ひみつ道具としての解説
藤子・F・不二雄原作の漫画・アニメ作品『ドラえもん』に登場するひみつ道具の一つ。及び同作品のエピソードの一つ。TC18巻収録。
木を模したバッジ型の道具で、これを身に付けると周りの人間から贔屓して貰うことが出来る。例を挙げれば、バッジを付けた者だけが食事を振舞って貰えたり、バッジを付けた者が他者に迷惑をかけたとしても、バッジ使用者の近くにいた者が叱られてしまうようになる。
派生作品
水田わさび版アニメ「ひい木でひいき」では、バッジを付けた者がどのような贔屓をして貰えるかは、バッジ使用者ではなく周りの人々(贔屓をする側の者)の考えによって変わり、必ずしもバッジ使用者が利益を得るとは限らない様子が描かれている(原作版ではそのような設定及び描写は存在しない)。
エピソードとしての解説
ある日、のび太とジャイアンはスネ夫が周りの大人達に贔屓されていることに対して愚痴を言っていた。
のび太・ジャイアン・スネ夫と他数名が宿題を忘れた時には、スネ夫だけ母親の体調不良という嘘により廊下に立たされることを回避したり、のび太とキャッチボールをしていた時は自分が割ったにもかかわらずのび太が竹刀で殴られた際に仲裁に入って誉められ、ジャイアンが溝さらいをしていた時は周りに大人がいる時だけジャイアンと代わって大人達に誉められる等、スネ夫ばかりが贔屓されていた。
それに不満を持ったのび太から相談を受けたドラえもんは、ポケットから「ひい木」を取り出す。
早速、のび太がそのバッジを付けると、ママがおやつのスイカを二つ持ってくる。しかしママは「悪いけどドラちゃんの分はないの」と言い、ドラえもんが「二つあるのにひどい」と抗議するも、そのまま立ち去ってしまう。
その後、のび太が「やるよ。なるほど、こんなふうにひいきされるのか」と言いながらドラえもんにスイカを分けたことでその場は解決し、バッジの効果が本物であることを確認出来た。
おやつを食べ終わった後、ひい木をつけたのび太はスネ夫をキャッチボールに誘うが、そのままボールを老人の家に投げ込んで窓ガラスを粉砕。
飛び出してきた老人はスネ夫を竹刀で殴り、仲裁に入ったのび太が褒められることになった。
これで満足したのび太はジャイアンを探し出し、ひい木の効果を説明して貸すことに。
バッジをつけたジャイアンは、スネ夫の後をつけてゴミ箱を蹴り倒す、小さな男の子を殴る、女の子のスカートをめくるなど、のび太以上にいたずらを重ねる。しかしひい木の効果で全てスネ夫がやったことにされてしまい、周りの大人達からスネ夫が注意や非難を受ける羽目になった。
そして骨川宅に上がり込んだジャイアンは、スネ夫のママからご馳走を振舞って貰うが、一緒について来たスネ夫はママから「スネ夫の分はなあんにもないザマス」と言われて泣き出してしまう。
その様子を窓から見ていたドラえもんとのび太は「そろそろ許してやったら」と笑いながら言うのだった。
余談
上記の「ひい木でひいき」(水田版アニメ)では展開が少しアレンジされている。原作版では、ママが持って来たおやつはスイカだったが、こちらではシュークリームになっている。また、原作版ではドラえもんはのび太一人から相談されているが、こちらではのび太だけでなくジャイアンからも相談を受けている。
のび太とジャイアンがスネ夫に仕返しをした後、バッジを付けたのび太から連れられる形でドラえもんは源家へ遊びに行き、しずかの母親からカレーライスを振舞って貰う展開が追加されている。しかしドラえもんはカレーライスは無く漬物だけであり、バッジを付けたのび太はカレー粉を大量に注がれた激辛カレーライスを食べさせられることになってしまった。
その後、ドラえもん達はジャイアンと出会い、バッジの効果でのび太が彼からノック練習を受けることになってしまった。ジャイアンは「野球が下手なのび太を特別に鍛えたい」という善意でのび太にノックを行っているのだが、のび太本人は当然嫌がっており、その様子を見たドラえもんが苦笑するオチで終わっている。