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概要って言うのはさ、概要になろうとした瞬間に失格なのよ

仮面ライダー龍騎』の第46話「タイガは英雄」で発せられた台詞。


「みんなが僕のことを好きになってくれるかもしれない」とする極めて独善的な目的から「英雄になる」ことを願い、ライダーバトルに興じてきた東條悟/仮面ライダータイガ


しかし、戦いの中で次第にその思想と行動の矛盾点が目に見えて明らかになってくるに伴い、一応は仲間だった仲村創を「(復讐目的に動く奴は)英雄に相応しくない」との理由だけで殺害し、自身が『英雄』と称して尊敬していた恩師・香川英行や最初は打算目的で窮地を救いながらも、後に本気で友情を抱くようになっていた佐野満「自分の最も大切な人を殺せば英雄に近づく」とする最早、意味不明な理論に基づいて裏切り、それぞれ引導を渡したり、死地に追いやるなど、狂気同然な迷走を極めていき、やがてそんな精神の不安定さがライダーバトルの戦績にも影響する様になり、他のライダー達に対して後塵を拝する機会が増えていきつつあった……


そんな彼と、何度目かの対戦に興じていた北岡秀一/仮面ライダーゾルダは、追い詰めながらもミラーワールドでの活動時間が限界に近づいてきたのを知り、戦いを切り上げる為に不意にこんな言葉を嘯き始めた…


北岡「なぁ、お前さぁ、絶対英雄になれない条件が、ひとつあるんだけど……教えてやろうか?」


東條「へえ……そんなのあるんだ」


訝しみながらも興味を向けてきた東條に対し、北岡は畳み掛ける様にある言葉を言い放った。


北岡英雄って言うのはさ、英雄になろうとした瞬間に失格なのよ


東條「……!」


北岡「お前、いきなりアウトってわけ」


その言葉に逆上した東條(タイガ)は、更に激しい攻撃を加えようとしたが、明らかに激情任せの乱れたその大振りな一撃は、北岡(ゾルダ)がミラーワールドから脱出するのに十分な隙となり、思惑通り逃走は成功。

一人その場に残された東條はやり場のない怒りから、手当たり次第に暴れ、獣のような咆哮を上げるしかなかった……


こうして、自分のアイデンティティを全面的に否定されてしまった東條の心は大いに乱れていく。その後生き残っているライダー達を一ヶ所に呼び出し、自身は全員が変身してミラーワールドに飛び込んだ後に、彼らがミラーワールド突入に用いた車にガソリンを撒き、仮面ライダーの総殺害を図るなど、その迷走・暴走にもいよいよ歯止めがかからなくなっていく。


挙句に自らもミラーワールドに入り、自らを全否定した北岡をこの手で殺そうとし、不意打ちとファイナルベントを仕掛けるもあっさりかわされ、一緒に陥れを謀った浅倉威/仮面ライダー王蛇に素手で一方的に嬲られる形で作戦は破綻してしまう。

それでも敗北の可能性も見越していた彼は、浅倉に引き渡しておいた車に運転キーを回すと爆発する細工を仕掛けて一矢報いるのに成功するが、そのなりふり構わない行為は最早、彼の思い描いていた『英雄』とは到底思えないものだった。


その後、あてもなく街をさまよっていた東條だったが、信号を渡ろうとした父子の下に、暴走したトラックが突入する現場に出くわし、自らが手にかけた恩師の香川の面影を重ねた彼は、とっさに轢かれそうになった父子を間一髪でかばい、薄れゆく意識の中で北岡の言葉がよぎり、彼は思いをはせながら命を落とす……。


東條「じゃあ……どうやって……英雄になるのかな……。香川先生……次は僕……誰……を」


その翌日、新聞の片隅に『親子を救った英雄』として讃えられる形で、東條は念願だった『英雄』になったのだった……

だが、その小さな記事はやがて彼のとった行動は人々の記憶に埋もれ忘れ去られるであろうことを暗示していた。


皮肉にも彼を『英雄』にならしめた『身を呈して親子を助けた』その瞬間、東條の心に「英雄になりたい」願望は一切なかった。

そして「英雄とは何なのか?」「どうやったらなれるのか?」と、戦いの中で、根幹から歪んでいたにしても東條なりに考え、そして目指そうとしていた『英雄』への疑問は何1つ正しい答えを見出せきないまま、自分が(望んでいた形ではなかったにしても)それになれた現実も知らぬままに落命すると、因果応報ではあるものの、あまりに悲しい形で物語から脱落・退場したのだった……


その後

「超スーパーヒーロー大戦」にて北岡(本人を基にしたゲームの存在)がこのセリフのセルフパロディを行なっている。

作中劇としての「超スーパーヒーロー大戦」はヒーロー同士のバトロワゲームであり、目的の一つが仮面戦隊ゴライダーに相応しい戦士を決めるというもので、それに引っ掛けたパロディである。



考察って言うのはさ、考察になろうとした瞬間に失格なのよ

仮面ライダーに限らず、多くのヒーロー、ヒロインが登場する作品の存在意義、理念を頭から否定しているかのような一言であるが、このセリフを放つ直前の描写からも察せられる通り、発言者である北岡自身としても「活動時間が限界に近づいているから、一刻も早く戦いを切り上げたい」意図の下、逃走する隙を作らせるために言い放った揺さぶり、挑発に過ぎず、元から皮肉屋ではあるが、真っ当に人助けを行っている城戸真司にこのレベルの皮肉は発していない。


しかし、承認欲求に固執し、恩師や友をも手にかける「英雄」とは真逆な行動ばかりを繰り返していた東條の元々不安定だった心をかき乱すには十分過ぎる効果を果たし、その後の経緯を見ると、彼を最終的にライダーバトルから脱落させる引き金になった。北岡がそのように言う根拠を特に述べていないにも拘らず、東條が一言も反論できなかったことに効果の程が窺える。


今作以降の仮面ライダーシリーズでも、見返りを期待したら、それは正義とは言わねえぞとの台詞が『仮面ライダービルド』で登場する等、英雄=無欲・無冠・無償奉仕の姿勢こそ理想的と掲げているかのような描写が描かれることもある。


だがその一方で、古今東西、英雄を目指して英雄になり、英雄と呼ばれ得る立派な功績を上げた者も数知れない。

例えばケルトの英雄クー・フーリンは、「今日騎士になる若者は偉大な戦士になり、長く語り継がれる(が、長くは生きられない)」との予言を聞いて騎士になり、現在に語り継がれる程の素晴らしい功績を上げている。

特に善悪の価値観やヒーローの理念も多様化した現在では、『ヒーローだって1人の人間』の事実から美醜、清濁に関わらず様々な方向性、人物像を掲げたヒーロー・ヒロイン=英雄達が登場するのが常道となりつつある。


仮面ライダーシリーズにおいても、浮世英寿/仮面ライダーギーツは「自分の願いを叶えるついでに世界を救う」のを信条としている(もちろん、東條のように自分本位なだけではないが)。

更に英寿は無私の正義を他人に求めた桜井景和/仮面ライダータイクーンに対し、「他の人の幸せはどうでもいいのか?」「誰よりも傲慢なのはお前の方じゃないのか?」とした、この言葉を全面的に否定するような言葉を投げかけている。


この言葉はあくまで「英雄願望が強すぎて歪んだ思想を抱えてしまう」いわゆる英雄症候群に陥った東條悟だからこそ、引導を渡す程に突き刺さる皮肉となったのだ。

そのため、『英雄』の概念全体を否定できるまでの効果はないばかりか、真っ当な理由で英雄になろうとしている人物に対する言葉としては不適当であるが、インターネット上では本質を的確に突いた名言として扱われやすい。安易な煽りやこじつけに使いやすいがゆえに生まれた齟齬とも言える。


関連タグって言うのはさ、関連タグになろうとした瞬間に失格なのよ

仮面ライダー龍騎 北岡秀一 東條悟

英雄 皮肉


名言/迷言:この台詞は上述した理由から線引が難しい立ち位置にある。


承認欲求自己顕示私利私欲独善:これらを主な目的に英雄になりたいと願っている者にとっては当記事のセリフは耳の痛い皮肉である。

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