CV:若本規夫
「人は平等ではない。生まれつき足の速い者、美しい者、親が貧しい者、病弱な身体を持つ者、生まれも育ちも才能も、人間は皆違っておるのだ。
そう、人は差別されるためにある。だからこそ人は争い、競い合い、そこに進歩が生まれる。
不平等は悪ではない。平等こそが悪なのだ!!
権力を平等にしたE.U.はどうだ?人気取りの衆愚政治に堕しておる。富を平等にした中華連邦は怠け者ばかり。
だが我がブリタニアはそうではない。争い、競い、常に進化を続けておる。ブリタニアだけが前へ、未来へと進んでいるのだ。我が息子クロヴィスの死もブリタニアが進化を続けているという証!
戦うのだ!!競い、奪い、獲得し、支配しろ、その果てに未来がある!!オール・ハイル・ブリタニア!!」
概要
ルルーシュとナナリーの父親であり、威厳と威圧に満ちた強烈なカリスマ性を放つ絶対君主。
そして、ルルーシュが打倒を誓った怨敵にして天敵。
「不平等においてこそ競争と進化が生まれる」という独自に理念を持っており、それを実践する為に、皇位継承者同士をあえて争わせ、最後に勝ち残った者を次期皇帝にする事を宣言している。
一見すると貪欲な独裁者な様に思えるが、現在は意外にも政治には関心が薄く、政務の殆どを宰相である次男・シュナイゼルに任せており、自身は王宮内にある「黄昏の間」で過ごしている事が多い。
ネタバレ注意
人物
その本性は、「嘘」を嫌う異常に潔癖な精神性の持ち主。
そうなった経緯は、かつて実母を親族間の帝位の争奪によって喪い、嘘と裏切りに染まった現在の世界に絶望したため。
ルルーシュと同じように理不尽な世界への強い憤りを持っており、幼少期に兄であるV.V.と二人の間に嘘はないという約束を交わし、やがて「嘘のない世界」の創生を目指すまでとなった。
過去
そしてコード保持者だったC.C.、妻として娶った腹心のマリアンヌ、忠臣であるビスマルク・ヴァルトシュタインなど、一部の信頼を置いた人間達は同志となった。
しかし嘘嫌いのシャルルがマリアンヌと愛し合ったことで歯車は大きく狂い始める。
仲良くなる二人に対し、V.V.は「自分が置いてけぼりにされてしまう」というマリアンヌに対する嫉妬(と恋情)から、マリアンヌの暗殺を決行し、自身に嘘をついてマリアンヌを殺した挙句にその真相をシャルルに隠した。この時嘘をついたV.V.だったが、シャルルは唯一の兄弟ということもあってかこの時はV.V.を咎めず怒りに震えながらも見逃した。
直後にマリアンヌの魂と交流ができるC.C.も彼等とは袂を分かってしまう。
漫画版『コードギアス双貌のオズ』では、シャルルがマリアンヌの遺体をV.V.に黙って大切に保管。V.V.は目的を達成すれば死者とも通じ合えるにもかかわらず遺体を大切にしていたことや自分に黙っていたことを「裏切り」と捉える逆恨みをしていた。
108人もの妻を持つが、殆どは貴族たちから薦められた女性であり、真に心から愛したのはマリアンヌだけだった。ルルーシュやナナリーへの風当たりが強いように感じるが、自身が愛した女性との子供故に、彼なりに愛情はあった模様。兄妹を日本に追いやったのも、二人をマリアンヌ暗殺の実行犯であるV.V.や余計な争いから遠ざけるのが当初の目的だった。
また、マリアンヌの事件に関わったナナリーをV.V.の魔手から守る為に、自身のギアスで記憶を書き換えた結果、彼女は盲目になった。
目標
嘘のない世界を作るべく、世界各地にあるギアスに関わる遺跡を調査させ、集合無意識たる「Cの世界」の存在を知る。そして“アーカーシャの剣”を用いて「Cの世界」を打倒し、全人類の持つ意識を“個”から“集合体”に変化させて、互いが真に意思を疎通させていける世界を目指していた(要するに、コードギアス版サードインパクトみたいなものである)。
しかし、V.V.によるマリアンヌ暗殺事件の後は、ギアスでアーニャの体に精神体として宿ったマリアンヌと連絡をとり、ひそかに独自に計画を進めるようになる。
計画実行の為に、袂を分かったもう一人のコード保持者であるC.C.を連れ戻そうと、マリアンヌの精神体を通じて説得を繰り返していたのだが、C.C.が応じなかった為に、マリアンヌがルルーシュと契約する事を持ちかけて「ルルーシュがC.C.の願いを叶えられなかった場合は、計画に再び協力する」という約束を交わす。その結果ルルーシュはC.C.と契約を結び、ゼロとしての道を歩む事となった。つまり、彼等はゼロの正体がルルーシュである事など最初から知っており、C.C.との約束を全うする為に、ルルーシュをあえてゼロとして泳がせていたのである。
ルルーシュの記憶をギアスで改竄して日本に戻したのも、ルルーシュをC.C.をおびき寄せる為の囮にするのが目的ではなく(そもそも、C.C.の動向はマリアンヌを通じて逐一把握していた)、C.C.との約束の件を知らないV.V.の目を欺きつつ、自然にルルーシュをC.C.の下に一旦送り返すのが目的だった(その為に、学園の監視もあえてルルーシュが記憶を取り戻せば制圧できる程度のものにしていた)。
また、ナナリーをエリア11の総督にしたのもV.V.から遠ざける為であり、さらにルルーシュの正体が判明した後にナナリーを本国に呼び戻したのも、V.V.が死んだ事でナナリーを遠ざける必要が無くなったからである。ちなみにルルーシュがC.C.の願いを叶えてコードを継承した場合は、ルルーシュを説得して計画に協力させるつもりだった模様。
その一方で、計画の為に遺跡が存在する世界中の国家へ重点的に侵攻して、占領しており、日本も神根島の存在故に、ルルーシュ兄妹を疎開させておきながら侵略を断行している。この件によってルルーシュから「守る為に遠ざけた」というのは、ただの自己満足の言い訳に過ぎないと論破された際には、2人揃って反論できずにいた事から、彼等の中では「自分達の計画>子供の命」だったのは疑いの余地はない。
というのも、決して血も涙もない訳ではないのだが、自らの計画が「死者との意識共有」も可能にすると考えていた為に、“死”そのものへの感傷が大変に薄い。
我が子が危機にさらされる懸念がありながら日本に侵攻したりユーフェミアの凶行を笑ったりしたのもこういうのは、こういう思想を持っていたからであり、死したクロヴィス・ラ・ブリタニアともシャルルは交流ができている。
目的を果たせば、それまでのすべての死は意味を持つ。争いで肉親を失った事で嘘のない世界の創造を誓っておきながら、その目的を果たす過程において自ら争いを振りまいて肉親の死に何も感じないような人物になったというのは何とも皮肉である。
結局、シャルルと彼の目的を否定したルルーシュもまた、ゼロレクイエムという目的を果たす過程において多くの人々を奴隷にし巻き込み、最愛の妹ナナリーに“嘘をついて遠ざける”という、両親とそっくりなことをしているのもまた似たもの親子であろう。
なお、今でこそこんな厳つい外見だが、若い頃はルルーシュにも負けないレベルの美男子だった。少年期は中性的な外見の美少年であり、髪もナナリーと同じ栗毛で、ナナリーや三男・クロヴィスは父親似だった事が一目で分かる。
青年期の外見(ネタバレにつき閲覧要注意!!)も髪の長さや体格に違いはあれど、シュナイゼルによく似た美丈夫となっている。
性格面の方は、親しいものへの優しさ、理不尽への怒り、理想を実現しようとする野心、一度決意すると如何なる犠牲をも払う覚悟の強さ、確実に勝ちに行く権謀術数の腕前、…等々、(ルルーシュは認めたがらないだろうが)ルルーシュの性格は完全に父親譲りであり、よく似た親子だと言えるだろう。
因みにギアスの性質もかなり似ている(相手の目を見つめて発動する事、相手の思考に干渉し思うがままに操る事などが共通)。
ルルーシュとシャルルの違いは、「明日」か「昨日」を目指すかであった。
活躍
コードギアス 反逆のルルーシュ
クロヴィスの葬儀で衛星中継による演説を行い、己の息子の死を「帝国の進化の証」と豪語してみせた。……が、これ以降は特に大きな出番はなかった。
ユーフェミアによる日本人の大虐殺直後にワンカットのみ登場したが、実の娘を襲った悲劇をも意に介さず「あやつめ、やりおったわ!」と叫び大笑いしていた。これらは先述の「死への感傷の薄さ」が原因である。
余談であるが、クロヴィスの葬儀で行った演説はその威厳と凄味から若本ファンに、そして若本規夫という声優を知らなかった視聴者に大きなインパクトを残したという。
コードギアス 反逆のルルーシュR2
“相手の記憶を改竄するギアス能力者”である事が発覚し、ルルーシュの記憶を改竄した他にも、アッシュフォード学園の生徒会メンバーの記憶を書き換えている。
そして、黒の騎士団がギアス嚮団を襲撃した際に、兄のV.V.がかつて嫉妬からマリアンヌ暗殺を企てた事、そして今度はルルーシュの暗殺を独断で決行した事を追求して、自分に二度までも嘘をついた報いとして彼から不老不死のコードを奪い去り、死に至らしめている。
そして、ルルーシュとの直接対決に至り、ギアスを掛けられたがコードを所持していた為に無事だった(後述の行動を考えると、ルルーシュを誘き出す為にわざと抵抗せずギアスを受けたのかもしれない)。暫く死んだふりをしていたが、ルルーシュが死亡を確認しに出てくると起き上がり、自分が不死であるという事実を突きつけて心を折っている。
そしてC.C.からもコードを奪おうとし、ルルーシュでは「死」という自身の願いを叶えられないと悟ったC.C.の方も、最初は上記のマリアンヌとの約束からコードを差し出そうとするが、後にC.C.の記憶を垣間見た上で帰還したルルーシュからの説得を聞き入れてコードの譲渡を拒否し、更に蜃気楼の乱入によってアーカーシャの剣を壊されて、そのまま行方不明となる。
しかし、ゼロによる「超合衆国日本」の宣言と時を同じくして本国に復帰する。
シュナイゼルの進言を「俗事」と取り合わなかった事から、シュナイゼルを初めとしたメンバーから不信感を抱かれ、クーデターを計画されるも、それを無視して神根島に向かい、嚮団の残党を率いてアーカーシャの剣を修復する。そこで再びルルーシュと対峙し、自らの計画の全てを語って聞かせて、後から来たC.C.、マリアンヌ、枢木スザクらの前でアーカーシャの剣を起動させる。
しかし、ルルーシュに彼の求める世界が「自分たちに“だけ”優しい世界」だと論破され、更にルルーシュがギアス能力を昇華させて「Cの世界」にギアスを掛け、アーカーシャの剣の起動を強制的に停止させてしまう。これによりアーカーシャの剣が崩壊を始め、「Cの世界」からコードに干渉された事で自身の肉体が崩壊を開始。
最後の力を振り絞ってルルーシュへ襲い掛かり、シュナイゼルの作ろうとする世界の危険性を訴えるも、ルルーシュに改めて拒絶され、最期は怨嗟の声をあげながらマリアンヌと共に「Cの世界」に取り込まれて完全消滅した。
上記の通り、本質的にはルルーシュと非常によく似た面も多い人物だったシャルルだが、彼とルルーシュが決定的に違ったのは、ルルーシュが「未来」を求めて世界と向き合う事を選んだのに対して、シャルルは自分達がもう取り戻せない「過去」だけを見て、自分達に都合の良い世界だけを求めて、世界と向き合おうとしなかったという点である。
この点は、シュナイゼルやC.C.などからも指摘されており、「目の前の現実を見ようともしていない」「結局は自分が大事なだけ」というシャルル・ジ・ブリタニアという男の本質を見抜いたからこそ、この2人はシャルルから離れる事を決意したのである。
要するにシャルルは本質的には、都合の良い記憶を見続けられるリフレインの麻薬に逃避したカレンの母親などと、何も変わらないような人物なのである。
しかし、コードギアスの世界の現状を考えれば、リフレイン麻薬中毒者やシャルルとマリアンヌが過去だけの世界に救いを求めるのも無理も無い話だったのも事実とは言える。シャルルもまた幼少期に肉親を失った時に方向性が決まってしまったのだろう。
一方で、彼が欲した「嘘のない世界」による平和への理念は、ルルーシュの思想にも少なからず影響を与えており、それらとこれまでルルーシュとスザクが失ってきたものを思いあぐねた末に、後にカタチを変えて、平和な世界の創造の試みは決行される事となった。
ドラマCD
「Cタケ られた C.C.」
「楽しそうだな、マイスウィートサン!」
「いつもとは一味違うC.C.に、ちょっとときめいちゃったりなんかしたりしなかったりしてカックラキン!」
「いつになったらワシは、おじいちゃんになれるズラァ!」
R2ドラマCD。
ルルーシュに連絡を取って、記憶を失ったC.C.を元に戻すCタケについて教えた。
ルルーシュからは「オヤジ」と呼んでもらえている。
「反逆 学園 ギアス 先生 !」
R2ドラマCD。
ルルーシュに偽の記憶を植え付けて遊んでいた。ナナリーからは「ダメ親父!」呼ばわりされている。
ギャグエピソードだったが、後に『コードギアス亡国のアキト』にて捕らえたルルーシュに「皇帝大好き」という偽の記憶を植え付けて、皇帝代理人の地位まで与えてみるという、ある種公式化している。
「シャルル・ジ・ブリタニアの人生相談」
『コードギアス 反逆のルルーシュR2 Sound Variety R18』収録。
大量の人生相談に対し、「悩みなど無い」というギアスをかける事で強引に解決するというギアスの無駄遣いを披露した事がある。「発酵食品である納豆と発酵食品でない豆腐の漢字について考えると夜眠れなくなる」「イビキがすごく、ビスマルクが敵襲と勘違いしてナイトメアフレームで飛んできた」という爆笑エピソードの暴露があったりも…
「まだあるのか? え? 150個ぉ? はい全員、注目! そこ、こっち見る!」
「シャルル・ジ・ブリタニアが刻む偽りの記憶…貴様らの人生に悩みなどない!!」
関連タグ
ルルーシュ・ランペルージ V.V. マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア
ビスマルク・ヴァルトシュタイン:シャルルの右腕ともいえるブリタニア帝国最強の騎士。計画の同志。
ビスマルクに関しては自身の家族や嚮団の関係者ではない為か、マリアンヌの精神体やC.C.や嚮団関連の重要な情報はあまり教えていない様子。
劇場版三部作総集編では大幅に出番が増えても見直され、黄昏の間への立ち入りもしている。
ビスマルクも最期の言葉は「マリアンヌ様…」であるなど、シャルル以上にマリアンヌのことを慕っていた様子。
皇サクヤ:『コードギアス奪還のロゼ』のヒロイン兼主人公であり、長子シェリー・メ・ブリタニアが産んだ孫娘。
ギレン・ザビ:専制政治を行う国の指導者であり、親類の葬儀で国威発揚の演説を行うところが共通する。というかおそらく演説シーンの元ネタになった人物。
ドナン・カシム:コードギアス以前のあるサンライズのロボットアニメにおける人々を苦しめる敵側の権力者。子沢山で主人公の父親でありながらも敵対しているのもシャルルと共通している。ただしこちらはちゃんとした政治家で、子供は少数、私利私欲では無く多くの人々の為にあえて悪政を行っている等といくつかの点でシャルルとは真逆である。
デリング・レンブラン:上記2名と同じくサンライズ繋がりで、ギレンとは世界観こそ違うが同じシリーズ。こちらは兵器製造企業グループの総裁で、白髪、弱肉強食な性格、子供と対立している、脚本が同じといった点が共通。
うちはマダラ:忍五大国の内、木ノ葉隠れの里の創始者の片割れ。ある時から月の眼計画という計画の為に里を抜けてしまった。計画の内容は「尾獣の力を全て集めた上で、完全な神樹によって月に眼を投影し、全人類に「自分にとって最も幸せで都合の良い夢」を見せる」というモノ。その世界では喪ってしまった大切な人や、悲惨な境遇など存在せず、当然争いも起きえない、本人はこれが「最も平等で幸せな世界」と言っていたが世界が個人で完結してしまうため、当然新しい生命が産まれることもなくなるタチの悪い集団自殺である。挙げ句の果てには「そのお題目自体そもそも嘘で、マダラはそれに気付いてない」というオチがつく。「失った人間とも再会できる世界の創造」が目的にもかかわらず、率先して不幸を拡げまくり、それで世界が幸福になると思っていたという共通点がある
「奪還のロゼ」のネタバレ注意!
最終幕にて、ローランドの正体がシャルルのクローンであることが明かされた。
シャルルは生前、自身の身体のスペアとして器となるローランドを創り、ラグナレクの接続のサブプランとすることを計画していた。しかし、頭脳となるシャルル自身が完全に死亡したため、器たるローランドのみが残されてしまった。その結果、ローランドは人類に対して生理的な嫌悪を持つ文字通り空っぽの器へと変貌してしまった。
真の関連タグ
全ての元凶:「反逆」でも既にその節が確認できるが、「奪還」では完全に問題の原因となっている。(シャルルがローランドを創らなければロキは少なくとも存在せず、人類の大量虐殺も起こらなかったであろう。)