フォームライドォ ノエル だんちょむ!
2024年10月に、突如として名を上げた白銀ノエルの別人格……もとい別名。
全ての始まりは2024年に行われたホロメン私物オークション。
そんな中、大空スバルの使用済みパジャマと片方だけの靴下が出品されるのだが、それを落札した者がいた。
それがだんちょむである。
とまあ、これだけなら「まーた団長か困るなぁ」となり、笑い話になるだけだったのだが……。
とある一つの問題のせいで、このだんちょむは賛否両論となってしまう……。
アタックライドォ 地獄絵図!
そもそもこのホロメン私物オークションには、「同額の落札者が発生した場合、その品物にかける熱量を語り合うことで勝敗を決定する」というルールが存在する。
これだけならまだよかったのだが、このルールの説明が行われた際に、ノエルは自らの脳内でスバルに対する気持ちを語る自分の姿をシミュレートしたところ、気持ち悪いということに気づいてしまった。
そこでノエルは自分の身を守るために「大空スバルの関連グッズを私製博物館に蒐集している白銀だんちょむという名の親戚」という別人格を作り出した。
全ての罪をだんちょむに押し付けたことでブレーキを破壊したノエル…もといだんちょむは(本来なら同額落札者がいなかったのたが、勝手に)スバルの推し語りを始め、ノエルの予想通りに主催者やリスナーに気持ち悪がられた…どころか、それを通り越して怖がられていた。
賛否両論
このように、わざわざスバルへのを叫ぶためだけに自らの罪から目を背け、別人格を作って暴走したノエル団長の行為は、白銀聖騎士団の間でもかなりの賛否両論の嵐となっており、現在でも団長を嫌う人たちがこの件を引き合いに出して『ノエル団長は人間の屑』と称することも決して少なくない(とはいえ、確かに間違ってはいないのも否定はできない)。
一応言っておくと、ノエル団長のスバルに対する強い愛情は、昨今における推し活などの在り方に一石を投じた一つの概念でもあるが、しかしノエル団長のように「推しのこれが欲しい」といった考えは、大なり小なり誰もが潜在的に抱えている感情ではある。
現実でもフィクションの中でもアイドルを始めとした人気な人たちをイメージしたグッズなどを目の当たりにすれば、必ずと言っていいほど愛情が一気に膨れ上がる人間が現れるものである。
たとえ実行に至らなくても、「○○を買い占めたい」「○○がもっと販売して欲しい」等色々と考える者も少なくはない。
しかし、何よりもノエル団長がこの件で嫌われている真の理由は、言うまでもなく『推しへの気持ちを語る自分が気持ち悪く感じ、それから身を守るために別人格を作った』というこの一連の流れである。
そもそも、ノエル団長は過去にもスバルに対して散々迷惑をかけてきたにもかかわらず、そのたびにまったく反省の色が見えない、言わば厄介オタクであった。
しかしこのオークションのなかで、スバルについての熱を語る自分を想像したことで、これまでの行動がすべて『気持ち悪い』ということにようやく気づいたノエルは、ようやく自らの行いを反省する……かと思われていたが、スバルへの愛情でもはや狂っていて、別人格を作る形で自分の罪からも目をそらしたノエル団長は、もはや一部ファンからも『自分の行いを悪いとも思っていない』としか見られていなかったのである。
もちろんファンの中には「人を愛することが悪いとでも言うのか?」という声もあるかもしれない。
しかし、そもそもこのだんちょむが示す問題の本質は、あくまでも「推しが大好きすぎるあまりに身に余る力を手にしてしまう事の危険性」すなわち「武力の暴走」であり、武力そのものを否定してはいない。
また、今回の構図はノエルがスバルの私物を変装して入手したかのように見える点を含めて、様々なアイドルシリーズや推し活そのものへの皮肉とも解釈できる。
しかし、同時に「推す者と推される者の力の根源は同質」「どちらが推しになっても推される側になってもおかしくない」、つまり『正義と悪は表裏一体』で、全ては『責任と使い方次第』であると言うシリーズへの肯定であるとも捉えられる。
だんちょむはいわゆるクロス・オブ・ファイアの概念を、端的に表した存在だとも評価できるだろう。
胸に灯った愛の炎は大切なものだが、その炎が全てを焼き尽くす獄炎と化してしまえばそれは厄介オタクと変わりない、ライターだろうが火炎放射器だろうがうまく使えば素材の加工や着火に使われる有用なモノだが、無差別に撒き散らせばただの放火魔でしかないのだ。
そしてこの問題は、何もノエルだけに限った話ではない。
例えば、
- 常闇トワへの強い想いから、度々強い愛情と憧れを抱き続けているラプラス・ダークネス
- 先輩であるはずの湊あくあを娘と称し、長きに渡って親子関係を作り上げた宝鐘マリン
- 新垣結衣の婚約を受け、ショックのあまりに肉を殴りまくった天音かなた
などなど、強い愛情に目がくらみ、そのせいで非行に走ってしまった人たちは数知れない。
繰り返し記述するが、この問題は決してノエルだけの問題ではないのだ。
……もっとも、『人を愛する事』自体まで否定されるようなこともあってはならないが。
最後に、この名言を記載する。
『誰が正しくて誰が間違ってるって、とっても難しいことだと思います』
『自分が正しいと思うと、周りが見えなくなって正義のためなら何をしていいと思ったり』
『きっと、戦争もそうやって起こっていくんです』
余談
「ちょむ」は大分での民話に登場する「吉四六」(きっちょむ)に由来する……らしい。
吉四六は大分県民に親しまれている民話の主人公で、知恵とひょうきんな人柄で知られている人物。
頓知で権威や権力に抵抗する姿勢が庶民の共感を呼び、県の中、西、南部を中心に全県に分布する「吉四六話」の主人公として知られているそうだ。
関連タグ
中村千鶴、花里みのり:ノエルと同じく特定アイドルへの強い愛情を持つ人物。グッズを買い集めている点も同じではあるが、(前者は一度迷惑をかけてしまったものの)ノエルと違って変なものを要求したりなどは一切せず身分をわきまえており、彼女らのほうがよっぽどしっかりした人格者である。
正義のためなら人間はどこまでも残酷になれるんだ:ノエルの行動原理を言い表したワードの一つ。大空スバルという正義のためなら、ノエルは今回のような残酷な行いが平気でできてしまう人物なのだ。
正義はあっても正解というものは無いのだ:ノエルの行動原理を言い表したワードの一つ。正解がないからこそ、だんちょむのような恐ろしい正義があるのだ。
英雄って言うのはさ、英雄になろうとした瞬間に失格なのよ:ノエル団長の行動原理を言い表したワードの一つ。大空スバルという人間にとっての『英雄』になろうとした時点で、ノエルは既に失格も同然であった。
バカは一人いれば賢者百人分の働きをするモノさ:ノエルの様な、推しに対する考えが根幹から狂っている者が引き起こす事になろう弊害を風刺した台詞であり、『推しのための英雄になろうとした失格者』が辿るケースを物語っているといえる。