概要
てんとう虫コミックス11巻及び、藤子・F・不二雄大全集7巻に収録。
顔に塗ってから丸いものを見ると、おおかみ男に変身することができる。ちなみにドラえもんがこれを使って狼男に変身した際の毛の色は、1979年版と2019年版が茶色で、それ以外は地の色のままとなっている。
ストーリー
ママは「ぼくのこわいもの」という題ののび太の作文を読み始め、そこには「この間、狼男のテレビを見ました。まん丸い月を見ると、オオカミに変身するのです」という文章が書いてあった。これにママは「くだらないわねぇ」と言い、のび太も「もうよそう」と止めに入るがママはそのまま読み進め、「でも、もっと怖い物があるのです」という文章に疑問を持ち、「それはうちのママの怒った顔です」という文章を読むと烈火のごとく怒り出してしまった。
これにのび太は一目散に逃げ出し、ドラえもんに狼男と怒ったママのどちらが怖いか聞くと、ドラえもんは狼男の方が怖いと言う。だがのび太はママの方が怖いと主張したので、比べてみるため、ドラえもんは「おおかみ男クリーム」を取り出し自分の顔に塗り始めた。そしてのび太が見せた麦わら帽子を見ると、狼男に変身しのび太に襲い掛かって見せた。
これにのび太は自分も使ってみようとしたが、目を離した隙にママが知らずに使ってしまい、真相を伝える間もなくママは出かけに行ってしまった。のび太から事情を聞くと共に、後を押し付けられたドラえもんはママの後に追い、「付いてきてもつまらないわよ」と言われながらも、それでも「いいから連れてって」と強引に付いて行くことにした。
途中、顔を洗ったらと言っても「朝洗ったわよ、変なこと言わないで」と相手にしてもらえず、それからも女の子が思っていた風船を取り上げて隠したり、ジャイアンとスネ夫が持っていたバレーボールを蹴っ飛ばしたりしてママが狼男になるのを防ぎ続けた。いきなりボールを蹴っ飛ばしたことでドラえもんは2人にボコボコにされてしまったが、何とか目的の家に到着することができ、一安心かに思えたが、ママが玄関に設置された球状の電灯を見て狼男になってしまったので、急いで茂みに飛び込み元に戻ってから改めて、家の女性と面会させた。
しかし家に入るとドラえもんがいきなり、部屋に置かれていた丸い物を撤去し始めたため、ママは「うちへ帰りなさい」と注意して、ドラえもんは廊下で待たされることとなってしまった。するとそこに女性がお茶とせんべいを持ってきたため、ドラえもんはお盆や茶碗は四角い物を使うよう指示し、せんべいもボリボリ、バリバリと食べ始めた。
これによりドラえもんは本当に家の外につまみ出されてしまったが、その時家の中から悲鳴が聞こえて来たので、行ってみると、ママが部屋の電灯を見て狼男に変身し、女性がそれに驚き倒れてしまっていた。ドラえもんは「医者を呼ばなくちゃ」と大慌てになり、2人共ヘトヘトになって、帰りも遅くなってしまった。
だがその時強盗が現れて、金を出すよう脅迫してきて、ママは怯えてしまうが、強盗が持った懐中電灯を見てママは狼男になっていたので、逆に強盗の方が逃げ出してしまった。家に帰るとドラえもんはこのことをのび太に話し、一方ママは鏡を見て「私ってそんなに怖い顔なのかしら。」と不安になっていた。
アニメにおける原作との主な相違点
大山版は1979年7月23日及び1995年11月3日に、水田版は2005年11月11日及び、2012年10月19日、2019年2月22日にそれぞれ放送している。
1979年版
- ママは「それは、うちのママの怒った顔です」を2回読み上げている。
- ドラえもんは狼男とママどちらが怖いかでのび太と口論になり、それなら証拠を見せると、この道具を取り出した。
- 狼男に変身したドラえもんから逃げたのび太は、道路にまで出ていた。
- ジャイアンとスネ夫が蹴っていたのはサッカーボールであり、以下の2019年版以外でこの表現は引き継がれることとなる。
- ママが訪れた家は女学校時代の友達の家だった。ちなみに友達の名前は「とも子」だった。
- ママがドラえもんに「うちへ帰りなさい」というシーンはカット
- とも子はオオカミになったママを見て気絶した際、口から泡を吐いていた。またドラえもんは医者を呼ぶため電話をかけていたが、焦るあまりコードを引っ張り過ぎて、それの反動で電話にぶつかってしまった。
- ママは鏡を見て「なぜこんな美しい顔を皆怖がるのかしら」と言っていて、これにドラえもんとのび太はクスクスと笑っていて、ママはそんな2人を睨みつけていた。
- 本編終了後のショートアニメは狼男に平気な顔をするドラえもんとのび太が、狼男の正体がママだと分かった瞬間に震え上がるというものだった。
1995年版
- サブタイトルが「ママはオオカミ男!?」に変更
- のび太は外から帰って来たものの、先にママに部屋を掃除されていて作文を読まれてしまった。
- のび太は怒ったママから逃げた際、階段から転げ落ちている。またドラえもんとのび太が話し合っていたのは居間で、のび太に「ドラえもんはママにあんまり怒られないから分からないんだよ!」と言われ、この道具を出した。
- ドラえもんはクリームを落とした後、のび太にママと狼男のどちらが怖かったか聞いていて、「どっちも怖かったけど、もしママが狼男になったらもっと怖いかも」という感想と共にその顔真似もされ、「なるほど、言えてる」と納得した。
- ドラえもんは家から出てすぐガードミラーを見て「まさか、こんな丸い物見てないだろうな」と不安になったが、その不安は的中しママは狼男になっていた。しかしすぐに元に戻り、幸い誰にも見られていなかった。
- 今回もジャイアンとスネ夫が遊んでいたのはサッカーボールだった。
- ママが訪れた家は昔のクラスメイトの家だった。
- 「うちへ帰りない」は「いい加減にしなさい!」に変更されている。
- ドラえもんはお茶とせんべいを片付けた際、「中々いいお茶だ、おせんべいにぴったり」と感想も行っている。またママが狼男に変身したのは大福を見たからだった。
- 帰り道でママが狼男に変身したのは、夜間警備中の警官に会い、この警官が持っていた懐中電灯を見たからだった。
- ラストでママは自分の顔を確かめるためコンパクトを開き、狼男に変身した自分の顔を見て気絶してしまい、これにドラえもんとのび太も大慌てだった。
2005年版
- イメージ映像に出て来た狼男は、変身後は服が破け四足歩行となり、普通のオオカミと変わらない見た目になった。
- ドラえもんは三面鏡に映った自分の顔を見て狼男に変身した。ちなみにのび太は一度2階に逃げてから庭に逃げている。
- のび太は「そのクリームを使うと怖い顔になっちゃうから使わない方がいい」と言ったが、「どうせママは怖い顔です!」と聞く耳を持ってもらえなかった。ちなみにこの後のび太は「宿題をやらなくっちゃ」と言い訳をしてドラえもんに後を任せている。
- ママは最初にドラえもんの顔をみて狼男に変身したが、その時向こうから人がやって来たため、ドラえもんは急いでその場にあったゴミバケツをママに被せ、難をしのいだ。しかしそれからもドラえもんの顔を見て変身しそうになったので、ドラえもんはそのた度に自分の顔を引っ張って形を変えている。
- ドラえもんは女の子から風船を取り上げた際、返してと女の子からポカポカ殴られていて、ママからも返してあげなさいと注意されている。
- この後にも看板に描かれた丸をらくがき銃で書き換えたり、アドバルーンをスモールライトで小さくしたりと影ならがら努力している。
- 1995年版と同じくドラえもんはお茶とせんべいをか片付けた際、味の感想を言っていて、お茶には茶柱が建っていたため、「何かいいことあるかな」と呑気なことを言っていた。ちなみにこれに怒ったママの影は悪魔のような形になっていた。
- 女性は一度目を覚ましたが、狼男に変身したママの顔を見て再度気絶してしまった。また電球はLED対応の物に変更され、ドラえもんが医者を呼ばなくちゃと慌てる場面はカットされている。
- ラストではママは1995年と同じく狼男に変身した自分の顔を見て気絶してしまったが、変身したのは三面鏡に映った自分の眼鏡が丸かったからだった。
2012年版
- ママがのび太の作文を読もうと思ったのは、先ほどジャイアンとスネ夫からのび太の作文がすごいと言われたからだった。ちなみにこの時ドラえもんもママの横に座っていた。
- クリームを塗ったドラえもんにのび太が見せたのは、円柱状の屑籠だった。またのび太が狼男に変身したドラえもんに捕まったのは自分の部屋だった。
- のび太はママを引き留める際、「顔が怖くなっちゃうよ!」と言ったが、「もう!うるさいわね!」と取り合ってもらえず、宿題もしておくように言われてしまった。ちなみに今回ものび太は2012年版と同じやり方でドラえもんに後を任せている。
- ママは2005年版と同じく、追いかけて来たドラえもんの顔を見て狼男に変身しそうになったり、ドラえもんも2012年版と同じやりかたでママが変身するのを防いでいる。ちなみ後ろを向くも試したが、すぐにどこから見ても真ん丸であることに気付き、顔を引っ張る理由は美容にいいからと誤魔化している。
- ママは道中ドラえもんに「帰りは遅くなるわよ」と言ったり、「晩御飯何が食べたい?」、「がんもどきってどっちが表だか知ってる?」と質問もしている。
- ドラえもんは風船を隠しても真ん丸な顔が丸見えであることに気付き、風船を口の中に入れてから顔を引っ張ってママが変身するのを防いでいる。またその後、道路でけんけんぱをして遊んでいるしずか達と遭遇し、ママが道路に書かれた円やしずかのスカートの柄を見て変身しそうになったので、慌てて先を急ぐことにした。
- ママはジャイアンとスネ夫が蹴ったサッカーボールを見て狼男に変身してしまい、慌ててバッグをかぶせて誤魔化し、その後もママはガスタンクを見て再び変身したので慌ててスモールライトで小さくして難をしのいだ。ちなみにガスタンクはママが元に戻った後、ビッグライトで元の大きさに戻した。
- ドラえもんはお茶とせんべいをか片付けた際、1995年版、2005年版と同じく味の感想を言っていて、お茶のお替りも頼んでいる。また外につまみだされた際、もし丸いどら焼きが出たらと想像してちょっと羨ましく思っていて、女性が気絶した際にはお医者さんカバンから気つけ薬を出している。そして女性はこれをママにかがされ、一度目を覚ましたが、2005年版と同じく狼男になったママの顔を見て再び気絶してしまった。
- ママは強盗に出くわした際、「命だけはお助けを」と言っていたが、狼男に変身したママを見て、強盗の方が同じセリフを言って逃げて行った。
- ラストでママの怒った顔は怖いと言うのび太をママは睨んでいるが、やっぱりその顔は狼男より怖いと言われ、原作と同じオチに至っている。
2019年版
- テレビ画面が横長になっているため、原作の扉絵をオマージュしたサブタイトル画面では、のび太ママはドラえもんの横に映っていた。
- ママはこのクリームのことを「見たことないクリームね」と言っていて、引き留めに来たのび太には、あの作文を書きなおすまで外出禁止を言い渡している。
- ドラえもんはこれまでのバージョンと同じく家を出てからすぐ、自分の顔がまるであることに気付き、頭に布を被り、鼻にばんそうこうも張って、丸い手も隠すため手袋もはめてママの後に付いて行った。
- その後すぐしずかと出会い、彼女が母親と一緒に作った水玉模様のドレスを着ていたため、慌てて茂みの中に押し込んだが、「あんなの見られたら大変だよ」と言ってしまい、ビンタを一発食らうこととなった。
- その後も、神成さんの盆栽の素晴らしさに脱帽した男性2人がベレー帽を脱いだことで、計3人のスキンヘッドが光ったため、ドラえもんは急いで割り込んだが、これによりまた殴られてしまった。
- 女性が出してきたおかしにはあられも入っていて、ドラえもんはこれらを一気に口に流し込んで片付けている。
- 女性の家の電灯はドーム状のカバーがかけられた物だった。
- ママ達を襲った強盗は覆面を被っていた。
余談
上記の通り、大山版と水田版の計5回にわたってアニメ化されており、これは現在のところテレビシリーズにおいてリメイクされた回数としては最多にあたる。
1979年版では、本来のび太役の小原乃梨子女史が喉を潰したことによる、療養中だったため、丸山裕子女史が代役を務めている。
2024年10月12日放送の後半では本来、2017年版「ウルトラよろい」の再放送が予定されていたが、同年の9月29日にドラえもんの先代の担当声優だった大山のぶ代女史が死去したことで、それの追悼テロップを流す必要があったため、急遽予定を変更して2019年版の本エピソードが再放送された。