ヴァリアブルフェイズシフト装甲
ばりあぶるふぇいずしふとそうこう
概要
フェイズシフト装甲の改良型。
モルゲンレーテ社で開発された大容量バッテリー『パワーエクステンダー』とPS装甲の組み合わせによって、発生した通電率と装甲強度の変化率を参照し、装甲に流す電流の量を装備や状況に応じて調整、装甲へのエネルギー配分を最適化しエネルギー消費を更に抑える事が可能となった。
単なる省エネルギーだけでなく、戦闘レンジに合わせて装甲強度を最大化したり、分子配列の変化によって対水圧に適した相転移率に変化するなど応用性の高い技術。
インパルスやストライクEのように装備を換装すると即時に最適化するため柔軟な対応が可能でありこれらはわかりやすくかつ効果的に使用している例と言える。
バッテリー型のインパルスSpecⅡは最新型バッテリーにより、デスティニーSpecⅡは動力の強化によってカラーリングが従来のものから変更されており、動力源の更新・変更で色が変わっていく可能性が高い。
変わり種としては、パイロットのパーソナルカラーにしてしまうことも可能。ガイアはパイロットに合わせた調整の結果色が変わっており(VPS装甲を採用していないシールドも変わっていることや彼の歴代乗機に近いカラーリングなこと、小説版などから趣味説もある…というよりHGキットなどでは併記されている)。
リリー専用ブリッツは更に装甲にかかる電圧をプログラミングで細かく調整し、表面に任意のマークを発生させる、といった使い方をしている。ただし、実装に比して労力は大きくこの辺りになると戦闘での実用的な意味は薄い。
オーブ解放作戦とその後の停戦時の混乱や避難民によってオーブから各勢力に流出した技術の一つに、大容量バッテリー『パワーエクステンダー』が挙げられており、PS装甲と組み合わせた新技術VPS装甲が各勢力に広まった要因とされている。
ザフト
パワーエクステンダー採用機ではインパルスをはじめとするセカンドステージシリーズに使用され、ハイパーデュートリオンエンジン搭載機ではデスティニーなどのサードステージシリーズ、ストライクフリーダムなどのターミナル製ZGMF-Xシリーズに使用されている。
世界平和監視機構コンパスでは、モルゲンレーテ社が設計したライジングフリーダム、イモータルジャスティスが該当する。
資料によってはバクゥハウンドにも採用されているとされる。
アビスのみは肩部シールドがVPS装甲にアンチビームコーティングを施した特殊装甲となっている。
地球連合
ザフトとはVPS装甲の経緯が異なり、前大戦で強奪したテスタメントのPS装甲を改良した際の副産物として、VPS装甲の雛型となる『PS装甲の赤色化』が実現している。
新型機ではライゴウに使用されている。資料によってはデストロイ、ウィンダムにも採用されているとされる。
新型機以外ではストライクE(ストライクノワール)などのアクタイオン・プロジェクトで再生産と改良が行われた機体群などが該当、リリー専用のブリッツの装甲をヴァリアブルフェイズシフト装甲に置き換えた事例もある。
色
色を戦闘時に変えることができるようになり装備ごとの変更も見られるこの装甲。書籍類では色による防御力や電力消費について相関性が言及されることもあるが、劇中にてその効果は一定していない。
『DESTINY』ではインパルスの機体カラー変化から、ソードインパルスの形態では装甲色へのパワーを多く振り分けているとする書籍類もある。しかしながら、劇中では多様なカラーのVPS装甲搭載型MSが登場するものの、その多くはビームを受ければダメージが発生し、実弾を防ぐといった元のPS装甲と同様の受けており、形態やカラーごとに耐久性が変化している描写は見られない。
もっとも、万能機寄りだが近接特化の調節を受けているストライクノワールはその名の通り黒。
ストライクEやライゴウは近接装備になるとトリコロールの青が水色になる程度。近接特化のブルデュエルも青系統である。
逆に緑系統は砲撃や後方支援の装備や機体が多い傾向にあるため武装に電力を回していて強度が低いという解釈もあるがアニメ本編に出たカオスガンダムは高機動を活かして格闘戦も行う強襲機である。
パイロットに合わせて調節されたガイア(前述のように違う説もある)やストライクから色が変わったストライクノワール、前述のインパルスやデスティニーのSpecⅡはVPS装甲かつ本人の趣味が介入していない形で従来機からカラーリング変更が言及された例だが特にこれに伴う消費電力や装甲強度に触れていない。
該当機種
ザフト系列
- ZGMF-X56S インパルス
- ZGMF-56E2 インパルスSpecⅡ
- ZGMF-X23S セイバー
- ZGMF-X24S カオス
- XMF-P192P プロトカオス
- ZGMF-X31S アビス
- ZGMF-X88S ガイア
- ZGMF-X88S ガイア(バルトフェルド専用機)
- ZGMF-X42S デスティニー
- ZGMF/A-42S2 デスティニーSpecⅡ
- ZGMF-X42S-REVOLUTION デスティニー(ハイネ専用機)
- ZGMF-X666S レジェンド
- ZGMF-X101S ザクスプレンダー
- ZGMF-X3000Q プロヴィデンスザク
- ZGMF-X19A インフィニットジャスティス
- ZGMF-X191M2 インフィニットジャスティス弐式
- ZGMF-X20A ストライクフリーダム
- ZGMF/A-262B ストライクフリーダム弐式
- ZGMF/A-262PD-P マイティーストライクフリーダム
- STTS-808 イモータルジャスティス
- STTS-909 ライジングフリーダム
地球連合系列
類似技術
PS装甲の赤色化
VPS装甲の雛型となる技術。なお、狙って開発を行ったザフト以外では『PS装甲の改良における副産物』と言う側面が強い。
MBF-02 ストライクルージュの場合
MBF-02 ストライクルージュでは、パワーエクステンダーの搭載も相まってPS装甲への電力供給が増加しており、それに伴い通電率など電力配分が変更され、結果的に赤主体となっている。
『DESTINY』では、キラ・ヤマトがカガリ・ユラ・アスハからストライクルージュを借りて出撃する際に、コクピット内で機体のOSに調整を加えている。この際に、PS装甲の通電率などの数値を、かつて自身が搭乗したGAT-X105 ストライクの設定値に合わせたことで、オリジナルのストライクと同じカラーリングとなっていた。
なお、このストライクルージュの装甲は従来のPS装甲で施されており、VPS装甲に換装はされている訳では無い。その関係からか、VPS装甲のように戦闘時のカラーリング変更は対応できない。
ZGMF-X12A テスタメントの場合
ZGMF-X12A テスタメントは地球連合に強奪され、PS装甲の改良を加えた副産物として装甲を赤色化させる機能が追加されており、普段の白から近接格闘時に赤へ切り替えが可能となっている。漫画版『DESTINY ASTRAY』では、パイロットの体力消耗を狙って至近戦闘を仕掛けてきたカイト搭乗のアストレイ ゴールドフレーム天ミナに対して、咄嗟に装甲を赤へ変化させて近接戦に対応したみせた。この赤色化は「装甲強度が増しているらしい」とする資料(『ガンダムSEEDアストレイマスターズ―機動戦士ガンダムSEED ASTRAY作品集』)も存在する。
カイトがテスタメントを獲得した際には自身の専用機としてOSの調整を加え、巡行時は白で戦闘時に赤と切り替えながら使用されている。
ビルドシリーズでのVPS装甲について
ビルドダイバーズバトローグでは「衝撃を軽減する」装甲と設定されており、「ビームを軽減する」ナノラミネートアーマーと対となっている。
なお、原典である『DESTINY』でのVPS装甲は衝撃の軽減ができないので、ビルドシリーズとは設定が違うことを留意されたし。