概要
藤子・F・不二雄原作の漫画・アニメ作品『ドラえもん』に登場するひみつ道具の一つ。初登場エピソードはTC14巻収録「悪の道を進め!」。
このバンドを頭に巻くと、絶対に悪いことが出来なくなる。
一例
- 背後からわざとジャイアンを蹴飛ばすと、そこへビル工事の鉄材が落下し、結果的にジャイアンを助けたことになる。
- しずかのスカートを捲ったら、中にハチがいた。 そして彼女から「ハチを追い払ってくれてありがとう」と感謝される。
- 他人の家に向かってわざと石を投げて窓ガラスを割ると、その家の中ではガス漏れ事故が発生して住人が倒れており、結果的に人助けをすることになってしまい、住人からは「命の恩人だ」と感謝される。
- セールスマンが持って来た宝石を買おうとしたママからお金を奪うと、セールスマンが詐欺容疑(宝石は偽物)で逮捕され、ママから「お金を持って行ってくれたお陰で余計な物を買わずに済んだ」と感謝される。
余談
上記の説明及び一例を見れば便利な道具だと思うかもしれないが、ファンの間では三つの解釈に分かれている。
- どれほどの悪事を行ったとしても、結果的に全てが善行となり周囲から感謝されるという解釈
上記の一例の場合、のび太(バンド使用者)は明確に悪意を持って行動を起こしたのだが、全てが善行となってのび太の行動が正当化されている。どんな悪事を行っても全て許してもらえる「悪魔のパスポート」とは違い、こちらは良い行いをしたと感謝されるのだ。
作中では子供のイタズラレベルの悪事しか行われていないものの、それらが全て正当化されていることから「強盗しようが、放火しようが、痴漢しようが、殺人を犯そうが、結果的にこれら全てが誰かを助ける為の善行となり褒め称えられてしまう」とする解釈である。
- 悪行自体は正当化されるが、それが悪質になるほど使用者が相応の報いを受けてしまうという解釈
上記の一例の場合、のび太(バンド使用者)がジャイアンを蹴飛ばした際、本来ならジャイアンの頭上に落ちるはずだった鉄材がのび太に直撃してしまっており、しずかのスカートをめくった際も、中から現れた蜂にのび太が刺されてしまっている。
上記の描写から「凶悪犯罪を犯そうと考えれば、使用者も無事では済まないほどの被害を受けてしまう」とする解釈である(ただし作中で「悪行をすれば使用者も無事では済まない」と明言されている訳ではなく、実際に上記の他人の家の窓ガラスを割ったケースやママからお金を盗んだケースでは、のび太は特に被害を受けていない)。
- 悪質過ぎる行動は正当化されるまでもなく、何らかの形で失敗してしまうという解釈
上記の初登場エピソードの作中では、ドラえもんが「のび太に悪事をさせなくする」という目的で、のび太にこの道具を取り付けている。
仮にこの道具が悪魔のパスポート等のように悪事が免罪される効果だとすれば、ドラえもんがこの道具をのび太に取り付けるとは考えにくい。実際にTC13巻収録「悪魔のパスポート」では、悪魔のパスポートを手にしたのび太を見たドラえもんは「(その道具は危険だから)焼き捨てようと思っていた」と言いながら、彼から道具を取り返そうとする様子が描かれている。
それだけでなくTC30巻収録「することレンズ」でも、ドラえもんは悪事を企む人間に対し「ドジバン」(貼り付けられると何をやっても失敗してしまうひみつ道具)を貼り付け、その人間の悪行を未然に防いでいる。
参考として『ドラえもんのひみつ道具使い方事典2』では、バンドに搭載された「悪意修正回路」の働きにより、他者にとって良い結果になるイタズラしか出来なくなると解説されている(ただしこの書籍は藤子・F・不二雄が監修しているとはいえ、F氏が直接手掛けた作品では無く、それが原因なのかは不明だが、原作版と矛盾している設定及び解説も存在する)。
その為、上記のように悪事が全て正当化されるという訳では無く、最初から他者を助ける善行(に繋がる行動)しか出来ないということになる。
上記の「悪魔のパスポート」や「することレンズ」でのドラえもんの意図及び描写、『ドラえもんのひみつ道具使い方事典2』における解説から「流石に悪質過ぎる行動は正当化されるまでもなく失敗に終わってしまう」とする解釈である。