「 それで、ここは何処だ。何処まで往くんだ。 (中略) 」
「 どこにたどり着いたら、どこに行ったことになると思う? 」
――スターライトステージ ストーリーコミュ 第33話 『 Missing, If you want 』
概要
しきあすは、『アイドルマスターシンデレラガールズ』に登場する一ノ瀬志希(18)と二宮飛鳥(14)の組合せ、またはカップリングの通称。サービスが開始された2011年から少々時間をおいて、飛鳥がクール属性として13年12月に登場、キュート属性の志希は一足遅く14年2月に登場した。
逆にソロ楽曲シリーズ「CINDERELLA MASTER」では志希が第8弾(15年11月)の一人として先んじて歌声を披露し、飛鳥は第9弾(16年3月)でのソロ曲デビューとなる。
15年3月20日から始まった「第11回アイドルLIVEロワイヤル」では、ユニット「 Dimension-3 」を結成した。一+二は3。
片や14歳の時分に海外の大学で化学を専攻していた自由奔放なギフテッド、片や「痛いヤツ」を自称する中二病真っ盛りな現役14歳。
多様なアイドルを抱える『シンデレラガールズ』においてもだいぶクセの強い二人だが、真性の奇人である志希と並ぶと、結局のところ飛鳥がお目付け役のような立ち回りをすることが多い。志希の白衣イメージと相俟って「変人博士と助手」感が醸し出されるのも、この二人ならでは。
互いの呼び方は「飛鳥ちゃん」と「志希」、二人称では共に「キミ」を使う。身長差7cm。
それぞれが他にも魅力的な競合CPを抱える組み合わせのため、特にこの二人の関係性に耽溺するPの中には、冗談めかして「しきあす過激派」を自称する者も少なからず存在する。
リズムゲーム『スターライトステージ』のコミュでも何度か共演している。お遊びの心理テストに乗じて奏の内面を詮索しようとして一緒に失敗したことも。
志希のLIVE前夜を描くストーリーコミュ第33話では、自分がメインのLIVE直前で志希がいつもの失踪癖を出し、それについて行く飛鳥と連れ立ってのプチ二人旅の様子が見られる。当てもなくうろつきながら、独特の思考回路で謎かけのような自己表現を試みる志希と、ひねくれ者なりの思索で彼女の言葉を受け止めようとする飛鳥の、「アイドルとしての在り方」にまで踏み込んだ問答が展開される。
また、2人が参加した「EVERMORE」のイベントコミュ1話の冒頭では2人が揃って集合時間に遅刻するシーンが描かれている。この際に、寝ぼけ眼の志希に対して飛鳥は「志希のせいで遅刻した」という旨の発言をしており、飛鳥が志希を迎えに行ったか、前日の夜から一緒にいたことを匂わせている。
飛鳥と他のアイドル達との対談企画を描くストーリーコミュ第43話では、対談相手ではないものの、進行役の宮本フレデリカの口から企画について心配してたアイドルとして速水奏とともに志希の名前が出ている。また、飛鳥曰く「自分と喋りたがるのはクールな人か頭のネジが外れた人」のようで、後者は志希のことだと思われる。
『シンデレラガールズ』5thライブ「SerendipityParade!!!」福岡公演では「おかしな国のおかし屋さん」後の小芝居で絡んだり、2018年2月3日の飛鳥の誕生日にはDimension-3がライバルユニットとして登場して対戦コメントで志希が飛鳥の誕生日を祝ったりしている(イベント更新の都合上、前日の22時に登場したため「世界で一番早く飛鳥の誕生日を祝う女」とも)。
バベルの塔の顕現
2019年7月19日、『スターライトステージ』のイベント予告にて、志希と飛鳥、二人でのお仕事が告知されるという衝撃がデレステPたちを襲う。
既に「ダークイルミネイト」 「レイジー・レイジー」という組み合わせでスペシャルコミュが描写されている『デレステ』において、しきあす(Dimension-3)がユニットとして登場する望みは薄いだろうという認識は、元より公式からの供給に喘ぐ「しきあすの民」を自称する砂漠の住人たちにとって、暗黙の了解に近いものであった。
そこへ突如として叩き込まれた弩級の供給に、しきあす推しを信条としてきたP及びしきあす過激派は泡を食い、同志たちとのイベントランキング争いに慄き、隠れしきあす派は名乗りを上げ、容認派は歓迎の意を表し、他CP推しの過激派は難色を示す――というカオスがTwitter上で展開される。
数えるほどの共演をよすがに妄想ばかり膨らませてきたしきあす民が、「明日からDimension-3のために用意した楽曲・MV・コミュをお届けします」と告げられて半狂乱に陥ったのは道理でしかなく、俄かに活気づいた界隈が、一部過激派と摩擦を生ずるのもまた避けようのない事態であった。
この手の衝突(いわゆるCP戦争)が、女性アイドルしかいないはずの『シンデレラ』で表面化するケースは珍しいのだが、一ノ瀬志希や二宮飛鳥を担当する女性Pの比率の多さ、腐女子文化を知るPたちによって「しきあす」というCPがもつ文脈とBLの精神性との符合の多さが論じられてきたこと等を鑑みると、この一件奇妙な現象をいくらか理解できるかもしれない。検索サジェストに「地雷(※ その組合せは受け容れ難いの意)」の二文字が踊り、その様子を見て「まるでBL界隈のようだ」と驚くPの反応が増えたことで「BL」までもがサジェスト入りを果たし、しきあすの民はどこか異様な熱気に包まれながらバベルの塔を登っていくことになる。
イベント期間中に発生した緊急メンテナンスとイベントの一時中断については、ランキングへの影響を懸念する声も上がる一方で、メンテ終了を待ち侘びながらも「しきあす、イベントごと失踪」 「志希に一週間ぶっ通しの仕事はやはり長過ぎたのでは」 「夢のようなイベントだから夢だったのかもしれない」といった落ち着いた(?)反応や、「当初の予定通りにいかないのが" しきあす "っぽくてよい」という熱に浮かされたような見解までもが入り乱れた。
イベント終了から一夜明けた7月30日、スペシャルコミュのエピローグと共に、演劇『バベル』の世界観を濃密に再現したMVの2Dリッチモードも公開された。その出来栄えたるや、しきあす民をして「やはりデレステのスタッフには強火(※ 非常に熱心の意)のしきあすオタクがいる」と言わしめる代物であり、2Dモードを存分に活かした過剰火力による大立ち回りと、叛逆の末路を描いた繊細な演出とで、イベントの余韻に浸っていた多くのしきあす民にとどめを刺していった。
15年3月の「Dimension-3」お披露目、16年8月の『秘密のトワレ』ストーリーコミュを経た「しきあす」の軌跡におけるひとつの記念碑として、叛逆の咎と共に崩れ落ちた塔はしきあすの民の道標となっていくことだろう。