに過ぎず、前述の様に他所の諍いに割り込むことが事態を悪化させる可能性があることを忘れてはならない。
長期にわたって事態が改善しないのであれば、日常生活や精神状態に支障が出ないよう自分から手を引く(そもそも関与しない)のが最善であるといえる。
最後に、公明正大に振る舞っているつもりでも自分自身が「無自覚な荒らし」となっていないか、無意識に荒らし行為に加担していないか、今一度自分の立ち振る舞いを見つめ直してみよう。
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ミイラ取りがミイラになる:本記事に則すれば、荒らしを討伐する者が荒らしになる様なもの。
人の振り見て我が振り直せ:ピクシブ百科事典のユーザー(特に編集者)に求められている姿勢。